現代俳句協会トピックス

中村和弘新会長を中央に、宮坂静生前会長と宇多喜代子特別顧問 2018年3月24日(土)現代俳句協会総会

通常総会にて中村和弘新会長が就任

3月24日(土)東京・東天紅に於いて理事会と通常総会を開催。中村和弘新会長が就任した。
理事会には、41名の理事が出席、議長は、規約により宮坂会長、また、総会の議長は高橋健文千葉県現代俳句協会副幹事長、副議長は木村聡雄国際部長がつとめた。
理事会及び総会とも、前田幹事長と事務局より平成29年度事業報告、会計報告の説明があり、協会創立70周年記念事業の実績については、中村副会長・記念事業実行委員長と事務局より説明がなされ、それぞれ承認可決された。さらに、平成30年度事業計画、予算案について幹事長と事務局より、及び役員選任を含む協会の今後の運営体制について宮坂会長より説明があり、ともに異議なく承認可決された。(総会委任状は1,984通、総会出席者は168名(平成29年度末の会員数は、5,531名)。
本総会終了時を以って、宮坂静生が会長を退任、新会長として中村和弘が就任した。

中村和弘・新会長は、「昨年の現代俳句協会創立70周年事業の完遂を以って、当協会は戦後俳壇の中心的存在としてアピールを発することが出来た。社会全体の高齢化の中、会員数の確保や事業の継続発展の上で、色々な困難もあろうが、協会員全員の知恵と力を結集して、次の時代、次の世代へとこの協会を継承して行きたい」と挨拶した。

なお、総会議事に先立って行われた現代俳句大賞の授与式では、復本一郎氏(愛媛県出身、国文学者、神奈川大学名誉教授)が受賞の栄誉に輝いた。



「明日を展く」 現代俳句協会会長 中村和弘

 白梅、紅梅の花開く季節の二月二十日現代俳句協会名誉会長金子兜太先生が永眠され三月一日通夜、二日告別式が地元熊谷にて行なわれた。焼香の列に並び、ふと若い頃愛読した
   白梅や老子無心の旅に住む
   梅咲いて庭中に青鮫が来ている
等の句が次々と頭に浮んだ。昨年十一月二十三日の現代俳句協会創立七十周年式典、祝賀会にお元気に出席され僅か三か月後である。
 現在、特別顧問宮坂静生先生を中心にして「金子兜太さんを偲ぶ会」の準備が進められている。詳細はこの号及び次号に告知される。また、七月号、八月号の二回の予定で「金子兜太追悼特集」を企画している。
 その最中、私が現代俳句協会の会長の任を担うこととなった。熟慮した上での決断であるが、改めてその責任の重さを感じ身の引き締まる思いである。
 周年と言うのは年数、時間の区切りであるが、五十周年、七十周年となると単に時間の区切りではなくその団体の大きなターニングポイントになる事が多い。七十周年を越え、名誉会長金子兜太先生が逝去された今現代俳句協会もまさにその時に当っていることを十五年間幹事をしてきた経験上肌身に感じる。
 昭和二十二年創立以来現代俳句協会は俳句界全体を主導してきた事は『現代俳句』十一月号の『現代俳句協会創立七十周年記念特大号』、『現代俳句協会七十年史』等の中で執筆者各氏により触れられている。運営面で大転換今日の形に新会員を募ることになったのは昭和六十三年(一九八八年)の事である。この年の『現代俳句』1月号の金子兜太会長の〝年頭のあいさつ〟で「質を求めつづけてきた現代俳句協会としては、量がすべての考えを拒絶しつつも、量あって質高まる、の考えを見直すべきではないかと思っています。質に閉じこもる方向から広く門戸を開いて質を育ててゆく方向」と述べ大きく転換した。その事が功を奏し会員数はその後増え続け一時は約九三〇〇名に達した。その後少子高齢化等々の影響で入会者数を大会者数が上まわるようになり現在約五五〇〇人となっている。
 現代俳句協会は、会員の年会費にほとんど頼って運営をしている団体である。会員の減少が即収入の減少につながり運営を圧迫することになる。出版等の質の高い活動を継続してゆく為にはどうしても安定した会員数が必要である。
 出版活動については、『現代俳句歳時記』『東日本大震災を詠む』『昭和俳句作品年表 戦後篇』『俳句無限、活性化への31章』『俳句ひらく―現代俳人の筆跡』、そして現在進行中の『新興俳句アンソロジー(仮題)』等の現代俳句協会でなければ出来ないであろう秀れた出版物と確信している。今後もこの活動を絶やさない様にしたいものである。
 しかしながら現状の会員減少は予断を許さないものになりつつある。私が節目と言ったのは昭和六十三年に始まった会員拡大策は行詰まりを見せている。今後の現代俳句協会の運営はまずこの現状を厳しく受けとめるところからはじまる。昭和六十三年に大きく方向転換したように、今また転換する時代に入っている。
 昨年の『現代俳句協会創立七十周年記念特集号』の宮坂静生前会長による金子兜太先生へのインタビュー(ビデオ)を拝見していたところ、『マーケティングが必要だね』と金子兜太先生が言われた場面があり大変驚かされた。俳人の口からまず出ない言葉である。マーケティングとは、商品の販売やサービスなどを促進するための市場活動の事で、経済分野の言葉である。ちなみにマーケット・リーサーチは市場調査の意である。昭和六十三年に方向転換、俳句大衆化に先んじたのはマーケティング感覚があったのではないか、とふとその時感じたのである。そして今日の現状「新たなマーケティングが必要だね」と言われたようにも思う。
 団体及び企業の運営とは、見ない動きを見ることである。はっきりは見えないが、洞察することである。それはマーケティング感覚と言ってもよい。その意味において運営に力を注いでゆく所存である。
 また、俳句のグローバル化、国際化も年を追って進展してゆくように思われる。現代俳句協会は「俳句自由」と言う広い視野にたっている。グローバル化、国際化に実に対応しやすい体質をすでに持っている、と言ってよいだろう。
 現代俳句協会は、現在難しい局面に立たされているのは事実である。しかし、創立七十周年事業を完遂、これは当協会の七十年間に蓄積されてきた底力である。その力が顕在化すれば大きく明日が展かれるものと信じる。
(平成三十年三月吉日)

主要役員についてはこちらをご覧下さい。