総会・全国大会

第51回現代俳句全国大会

目次

第五十一回現代俳句全国大会報告

大会風景1
大会風景2
宮坂静生会長の挨拶 宮坂会長
森下草城子大会実行委員長の挨拶 会場風景
森下草城子大会実行委員長の挨拶 会場風景
現代俳句協会賞の安西篤氏 現代俳句協会特別賞の金原まさ子氏(103歳)左は鳴戸奈菜顕彰部長
現代俳句協会賞の安西篤氏

現代俳句協会特別賞の金原まさ子氏(103歳)
左は鳴戸奈菜顕彰部長
現代俳句新人賞の岡田一実氏 現代俳句評論賞の竹岡一郎氏
現代俳句新人賞の岡田一実氏 現代俳句評論賞の竹岡一郎氏
左より髙石まゆみ・加藤遊名・石口榮の各氏 >講評する宇多喜代子特別顧問
左より髙石まゆみ・加藤遊名・石口榮の各氏 講評する宇多喜代子特別顧問
大輪靖宏氏講演「和歌の表現技術から見た俳句の特性」 懇親会の乾杯は後藤昌治氏
大輪靖宏氏講演「和歌の表現技術から見た俳句の特性」 懇親会の乾杯は後藤昌治氏

 六年に一度、名古屋で開催される現代俳句全国大会。この度の大会は、前回の会場が使えなかった為、まず会場探しから始まった。そして三年前にJR名古屋駅前の「ウインクあいち」に決定した。ここは地の利は良いが、県の施設の為、色々と制約があり、その都度、戸惑いながらも、手作りの大会が仕上がって行った。実行委員の誰もが、「良い大会にしよう」「投句は一五〇〇〇句以上を」と願いつつ、大会を迎えた。当日は申し分のない、秋晴れの日になった。

 大会の司会進行は、俳誌「菜の花」の成木幸彦が担当。地区副会長の伊藤政美の開会の言葉で開幕した。続いて宮坂静生会長の挨拶、森下草城子実行委員長の挨拶の後、毎日新聞社中部報道センター室長の、小出禎樹氏よりご挨拶をいただいた。

 次に協会四賞の顕彰が行われ、鳴戸奈菜顕彰部長による選考経過報告のあと、表彰に移った。「第三十二回現代俳句新人賞」は岡田眠氏、「第三十四回現代俳句評論賞は竹岡一郎氏、「第十五回現代俳句協会年度作品賞」は伴場とく子氏。伴場氏欠席の為、同じ結社の𠮷田功氏が代理の受賞。また、「第六十九回現代俳句協会賞」は安西篤氏、「同特別賞」は金原まさ子氏が選ばれた。同氏は百三歳という高齢にもかかわらずチャレンジ精神旺盛で注目の的であったが、体調不良のため欠席。それぞれの受賞者に宮坂会長より賞状と賞金目録が手渡された。そのあと受賞の言葉、花束贈呈、写真撮影と滞りなく執り行われ、授賞式は終了した。

 引き続き、第五十一回現代俳句全国大会優秀作品の発表に移った。

 今回、協会内外から寄せられた作品総数は一五〇三三句。これらの句の中から五〇一一を予選通過作品として作品集を作成し、一般選者による本選、加えて特別選者による選考を経て、大会賞二句、毎日新聞社賞一句、秀逸賞十六句、佳作賞四十六句が選ばれた。この他に特別選者賞として、特別選者が一句ずつ選んでいる。

 まず入賞作品を、大堀祐吉・佐藤千恵・伊藤ゆう子・前田典子の四名で披講を行い、授賞式に移る。

 「現代俳句全国大会賞」は石口榮、加藤遊名の両氏が受賞、「毎日新聞社賞」は髙石まゆみ氏が受賞され、それぞれ喜びの言葉を述べられた。そして、これら入選句についての講評を、宮坂会長、宇多特別顧問、森下実行委員長が行い、休憩に入る。

 休憩の後、上智大学名誉教授で、日本伝統俳句協会副会長、俳誌「輪」の主宰である大輪靖宏氏の記念講演が行われた。演題は「和歌の表現技術からみた俳句の特性」であった。

 演題を見ると、何やら難しそうに思えたが、新古今和歌集の、本歌取りや三句切れ、体言止めなどから、芭蕉の言葉に表れる俳句の特質、例えば俳諧十論にある「俳諧といふは別のことなし。上手に噓をつくことなり」という言葉を引き出す等、わかり易く解説され、好評であった。

 講演の後、「昭和俳句作品年表」を作成した大畑編集長より年表の紹介。また、中村出版部長より句集出版についての説明があった。そして、次期大会実行委員長の前田弘氏より、東京大会への協力のお願いと続き、予定通りに全ての行事を終了、地区中村副会長の閉会の辞で閉会となった。

 午後五時からの懇親会は、名古屋らしさを出したいと、名古屋甚句で開幕。大会、懇親会共に予定を上回る参加者があり盛会であった。名残り惜しさの残るなか〈名古屋締め〉という手締めで懇親会を終了し、散会となった。

大会事務局長 永井江美子

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各賞発表

現代俳句全国大会賞

人間をやめられなくて春田打つ東京都板橋区石口  榮
人が人の形で歩く原爆忌兵庫県姫路市加藤 遊名

毎日新聞社賞

途中から蛍籠めく夜汽車かな福井県福井市髙石 まゆみ
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特別選者特選句

金子 兜太選  恋知らず骨もなき兄沖縄忌     愛知県一宮市   平井 利恵

宇多喜代子選  冬菊を括りて影を一つにす     三重県伊勢市   橋本 輝久

宮坂 静生選  石鹸玉飛ばす戦をせぬために    三重県伊勢市   前田 秀子

森下草城子選  飼育小屋覗いて帰る卒業子     神奈川県足柄上郡 尾崎 竹詩

寺井 谷子選  純粋老人笑わんとして毀れけり   千葉県市原市   植原 安治

安西 篤 選  原発はいつも遠景梅雨明ける    愛媛県松山市   相原左義長

加藤瑠璃子選  唐辛子吊るしこの村捨てられず   大分県大分市   谷川 彰啓

高野ムツオ選  夏草や一人にひとつ頭蓋骨     神奈川県川崎市  増田  守

前田 弘 選  手を出さぬ子にも風船渡しけり   東京都清瀬市   永井  潮

相原左義長選  蝗飛ぶ戦中戦後の貌のまま     茨城県小美玉市  井坂 あさ

石田よし宏選  帆のやうに女吹かれてゐる岬    高知県高知市   島村かりん

伊丹三樹彦選  看取る手を静かに離し天の川    愛知県名古屋市  北原 千枝

大坪 重治選  馬のかほ長きままにて祭かな    滋賀県彦根市   喜龍 けん

河村 四響選  海水着すでにわたしという他人   千葉県野田市   市川 唯子

豊田 都峰選  隠しごと無くなるまでに落葉して  愛知県安城市   藤田 綾子

野間口千賀選  人間をやめられなくて春田打つ   東京都板橋区   石口  榮

花谷 和子選  恋知らず骨もなき兄沖縄忌     愛知県一宮市   平井 利恵

前田吐実男選  征かぬ者が征かせたがるや晶子の忌 京都府八幡市   夢乃 彩音

山崎 聰 選  ふるさとの昭和の中へ帰省せり   茨城県筑西市   篠﨑 六美

吉田透思朗選  純粋老人笑わんとして毀れけり   千葉県市原市   植原 安治

吉田 未灰選  沖縄忌石積みあれば手を合わす   大阪府大阪市   藤村 寿子

和田 悟朗選  人間をやめられなくて春田打つ   東京都板橋区   石口  榮
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秀逸賞

大根干すひとの戻らぬ村に住み    大分県大分市   谷川 彰啓
いのししのにおいがしたり春の人   愛知県安城市   今井 真子
一人しか入れぬ柩枯野行く      石川県金沢市   奥村 次郎
飼育小屋覗いて帰る卒業子      神奈川県足柄上郡 尾崎 竹詩
引っ張って開ける缶詰多喜二の忌   千葉県佐倉市   相原 一枝
芋洗うそつなく生きたさみしい掌   愛知県田原市   山田 哲夫
千枚田水が平らに降りてくる     埼玉県春日部市  尾堤 輝義
八月の紙一枚にある重さ       千葉県柏市    保坂 末子
冬菊を括りて影を一つにす      三重県伊勢市   橋本 輝久
青空のような嫁来て茄子の花     東京都板橋区   東金 夢明
原爆忌傘をひらけば骨がある     三重県伊勢市   前田 典子
沖縄忌石積みあれば手を合わす    大阪府大阪市   藤村 寿子
村一つなくなつてゐる夜の雪     福岡県福岡市   安徳由美子
恋知らず骨もなき兄沖縄忌      愛知県一宮市   平井 利恵
手を出さぬ子にも風船渡しけり    東京都清瀬市   永井  潮
白日傘まはして水平思考せり     愛知県名古屋市  久保 和枝
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佳作賞

馬のかほ長きままにて祭かな     滋賀県彦根市   喜龍 けん
やはらかに窪みて父の籠枕      千葉県稲毛区   宮下 奈緒	
地の匂い父の匂いの冬田打つ     宮崎県小林市   永田タヱ子	
筍の未来を喰べてしまいけり     東京都世田谷区  富田 敏子	
二人いてひとりは芒ひとりは風    大阪府大阪市   油津 雨休	
百歳に少し間のあり雪を掻く     千葉県船橋市   二瓶 照代	
人恋へば家のなかまで真葛原     熊本県熊本市   北野 昭夫	
母と言うたったひと文字月天心    愛知県名古屋市  渡邊 淳子	
かぶと虫飼う少年に木の匂い     東京都北区    鍬守 裕子	
夏座敷どこに座してもひとりなる   千葉県船橋市   引地 永子	
田を植ゑて植ゑてけむりになりし父  岡山県岡山市   國定 義明	
泣く子にも泣かせた子にも柏餅    京都府京都市   白川冨佐子
象洗ふ蛇口全開雲の峰        愛知県尾張旭市  古賀勇理央
純粋老人笑わんとして毀れけり    千葉県市原市   植原 安治
鳥獣戯画毛虫になって入ろうか    埼玉県熊谷市   茂里 美絵
夏草や一人にひとつ頭蓋骨      神奈川県川崎市  増田  守	
吊橋の途中で蛍になっていた     愛知県刈谷市   三浦  亨
戦争をしない国あり鳥渡る      東京都豊島区   山中 正己
紙魚走るたった一度の父の文     福井県福井市   塩谷美つ子
ときどきは春の雲喰む麒麟かな    山口県山口市   河野 悦子
遠蛙柩に納む農日記         愛知県江南市   安部 竹影
蚊帳とという青き深海子は知らず   岐阜県岐阜市   井尾 紀子	
散るさくら河馬の話をして別れ    愛知県岡崎市   中根 唯生	
メロンパンほどに仕上がる日向ぼこ  東京都練馬区   本杉 康寿	
端居してこれからのこと飯のこと   東京都目黒区   古谷あやを
蝗飛ぶ戦中戦後の貌のまま      茨城県小美玉市  井坂 あさ
ふるさとの昭和の中へ帰省せり    茨城県筑西市   篠﨑 六美
田植機に跨つて農継ぐことに     岐阜県大垣市   田中 青志	
一鍬の音より春の立ち上る      福井県福井市   柄谷 せつ
石鹸玉飛ばす戦をせぬために     三重県伊勢市   前田 秀子	
逃げ水のどこにも逃げ場なき瓦礫   大分県武田市   有村 王志	
世の中の全てを信じ朝寝の子     千葉県千葉市   新井 秋芳	
蟬しぐれ山が大きくなっており    愛知県名古屋市  横地かをる
征かぬ者が征かせたがるや晶子の忌  京都府八幡市   夢乃 彩音
悪役に適材を欠く村芝居       神奈川県鎌倉市  髙橋 俊彦	
水少し足され売られる金魚かな    静岡県富士宮市  内田 孝子	
万緑のなか晩年の椅子を置く     愛知県豊橋市   神谷きよ子
水平線見てから朝の葱きざむ     北海道河東郡   粥川 青猿	
もうひとり蛍袋に入れます      埼玉県狭山市   斉藤 京子	
真つ直ぐと言ふ涼しさや杉木立    奈良県奈良市   瀬尾千鶴枝
聞き役のゆっくり崩す冷奴      兵庫県神戸市   古座岩康子
大夕焼はみだしている赤ん坊     東京都江東区   加藤千恵子
先ず金魚覗いておろすランドセル   愛媛県東温市   伊賀上寿賀子
海水着すでにわたしという他人    千葉県野田市   市川 唯子
蟬鳴いて蟬の淋しさはじまりぬ    大阪府守口市   髙橋 もこ
帆のやうに女吹かれてゐる岬     高知県高知市   島村かりん	
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