講評
(小中学生の部)
春から夏にかけての皆さんの句をみていると、それぞれに新学期がスタートして、部活や学習や授業のことをいろいろと詠んでいるんだなあと思いました。
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3真っ白なメダカの卵始業ベルまりも
 メダカの卵の観察はよく目を凝らして見ないと水草についた卵を見落としてしまうものです。思った色と違って真っ白だった卵に驚いて見ている作者。始業ベルが聞こえた瞬間と卵を見つけた瞬間とが連続して起きたこと、気持ちがはっとした連続がいいですね。
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4鬼近づいて 騒がしくなる 春のしばふデラックスバイオレンス
 しばふの上で裸足になってみんなで鬼ごっこに夢中になっているのでしょう。 春のしばふは出てきたばかりの芽のせいで、やたらにちくちくするけど、その感触が春の記憶になっている作者。ほら、後に鬼が!「きゃー」思わず歓声を上げちゃいそう。
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7まだ雪の立山窓から独りじめぷーうさん
 窓の中に雪の残る立山を独り占めしてしまうなんて・・・、なんてうらやましい。絶景ではないかもしれないけど最高のマイ景色。春ならではの立山、「まだ」が効いていると思います。
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14ハンガーの体操服もつかれてるぷーうさん
 部活の練習か、運動会の練習かな?ハンガーに掛けた誰かの体操服、風に揺れている、疲れているのは自分だけじゃないんだ、みんなも同じ。体操服に語らせているけど、みんなの疲れは、本番の成功に向けて、意気込みにつながるといいですね。
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17星座ばんしっぽをのばす大熊座 スライムもりもり
 春の星座から夏の星座へ、ゆっくりくるっと回してみると、しっぽをのばす大熊座が見えてくる。「星座盤」とした方がわかりやすいかもしれませんね。 今年は天文年。日食も見られる年です。実際の空もよく見て楽しみましょう。 そしてまた、俳句に詠んでみるといいですね。
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22おにごっこかみのけあせのにおいする子まり
 ぜんぶひらがなで書いてありますね、漢字がなくて涼しい感じがします。鬼ごっこはとにかく楽しい。思わず本気にさせられて、ついつい、汗だくになってしまう。あいつにだけは捕まりたくない、今度こそあの子を捕まえてやる、なんて言う気持ちも感じられて、暑い夏にも楽しく遊んでいる作者。いいですね。汗の始末はしっかりね。
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48金管と うぐいすはもる グラウンドハローキティ
「うぐいすはもる」は「うぐいすハモる」とした方がわかりやすくていいと思います。金管楽器はフルートでしょうか?「ハモる」鴬は、きっと、「まけるもんかと」張り合っているのかもしれません。それとも逆?鴬に負けないように音程を気にしながら金管を吹いているのは作者自身かしら? 鴬と仲良くハモっている金管バンド、きっとすばらしい演奏なんでしょうね。
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49消しゴムの においうれしい新学期 ドナルドマクドナルド
 新しい消しゴムのいいにおい、ついつい、鼻先に持っていって嗅いでみちゃう、その気持ちよくわかります。あまりにいいにおいだから、つい友だちにも「ほら、いいにおいだよ」と嗅がせてみたくなったりして・・・。新学期の友だちとのふれあいはまだまだ微妙な感じでスタートしたのかな?
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70風にゆられた桜かみのかざりになるぷーうさん
 桜の木の下で、友だちと新しい先生のことなんか噂しているのかな?風に揺れた桜の枝先の花が、髪の毛に近づいたら髪飾りのようでいい感じだったんですね。「桜かみのかざりになる」がすてきな発見です。
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71筆箱にえんぴつぎゅうぎゅう春の風中村郁海
  削り立ての鉛筆が、筆箱の中に揃っていないと気が気じゃないっていう子もいると思います。でも、とにかくたくさんの筆記用具をぎゅうぎゅうに詰めている子もいます。人それぞれですね。単に筆箱の様子ですが、そこに「春の風」としたことで、俳句として成立している感じがします。