講評
(小中学生の部)
お兄さんの講評です。 運動会があったり、釣りに行ったりして、春を楽しんでいるみたいです。そして本当に俳句を楽しく作っている様子が浮かんできます。中には季語(季節の言葉)が無い句もありましたが、季節が感じられましたので、それはよろしいでしょう。季語が無くても季節が感じられることを「季感」と言いますが、覚えておいてください。でも、あまり気にしないで何でも発見したら、五七五にまとめて楽しく作りましょう。「楽しい」それが一番大切なことだとお兄さんは思います。 作者が男の子か女の子か分かりませんから、君づけで呼びますね。できれば、俳号は個性的な自分だけのものを考えてみようよ。それもおもしろいよ。
句番号作品作者
24新しい釣りざおのばす 五月晴れ   きかんしゃトーマス
トーマス君は趣味が釣りなんですかね。新しい釣りざおを買ってもらってうれしかったのでしょう。海でしょうか、川でしょうか、さっそく出かけたようです。外は五月晴れ。そのうれしさが読者にも素直に伝わってきます。特に「のばす」が釣りざおを伸ばしただけでなく、トーマス君の天までのびていくようなうれしい気持ちが表現されています。
句番号作品作者
18ゆれどおし りんご園の白い花ミッキーメイ
この白い花はリンゴの花でいいのでしょうか。お兄さんはまだリンゴの花を見たことがありません。さぞかしかわいい花なんでしょうね。ミッキー君の句には、かわいいとか、きれいとかなんにも書かれていません。でも、この句を読むとお兄さんが感じたように、かわいい花なんだな、という想像をさせてくれます。風にふかれて、ゆらゆらゆれている様子、リンゴ園ですから見わたすかぎり白でいっぱいなんでしょう。その向こうに山がかすかに見えています。いい風景でしょ。言葉って人を感動させる力、風景を想像させる力を持っています。それを上手につかうと、ミッキー君のようなすばらしい俳句ができますよ。
句番号作品作者
40すぐ降りる 雨の桜の展望台クレヨンしんちゃん
クレヨン君の句もミッキー君の句と同じような事が言えますね。書かれた風景としては、桜を見る展望台に登ったんだけれど、雨が降って来ちゃったから降りなければならない、という感じです。でも、じっくり何度も声に出したり、目をつぶって口の中でもぐもぐ言っていると、いろんな事が浮かんできませんか。そこにいる人はどんな人、どんな表情、桜がかわいそう、かけ足で降りていく様子。きっと遠足の時のことかもね。そんな経験お兄さんもあります。情景が素直に描かれています。
句番号作品作者
2カモシカが来た朝の集いが始まった      それいけアンパンマン
楽しいね。朝の集会を始めようとしていたところに、カモシカが突然現れた。びっくりしたでしょうね。みんな逃げたのかな、それともおそるおそる近寄っていったのかな。そんな考えられないことも俳句の材料になりますね。そのびっくりが読む人の想像力をかき立てるんだな。びっくりの幅が大きいほど想像はどんどん広がっていくんでしょうね。それいけ君もびっくりしたのかな。心臓ドキドキだったかもしれないですね。そのドキドキを俳句にするんだよ。
句番号作品作者
12一本橋わたる若葉がザワザワとスパイダーマン2スパイダーマン3
スパイダーマンくんの俳句の良かったところは「ザワザワと」という音感かな。若葉だからザワザワなのかもしれないけれど、これから若葉が成長して感覚が込められていようで、いいと思います。また、「一本橋」の緊張感もありますね。
句番号作品作者
6大盛りにブロッコリーとカリフラワーフルーツりす
非常にサッパリとした感覚があって、こういう俳句もいいですね。ブロッコリーとカリフラワーが、サラダ皿に大盛りに盛られていた。それだけでね。ほかにはなんにも言わない。どういう風に鑑賞するかは読む人にお任せします。読む人との想像力の勝負です。で、お兄さんはブロッコリー少しにがてです。カリフラワーもどちらかと言えばにがてかな。フルーツくんもそうなのかもしれないな。まあ、いいか。好きな人は好きなように鑑賞しよう。嫌いな人は嫌いなように鑑賞しよう。どちらでもそんなことちっちゃいことだよ。
句番号作品作者
11セミ鳴いた ブランコのつなきれちゃった青いちご
ブランコのつなが切れて、けがしなかったのかな。青いちご君は大丈夫だったのかな。たまたまなんだろうけどね。ちょうどセミが鳴いていて、青いちご君はブランコをこいでいたのかな。「あっ!」と思った瞬間だったんだろう。そんな一瞬をとらえた、青いちご君の目はするどかった。セミが鳴くことと、ブランコの綱が切れることは、何のつながりも無いんだけど、何かその間にありそうな予感をさせますね。そこがおもしろいところ。俳句のびみょうなおもしろさだと思います。
句番号作品作者
16母さんがつりざおあげた針がない5たろう
ブランコのつなが切れて、けがしなかったのかな。青いちご君は大丈夫だったのかな。たまたまなんだろうけどね。ちょうどセミが鳴いていて、青いちご君はブランコをこいでいたのかな。「あっ!」と思った瞬間だったんだろう。そんな一瞬をとらえた、青いちご君の目はするどかった。セミが鳴くことと、ブランコの綱が切れることは、何のつながりも無いんだけど、何かその間にありそうな予感をさせますね。そこがおもしろいところ。俳句のびみょうなおもしろさだと思います。