講評
(小中学生の部)
句番号作品作者
1算数です 祭りの綿菓子思ってるどんべい
むずかしい算数の問題に必死に取り組んでいます。こんがらがってきた頭に、なぜかふとお祭りの時食べた綿菓子が浮かんできました。綿菓子の味やかたちを思い出しながら、少しリラックスする作者。算数と綿菓子の取り合わせが面白くて、実感があります。お兄さんの「銅」。
句番号作品作者
7セミの声 やっぱり計算苦手です山口瞳
これまた算数の勉強中です。この計算問題、どうしても解けない・・あせる気持ち。けたたましい蝉の声が、そんな作者をさらに追いつめているようです。さじを投げそうになる作者。ここはもうひと頑張り!
句番号作品作者
9筆箱に手紙一通 梅雨になる山下里奈
机に戻ると、筆箱に誰かからの手紙を見つけました。一体どんな内容の手紙だろう・・。作者のどきどきする気持ちと、「梅雨になる」という淡々としたフレーズとが味わい深い取り合わせです。お兄さんの「銀」。
句番号作品作者
13連絡網の相手がいない うるさいセミ柳瀬翔太
連絡網で大事な知らせが回ってきました。すぐに次の人に電話しましたが留守中です。どうしよう、早くみんなに知らせなきゃならないのに・・。困り果てる作者。こんな時は、蝉の声もいっそうやかましく聞こえてくるようです。心情がうまく出ている作品です。
句番号作品作者
38まだねばる 線香花火の赤い玉安田有佑実
落ちそうで落ちない線香花火の小さい火の玉。いつくしむように見守っている作者の姿が見えてきます。「まだねばる」が良いフレーズです。お兄さんの「銅」。
句番号作品作者
39梅雨続く 風船ブーッとふくらますラン
雨続きのうっとうしい毎日です。じめじめした感じをふきとばすように風船をぷーっとふくらませる作者。健やかで、ほほえましい一句です。
句番号作品作者
46宿題する 青い柿の実また落ちたラン
柿の実がまだ熟しきれないうちに、またひとつ地面に落ちてしまいました。よく熟した美味しい柿の実をどっさり食べたいのに・・。宿題をしながらも柿の実が気になってしかたない作者。その気持ちが伝わってきます。お兄さんの「銅」。