講評
(小中学生の部)
こんにちは、お兄さんです。ここのところめっきり暑くなってきました。もうすぐ待ちに待った夏休みですね。しっかりとパワフルな夏になりますように。野の朝日山の夕日を夏休 三橋敏雄 あと、今回選句をしたのはお兄さんとお姉さんだけでした。投句された方は、ぜひ選句のほう忘れぬようお願いします。また今回不必要な一字空けの句(「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」といったような)が多かったように思います。投句する皆さん、ぜひこの機会に不必要な一字空けは、俳句を読む時のジャマにしかならないことをわかってほしいと思います。
句番号作品作者
5藤咲いた 指に合わないことのつめ山下里奈
風にやわらかくそよぐ藤の花の感じと、「指に合わないことのつめ」のもどかしさが、つかずはなれずのいい関係を保っています。その「いい関係」が読者の心の中でじんわりと広がっていく・・俳句の面白さのひとつです。お兄さんの「銀」。
句番号作品作者
6春の朝 歴史の勉強始まった森本壮胤
小学校高学年の方でしょうか。いよいよ始まる歴史の勉強。「春の朝」にわくわく感とある種の神聖な心持ちとが見て取れます。お兄さんの「銅」。
句番号作品作者
8春の風 習字に点が足りません長谷川舞
春の風のおだやかさ明るさと、「習字に点が足りません」のユーモラスさとの配合、何とも楽しく決まりました。
句番号作品作者
10春風が強い先生の着任式どんべい
新しい先生が来られました。「春風が強い」が、新しい先生に対する期待と不安をうまくかもし出しています。どんな先生かな、こわいかな、やさしいかな・・みんな興味しんしんです。
句番号作品作者
17跳び箱が飛べない春の雨続く山口瞳
何回挑戦しても、うまく跳べない跳び箱。跳び箱のうえに乗っかったまま思わず泣きそうな気持ちになります。そんな作者をなぐさめるように春の雨音がやさしく流れてきます。さあ、もう一回挑戦です。
句番号作品作者
25かたつむりの乗ってる空き缶拾ったよ長谷川舞
思わず情景が浮かんできてお兄さんも何やら嬉しい気分になれました。ちょっとあわてたように動き出すかたつむりの姿も見えてきます。作者の楽しさがそのまま出ている作品です。
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26漢字練習 竹の風鈴音立てる安田有佑実
今回はいい作品が多かったです。この句も、漢字の書き取りをしている最中の心持ちが、竹の風鈴の音色の感じとうまく合わさっていて、思わずうならされました。くっきりとした実感があります。お兄さんの「銀」。