講評
(小中学生の部)
卒業シーズンですね。小学校、中学校を卒業してしまった方もいらっしゃるでしょうか。今回はたくさん応募があって、この調子で今後も俳句を楽しんでくれるといいなあと思っているお姉さんです。
句番号作品作者
6スキー場 背高のっぽの木が一本山下里奈
一面真っ白なスキー場で「目印はあそこ」。木が一本しかないのが、この一句を引き締めていて良いですね。
句番号作品作者
7黒板にうすい傷ある すき間風山下里奈
卒業のイメージがこの句にはあります。黒板につけた、もしくは懐かしく毎回見ていた傷が、「すき間風」という言葉でちょっとセンチメンタルな感覚で伝わってきます。
句番号作品作者
15負けた卓球 体育館が寒すぎる安田有佑実
負けちゃったんですね。「絶対に勝つぞ!」と張りきっていた試合に負けてしまうと、その場に独り取り残されて、体育館がやけにだだっ広い空間に思えてしまいます。作者の心境がわかります。
句番号作品作者
27足のうらひびわれ宿題進まないどんべい
アカギレ、ヒビワレ、いずれにしろ痛いです。お姉さんも冷え性なので、「なかなか進まない宿題」がよくわかります。
句番号作品作者
33ベーゴマが回った屋根の雪落ちた長谷川舞
お正月の一風景を切り取った一句です。良い句ですね。最近はベーゴマをするのもあまり見ませんし、あれ、結構難しいんです。やっと回ったベーゴマ、熱くなっている作者の熱気に屋根の雪が溶けたような感覚もします。
句番号作品作者
45ハイジがいそうな山のてっぺん 雪飛ばすラン
あの有名なアニメの主題歌の冒頭部分の映像ですね。「雪とばす」が勢いあって、元気で、とっても良かったです。
句番号作品作者
53宿題の腹がギュルッと鳴りました森本壮胤
「宿題が終わるまでご飯はあげませんからね」なんて、野比のび太君のお母さんの顔が思わず浮かんで楽しくなってしまいました。もしくは「ちびまる子」のお母さんかな、「サザエさん」かも・・・。
句番号作品作者
56遠い山ストック二本雪にさし林莉那
スキー場で、遠くに山をのぞみながら、ストックをさす、なんて、ちょっとキザかなーなんて思ったりもしましたが、景がよく見えて良い作品だと思いました。
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59声あげてグラウンドの氷割っている林莉那
校庭のすみに氷が張っていたのでしょう。その氷をみんなでキャーキャー騒ぎながら遊ぶ姿が目に浮かびました。楽しそうです。
句番号作品作者
62アノラツクのチヤック首まで母が呼ぶ川岸恵太
とっても寒い日の朝の風景でしょうか。「早くしなさい!」なんて、向こうからお母さんの声が飛んで来るのに、急いでアノラックのチャックを首元まで引き上げた動作が見えました。良い句です。