講評
(高校生の部)
句番号作品作者
3自販機のぜんざい熱し寒の星源のび太
確かに寒い夜道の自販機は救いの神に見えるよね。でもぜんざいやお汁粉、スープなんかを缶で飲むと後に空しさがのこるのはなぜだろう。そんな空しさを抱きながら見上げる寒の星・・・。
句番号作品作者
4短夜や無駄に茹でたるスパゲッティ 鎮伽[シズカ]
誰かに食べてもらいたくて茹でたのだろうね。その様が淋しそうでもなんとなくかわいらしくもあるね。おい!誰かさんよ。食べに行ってあげなよ。おなかも心もいっぱいだって。残念!
句番号作品作者
5一晩の雪や五円を握りしめ六雪花 
幼き日の追憶かな。五円という言葉になぜか不思議な神秘性を感じさせて面白い句だよね。
句番号作品作者
6雪つぶて恋泥棒に届かない源のび太
恋敵に向かって雪つぶてを投げつける。けれど一つも届かない。逆にその相手から投げつけられる大きなつぶては、心の中にも当たって・・。青春の挫折を感じさせる句だね。
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7CGの雪の画面や季節感 鎮伽[シズカ]
IT時代の季節感なんだよね。確かにCG場面にきれいな雪景色が映っているけれどなぜか空しさを感じるな。心に溶け込んでこないそんな批判句なのかもしれないね。
句番号作品作者
9微熱より恋の始まる冬帽子源のび太
とても惹かれる青春句だね。恋も微熱の頃がいちばん純粋なんだよね。その恋をあたたかく包む「冬帽子」という季語が効果的だよ。
句番号作品作者
12つもる雪私の想いも日々積もる百川蘭
積もった雪もやがて溶けて幸せな春が来るのを信じて・・・。それでもしばらくは根雪になって心の中に凍り付いてしまうのかな。それもまた青春かもしれないけど。
句番号作品作者
13寒風や飛んでまわって消え去って 鎮伽[シズカ]
リズム感のある句だね。「消え去って」の中には作者の願望もあるのかもしれない。寒風もまた作者の心の比喩ととってみたいね。
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17神様もお菓子作りか細雪(ささめゆき)六雪花 
確かにあの真っ白な雪は神様のくれたお菓子のようにおいしそうで事実幼い日に口に入れてみた「雪」は冷たくかすかに甘かったな。細雪よりもぼたん雪のほうがおいしいかもしれないね。とてもジュニアらしい句だと思うよ。