講評
(高校生の部)
東京の猛暑を逃れて北海道に行ってました。釧路湿原や知床の海を堪能して・・。その後現代俳句協会の「現代ジュニア俳句コンクール」などが重なり、講評が遅れてごめんなさい。五輪や甲子園などなど燃える夏が続いていますが、君たちの青春が弾ける俳句も待ってますよ。
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1夏色の夕日に照らされ貴方追う百川蘭
夏色の夕日という表現に若さを感じますね。ただ「貴方」は「あなた」のほうがいいのではないでしょうか。漢字よりもひらがなの与えるやわらかさを使ったほうが効果的な場合があるものです。
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2紫陽花の根っこの強さ私にも百川蘭
紫陽花の句はよくありますがその「根っこ」を歌った句はめずらしいですね。俳句は新しい視点を見つけることが大事ですからお手柄だったと思います。ただその強さ私にもと表現すると当たり前の説明になってしまいますね。「根っこ」への視点をもっと深めてほしかったかな。
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3今年こそ去年買った水着着る!!百川蘭
思わず微笑ましくなる句ですね。努力が実ってスリムのなったのでしょうね。よかった よかった!
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4鶏頭花祖母の家なる明かり取り六雪花 
気持ちはわかります。おばあちゃんの家の鶏頭花がとても印象的だったのでしょうね。それが明り取りになっているという発想にはやや無理があるように思いますが・・。
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5来春を思い見上げる二人葉桜百川蘭
この二人は受験生なのでしょうか。それとも恋人同士なのでしょうか。「二人葉桜」という結句の字余りにはかなり無理がありますね。
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6蝉の音の舟に乗りたり戌の刻(いぬのこく)六雪花 
実に面白い発想の句です。「蝉の音の舟」に乗ったらどんな気分なのでしょうか。しかし決して遠いところにはいけない舟で・・。戌の刻という結句がよりこの句に深い翳を与えています。
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7水中で今年もイルカになるつもり百川蘭
アテネではたくさんの日本のイルカが活躍してますね。句としては「イルカになるつもり」という発想はそう目新しいものではありません。おそらく類想句があると思います。
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8眼球の曇りて土曜の紫陽花六雪花 
やはりこの句では「土曜」でなければならないですね。そこを納得させる力をこの句はもっています。紫陽花は句心を刺激する花ですがなかなか味のある作品にはなりませんがこの句は成功してますね。