講評
(小中学生の部)
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
句番号作品作者
3泣き虫です ガラスにかいた女の子荻野泰葉
結露に絵を描いてみる遊びは、誰でも一度はする冬の窓ガラスでの遊びですね。そんな他愛ない学校の窓辺での風景を上手に切りとっています。
句番号作品作者
7老人宅訪問 ベゴニアの白渡す扇朱里
長閑なボランテイアの光景でしょう。でも、現代社会の抱える、老人介護の問題を色濃く写した一句なのかもしれません。私も身内の老人介護を既に何年も続けていますが、一口では言えない程の大変さがあります。「ベゴニアの白渡す」と、すっと無垢な感情で触れられて、私自身がホッとした一句です。お姉さん、金賞をあげたい。
句番号作品作者
10地ひびきを立てる雷 窓閉める寺本侑生
「窓閉める」の前に一字空いているのが、印象的。突然近くで雷が落ちると、ものすごい音と地響きがありますよね(・・・と、実際に神社のご神木に落雷したのを近くで経験したお姉さんは思う)。一瞬、ビックリしすぎて固まった後、急いで窓を閉めた作者の心象がよく分かります。
句番号作品作者
12収穫祭 田植えのせりふがうけている浜野総一郎
こんな感じの楽しい収穫祭を経験できるなんて羨ましいですね。どんな台詞だったのか、お姉さんも聞いてみたい一句です。
句番号作品作者
15係の人の話が長い リンゴ園山本克海
リンゴ狩りに行ったら、係の人の話なんかどうでもいいから、一刻も早くリンゴをもいでみたいですよね。作者の「はやく、はやく・・・」という一言が伝わる上手な一句です。
句番号作品作者
17遠足のバスです リンゴがにおってる杉本智
15番と同じ作者でしょうか、それとも同じ学校の同級生でしょうか。遠足の帰りのバスには、たくさんの思い出と、ちょっとはしゃぎ疲れたみんなと、リンゴのお土産が乗っているのでしょうね。これも上手な一句です。
句番号作品作者
22豪族の気分で秋の古墳に立つ森本恒
古い古墳や歴史のある場所に立つと、自分までなんだか大昔にタイムスリップしてしまったような幻想に遊べますね。修学旅行の一場面かもしれません。よく気持ちが出ています。
句番号作品作者
23電車待つ 海の向こうに町見える広瀬正人
プラットホームに立って見ている風景。町や海のきらめきが感じられます。「電車待つ海の向こうに見える町」と語順を変えてみると、もっと遥かな町への想いが出るのではないでしょうか。
句番号作品作者
27つりかわが揺れる 友の帽子に冬のハエ寺本侑生
惜しいな、と思いました。「吊り革揺れる帽子に冬のハエ揺れる」なんてどうでしょうか?友人の帽子だったかも知れませんが、冬のハエが一緒に電車に乗っている風景が滑稽です。
句番号作品作者
28糸通す なめてもかんでも通らない寺本侑生
実は、番外なんですけど・・・。初めての洋裁(家庭科の授業か?)の苛立ちがとっても面白く思い出せました。お姉さんも、とってもぶきっちょなんで、ボタン一つ付けるのもこんな感じです。ワカルナアー!