講評
(高校生の部)
 今月の句は出来ていますが手堅く危なげのないのが良いと思いましたがすこーし物足りない点もありますね。季語としての忌日ですが、取り合わせるとそれらしい句になり、生き生き感がどうしても薄くなり、収まりすぎますので感覚的な季語を配すると展開が変わるのではないでしょうか。
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2矮小なる大地背負いて天の川神尾しろねこ
中七の「大地背負いて」に発見がありとてもいいと思いますが上五が説明っぽい感じがします。まあまあ出来ている句ですね。
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3獺祭忌なんと頭蓋の丸きこと神尾しろねこ
子規というと横顔の写真がよく出ていますが、それから発想したのでしょうか。それを考慮に入れなくても中七下五がいいですね。きちんと出来ています。
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4十月のハンガーなべて左向きずんぞ〜
写生というより左向きに作者の特別の思い入れが有り秋真っ盛りの十月とぶつけるとそこに心情の傾きが感じられます。さらっとすくいながら心象が浮かびいい句ですね。
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6花木槿いつも南に海響く源のび太
中七がこの句の見所ですが海との照合で決まっています。優しい句ですがその甘さがいいですね。
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9ジージャンの母に生まれる秋の風源のび太
ジージャンの母というと若々しいお母さんを想像します。爽やかな風と母の対照がいいと思いました。
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10火星までいっしょに行こう蜘蛛の糸源のび太
火星まで行きたいという願望を蜘蛛の糸に託し気が利いているのですが気軽な感じに終わったような気がしますが。季語として蜘蛛の糸というと「遊糸」または「雪迎」があります。東北地方で雪の前、雪の積もった晴れの日に クモが腹部から糸を長く出し、風に乗って飛ぶ現象です。いつか使ってみて下さい。
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11爪切りに切れぬ恋あり椿の実ずんぞ〜
爪切りというと硬いものを切るのでがっちりしていますが、それでも切れないとは激しい恋ですね。堅い椿の実に苦しい恋を託して思い入れが過剰のように思います出来ています。
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13オジギソウニモキラワレテ神尾しろねこ
兎先生は自由律のよさがよく解りません、哀しい気分はでていますね。青空文庫に山頭火の代表句である「草木塔」がありますので覗いてみて下さい。http://www.aozora.gr.jp/