こんにちは。十月の出句は、前よりもちょっと少なくなったようですが、上手な作品ばかりが並んで、選句するのにとっても困りました。ひとつひとつていねいに作品を仕上げているみなさんの努力が見えて嬉しい句ばかりでした。 |
句番号 | 作品 | 作者 |
1 | 移動図書で借りる 長い本 薄い本 | 扇朱里 |
秋です、読書です。私の近所ではあまり見かけませんし、実は利用した事はないのですが、「移動図書」という独特の図書館スタイルをうまく使ったと思いました。「長い本 薄い本」と一字空けているのも、何冊かの本を借りていることや、作者の興味のある本がたくさんあることがなんとなく伝わり、いい感じだと思いました。 |
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句番号 | 作品 | 作者 |
2 | 消しゴムの休む間もない感想文 | 寺本侑生 |
感想文を書くのは好きですか?お姉さんは、国語の時間では感想文と作文の時間が一番好きでした。でもそれがキライという人も多いのではないでしょうか。悩みつつ感想文を書く光景が分かります。随分と書きなおして、考えている作者のよう。でも、書くことは楽しいことだとお姉さんは思います。頑張って! |
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句番号 | 作品 | 作者 |
3 | 水たまり わたしの足を引きつける | 荻野泰葉 |
私も水たまりがあると、今でもビチャビチャしてみたくなります。何ででしょうね、汚れたり、お母さんに叱られたりするのはわかっていることなのに、そこに「水たまり」があるからとしか言い様がないんです。この気持ち、「引きつける」で成功しましたね。 |
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句番号 | 作品 | 作者 |
4 | お兄ちゃんが三振 コスモスゆれている | 扇朱里 |
少年野球の観戦、ツーアウト、満塁、お兄ちゃん頑張れ!なんて時に限って三振して、折角のチャンスをふいにしてしまったお兄ちゃん。妹としては、ただただそっと、がっかりしているお兄ちゃんを見守っていることしか出来ません。コスモスが揺れているように・・・。ちょっと「巨人の星」のお姉さんみたいな気分? |
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句番号 | 作品 | 作者 |
6 | 金星が近づいたという 風鈴なる | 荻野泰葉 |
「金星が近づく」という今世紀の大きな天体のニュースと、「風鈴がなる」という自分のすぐ近くにあるものとは、随分とかけ離れているものです。どちらも何気なく捕えている作者の位置と、この二つのものの取り合わせには拍手です。お姉さんイチオシ! |
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句番号 | 作品 | 作者 |
15 | 運動会 アリの行列乱れてる | 寺本侑生 |
この光景は、もう運動会も後半のことのように思えます。「アリの行列整って」だったら午前中だったかもしれませんが、「乱れて」いるのですから、もう、疲れが少し・・・。ちょっとユーモラスな好い感じの一句でした。 |
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句番号 | 作品 | 作者 |
22 | 貯金箱のアイディア浮かんだ プールへ行く | 扇朱里 |
「貯金箱のアイデア」が何だかわかりません、でも、迷っていた問題が解決して、すっきりとした気分で「プールへ行く」作者。晴れ晴れとした気分に○。 |
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句番号 | 作品 | 作者 |
26 | 確かに網に入った魚 川光る | 寺本侑生 |
「確かに網に入った」と書いてはいますが、実は魚が捕れなかったんでしょう。(と、お姉さんは解釈しました)「川光る」が良い感覚で、その手応えの記憶を伝えていると思います。夏の思い出一場面ですね。 |
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