講評
(小中学生の部)
夏らしくない八月の後の九月は、連日残暑になってしまいましたね。皆さんの俳句も、回を重ねる毎に上達しているようで、読んでいて楽しみです。特に素直に自分を読んでいる作品に注目しました。
句番号作品作者
2最後のプール 水鉄砲を持っていく澤田あかり
気持ちがよくわかります。プールの授業もこれで来年までお休み。思いきり遊んでしまいましょう。
句番号作品作者
11扇風機ブオー 朝から寝ころんでる大石知美
誰ですか、暑いからって、こんなぐうたらな生活をしている人は!でも、あまりに暑くて、何もしたくない日もあるもんです。休日のお父さんみたいな背中が見えてきますね。
句番号作品作者
12フラミンゴ 左右どちらか迷ってる寺本侑生
動物園に行った日の記憶。きっとフラミンゴが一番印象に残ったのでしょう。また、今度はどの動物を見にゆこうかと迷っている作者そのものの様子も上手に表わされていますよね。
句番号作品作者
15自転車で涼しい風に向かってる宮沢知子
普通の発想であれば「風が向かって来る」のですが、この作者は、自分が風に向かって行くのです。自転車に乗った時に分かった、この発見がいいですね。
句番号作品作者
16校門の銅像眠そう 五時間目荻野泰葉
出ました!5時間目の授業が眠い、という句。こんな句は、実はいっぱい見てきましたが、この作者は、それを自分自身のことではなく、銅像に託していて成功しています。だって、普通、校門に立っている銅像はひげなんか生やして、とっても偉そうな雰囲気なんですもの。それが、あくびでもしそうな眠そうな顔だったら、笑えます。
句番号作品作者
23鈴虫を国際電話につなぎます宮沢知子
交際電話に何をつなぐか、それが「鈴虫」とは!この一句を目にして、なんとなくホッとさせられたのは、お姉さんだけではなかった筈だと思います。
句番号作品作者
27ぽりぽりとキュウリかんでる試合の日杉本智
このキュウリを噛む、「ぽりぽり」の音に、試合前の緊張感が出ていて、とっても上手だと思いました。緊張感と共に、心臓のドキドキも一緒に聞こえてきそうです。
句番号作品作者
37服ぬらす ドジョウが二ひきとれました扇朱里
田舎で遊んだ思い出のひとつかもしれませんね。きっと「とれたとれた!」なんて歓声も上がったことでしょう。嬉しい、楽しい様子が伝わって、素直な良い句だと思います。
句番号作品作者
40足音が近づいてくるきもだめし浜野総一郎
これは、驚かすお化け役の人の一句だと読みました。隠れていた場所から、「ワッ!」と飛び出す一瞬を狙っている作者の含み笑いが見えてきそうです。
句番号作品作者
44老人宅訪問 大きな声出して山本克海
こんな作品に出会うと、「今の日本も捨てたもんじゃないな」と思ってホッとします。私の曾おじいちゃんも、最後は耳が遠くて、大声で話していたっけ、なんて、思い出があります。自分のおじいちゃん・おばあちゃんばかりではなく、お年寄りには優しくしてあげて下さい。