講評
(高校生の部)
 今月は投句が少ないですね。しかし夏休みなので皆さんもあっちこっち行かれたことでしょう。その時、俳句手帳を持って行き、見たものをメモして来ると作句の時とても役にたちます。吟行は物との出会いですから、自分でも思いがけない句が作れることが多いのずお奨めします。
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3夾竹桃の咲く幾何学の美しき源のび太
夏いっぱい咲く夾竹桃と中七下五がよく合っていてこれは決まっていて難のない句です。夾竹桃「の」とゆっくり韻律を整えたのもいいと思いました。
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4クロールの指を洩れゆく陽の光ずんぞ〜
水の揺らめきが感じられる瑞々しい作品です。
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5蛍とは火垂るその火(ほ)を大切に源のび太
蛍のあえかな感じと自分の生き物への思いがマッチして「大切に」という言葉でうまく生かされました。柔らかな抒情の句ですね。
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6蝉しぐれ止みて火星の接近すずんぞ〜
火星が地球に6万年ぶりに大接近、その距離はおよそ5576万km。火星は赤く誰が見ても解る星です。その赤さゆえにに不吉な感じを受け「蝉しぐれ止みて」と感受したのでしょう。静かさのなかに緊密さを感じる句です。
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7火星暑し高校生の未来論源のび太
自然環境の破壊や先の見えない日本の不況に若い世代は不安を感じていると思います。赤い星の火星は夜空に殊に暑苦しいですね。この二物の組み合わせが上手く働いて未来論という観念的な言葉が浮かず収まりました。よく出来ている句です。