講評
(小中学生の部)
あまり夏らしくない今年の8月だったけれど、夏休みは楽しく過ごせたでしょうか?句の数も、どうやら夏休みだったみたいですよね。でも、上手な句が多くて、読んでいて楽しかったですよ。テーマはやっぱり「宿題」でしょう! 
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8母さんの化粧うながすセミの声荻野泰葉
暑いと、化粧する気もなくなりそうですよね。蝉の声にやっと化粧しようかと思ったのか、外出したくないけれど、外出するために化粧しようと思ったのか、どっちにしても、「化粧うながす」がうまいと思いました。
句番号作品作者
11プールへ行く 宿題はまだかばんの中荻野泰葉
夏休みに宿題なんか、なんで出るんでしょうね。夏休みは遊ぶ為にあるのだ!と、私は小学生の時代に思っていたので、宿題はいっつもおばあちゃんの田舎から帰ってから、家族に手伝ってもらっていました。元気に遊んじゃってもいいんじゃない?
句番号作品作者
15セミがうるさい 宿題の目がそれちゃうよ森本恒
さて、これも宿題の一句。夏休みと宿題は付き物ですが、この作者は、それでも真面目にしようと努力している。宿題しようとしているのに、「蝉がうるさい」んです。これもよく使った言い訳。作者の姿が手に取るようにわかります。
句番号作品作者
18雲が速いと計算ドリルを開いてる寺本侑生
計算ドリルを開いてみても、時間ばかりが過ぎてしまって、なかなかドリルが終わらない。「雲が速い」に、そんなイライラがよく出ていますよね。本当に上手だと思いました。
句番号作品作者
19「ただいま」と ふいても汗がにじみ出る広瀬正人
思いきり遊んで帰宅。玄関で靴を脱ぎ捨て、手も洗わずに冷蔵庫へ直行!冷たい飲み物をゴクリと飲んで、タオルで汗をぬぐう。でも汗なんかちっともひいてくれません。これも真っ黒な顔の元気な作者が見えてきて好きです。
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22引っ越して花火の音だけ聞こえます増田ちほ
夏休みの間に、ちょと悲しい引越しをしたんでしょうね。友達といつも見ていた花火大会も、今年は音だけ。でも、引っ越した距離は花火の音が聞こえるくらいだら、そんなに遠くじゃないんでしょうね。それとも、広い場所からマンションの並ぶ場所に引っ越したのでしょうか?どちらにとって読んでも、心象がわかる一句。
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26思いっきりボールけったらいわし雲増田ちほ
夏やすみも、もう終わりです。最後に蹴っ飛ばしたボールの向こうにはいわし雲が秋の訪れを教えてくれています。夏の思い出はどうだったのでしょう。「思いっきり」と最初から言いきったのが、爽やかでいいですね。