講評
(小中学生の部)
こんにちわ、毎回、楽しみに皆さんの俳句を拝見しています。六月の作品を見渡して、お姉さんのちょっと気になる感想としては、同じテーマをずっと追って作品を書いている人がいますよね。何となく、別のテーマではイケナイのかなァ、と考えてしまいます。熱心な一方、他人の句の選もしっかりとして欲しいなァと思います。よろしく!
句番号作品作者
10かつぎ直す太鼓 ツバメは低く飛ぶ寺本侑生
鼓笛隊の練習でしょうね。重たい太鼓をかつぎ治して、ふと空を見上げたら,ツバメが低く飛んでいた、という景。きっと曇り空。(ツバメが低く飛ぶ時は、雲って、雨が降りそうな時なんです)疲れた吐息までも聞こえてきそうな一句ですね。
句番号作品作者
19踊りで疲れる 声で疲れる ソーラン節森本恒
目に見えるような光景です。ソーラン節の勢いや、熱気、賑やかな音が聞こえてきます。声を出して、踊って、疲れきってしまうお祭りの一日。素直ないい一句だと思いました。
句番号作品作者
29竹の子ごはん 宿題が多すぎる山本克海
宿題って、何時になってもイヤなものです。お姉さんも、しょっちゅう色々な宿題に泣かされています。取り合わせとしての「竹の子ごはん」ですが、ただの白いご飯ではない、具が(多分竹の子だけではなく、いろいろな物が入っているのでしょう)たくさん入っているから、宿題の複雑さ、面倒な様が想像できて、面白い一句になりました。
句番号作品作者
40開会式が長い 指をぶらぶらする森本恒
これは誰でも経験する事でしょう。共感を持ちました。「校長先生!、話はいいから、早く始めようよ!PTAの祝辞だってまだあるんだからさァ!」なんて、文句をいいたくなるような、それでいて、仕方が無いような。『指をぶらぶらする』がそれを申し分なく語っていて面白い表現だと思いました。
句番号作品作者
41大あくび 五月人形笑ってる荻野泰葉
五月人形に笑われるほどの大あくび。でも、お節句を祝う親や祖父母は真剣で、嬉しくて・・・・。確かに祝われる当人にとっては、あくびの出てしまう一日なんでしょうね。
句番号作品作者
47梅雨になる 跳び箱五段とべました広瀬正人
梅雨になると、そろそろ学校も一学期の終盤ですね。4段しか跳べなかった跳び箱が、そんな中で跳び越せたのです。何となく、「間に合ったー!」なんて心情が伝わってきそうな作品です。
句番号作品作者
50鼓笛隊の足がばらばら 暑くなる扇朱里
夏の暑さを感じるこの頃です。それもまだまだ鬱陶しい梅雨の暑さを引きずって・・・・。鼓笛隊の練習をしていても、バテてしまいますよね。そんな実感がよく出ている作品だと思います。「足がばらばら」にもう、暑さに疲れてしまったみんなの情景が解かります。
句番号作品作者
55友との約束 桜の下に忘れてくる森本恒
「桜」は、本当にいろいろな意味を持った花だと思います。季節の変わり目だけではなく、卒業や入学によっての別れも出会いも、日本人にはどうしても「桜」を介在させて意識せざるを得ない、象徴的な花ですよね。お姉さんは、ここに「桜」を持ってこられたら、個人的にも、もう弱い!友達との約束は「忘れた」のではなく、果たせないから「埋めて」きた、と感じてしまいました。
句番号作品作者
62一年生の体育見てる 草むしり渡辺雄太
「ああ、去年は(何年か前は)私も1年坊主だったなあ」なんて感慨を感じつつ、校庭の草むしりをしている高学年のちょっとした仕種。ぎこちない一年生を可愛いと思いつつ、「あたし達が草むしりしているのに、あんた達一年生は楽しく体育なのね」なんて、ちょっとしたやっかみも伝わってきます。実感もあり、微笑ましい一句でした。
句番号作品作者
65ブランコがゆれてる 書写はうでがつかれます渡辺雄太
ブランコの揺れの反復作用と、書写という反復練習をきちんと対比させて読んだ一句だと思いました。ただ、惜しいことにはちょっと言葉が多い。「ブランコの揺れ書写の腕は疲れている」くらいに留めておいてはどうだろうか。ちなみに、「ブランコ(「ふらここ」とも言う)」は、春の季語だから、この場合、季語としての作用も効いていると思いました。