講評
(小中学生の部)
 2月に入り、寒さも少し緩んできたような気がしています。
 最近、水仙を水彩で描きました。近くでよく見て、自分で赤、青、黄、白の4色から色を作り出して描きました。色で描いていくので真剣です。こんなによく水仙を見たことはありませんでした。葉の伸び方、重なり、花びらの作り花の向きなど、気づくことがたくさんありました。歳時記の中にぴったりの水仙の俳句がありました。紹介します。
   
  一茎の水仙花の相背く 大橋 越央子

 春まであと少し、進級までの時間を充実させられるといいですね。
 では、1月の句の感想です。


句番号作品作者
14「宿題は」「宿題は」 と母お正月ばんしょう
 お母さんの声が聞こえてきそうです、心配しているお母さんと言われている作者の顔まで見えてきそうです。声に出して言った言葉なので「 」をつけたのも面白いところでした。声をかけられて宿題はきちんと済ませられたのかな。お母さんのお正月の心配事を、少し減らしてあげられていると思いたいです。

句番号作品作者
15カウントダウン 新年へのジャンプの構えうてな
 大晦日の晩の零時を待っているカウントダウン。こんな時間まで起きていていいのも大晦日ならではです。作者の新年を迎えるにあたっての希望とかワクワクした感じが、「ジャンプの構え」の中にいっぱい詰まっているんだと思いました。きっと大きなジャンプにつながることと思います。2013年のがんばりにつなげてください、俳句でも。

句番号作品作者
18声に出す 風にも負けず 雪の朝若林祐二
 雪の朝、風にも負けず、何と言ったのでしょう。朝の挨拶でしょうか。何かの試合の前の、気合いでしょうか。
 読み方を変えると、雪の朝、「雨ニモマケズ‥」と、宮澤賢治の詩を朗読している声がする、という情景ともとれます。賢治の作品を読み、人を知り、その上でまた詩を読む‥。繰り返し読んでいく中で、初めて読んだ時の感じとは違うものを感じたり、声に出して読むことが、詩の意味をさらに理解させてくれることもあります。作者の中でこの詩がこの日の雪の朝に何かを感じさせてくれた‥そのようにも読みました。

句番号作品作者
31幸せの 冬のにじ見て さようなら笑顔りんご
 この句では「幸せの冬のにじ」という言葉が気にかかりました。虹を見た時に不思議に思ったり、きれいだなあと思ったりしたことはあります。こんな虹を見ることができてラッキー!だなと思う気持ちを「幸せの」といったのだろうと思いました。帰り道の空に虹がかかったのでしょう。虹は古くは生き物だと思われていたと聞いたことがあります。

句番号作品作者
54ラーメンの 湯気に顔入れ おるすばんキティーちゃん23
 お留守番を言いつかって、一人の時間。本を読んだり、ゲームをしたり、宿題をしたり、お腹もすいてきたり・・。この句では「湯気(の中)に顔を入れ」ていると表現したと ころが面白いと思いました。ラーメンを食べている様子がありありと浮かんできました。寒い部屋なのでなおのこと湯気が白くはっきり見えて、フーフーと息を吹きかけながら、湯気の中に顔を突っ込んでいる様子をちょっとユーモラスに俳句にしました。