講評
(小中学生の部)
今回は部長の大畑さんの講評です。
句番号作品作者
29階段を上がる音聞くひなたぼっこエース
「ひなたぼっこ」をしているとき、おうちの中から階段を上がる音が聞こえてきました。家族ですから、その音がだれの音かわかりますね。ああ、お母さんが階段を上がっている。ああ今度は弟だ。暖かい家庭が見えてきます。「ひなたぼっこ」も暖かい、そしてこの句も暖かいですね。
句番号作品作者
32ひまわりの見ている太陽 低くなる四つ葉のクローバー
つぼみをつけるまでの若い「ひまわり」は太陽の方を向くようです。この「ひまわり」は大きな花の「ひまわり」なのでしょう。「ひまわり」が太陽を見ていると書いていますが、本当にそのように感じますね。その太陽も午後四時ごろには、低くなります。ちょうど「ひまわり」と同じ高さなのでしょう。大きな自然が身近に感じるような俳句ですね。
句番号作品作者
1秋風が 背中押してる鼓笛隊      キャプテン
この秋風はさわやかで気持ち良い。その秋風にのって「鼓笛隊」はずんずん進みます。楽しくて力強い「鼓笛隊」の音が聞こえてくるようです。
句番号作品作者
5虫の声 シャーペンのしん 取り替えるダブラコブラ
この虫の声はにぎやかな声ではなく、静かな声なのですが、はっきり聞こえてくる声なのでしょう。細くてかたい「シャーペンのしん」を取り替えるときの緊張感に似ているのでしょうね。
句番号作品作者
26秋の風 ししのかしらにかんでもらう彩加
秋祭の獅子舞のことなのでしょうね。元気に育つように赤ちゃんが「ししのかしら」にかんでもらうのをテレビで見ます。赤ちゃんの泣き声と大人の笑い声、この句の時もにぎやかだったのでしょうね。
句番号作品作者
22特等席は帽子のつばね赤とんぼ吉田みわ
赤とんぼは帽子のブローチのように見えたのかな。この帽子が気に入ったのでしょう。「特等席なんだね」、と感じたことを俳句にしました。
句番号作品作者
37スズムシの 演奏会は七時からうてな
庭のスズムシはいつも七時ごろかな鳴き出すのでしょう。そのことを「演奏会」と書いたのは素敵ですね。もうそろそろ始まるよ、と待っている様子が伝わります。
句番号作品作者
10秋の風 すぐにノートをめくりたがる東和哉
窓の近くに置いたノート、秋の風がパラパラめくっては、もとに戻る。そしてまた秋の風がめくる。そんな様子がこの句から伝わってきます。