講評
(小中学生の部)
 9月に入ってもなかなか終わらない暑さが続きましたね。やっと涼しくなりました。台風が近づくこの頃、雨も多いです。さて今月もたくさんの投句がありました。10月は秋たけなわとなります。秋のいい日を過ごしてください。

句番号作品作者
10両親をひとりじめしている 夏祭りニコニコスマイル♪
 兄弟が何人かいると、なかなか両親と自分だけで、という時間は少ないものです。夏祭りのひととき、両親を独り占めしている作者の嬉しさがほのぼのと伝わってきます。きっと、満足したのでしょう。笑顔が目に浮かびます。

句番号作品作者
16地引きあみカモメが魚をくわえてくうてな
 人間も鳥も「魚をとる」、食べるものを確保するということはどんな生き物でも同じく、生きていくためにすることですね。この句は、人間が一生懸命引いた網の中からかもめがヒョイと魚をくわえて行ってしまう光景を詠んだものですね、面白いと思いました。

句番号作品作者
36セミのからびっしり妹の宝箱うてな
 平安時代の堤中納言物語に出てくる、「虫愛づる姫君」(むしめづるひめぎみ・毛虫を愛する風変わりな姫君の物語)を思い出しました。妹は虫が大好きなんでしょう。確かに、セミの抜け殻は生きている幼虫の姿そのままです。箱を大事そうに抱えている姿が浮かんできました。そんな妹を見守っている優しさも感じ取れる一句。

句番号作品作者
43ホウセンカプチプチはじける お留守番彩加
 留守番している時はさみしいし、ちょっと不安だけど一人の時間の楽しさもあって、好きなことをして自由に過ごしていることが多いと思います。そんな時、鳳仙花に気づいたのかな?指でふれて次々はじけさせて、さみしさもすこし紛れたのではないでしょうか?「ホウセンカプチプチはじける」と「お留守番」の取合せが楽しくて面白いなと思いました。

句番号作品作者
46秋の朝 服のボタンが取れている彩加
 着ようと思った服にボタンがひとつなくなっていた、何気ないことだと思います。その何気なさに惹かれました。秋の朝ということで、久しぶりに手を通した長袖の服だったのではないかな?ちょっと風が涼しくてボタンを締めようとして気づいたのかな?どうしてとれたのかな?などいろいろ想像しました。