講評
(小中学生の部)
今月は投句も選句もたくさんあって、嬉しく思っています。進級したうれしさやドキドキしている気もちを素直に詠んでくれたんですね。6月もまたお待ちしています。
では、感想です。

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1花祭り 友とおそろいの 指輪買うキティーちゃん23
花祭りは4月8日、お釈迦様の生まれた日。花祭りの日にお揃いの指輪を買った、ただそれだけの様子を詠んでいるのに、「花祭り」という季語と「指輪」というのがなぜかぴたっと合っています。たぶんこれは女の子同士のことでしょう。女の子同士の友情って、こういうことしたくなりますね。
「友とそろいの」として七音にするとぐっと大人っぽくなってしまいます。ここはこのまま「友とおそろいの」がいいですね。

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2靴の名前は小さく書いて六年生加埜智也
六年生に進級して、新しい靴を履いていく前の日。今までのように大きく書くのはもう恥ずかしい、3月までの五年生の時と変わりはない自分なのに、心の中にはそんな微妙な変化があることに気づいたんですね。
靴に名前を書くという、ありふれて些細なことを、こんな風に俳句にできる‥すばらしいですね。どうぞもっともっと俳句を楽しんでください。

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3国語辞典の 「進級」を読む 春の風エース
国語の授業で辞典を開いて、あらためて「進級」の意味を見た時、春の風が吹いた。風がまるで国語辞典を読んでいるようにページをめくっていく。その時、「進級したんだなあ」とじわじわ実感がわいてきたでしょうか。
「 」をつかったことで、際立った感じがプラスされました。

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18春の空ライトへとんでいくボールしのはらたくみ
柔らかい春の空が見えてくるようです。春の空の色には、桜の花が咲く前でも、淡いピンク色がほんの少し溶け込んでいるような気がします。
少し離れていても野球場の声は聞こえてきますね。かけ声や応援の声が聞こえてくるのは、やはり柔らかいあの春の空だからなんだ‥きっとそうです。
作者が野球をしてライトへ打ったことを詠んだともとれますが、読み手の中にある春の空のイメージが膨らんでいく句です。

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19日曜日桜が見守る参観日川堰太陽
参観日って、ちょっと特別な感じで緊張するものですね。お姉さんもそうです。いつも通りに先生と話してもいいはずなのに、いつもはいないうちの人たちがいるだけで何となく落ち着かなくなります。でもこの句のように桜に見守られているなら、落ち着いていつも通りにやれそう。
日曜日と参観日と桜、そこに「見守る」と入れたら俳句になってできてしまった、俳句って本当におもしろいものです。