講評
(小中学生の部)
 たくさんの投句がありました。お姉さんとしてもやる気が出てきます。暑さに負けずがんばりましょう。楽しい夏休みを過ごせるといいですね。
 先月の感想の中で、「虫や動物の声を歌のように感じるのは日本人独特」と書いたのですが、よく考えると、「七つの子」以外には鳴き声を意味のある言葉にして歌にしているのは見当たらないようです。擬音語とか聞きなしではなく「かあ、かあ」を「かわいい、かわいい」と感じて詩にしたのは作詞家野口雨情の独特なものなのだろうと思います。
 では、今月の感想です。

句番号作品作者
4でかい虫 ありの行列つづいてる柳田花江
 作者は生き物を見るのが好きなのでしょうか?
 蟻が運んでいる大きな虫。大きな虫はすぐに見えるので、はじめは蟻が運んでいると気づかなかったりしますよね。大きな虫が運ばれていく、そこに蟻の行列が「続いている」と詠んだところが広がりを感じさせます。夏の盛り、蟻は本当に活発に動きますね。これからも生き物を見つめて、俳句でその時の驚きや発見をどんどん詠んでください。
句番号作品作者
12つゆですかちょっときどってびようしつたっけーこうのすけ
 これは、ユーモアがあっていいなあと思いました。「つゆですか」というのもなかなかおもしろいと思いました。梅雨だから、うだうだしてないで「ちょっと気取って」行った美容室、いつもの床屋さんとはちょっと違った自分に出会えましたか?作者の気持ちのちょっとした動きがうまく俳句にしてあると思います。
句番号作品作者
14かたつむりぬれたはっぱをつなわたり清水あおい
 生き物の様子をよく見ている作者の視線を感じます。「ぬれた」葉っぱなんですね、つなわたりしているようで、落ちちゃうんじゃないかと作者ははらはらしているのでしょうか?うまくわたるなと感心しているのでしょうか?
 このままでもとてもいいと思うのですが、見ていたときの作者の気持ちはどんなものだったのか読み手に少し伝わるような言葉があるとさらにいいのではないかと思いました。
句番号作品作者
25本だなを整理 スイカの種がでるえばこう
 この句は、読んだときおもわず「くすっ」と笑ってしまいました。
 思いがけず出てきたスイカの種、本を読んでいたときにスイカを食べていたのかな?いやいや、ぷっと吹き飛ばした種がのっかっていたのかな?などと想像するのも楽しかったです。きっと作者にはいつ食べたスイカなのかわかっていて、その時のことを思い出しているのでしょう。
 短い言葉でいろいろな情報や気持ちを伝えられる、そこに俳句のおもしろさがありますね。
句番号作品作者
35気を付けの 形で泳ぐ 熱帯魚♪こ〜やん♪
 今回投句された句の中には、生き物の句が多かったです。
 この句の作者は熱帯魚が気をつけをして泳いでいると表現したその感じかたがおもしろいと思いました。「気をつけの形」というと、かかとをそろえて、手を足のももにぴたっとつけて、顎をひいて……そんな姿勢で泳いでいる熱帯魚?
 作者の発見したことをそのままを素直に読んでいる句なのだろうと思いました。
 今度チャンスがあったら、熱帯魚をよく見てみようかな?