講評
(小中学生の部)
真夏と秋がやっとバトンタッチしてくれて、涼しくなりました。
ハローキティーさん、今月も選句をしっかりしてくれてありがとうございます。
10月はもう少し多くのみなさんの投句や選句があることを願っています。

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3牧歌の里の羊よく鳴く よく食べるスティッチ2
 羊がいる風景、広い草原にゆったりとした時間が流れていくのでしょう。
 鳴き声がたくさんすると言う意味の「よく鳴く」だけでなく、鳴き声がいいなあと思う気持ちが込められているようです。その鳴き声を聞きながら、羊の口元にふと目をやると、静かにしきりに動いているのです。羊が草を食べることがずっと続いていくように、羊たちの生の営みが今までもこれからも同じように続いていく。それは、人間の生の営みをも支えているのですよね。「牧歌の里」に流れる普遍的な時間を感じました。
 そして、声に出して読んでみるとわかると思うのですが、「七・七・五」が心地よいリズムになるのは、「の」や「く」の音の繰り返しがあるせいではないかと思いました。
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4下書きの絵から出てくるかき氷ドナルドダック1
 下書きが終わって色を塗っていると、消したはずのかき氷が浮き上がってきたりする‥すると、なんだか絵が二重になっておもしろい構図になっていたりする。実際に絵を描いていた時に起こったことなのかもしれません。
 「下書きの絵から出てくる」ものが「かき氷」で、しっかり俳句になりました。
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6自由研究マジックにじむ夏の夜中村郁海
 夏の夜に自由研究を仕上げようと眠い目をこすりこすり書いていたんですね。
 ちょっと手がとまっていたら「マジックにじむ」ことに。自由研究と言う文字がにじんでいくような夏の夜、暑さのせいでいっそう「にじむ」が聞いている今年の夏らしい句なのではないかと思いました。