講評
(小中学生の部)
今年は九月に入ってもちっとも秋らしくもならず、残暑が猛暑になっています。
皆さん、夏休みは元気に過ごしていましたか?
暑さにも負けずに投句がありました。
9月にはいって、少しずつ涼しくなることを願いつつ・・。
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2ホットケーキの匂い 始めたばかりの宿題止めるドナルドダック1
 家族の誰かが「やっとやる気になって宿題を始めたみたい、よし、おいしいホットケーキでも焼いといてあげよう。」と焼き始めたホットケーキ。いい匂いは隠せません、やる気は一瞬にしてホットケーキの匂いに負けてしまいました。でも、きっとおいしいホットケーキのおかげで、その後あっという間に宿題が片付いたことだろうと、お姉さんは勝手に思っています。
 五・七・五ではないし、少し詩のようですが、「匂い」「止める」という言い方が俳句らしさを保っていると思いました。作者は思い切ってわざとそうしてみたのかもしれませんね。
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4風鈴の音せみの鳴き声混ざってるドナルドダック1
 風鈴と蝉の声が重なり合っているという状況はよく分かりますが、両方とも夏の季語ですね。俳句の約束ごととしては、【季重なり(きがさなり)】といって、季語が1句のうちに二つ以上含まれるのは好ましくないこととされます。でも、二つをあわせることで今年の夏のものすごい暑さのことを詠もうとしているのではないかと思いました。風鈴も蝉の声も主張し合って、かえって不協和音になっているような感じですよね。
 「混ざっている」ということを別のことばや表現であらわすとどうかな?と思いました。
 夕暮れに暑さが薄れて少しだけひんやりしたあの感じを忘れてしまいそうな今年の夏でした。
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5パソコンのマウス 扇風機ですずんでるハローキティ
 パソコンのマウスが涼んでいるというのはなかなかいい目の付け所ですね。パソコンの熱もうっとうしいくらいの夏でしたから。投句をするのにパソコンを開いてマウスでクリックしながらの発見だったのですね。暑い中、マウスも大活躍、作者も俳句をがんばっていたんですね。
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6茶色いカエルのホップステップ下校道ミッキーTJ
 なんだかこの「茶色いカエル」がとってもかわいく思えてくる俳句でした。「ホップステップ」しているカエル。最後の「ジャーンプ」で、果たして何処へ着地したのかな?ちゃんとすみかに帰れたかな。作者が小さな生き物を優しい気持で観ているんだと思いました。 「下校道」がとても生きています。生き生きとした俳句でいいと思います。
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7ポスター描く 入道雲が流れてきたハローキティ
 夏休みの宿題でしょうか?きっと大きめの画用紙にポスターを描いていたのでしょう。この句を読んで、空にもくもくと広がってくる入道雲が頭に浮かんできました。でも、ただそれだけの情景ではなく、ポスターの中にまで入道雲が流れ込んできたような想像が広がって面白かったです。 ポスターにもしも入道雲が描かれていたとしたらと思うと、もっと楽しいです。いいポスターになりましたか?



選には入りませんでしたが、一言感想を。
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1ドリルは終わらない 切ったスイカを食べるハローキティ
 なかなか終わらないドリル、スイカを食べてから、がんばるぞという気持ちなんだとおもいます。俳句にするには少し面白くするのも工夫の一つです。いらいらを吹き飛ばす感じを「切ったスイカの種とばす」ということばを使ってみたり。そんな行儀の悪い・・・と思われちゃうかな?そんなことしないかな?でも、ほんの少しの脚色はあり。ドリルをほうりだしたくなる気持ちは押さえてスイカの種でもとばしちゃいましょう。
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3霧に包まれた立山 アイスを食べるハローキティ
 今回は食べ物の句が多かったようです。この句はアイス。
 作者の住んでいるところからは立山が見えるんですね。というか、もしかして立山に行った時のことなのでしょうか?「霧に包まれた」立山とアイス。この二つの関連が少しわかりにくい感じがしました。立山を見ながらアイスを食べているのだったら、「冷凍庫から霧の立山取り出して・・・・」なんて面白いなあと思ってみたりしていました。