講評
(小中学生の部)
 4月、進級、新学期・・・、ジュニアネット句会も春を迎えて気分を新たにますます楽しくなるようお姉さんも張り切っています。みなさん、よろしくおねがいします。
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1大あくびとなりの友も大あくびミッキーTJ
 「あくびはうつる」とか言われています。本当にうつるわけではなく、同じ場所で同じような話を聞いてたり、同じ状況や条件で過ごしたりしているので、同じ人間の体の反応として、ついあくびが・・・、と見ると近くの誰かも。ということはよくありますね。
 この俳句はその状況をよく表しているところがよかったです。
 俳句にはこういうおもしろさがあります。共感できる愉快さ加減、笑いのツボというか、全く離れたところにいても、年齢も性別も違っても同じようにくすっと笑えるようなおもしろさを感じ合えるところが楽しいですよね。
 きっと、この二人顔を見合わせて肩をすくめて目で笑い合ってたのではないかな?
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2男子にはあげないバレンタインのチョコつくる中村郁海
 なんだかちょっと首をひねりました、というのは、バレンタインデーのチョコは基本、男子に渡すんではないのかな?と思ったので。でも作者は「男子にはあげない」バレンタインのチョコを作っているとあえて詠んでいるわけです。では、きっと「女子にあげるチョコ」「先輩(女子の)にあげるチョコ」「家族にあげるチョコ」・・・、それ以外かも。
 一時「義理チョコ」なんて言葉もはやっていました。でも、今の小・中学生は、そんなことよりチョコづくり自体を楽しんだり、友だちとの友情確認だったり、日ごろの感謝の気持ちを伝えたり等々、楽しみ方も様々にが変わってきているんですね。 チョコゆえにちょこっとひねってあったのかな、と思いました。
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4おひな様になった気分でひなの前ドナルドダック1
 お雛様を飾って、その段飾りの前で記念写真。写真には、お雛様になったような気分で座っている自分、いつものおしゃべりな活発な面ではなく、物静かな表情でうつっているのではないでしょうか。または、少し大人びて見えたりするのではないでしょうか。雛の前にはそんな不思議な空気感があると思います。
 雛の前にいる「去年の自分」と「今年の自分」を比べてみているような気持ちを「おひな様になったような気分」としているのではないかと思いました。もしそうなら、具体的にこうしたらとは言えないのですが、「おひな様」「ひなの前」と「ひな」が重なるので、「おひな様になった気分」を何か別のものになったことで言い表せたらどうかな?と考えていました。俳句もちょっぴり大人びてくるかもしれません。あるいは、「ひなの前」を「段の前」にするだけでも少し感じが変わってくるかもしれません。
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6髪の毛しばる寒さに負けないよ中村郁海
 「髪の毛をしばる」動作を「髪を結う」「髪を結ぶ」なんて言い方をすることもありますね。 髪をしっかりと結ぶことには「よしやるぞ」という意気込みを感じました。寒さに負けないでがんばっていることがこの作者にはあるんですね。
 この冬のがんばりが春の成長につながっているはずです。「負けてたまるか」という気持ちを少し思い出しました。人と比較したり、「勝ち組」「負け組」なんて言い方をすることが多いこのごろですが自分との競争こそが「がんばり」だと。とともにがんばっている作者にエールをおくりたい気持ちになりました。



その他の句に一言感想です。
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3おっぱいもみもみかわいいな理沙本
 きっと赤ちゃんがおかあさんのおっぱいをのんでいる様子なんだと思います。
 何か春らしい季語と合わせてみたらどうでしょうか?
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5パンケーキの湯気がポカポカトンボ来るハゲール
 おいしそうなパンケーキのにおいにさそわれてきたのは「とんぼ」でしたか。
 春に合うような生きものだとどうでしょうか?
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7雪ふって足元がスケートリンク場中村郁海
 前日に降った雪が翌日は解けて凍ってスケートリンクになったと言うことですね。
 よくわかります。氷上の貴公子が目に浮かびました。
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8リコーダー仲間と思っているウグイスドナルドダック1
 ウグイスに仲間と思われるリコーダーの音色。
 ハモッたり、輪唱になったりしたら楽しそうですね。