講評
(小中学生の部)
 10月になりました。すっかり秋らしくなりました。みなさん、元気に過ごしていますか?
 俳句は、選ぶのも楽しいものです。投句がたくさんあって、みんな頑張っているなあとうれしく思いました。結果発表を見ると、選句をしている人が少ないので、ちょっとがっかりしました。詠んだ人の気持ちやその時の様子などを想像しながら、句をいろいろと読み取ってみると自分だったらこんな風に読んでみるかも…、この人いいところに目をつけているなあ、と考えることで次の自分の俳句につながっていくと思います。
 ぜひ、投句したら選句するようにしてみませんか?また別の楽しさが増えます。
 投句、選句の締め切りがあるので、気を付けてください。
句番号作品作者
9鼓笛隊のベルリラ 虹を向いてたたくドナルドダック
 鼓笛隊のベルリラの形を思い出してみました。お姉さんの知っているベルリラは、腰ベルトに支柱を差しこみ、片手で支えながら演奏するものでした。自ずと顔をあげて弾くことになります。その時の目線の先に虹が…。
 虹は本当に見えたのだと思います。見えそうな気がします。
句番号作品作者
16木の枝のトンボも日食見てるらしい子まり
 お姉さんも日食を心待ちにしていました。雲の多い日で「どうかな?」と心配していました。時間になって、ちょうど見上げた空には雲が早く流れていました。雲が少し薄くなった所に太陽が。肉眼で見てはいけないと、遮光板を用意していましたが、雲が光を遮ってくれので肉眼で見えました。雲が切れるとさすがにまぶしくて、遮光板を使いました。三日月のような形にかけていました。とにかく誰もかれもが皆既日食と大騒ぎでした。
 トンボもね、というところがとてもいいです。トンボと一緒に作者も見ていたのかな。
句番号作品作者
25赤ちゃんにふれてうれしいうちわふるミッキーTJ
 この句のとてもひかれるところは、「ふれてうれしいうちわふる」のひらがなの音の優しさです。何に触れてうれしいかというと「赤ちゃんに」なんですね。赤ちゃんの「やわらかさ」「ういういしさ」「いいにおい」幸せな感じ」すべてが想像できます。
 赤ちゃんから素晴らしい俳句がうれしいです。作者に感謝、赤ちゃんに感謝、ですね。
句番号作品作者
28大ひまわり笑って会話するようにまりも
 大きなひまわりには、種になる部分もとても大きいですよね。作者の目には「笑って会話するように」見えたのですね。ヒマワリが並んで咲いていると、なんだかひまわり同士が会話しているようにも思えます。説明的とも思えますが、きっと作者には笑って会話する友達や家族がたくさんいるのでしょう。楽しい夏休みの思い出を話しこんでいる様子が目に浮かびます。
 「会話」の楽しさ、大切さ、忘れていたなあ、そういえば、お姉さんにも幼友だちがいました。小学生の高学年くらいから中学にかけての楽しかった友達との「会話」を思い出させてくれました。
句番号作品作者
29冷房の図書館新聞めくる音ばかり中村郁海
 「冷房の図書館」冷房の効いている夏の図書館ということですよね。夏休中で、いつもの本好きの利用者だけでなく、冷房を目当てに来る利用者の皆さんは、本より新聞を読んでいる、だから「冷房の」としたのだろうと思いました。。
 「新聞めくる音ばかり」がうまくできていて、図書館にいる人たちやその空気感まで伝わってくるところがとてもいいと思いました。「しずか」とか「ひんやり」しているといった言葉を使っていないところがいいと思います。



気になる句に一言
句番号作品作者
23原爆のピアノは歴史を知ているドナルドダック1
句番号作品作者
26ひばくしたピアノ きずがいっぱいありました朝日丘サンクラブ
 広島に行って、原爆で傷ついたピアノを見てきたのでしょうか。きっと深い感動というか、戦慄、恐怖、残酷さなどいろいろな言葉が心に浮かんだと思います。実際に自分の目で見たことを信じてほしいと思います。
 傷のあるピアノ、もっと深いところで気づくと、傷ついているのは、人間の命。尊厳。きっといつかもっともっと、自分の見たものの見えない部分を俳句で伝えられると思います。何度か行くことになるでしょう、広島には。
 お姉さんも、広島だけでなく、長崎や沖縄にも行きたいと思っています。