現代俳句コラム

鬱鬱と秘密保護法六林男の忌鈴木明
鈴木六林男は、2000年12月12日に逝った。
東日本大震災はもちろん、安保法案改悪、秘密保護法の制定と、時代が音を立てるように新たな〈戦前〉へと傾いていくなかで、もし六林男が生きていたら、何を語ったのか。そして、いかなる俳句を書き記したのか。そんな思いに、しばし立ち止まることがある。
おそらく、この一句の作者、鈴木明も同じような思いで書きとめたのではないだろうか。あるインタビューにおいても、「直接の交流はほとんど無かったのですが、鈴木六林男の影響も受けました」と、彼自身語っている。さらに「僕自身の俳句の思いには、前衛的なものが今でも強く残っています」(クプラス第一号)というくだりは、とりわけ印象的だ。
「鬱鬱」という言葉には「気分が晴れないさま」と、一方、草が盛んに繁茂する様子から転じて「気が盛んにのぼるさま」と両義的と呼べる意味がある。だが作者においては、「気が晴れない」にも関わらず、いや、それゆえに内なる「気が盛んにのぼる」ものなのではなかったのか。表現する者の叛意として、六林男のように。
ちなみに六林男にも、「鬱鬱と定型帝国去年今年」という痛烈な一句がある。きっと俳句表現における〈志〉と呼べるものは、ときに師系などを越えて、一句を書き記すことによってのみ受け渡されていくものなのだろう。
 
出典:鈴木明句集『甕』(ふらんす堂)
評者: 高橋修宏
平成29年12月16日

インターネット俳句会

ふと横に冬が来ている日曜日
熊谷古錐
線香の灰の長さやオニヤンマ
大辺利一

インターネット俳句会「一般の部G1」高点句

得点番号俳句俳号
29513太き掌も農具のひとつ牛蒡引く八王寺宇保
175小鳥来る童話の山はみな丸い山口冬人
14882手拍子で江戸を呼び出す酉の市永井良和
111連れ添ふも一人一人の夜寒かな藤ゆきこ
11625衿元をすこし直して菊師去る土田遼仙
11458木枯しの鼻に噛みつく鬼瓦山崎如尚
10502折り紙のはじめ三角一葉忌石田晴
9789ふと横に冬が来ている日曜日熊谷古錐
8563ひびき良き女の手締め一の酉永井良和
8131百歳の膝に零歳小六月土田遼仙
8172ストッキング十一月にひっかかる日暮屋又郎

インターネット俳句会「一般の部G2」高点句

得点番号俳句俳号
1579水鳥の潜りて空を残しけり藤田こくりこ
14284玉砂利のリズム乱れる七五三橋染茶龍
8630冬ぬくし郷にも郷の銀座あり岩間田中礼子
897赦してはないがお食べよ根深汁居並小
8542日常に栞挟みて冬の旅鳴海風鈴
77もみがらを焼きて大地に暇乞い大辺利一
7195鍵穴に合わぬ鍵持つ秋の暮ねこ
713学童の行きつ戻りつ落葉掻スロトレ
7725冬茜おもたき海の船だまり衛藤佳也
737冬空や切り取れるほど青と白じゃぐ
7157天窓に広がる神話冬の星抹茶