現代俳句コラム

青春の「十五年戦争」の狐火金子兜太
 「十五年戦争」、資源をまるで持っていない日本が資源獲得のため米英に戦争しかけた財閥のため長の自己保身のため、自分の国の弱さ貧しさを顧みず昭和六年の満州事変から昭和二十年の敗戦の日のまでを「十五年戦争」と呼ばれるのであった。
 十五年戦争を「大東亜戦争」を今でも呼ぶ人が居るが、この言葉は、当時の首相東條英機が「大東亜共栄圏」なる妄想に近い構想を打ち出した時の言葉で、今でもその言い方をする年配者に会うと、プロパガンダの恐しさを、つくづくと考える。
 さて、掲分の「狐火」、これが平和論者であった金子兜太が、みごとに、十五年戦争の「恐しさ、むなしさ」の気持がこめられていてまさに「狐火」なのである。
 金子兜太は青春の何年か、この「十五年戦争」にひっぱられた。トラック島に派遣されたのである。
 戦争に必須な「兵器」という意識が全く欠落していた事の上層部、ゆえに、兵隊達は紙のように白くなって可哀想でしたし、と事あるたびに話されていて、金子兜太のやさしい心情がつねに、こめられていた。
 戦争はまさに狐火、それも強いものにおもねり弱い者を虐げる。ちょうど、今の政治そのものと言わざるを得ない「狐火」であった。
 
※『現代俳句』2018年7月号金子兜太追悼特集「忘れ得ぬ一句鑑賞」より
評者: 大牧 広
平成30年9月5日

インターネット俳句会

片蔭を探すライオンの振りをして
赤松勝
スペイン語のニャの音が好きソーダ水
露砂

インターネット俳句会「一般の部G1」高点句

得点番号俳句俳号
15527八月のはち切れそうなオムライス良仙
15350一族に一つの母校雲の峰武衛門
11161昼日中カンナのような姉がくる重松築山
10764特攻の遺書の筆圧デイゴの花風柳子
10808三姉妹姓をちがへて盆の客野田清月
10892空母よりジャズのもれくる敗戦日青野草太
1023父の倍生きて平和の夏送る水谷よし
943更けてより手足のそろふ踊の輪田井遊歩
9112百年を託して叩く天花粉泰山木
9525公園の蛇口上向く残暑かな高島郁文
9346一村を洗い上げたる白雨かな遥夢

インターネット俳句会「一般の部G2」高点句

得点番号俳句俳号
18544災害の記事にくるまれ夏大根俄か風にわかかぜ
16597一升の米の白さや終戦忌龍太郎
15330大地蹴る義足のしなり夏の空古都銀雨
1390黙祷や一分間の蝉しぐれ大沢桂月
11250風鈴や錆びれば錆びた音で鳴り濵田貞子
10530さよならを言えた気がする大文字しげる
1024かなかなや実家に流る別時間半月
9517古本屋回る二台の扇風機瀧暁
9272レコードの溝に居座る酷暑かな美津治
92あがらわず憂き世を軽く熱帯魚奈良新米