総会・全国大会

第53回現代俳句全国大会

目次

第五十三回現代俳句全国大会報告

宮坂静生会長
宮坂静生会長
歓迎の挨拶をする寺井谷子副会長
歓迎の挨拶をする寺井谷子副会長
福本弘明大会実行委員長
福本弘明大会実行委員長
左から宇多特別顧問、新人賞の赤野四羽氏、現代俳句協会賞の高岡修氏、年度作品賞の長井寛氏、宮坂会長
左から宇多特別顧問、新人賞の赤野四羽氏、現代俳句協会賞の高岡修氏、年度作品賞の長井寛氏、宮坂会長
宇多喜代子特別顧問の講評
宇多喜代子特別顧問の講評
前列左から毎日新聞社賞の三原洋子氏、大会賞の中村重義氏
前列左から毎日新聞社賞の三原洋子氏、大会賞の中村重義氏
「俳句と散文」の講演をする平野啓一郎氏
「俳句と散文」の講演をする平野啓一郎氏
北橋健治北九州市長と宮坂会長
北橋健治北九州市長と宮坂会長
懇親会での余興(五平太ばやし)
懇親会での余興(五平太ばやし)

北九州市での大会開催は、六年ぶり。今回は、交通アクセスの良いステーションホテル小倉を会場とした。当日の朝は生憎の小雨模様であったが、約一七〇名の参加者があった。記念講演には、作家の平野啓一郎氏をお招きした。

大会の司会は、中川屺城子、上村ときやす、黒川智子の三名が担当。大会はまず寺井谷子副会長の開会のことばで開幕した。続いて宮坂静生会長の挨拶、福本弘明実行委員長の挨拶に続き、来賓の北橋健治北九州市長、野沢俊司毎日新聞西部本社編集局長よりご挨拶をいただいた。

次に、協会各賞の顕彰が行われた。まず、柏田浪雅顕彰部長による丁寧な選考経過報告があった。「第七十一回現代俳句協会賞」には高岡修氏。「第三十六回現代俳句評論賞」は該当なし。「第三十四回現代俳句新人賞」には赤野四羽氏、「第十七回現代俳句協会年度作品賞」には長井寛氏。宮坂会長による各受賞者の顕彰が行われ、各氏からは受賞のことばをいただいた。  引き続き第五十三回現代俳句全国大会優秀作品の発表に移った。協会内外から寄せられた作品総数は一一、五八九句。これらの句のなかから三、八六三句を予選通過作品として本選稿を作成し、一般選者による本選を行った。そして、その集計結果の上位二八九句から特別選者である当協会の名誉会長、特別顧問、会長、副会長、幹事長、顧問、名誉会員の二十一名が、それぞれ十三句(内特選三句)を選出。これらの合計点をもとにして、最終選考会にて、大会賞二句、毎日新聞社賞一句、ならびに秀逸賞十六句、佳作賞四十三句が決定した。このほかに特別選者賞として特別選者が一句ずつ選んでいる。入賞作品の披講は影浦ようじ、川原昌子、山崎真理、夢野はる香が担当した。宇多喜代子特別顧問、宮坂静生会長、寺井谷子副会長、高野ムツオ副会長による講評が行われた。

「現代俳句全国大会賞」は中村重義氏が受賞。他の一句は残念ながら類似句があり受賞取消しとなった。「毎日新聞社賞」は三原洋子氏が受賞。それぞれ喜びの言葉が述べられた。お二人とも大会開催地北九州市の在住である。

休憩のあと、作家の平野啓一郎氏の記念講演が行われた。演題は「俳句と散文」。文学の創作プロセスのなかにデザイン的要素があり、文学者の内的なものを読者に受け渡すための媒介としてデザインがあるということを東日本大震災後の被災地のルポや『おくのほそ道』の芭蕉の句を取り上げながら語られた。あらかじめフレームの決まっている俳句と、フレームは後から考えるという小説の話も興味深い切り口であった。

さて次期大会は東京。協会七十周年記念行事の一つとして開催される。中村和弘七十周年事業実行委員長より挨拶と参加、協力のお願いがあり、伊藤政美副会長の閉会のことばで閉幕となった。

午後五時からの懇親会は隣室で行われた。九八名が参加。司会進行は中川屺城子。前川弘明理事の乾杯の音頭で始まり、北九州若松の郷土芸能「五平太ばやし」のアトラクションがあった。旧交を温めるとともに新しい出会いもあり、賑やかな時間となった。最後は、高岡修理事の万歳三唱で締めくくった。

大会実行委員長 福本 弘明

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各賞発表

現代俳句全国大会賞

父の日は黙って父になっている福 岡中村 重義
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毎日新聞社賞

告げ口をしそうな無花果から食べる福 岡三原 洋子
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特別選者特選句

金子 兜太選   水中花揺れだす艦の底の父     静 岡  植田  密

宇多喜代子選   八月の束ねて重き新聞紙      福 岡  田口 啓子

宮坂 静生選   めがね拭く子ども代表広島忌    神奈川  永井 良和

寺井 谷子選   人類と書いて八月六日かな     山 口  上野 昭子

加藤瑠璃子選   青空に大きな裂け目原爆忌     東 京  金武 伸弥

高野ムツオ選   蟬採つてくれし手があり戦死せり  福 岡  佐川 初江

中村 和弘選   木の家に木の椅子机蓮開く     神奈川  町野 広子

鳴戸 奈菜選   この世しか知らず老いゆく春の暮  三 重  橋本 輝久

伊藤 政美選   毀れさうな惑星に住み日向ぼこ   東 京  谷川  治

前田 弘選    父の日は黙って父になっている   福 岡  中村 重義

相原左義長選   人類と書いて八月六日かな     山 口  上野 昭子

安西  篤選   炉心溶融雪女流産す        東 京  金武 伸弥

伊丹三樹彦選   草笛を教へて呉れて征つたきり   千 葉  相原 一枝

大坪 重治選   だんだんと金魚が僕を好きになる  大 分  田口 辰郎

岸本 砂郷選   八月に昭和がみんな詰ってる    埼 玉  鈴木 成夫

鈴木八駛郎選   消えてゆく村がふるさと初燕    千 葉  椎名 鳳人

たむらちせい選  君が代や遠泳未だ着かぬ兄     宮 崎  永田タエ子

松本夜詩夫選   筆圧の残るメモ紙敗戦日      奈 良  西谷 剛周

森下草城子選   石工村灼けたる石の匂ひけり    三 重  下平しづ子

森田  廣選   月光の村月光の木綿針       千 葉  植原 安治

山崎  聰選   クレヨンの匂い家中夏休み     東 京  北村眞貴子
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秀逸賞

月光の村月光の木綿針           千 葉   植原 安治

水中花揺れだす艦の底の父         静 岡   植田  密

国中が過疎となる日や泡立草        埼 玉   髙橋 邦男

蝌蚪の壜抱へ少年転校す          愛 知   大矢 節子

そして八月永久に八月無言館        埼 玉   茂里 美絵

ハンカチに今日といふ日の折目かな     埼 玉   関口ひろ子

しあわせのふりしてくずすかき氷      東 京   佐々木克子

草笛を教へて呉れて征つたきり       千 葉   相原 一枝

墓洗ふ死者から忘れられぬため       大 阪   柏原 才子

日本のどこかで曲り鳥帰る         東 京   髙野 公一

くちづけと同じくちびる牡蠣すする     沖 縄   池宮 照子

水の匂いの人ばかり来る秋彼岸       秋 田   丹生 千賀

あじさいのどこかで鍵のかかる音      兵 庫   木村オサム

人類と書いて八月六日かな         山 口   上野 昭子

八月の象の孤独を見る孤独         福 岡   増本加津子

みんないなくなる八月のかくれんぼ     栃 木   中村 克子
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佳作賞

麦秋の端に火薬の匂ひせり      茨 城  大野ひろし
逃げ水の見える限りの昭和かな    東 京  宮  沢子
蓬餅喰ってけむりのように生き    宮 崎  永田タヱ子
にんげんと昭和を生きた被爆の樹   大 分  谷川 彰啓
青空に大きな裂け目原爆忌      東 京  金武 伸弥
田に水を入れて身近になる青嶺    新 潟  佐藤  靖
レモンに歯型わたくしに通り雨    千 葉  長濵 聰子
風船にひっぱられ立つ赤ん坊     東 京  山本 敏倖
広島忌いつまで折れば鶴がとぶ    広 島  佐藤 海史
落葉掃くために嫁いで来たやうな   新 潟  栗林かずおみ
いづかたも地震の巣なれど種を蒔く  京 都  廣川 孝彦
日本のほぼ真中で大昼寝       千 葉  新井 秋芳
父の木も兄の木もあり蟬時雨     千 葉  保坂 末子
はじまりは一滴の水建國日      愛 媛  神野 園子
真っ青な空が墓碑なり原爆忌     福 岡  中島直四郎
たんぽぽの絮は平和の重さかな    福 岡  三舩 熙子
春愁や鏡の中に長居して       京 都  岩成 天風
耕して耕して母振りむかず      京 都  岩成 天風
百年ののちも戦後やかきつばた    福 岡  鈴江 弘光
満月の好きな田水を張っている    大 分  有村 王志
怒つてはゐないけれども草むしる   埼 玉  田口  武
八月はうしろ姿の父であり      東 京  栗原 節子
偶数のとなりは奇数秋ざくら     広 島  林  すみ
毀れさうな惑星に住み日向ぼこ    東 京  谷川  治
戦争が片目をひらく麦の秋      栃 木  石倉 夏生
昼寝覚めやつぱり一人だつたのか   大 阪  合田マサル
だんだんと金魚が僕を好きになる   大 分  田口 辰郎
大根煮る昔話をする様に       愛 知  山本 達夫
めがね拭く子ども代表広島忌     神奈川  永井 良和
蟻が来る老人が来る木のベンチ    栃 木  大嶋 邦子
八月の空を切り取り鶴を折る     埼 玉  益子さとし
夕凪やてんでんことは淋しくて    山 口  市川 邦子
夜桜や狐のお面売り切れる      福 岡  古野 道子
癌取ればかくも涼しき命なる     千 葉  山口 夕紀
消えてゆく村がふるさと初燕     千 葉  椎名 鳳人
仰向けに死ぬ蟬に降る蟬しぐれ    山 口  樋口 和年
蟬採つてくれし手があり戦死せり   福 岡  佐川 初江
曲るしかなかった胡瓜十五歳     東 京  宮澤 雅子
八月の束ねて重き新聞紙       福 岡  田口 啓子
原爆忌しずかな木からしゃべりだす  千 葉  重田 忠雄
風だけを入れに行く家夏あざみ    千 葉  石井紀美子
向日葵が少年兵の顔になる      東 京  有原 雅香
鳥渡る地球にいくつ国境       東 京  仲澤 輝子
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