総会・全国大会

第49回現代俳句全国大会

目次

大会報告

大会風景1
大会風景2
司会者は関西青年部員 豊田都峰大会委員長
大会風景3 大会風景4
協会三賞の表彰 大会三賞の表彰
大会風景7 大会風景6
宮坂会長「昭和の俳句―これからの俳句」 講演中の会場風景
大会風景7 大会風景8
加藤瑠璃子副会長 和田悟朗顧問
大会風景9 大会風景10
宇多喜代子特別顧問と寺井谷子副会長 豊田大会委員長と伊丹三樹彦顧問

この日の大阪はまさに絶好の秋晴れだった。

第四十九回現代俳句全国大会の会場となったホテルグランヴィァ大阪は、梅田のJR大阪駅の構内という交通至便の場所にある。大会は定刻の一時にスタートした。先ず三人の若い司会者を尾崎が紹介した。彼らは関西の青年部員で杉浦圭祐、曽根毅、堺谷真人の面々であるが、彼らを司会者に起用することによって、「若さ」が今大会のコンセプトとなった。

今年の全国大会の総投句数は一五、二三一句。目標数には不足したが、会員数減少の折りからの投句であり嬉しい事であった。この総数をを予選、一般選者、特別選者と三段階に分けてふるいにかけ大会賞二句、毎日新聞社賞一句、秀逸賞十五句、佳作賞五十句を選んだ。ほかには二十五人の特別選者による特別選者特選句各一句があり、総計九十三句に賞状賞品等が授与された。

大会は寺井谷子副会長の開会の言葉に始まり、続いて今年三月に宇多喜代子前会長と交代されたばかりの宮坂静生新会長のご挨拶であった。その次が豊田都峰大会委員長で、特にメインイべントである金子兜太名誉会長が風邪のため急遽宮坂会長と交代して頂くことになったなど出席者にお断わりをされた。最後は毎日新聞社代表の相原洋学芸部長からのご祝辞を頂いた。。

続いては協会三賞の表彰である。鳴戸奈菜顕彰部長の選考経過報告の後ただちに表彰に入り、先ず「第三十回現代俳句新人賞」が中内亮玄氏と柏柳明子氏に贈られ、続く「第三十一回現代俳句評論賞」は松下カロさんに。そして「第十三回現代俳句協会年度作品賞」は中村克子氏に宮坂会長からそれぞれ賞金、花束とともに贈られた。

引き続いて大会作品選考結果の発表が行われた。披講者は「藍」の近藤詩寿代、「風樹」の中谷清、「季流」の森口和子の皆さんである。披講者の力強く馴れた声調は出席者を魅了し、続く講評に移った。講評は宮坂静生会長、安西篤副会長、宇多喜代子特別顧問、豊田都峰大会実行委員長の順で行われ、短い時間のうちに評者の個性溢れる講評がなされた。

そしていよいよ待望の大会三賞の表彰である。大会賞の山本敏倖氏(東京都)、前田勉氏(兵庫県)はそれぞれ緊張の面持ち乍ら栄えある受賞の喜びに包まれて宮坂会長から、賞状、クリスタルのトロフィー等を受け取られた。次は後援の毎日新聞社賞の授与であるが、受賞者の今田草水氏(秋田県)は残念ながら体調を崩されたため欠席となり、代わって関西副会長の吉田成子氏が毎日新聞社の相原洋部長様からの賞を頂かれた。続く秀逸賞、佳作賞、特別選者賞は時間の都合で舞台下手の表彰台で賞品を受け取って頂いた。

今年の講演は宮坂会長の「昭和の俳句―これからの俳句」と題しての講演である。その内容は、会長の持論である「地貌」を中心に進められ、沖縄など地方的題材を含めながら昭和を中心とした代表句など紹介しつつ、地貌の持つ俳句の広がりなど懇切に説かれ聴衆の感銘をさそった。

来年の開催地は東京に戻る。大会実行委員長である加藤瑠璃子副会長からは、次の大会への参加の呼びかけがなされ、続いて前田弘幹事長から閉会の言葉が述べられた。

最後はお待ちかねの「懇親会」である。そして司会は京鹿子の鈴鹿呂仁さんと同じ会の東珠生さんが務め、ベテランの名にふさわしい司会ぶりであった。開会の挨拶は吉田成子副会長に、乾杯の音頭は和田悟朗顧問にお願いをした。和気藹藹のうちに宴は進み、やがて小泉八重子関西副会長の締めくくりの挨拶で今年の全国大会は終りを告げた。

大会実行委員長 豊田 都峰
事務局長  尾崎 青磁

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各賞発表

現代俳句全国大会賞

にっぽんの形に曲がる胡瓜かな東京都荒川区山本 敏倖
陽炎になるまで母に手を振りぬ兵庫県三木市前田  勉

毎日新聞社賞

塗りたての畦のやうなる嫁もらふ秋田県横手市今田 草水
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特別選者特選句

金子 兜太 選  ほんたうの雲を見てゐる原爆忌     神奈川県横浜市  永井 良和

宇多喜代子 選  草を引くときどき海を眺めては     東京都大田区   大牧  梢

宮坂 静生 選  村棄てし人らつどいて里神楽      東京都国分寺市  安西  篤

森下草城子 選  耕してひねもす鳶の輪を出でず     大阪府吹田市   柏原 才子

田中 不鳴 選  短夜の明日切る乳房抱き寝る      広島県福山市   林  すみ

寺井 谷子 選  日本に八月が来る柱かな        福岡県福津市   篠原 信久

安西  篤 選  噴水の天辺にある自由律        埼玉県吉川市   河口 俊江

加藤瑠璃子 選  一匹のあと全山が蟬になる       東京都板橋区   東金 夢明

高野ムツオ 選  死ぬために生きて八月やってきた    大分県大分市   あべまさる

前田  弘 選  ほうれん草たっぷり茹でてからは暇   埼玉県飯能市   浅見 敏子

相原左義長 選  ひっそりと地に落ちてゐる蟬の穴    青森県八戸市   田村 正義

石田よし宏 選  生き生きとまいにち老いて冷し酒    群馬県伊勢崎市  斎藤 一平

大坪 重治 選  はつなつの皇后にこそ金環食      兵庫県西宮市   岡崎 淳子

大西 静城 選  はつなつの皇后にこそ金環食      兵庫県西宮市   岡崎 淳子

大山安太郎 選  父の日の長生きと云う大仕事      東京都北区    相沢 幹代

小宅 容義 選  大根を煮れば煮るほど老いてゆく    福井県福井市   塩谷美つ子

河村 四響 選  向日葵のうしろは暗い海である     埼玉県さいたま市 森 壽賀子

倉橋 羊村 選  肝据ゑてからが晩年蟇         神奈川県鎌倉市  中島修之輔

豊田 都峰 選  サーカスの象もさくらも咲きにけり   京都府亀岡市   井上菜摘子

野間口千賀 選  あの日から父は海市に行ったきり    愛知県名古屋市  渡邊 淳子

花谷 和子 選  巴旦杏人壊れるに音のなし       埼玉県春日部市  黒田  崖

前田吐実男 選  初蟬や大人のオムツ買ひに行く     熊本県荒尾市   西村 安子

山崎  聰 選  天牛の逃げて絵日記終りけり      福島県本宮市   大塚 正路

吉田 未灰 選  春田打つ遠嶺に深く辞儀をして     東京都青梅市   金子 野生

和田 悟朗 選  巴旦杏人壊れるに音のなし       埼玉県春日部市  黒田  崖
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秀逸賞

鳥帰る空にも曲り角がある            埼玉県川越市    原田 麦吹
冬瓜とともに途方に暮れてゐる          静岡県伊東市    北邑あぶみ
しぐるるや瓦礫に針の無い時計          福岡県朝倉市    井出  直
すずなすずしろだんだん母に近くなる       東京都東久留米市  紺谷 睡花
短夜の明日切る乳房抱き寝る           広島県福山市    林  すみ
田水張る地球の水のこぼれぬよう         宮崎県小林市    永田タヱ子
一億が蟻となりたる昭和かな           山口県周南市    津森 敏伸
向日葵のうしろは暗い海である          埼玉県さいたま市  森 壽賀子
東北の大きな更地稲びかり            神奈川県横浜市   安田 直子
巴旦杏人壊れるに音のなし            埼玉県春日部市   黒田  崖
あたたかや戦車のやうな兜太来る         岩手県岩手郡    小菅 白藤
耕してひねもす鳶の輪を出でず          大阪府吹田市    柏原 才子
初蟬や大人のオムツ買ひに行く          熊本県荒尾市    西村 安子
鈍感でいい八月の木がいっぽん          千葉県野田市    青木 一夫
東北のまだ濡れてゐる魂迎へ           神奈川県横浜市   宇佐見輝子
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佳作賞

植田から男が風を脱いで来る           千葉県野田市    野口 京子	
教科書の隙間に水着押し込めし          広島県広島市    石川まゆみ	
ほんたうの雲を見てゐる原爆忌          神奈川県横浜市   永井 良和 	
短夜のずいぶん奥で牛が哭く           福井県福井市    中内 亮玄
生き生きとまいにち老いて冷し酒         群馬県伊勢崎市   斎藤 一平
やわらかくなるまでいたい蛍の夜         愛知県名古屋市   前田 花野	
母の日の母は畳を拭いてをり           三重県伊賀市    いずみ 愛	
耕しの一人に夕日大きかり            東京都練馬区    奥津  昇	
なみなみと富士を抱える水田かな         神奈川県横浜市   中原 善江	
梅干して何処にも居ない母が居る         東京都あきる野市  木下 蘇陽	
はつなつの皇后にこそ金環食           兵庫県西宮市    岡崎 淳子	
大根を煮れば煮るほど老いてゆく         福井県福井市    塩谷美つ子	
土筆伸ぶ人の戻らぬ町となり           大阪府高槻市    赤木 和子	
母の日を棒のごとくに母でいる          東京都世田谷区   田中いすず	
生き方のあとは逝き方蟬の穴           兵庫県尼崎市    小泉八重子	
さくらさくら忘れ上手に老いて行く        山口県下松市    河村 正浩
父の日の長生きと云う大仕事           東京都北区     相沢 幹代
ぶら下がるだけの鉄棒蟬時雨           大阪府大阪市    小原  勝
日の丸の裏も日の丸万愚節            宮城県多賀城市   熊谷 山里	
往きし日も骨還る日も曼珠沙華          山口県光市	   上野 昭子
一匹のあと全山が蟬になる            東京都板橋区    東金 夢明
花の雲さして遠くはないかの世          兵庫県西宮市    岡崎 淳子	
草を引くときどき海を眺めては          東京都大田区    大牧  梢 	
敗戦日おとこはみんな沖を見る          千葉県柏市     保坂 末子	
春田打つ遠嶺に深く辞儀をして          東京都青梅市    金子 野生	
たくさんの明日が詰っている柘榴         東京都墨田区    小林 夏冬	
少しずつこの世とはぐれ河骨咲く         兵庫県神戸市    米崎璃津子	
生も死も白を着るなり青山河           香川県丸亀市    万城希代子	
肉体のなき軍服が泳ぎ着く            東京都江東区    北迫 正男	
八月の真水ごくりと生きている          宮崎県小林市    永田タヱ子	
八月の柱に残る昭和の釘             三重県伊勢市    橋本 輝久	
ただいまといえる場所あり青林檎         東京都北区     鍬守 裕子	
八月の柱はいまも燃えている           福岡県北九州市   中村 重義	
曝書して三島由紀夫としばらく居る        愛知県豊田市    小南千賀子
天牛の逃げて絵日記終りけり           福島県本宮市    大塚 正路
曼珠沙華行けども音のしない村          兵庫県神戸市    佐野 延子	
フクシマ以後の何が真実草の花          埼玉県越谷市	   村本  薺
大夕焼使いきるまで草を刈る           愛知県刈谷市	   磯村 鉄夫	
日本に八月が来る柱かな             福岡県福津市    篠原 信久	
蟋蟀や用心に置く男下駄             京都府京都市	   津野 洋子	
ほととぎす父見えてくる父の死後         滋賀県湖南市	   笹倉 照代	
昭和からふっと戻りし昼寝覚           東京都三鷹市    宮澤 雅子	
敗戦忌高さの違う窓に人             大分県竹田市    有村 王志	
田草取るたった一人の大空間           京都府京都市    岸本 明子	
かき氷やさしく崩し聞き上手           愛知県安城市    中根 和子	 
震度五を余震と呼びて遅き春           鳥取県鳥取市    石谷かずよ	
噴水の天辺にある自由律             埼玉県吉川市    河口 俊江	
蕎麦の花村がしばらく浮き上る          福井県福井市    北川 逸子
千手みなものもち給ふ暑さかな          大阪府堺市     谷下 一玄
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