総会・全国大会

第45回現代俳句全国大会

目次

大会報告

大会風景 大会風景
大会風景

第45回現代俳句全国大会は、平成20年10月18日、名古屋にて多数の参加者を得て盛大に開催されました。

全国からの応募句数は1万3058句でした。これをのべ146名の選者による選考の結果、現代俳句大会賞2句、毎日新聞社賞1句、別に秀逸賞15句、佳作賞46句が表彰されました。また、協会年度作品賞(鈴木砂紅氏、高橋悦子氏)、現代俳句評論賞(松田ひろむ氏)、現代俳句新人賞(岸本由香氏、三木基史氏)の表彰もあわせて行われました。

また、比叡山延暦寺大阿闍梨・酒井雄哉師から「一日一生」の講演がありました。

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各賞発表

現代俳句全国大会賞

牛買いが大きな夏を連れてくる千葉県船橋市二塀 照代
本籍はなほ湖底なり鳥渡る石川県金沢市島田 星花

毎日新聞社賞

どっちにも回る地球儀夏の海愛知県安城市寺田  豊
◇宇多喜代子会長
 披講を拝見しておりましたら、ヒロシマ忌とか忘れてはならない日がいろいろ出てまいりました。この「柱から人が出て来るつばくらめ」という句、柱というのは人を数える時にも使われますから、意味を重くとればそのようにも取れます。「つばくらめ」は人の魂を呼ぶ鳥だと言われておりますので、思い合わせて深く感じられました。 二番目に「もぐり海女着替えるときは沖を向く 中井芳穂」は、平明ながら非常に海女の思いが込められていると感じましたので、この句をいただきました。 次に「鍬のみな斜めに立てる雨水かな 前田典子」、この句も「雨水」の頃の鍬を持つ人間とのつながりが伝わってきます。それでこの句をいただきました。
◇倉橋羊村
 「牛買いが大きな夏を連れてくる」、この句からは、大きな希望を持って牛を買うのだ、ということが伝わってきました。 次ぎに「本籍はなお湖底なり鳥渡る」、湖底の村のことはいろいろ詠まれていますが、実際に体験されて作られている思いが感じられました。 それから、「どっちにも回る地球儀夏の海」、まあ、地球儀はどちらにも回るわけですが、思いが深い句です。 特選に採った句で「八月やその真ん中に不発弾」は、戦争が終わったけれどまだ終わった訳ではない、という複雑な想いを感じましていただきました。 「母でいてくれたよこんなに枯れるまで」、歳を重ねたけれど「母」でいてくれる。自分も母親として尽くしたい、今介護の問題が多いときだけに心を惹かれた句です。 もうひとつ金子さんの選んだ句で「地を踏むは骨踏むことや沖縄忌」、これは沖縄に寄せる想いが深いと思いました。 「裸木になっても父の匂いする」、この句も心を惹かれました。 「さくらんぼ一日一悪して老いる」、これはねえ、普通だと一日一度は良いことをすると考えるのだけれど、知らない内にあるかも知れないことを「一日一悪」とは巧いと思いました。
◇寺井谷子
 先ず一万三千を越す募集句をお集めになった、今回の実行委員の方々のご努力と、ご参加下さった皆さんのエネルギーに非常に感動しておりますし、お目出度いことだと思っております。これは、北九州でこういう全国大会がございまして、その苦労をしたものとしては、この数といいましょうか、今日の盛会ということも大変に力づけられるし、いかに御苦労があっただろうか、という思いも多御座います。感謝を申し上げたいと思います。  私がいただきました句は「激流とおもう桜の中におり」、この感情は風がないのに散り始めてしまった、少しでも吹こうものならたちまち一面が桜色になってしまった。そして、作者はその中にいる。この思いを捕まえて一句にしたところに感動しました。 「端の方に老人がいる昭和の日」、この句も心に滲みるものがあります。 「おでん煮て丸も四角も家族なり 斎木美知子」、いささか重たい句を沢山読んだ後で、私は結構この句が好きで御座います。家族というものを考えるとき、三角四角という言葉がこの句を読んだ後で浮かんでくるかな、とそんな思いが致しました。
◇安西 篤
 「雨が雨洗ってをりぬヒロシマ忌」、原爆忌の句は、もう詠い尽くされているんですね。ですから、採るときには心して採るというような気持ちでおります。それにも拘らずこの句を採らされたということは、それだけのパンチを感じたということです。「ヒロシマ忌」とカタカナで表記されていますね、これに歴史を感じました。 「さくらんぼ一日一悪して老いる」、この句は皆さんが評をされているので付け加えることもあまりないんですが、最近老いについて書かれる作品も多くなっています。「一日一悪」という、居直ったような言葉が「さくらんぼ」という季語によって艶めいて見えるんですね。「老春時代」という言葉があるとすれば、まさにこの句は「老春時代」ではないかな、それをいかに老後を充実して生きるか、というところを軽妙に切り取られた句だと思いました。 次ぎに「父の日の父新聞に隠れおり」、男の方が女性よりシャイで照れ屋なんですね。そんな様子がよく現れている、そのようなことを感じました。
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特別選者特選句

金子兜太 選
地を踏むは骨踏むことや沖縄忌三重県尾鷲市内山 思考
松澤 昭 選
牛買いが大きな夏を連れてくる千葉県船橋市二塀 照代
宇多喜代子選
柱から人が出て来るつばくらめ愛知県豊川市鈴木 世記
阿部 完市選
母はまだ遊びの途中れんげ草愛知県安城市近藤 好子
倉橋 羊村選
八月やその真ん中に不発弾埼玉県さいたま市森 壽賀子
小宅 容義選
激流とおもう桜の中におり東京都世田谷区富田 敏子
村井 和一選
昨日とは違う毛虫が木を登る千葉県野田市青木 一夫
森下草城子選
牛蛙晩年ふつふつ面白き埼玉県さいたま市長谷 郷子
山崎 聡 選
象洗ふ男ありけり聖五月兵庫県姫路市佐藤 直路
田中 不鳴選
父の日の父新聞に隠れおり千葉県習志野市石藤 浩一
寺井 谷子選
激流とおもう桜の中におり東京都世田谷区富田 敏子
安西 篤 選
雨が雨洗ってをりぬヒロシマ忌埼玉県深谷市渡辺 智恵
伊丹三樹彦選
戦争と平和を生きて端居する滋賀県湖南市笹倉 照代
内田 園生選
戦争と平和を生きて端居する滋賀県湖南市笹倉 照代
大山安太郎選
にんげんであること畏れ原爆忌愛知県岡崎市杉崎ちから
木村 敏男選
裸木になっても父の匂いする東京都板橋区東金 夢明
藤村多加夫選
雨が雨洗っておりぬヒロシマ忌埼玉県深谷市渡辺 智恵
山田 緑光選
生還した父も又逝く蝉しぐれ熊本県西原村赤峰 卓次
吉田 未灰選
地に這えば兵たりし日の草いきれ埼玉県川越市石山秀太郎
和田 悟郎選
桃を剥く地球の水を感じつつ神奈川県小田原市山岸 秋光
斉藤 美規選
端の方に老人がいる昭和の日愛知県名古屋市橋本いづみ
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秀逸賞

裸木になっても父の匂いする東京都板橋区東金 夢明
コスモスをふやしては村消えて行く山口県下松市河村 正浩
激流とおもう桜の中におり東京都世田谷区富田 敏子
父の日の父新聞に隠れおり千葉県習志野市石藤 浩一
母でいてくれたよこんなに枯れるまで愛知県田原市山田 哲夫
藤椅子の父の窪みに母居りぬ埼玉県桶川市福田太ろを
遺言のように十薬吊しけり愛知県安城市近藤 好子
地を踏むは骨踏むことや沖縄忌三重県尾鷲市内山 思考
昭和いま涼しき距離となりにけり愛知県西尾市中村 正幸
剃る顔のありて八月十五日岩手県滝沢村小菅 白藤
写生の子みな向日葵になっている福岡県北九州市波多江敦子
かなかなを鳴かす空気が村にある三重県大紀町奥山津々子
さくらんぼ一日一悪して老いる東京都八王子市谷山 花猿
地に這えば兵たりし日の草いきれ埼玉県川越市石山秀太郎
水を打つひかりの中に水を打つ三重県津市島  信子
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