総会・全国大会

第41回現代俳句全国大会

目次

大会報告

第41回現代俳句全国大会は、平成16年10月24日、穏やかな秋日和の中、北九州小倉の北九州国際会議場にて多数の参加者を得て盛大に開催された。
 津根元副会長が、新潟中越地震の被災者に対するお見舞の言葉に続き開会の宣言をされた。その後松澤昭会長が、現在の現代俳句協会の隆盛は東京と地方を一年毎に往き来して開催される大相撲形式の全国大会の開催によるところが大であるとの指摘とともに、当日の秋晴れを俳句日和と称え、協会員の益々の研鑽を期待すると挨拶された。
 続いて寺井谷子大会実行委員会が北九州市花の「ひまわり」のごとく今日の大会が明日への俳句の力となるようにと挨拶。続き北九州市長の末吉興一氏よりの祝辞(代読)、取違孝昭毎日新聞西部本社代表の「現代俳句協会の自由な精神、変化する現代へのチャレンジ」に触れての祝辞があった。
 その後第5回協会年度作品賞の、こしのゆみこ、第24回現代俳句評論賞の白石司子、山本千代子、第22回現代俳句新人賞の奥山和子各氏らの表彰を、中村和弘顕彰部長の選考経過の発表とともに行った。
 続いて記念講演は、小説家村田喜代子氏の「事実が後から追ってくる」。ご自分の小説の発表経過を振り返りつつ、言語は「言霊」といわれるように何かしら霊力があるようだ。将来を明るくするような、俳句を作って欲しいと結ばれた。
 続いて大会作品の大会三賞、佳作、秀逸、特別選者特選句が披講され、特別選者8名の講評が行われた。

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各賞発表

現代俳句全国大会賞

昼寝するまわりを全部海にして柏市保坂 末子
耕して耕して村つぶれけり小平市清水 志郎

毎日新聞社賞

八月のかなしきものに飯の粒八王子市谷山 花猿
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特別選者特選句

金子兜太選
      戦死とは石一つ置くだけの秋太宰府市権藤義隆
松澤 昭選
      ひぐらしの木になってゐるだけの父小田原市やまもと仁
阿部完市選
      草むしりして夕方は鳥の貌高岡市鍋谷ひさの
倉橋羊村選
      稲架がなくなり戦争まるみえに深川市池田星州
和田悟朗選
      菊の香や人は歩いて人に遭う東京都柴山 猛
小宅容義選
      ふわふわと大蛇畳まれ神楽果つ宇部市鈴木英二
宇多喜代子選
      登る木はもう決めてある夏休み豊田市小南千賀子
村井和一選
      若葉風入れてオムレツ膨らます東京都有馬英子
津根元 潮選
      身にまとふものの一つに虫の闇千葉市高橋康夫
森下草城子選
      神になるまでのがやがや根深汁小林市永田タヱ子
山崎 聰選
      ストローを二人の夏が通りけり大分市坂田正晴
内田園生選
      八月のかなしきものに飯の粒八王子市谷山花猿
桂 信子選
      八月のかなしきものに飯の粒八王子市谷山花猿
鈴木六林男選
      ふわふわと大蛇畳まれ神楽果つ宇部市鈴木英二
大山安太郎選
      打ち水へ闇が素直にきて坐る福井市塩谷美津子
木村敏男選
      にんげんにすこし疲れてさくら咲く北九州市告下春一
齊藤美規選
      大夕焼千年のちも爆心地小郡市中島勝子
藤村多加夫選
      たっぷりと人間でいる花の中東京都富田敏子
星野紗一選
      いつでもどこでも鍵持っている暑さ東京都田中いすず
吉田未灰選
      車よりきれいな脚が出て五月大津市鈴木順子
伊丹三樹彦選
      夫の靴に足入れてみる盆近し出雲市原 幸子
小川双々子選
      八月のかなしきものに飯の粒八王子市谷山花猿
柴田白陽選
      一人ずつ消えてうしろに曼珠沙華狭山市吉岡佐賀榮
石崎素秋選
      どこまでも青田農民一揆の地高岡市小野田洋子
伊藤松風選
      たっぷりと人間でいる花の中東京都富田敏子
内田南草選
      若鮎の勢いのまま焼かれけり太田市笠原興一
立岩利夫選
      葉桜というバス停でみな降りる東京都富田敏子
平川雅也選
      花火果つ空には数へきれぬ穴いわき市平子玲子
山田緑光選
      かげろうふに鬼の手足が付いてをり川越市塚本洋子
横山房子選
      寝返りを打って銀河へ近づきぬ大阪市油津雨休
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秀逸賞

身にまとふものの一つに虫の闇千葉県高橋康夫
どの石も仏となりし良夜かな高崎市山口由利子
にんげんにすこし疲れてさくら咲く北九州市告下春一
一人ずつ消えてうしろに曼珠沙華埼玉県吉岡佐賀榮
登る木はもう決めてある夏休み愛知県小南千賀子
母の匂ひするまで母の墓洗ふ舞鶴市上田保太郎
大夕焼千年のちも爆心地小郡市中島勝子
寝返りを打って銀河へ近づきぬ大阪市油津雨休
八月のどこに置いても白い皿北海道粥川青猿
車よりきれいな脚が出て五月大津市鈴木順子
春の月妻の襁褓が濡れている北海道大塚珀蛾
午睡より深きところを海という宮城県熊谷山里
ひぐらしの木になってゐるだけの父小田原市やまもと仁
羅を着て羅とすれちがふ横浜市秋本謙一
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佳作

すかんぽを噛めば一茶が立っている町田市今井長生
おてだまに父の釦も入れてある北九州市告下春一
たんぽぽのやうな先生着任す小田原市山岸秋光
稲架がなくなり戦争まるみえに北海道池田星州
ふわふわと大蛇畳まれ神楽果つ宇部市鈴木英二
夕焼けの裏まで捜すかくれんぼ宇治市松田郁
いつでもどこでも鍵持っている暑さ東京都田中いすず
純粋にもっとも近い桃をもぐ新居浜市神野園子
ひぐらしの鳴かない木から影になる横浜市金子弓湖
蛍袋のなかで電話が鳴っている弘前市佐藤正賢
若鮎の勢いのまま焼かれけり太田市笠原興一
夕焼をつかひきつたる農夫の背水戸市松田秀一
ストローを二人の夏が通りけり大分市坂田正晴
香水を使はず捨てず長生きす高岡市鍋谷ひさの
罪人のごとく括られ蟹届く神戸市新田硯水
かげろうふに鬼の手足が付いてをり川越市塚本洋子
勝ち牛と負け牛の目を引き離す岩手県小菅白藤
原爆忌太平洋に手を洗ふ東京都緒方 輝
中二階けむりという猫棲みつきぬ伊勢市大西雅子
たっぷりと人間でいる花の中東京都富田敏子
どこまでも青田農民一揆の地高岡市小野田洋子
炎天にゴッホの耳を拾ひけり吹田市東金夢明
葉桜というバス停でみな降りる東京都富田敏子
神になるまでのがやがや根深汁小林市永田タヱ子
名月を沸騰点と思いけり名古屋市早川倫子
ほんとうは淋しい時間カンナ咲く柳井市片山淳子
草むしりして夕方は鳥の高岡市鍋谷ひさの
一本の樹よりはじまる蝉時雨関市岡田
乾いてはならぬ八月のわが目玉宗像市池田守一
芋蔓をたぐれば八月十五日富山市柳瀬アキラ
麦秋や死者に眼鏡をかけてやる東京都寺井禾青
若葉風入れてオムレツ膨らます東京都有馬英子
昨日まで海鼠の姿していたり東京都枡野雅憲
多喜二忌の日暮れが父の中にある荒尾市村上雅子
曼珠沙華ダムの底より径が来て宇土市星 水彦
蛸壷に蛸がはいっていて不安北九州市中村重義
うすものの産着のなかに海の音静岡県柿畑文生
ばばさまを丸洗ひする蝶の昼京都府井上菜摘子
ひぐらしが居て省略のできない木豊田市小南千賀子
母の八月潜水艦まだ浮上せず木更津市三苫知夫
蝉の穴中から話し声のする中間市石井直子
滝の裏見て来し声も濡れており横浜市岡山令子
風鈴にとり替える舌ありにけり下松市高山幸子
二階から子供が消えて青葉木菟神戸市足立 絮
たましいの形であるく茄子の馬松江市加茂踏青
寝た切りの母ころがして天瓜粉福岡県増田直子
跳び箱を一段上げて鰯雲東京都小泉秀夫
八月十五日畳の上のラジオかな三重県吉田さかえ
したたかに老いたる掌なり紫蘇を揉む名古屋市日比野登志子
若きはは居て蒼々と蚊帳吊れり名古屋市鈴木一江
阿弥陀像出てゆく阿弥陀花の昼東京都大坪重治
離農して青田しみじみ美しい松山市金並れい子
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