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第16回現代俳句協会年度作品賞は前田典子氏

顕彰部 (2015年9月17日掲載)
当協会では、9月12日(土)第16回現代俳句協会年度作品賞の選考委員会を開催し、応募204編から下記のとおり授賞作品を決定しました。

第16回現代俳句協会年度作品賞  前田典子 (「夏帽子」30句) 



  夏帽子    前田典子


樹の抱く時間に触るる余寒かな

三月十一日不意に栞がすべり落つ

春雪のふかまる夜を骨煮込む

亀鳴くやわが代にて墓閉ざすこと

初蝶の行く手ゆくてのひかりかな

逃水を追ふや私を追ふやうに

麦秋や墓石おもひのほか熱し

隣家まで自転車で行く栗の花

手になじむ卵のカーブ梅雨きざす

葭切や湖水は湖を抜け出せず

ノートの余白ただ見てをりぬ沖縄忌

こめかみは淋し揚羽過ぎゆけり

畦の影たしかなりけり大青田

さすらふやうに葛切を掬ひけり

とりけものみな素手素足ひろしま忌

空蟬は遥かな海を見てをりぬ

原爆忌傘をひらけば骨がある

夏帽子杖に被せて黙祷す

全集の汚れに差あり晩夏光

帰省子の凭れてゆきし柱かな

あてし刃にぷつと西瓜が鳴りにけり

遺影笑む角度に寄りぬ盆用意

鬼灯をきれいに鳴らし家を継ぐ

秋蝶やすぐ砂尽きて砂時計

見舞ふべき人あり新藁匂ひくる

水仙の向きに意志ある難儀かな

包丁に鱗張り付く初しぐれ

菊を焚く燻りに人寄りにけり

木枯しに慣れず一樹のなほ戦ぐ

狐振り向き別のわたしを見つめをり





【俳歴】
◇前田典子(まえだ・のりこ)(本名 同じ)
・1940年(昭和15年11月1日)東京都生まれ(74歳)。
・1983年(昭和58年)奥山甲子男の紹介により五十嵐研三の指導を受ける。
・1985年(昭和60年)「海程」(金子兜太主宰)入会。平成3年「海程」同人。
・1986年(昭和61年)「伊勢俳談会(超結社句会)」入会。三重県俳句協会入会。
・1987年(昭和62年)「草苑」(桂信子主宰)入会(平成16年12月終刊)。
・1988年(昭和63年)「木」(森下草城子代表)入会。同年、三重県俳句協会年間賞受賞。
・1993年(平成 5年)三重県文学新人賞(俳句部門)受賞。
・1996年(平成 8年)第33回現代俳句全国大会 毎日新聞社賞受賞。
・1997年(平成 9年)「橋」(五十嵐研三代表)入会(平成16年終刊)。同年、中部日本俳句作家会賞受賞。
・2005年(平成17年)「草樹」(会員代表宇多喜代子)創刊参加。
・2011年(平成23年)「海程」第9回同人各集年間賞受賞。
 現在、「海程」「草樹」「木」「伊勢俳談会」「三重県俳句協会」「中部日本作家会」および現代俳句協会会員。

◇選考委員(五十音順)
石倉夏生、浦川聡子、大井恒行、こしのゆみこ、佐藤映二、田村正義、原 雅子

◇表彰式
平成27年10月24日(土)午後1時より東京「東天紅」上野店で開催の第52回現代俳句全国大会席上にて。

◇お問い合わせ・現代俳句協会事務局  電話03-3839-8190