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第31回現代俳句新人賞は、近 恵氏に決定。受賞の句をアップ

顕彰部 (2013年7月22日掲載)
当協会は、7月13日(土)協会事務所において第31回現代俳句新人賞(30句)の選考委員会を開催し、選考委員7名による選考を行った結果、下記のとおり決定しました。   

第31回現代俳句新人賞    近 恵   「ためらい」  
     〃    佳作  岡田 由季 「まりも」 
     〃    佳作  内田麻衣子 「なずな粥」


「ためらい」      近 恵

  灯涼し足先に草触れている
  青葉ざわめくノートに何か書きかけて
  滴りの音の溜まってゆく身体
  音も無く沈む鉄塊やませ来る
  海までの橋はいくつか青胡桃
  足の裏向けひまわりは高いまま
  一声を発し銀漢跳び越える
  耳かきが鼓膜に触れて秋の暮
  コスモスの暗がりに足入れている
  その手摺乗り出しやすく星月夜
  カーテンに拭う林檎よ無音の部屋
  あと少し泣いたら霧を纏えるか
  炒り塩のそこらに跳ねて冬隣
  左手の手袋がまた汚れている
  裸木をたどって行ける所まで
  白鳥よ岸辺に立つときはひとり
  冬座敷なら潜んでもかまわない
  肺に息留めよ雪が地に届く
  狐火の続きは明日見ることに
  耳袋どこかがこんこんと眠る
  野を焼いて何か握りたいてのひら
  シャボン玉ひとつ壊して地に還す
  お豆腐を沈ませている目借時
  蛍烏賊食べても光らない体
  山吹のざわりと麻酔切れかかる
  春惜しむ肩に乗らない文鳥と
  はつなつの匙がためらいつつ沈む
  橋ふたつ越えたあたりの薄暑光
  南吹くもうひとつ心臓が欲しい
  吊り橋の反対側へ万緑へ


◎受賞者のプロフィールは次のとおりです。
 
◇近 恵(こん・けい)
・昭和39年(1964)、青森県生まれ。本名、近 雅恵(こん まさえ)。東京都在住。
・平成19年(2007)、「炎環」入会、石 寒太に師事。同人誌「豆の木」参加。
・平成21年(2009)、「炎環」新人賞受賞。「炎環」同人。
・平成23年(2011)、第29回現代俳句新人賞佳作。
・合同句集炎環新鋭叢書『きざし』参加。
 
 
◎選考委員(敬称略・五十音順)
  浦川聡子、大井恒行、佐怒賀正美、鈴木 明、対馬康子、橋本輝久、林 桂
 
◎表彰式
  平成25年10月26日(土)午後1時より東京・上野東天紅にて開催の第50回現代俳句全国大会席上にて。
 
  *お問合せ 現代俳句協会事務局:(顕彰部長)鳴戸奈菜 電話03-3839-8190 
  
 ※句は現代俳句データベースにもアップされています。