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第13回現代俳句協会年度作品賞は中村克子氏「沈黙は距離」

顕彰部 (2012年9月10日掲載)

 当協会では、去る9月10日(土)協会事務所において第13回現代俳句協会年度作品賞の選考委員会を開催し、応募176編から、中村克子氏「沈黙は距離」に授賞作品を決定致しました。
 なお、次席は中井洋子氏「名は軍手」でした。


   「沈黙は距離」   中村 克子

  沈黙は人恋うる距離十三夜

  八月の記憶ぶつかり合っており

  風がきて人間くさき菊人形

  家系図をたどりてゆけば天の川

  月光を纏いてきたる通夜の僧

  青空のために咲きいる冬桜

  晩節の扉はかるく石蕗の花

  雑踏に黒の落ち着く二月かな

  遠景を崩さぬように冬の雁

  切株の貌してひとり冬日向

  雑踏のひとりにひとつ冬の月

  人を見てから白鳥の翔びたてり

  春一番ふわりと闇を裏返す

  朧夜の針一本の行方かな

  見えぬもの追いかけてゆくしゃぼん玉

  にんげんを離れてゆきぬしゃぼん玉

  これからも軍手と呼ばれ春耕す

  葉桜の闇に落ちつく齢かな

  夏山へ連れ出す父の影法師

  炎天下たましいだましだまし歩く

  人も木も浮遊している熱帯夜

  蟬の穴のぞく哲学を探るように

  葉桜のうしろに伸びて別の道

  体内の紐ゆるゆると秋立ちぬ

  一本のくさりに縋る紅葉山

  東京の空のでこぼこ鳥渡る

  青々と顔なき秋刀魚売られけり

  木守柿たましいばかり残りたる

  乗換えるたび天の川近づきぬ

  もう逢えぬ距離なり釣瓶落しかな



◇受賞者のプロフィール

中村克子(なかむら・かつこ)

・1937年(昭和12年)長野県生まれ(74歳)。栃木県在住。
・1998年(平成10年)「梯」・「鬼怒」入会。石田よし宏に師事。
・1999年(平成11年)「響焰」入会。山崎聰に師事。
・2000年(平成12年)「地祷圏」創刊同人。
・2011年(平成23年)「響焰賞」受賞。
・2012年(平成24年)第66回栃木県芸術祭文芸賞受賞。
・現在、「響焰」・「地祷圏」同人。現代俳句協会員。
・句集に『裁ち鋏』。


◇選考委員(五十音順)
 石倉夏生、田村正義、花谷 清、松井国央、松澤雅世、森田智子、山?十生


◇表彰式
 平成24年10月27日(土)午後1時より「ホテルグランヴィア大阪」にて開催の「第49回現代俳句全国大会」席上にて。


◇お問い合わせ・現代俳句協会事務局  電話03-3839-8190