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第12回現代俳句協会年度作品賞は田中朋子氏「揺れている」

協会事務局 (2011年9月15日掲載)

去る9月10日(土)協会事務所において第12回現代俳句協会年度作品賞の選考委員会を開催し、
応募184編から下記のとおり田中朋子氏「揺れている」に決定致しました。
なお、佳作は長井 寛氏氏「白い嘘」でした。

  「揺れている」    田中 朋子


  月までの距離梅干しを裏返す

  似たような家似たような夏の虫

  青葉騒塩たっぷりと茹で玉子

  蛇衣を脱ぐ半熟という脆さ

  ペダル踏み込んで五月を傾ぐなり

  六月をジグザグ進むミシン針

  とれそうなボタン雨から雪になる

  豆撒きの豆の一粒サハリンへ

  セーターに小さな毛玉父母いない

  手袋の片一方に難がある

  ふと外す指輪の湿り遠い火事

  春ショールするり汽笛が遠ざかる

  晩夏光みな右側に降りるなり

  揺れているのは新涼の旅心

  海風を纏い秋暑を折り畳む

  やきそばの青海苔まばら原爆忌

  冬の月となりの席が空いている

  寒波来るばりばり破く包装紙

  初売りのきれいな箱の上に箱

  菜の花の黄が揺れ女よく笑う

  ぶらんこを小さく漕いで人見知り

  寒戻りけりペッパーのひと振り目

  字余りのような叔母です夏座敷

  春の地震鞄の底をまさぐりぬ

  里芋のぬめり三流週刊誌

  雪催すぐに視線を逸らされる

  石ばかり松ばかり見て二月逝く

  辛夷満開一呼吸二呼吸

  女郎蜘蛛まだ半分は素顔なり

  新緑や塗り替えている壁と夢


現代俳句データベース収録の田中朋子氏の句はこちらから



◇平成23年度受賞者プロフィール

田中朋子(たなか・ともこ)本名、藤井朋子

・1954年(昭和29年)群馬県新田郡尾島町(現太田市)生まれ(56歳)。埼玉県在住。
・1990年(平成2年)「麦」入会。田沼文雄、橋爪鶴麿に師事。
・1996年(平成8年)「麦」同人となる。
・1999年(平成11年)現代俳句協会員。
・2006年(平成18年)現代俳句協会火曜教室に参加。
・2011年(平成23年)「麦収穫祭」(30句)第一位受賞。
          橋爪鶴麿、対馬康子の指導を受け現在に至る。
・句集に『ぶりっこ』。



◇選考委員(五十音順)
  加藤光樹、田村正義、花谷 清、松井国央、松澤雅世、森田智子、山?十生


◇表彰式
  平成23年10月22日(土)東京・東天紅上野店にて開催の第48回現代俳句全国大会の席上にて。


*お問い合わせ先
  現代俳句協会事務局  電話03-3839-8190


                                以 上