現代俳句協会からのお知らせ

現代俳句コラム

絹の言葉木綿の言葉賀状読む宮崎斗士
「おい、母さん、嘘だろ。私の年賀状はこれだけかね」
「ええ、さっき孫たちが分けてくれましたよ」
「いやいや、こりゃあないだろう。去年まではこんなに(電話帳を指で挟むようなしぐさを見せ)あったのに」
「はいはい」(笑)
「母さんの方が多くないか、これじゃ」
「はいはい」(笑)
「子どもたちのは」
「そこそこ(電話帳の半分くらいの厚さを指で見せて)あったかしら。孫たちは、ほとんどスマホで挨拶だって。三枚ずつくらい、大事そうに持って行ったわよ」
「そうか」(憮然)
「あなたのは会社と取引先のがほとんどでしょう。定年したら、ねえ」
(憮然、憮然)私だって、そのくらいは覚悟していたが、まさか、ここまで薄くなるのか。
「映画のパンフレットじゃないんだから・・・」(ぱらぱらと年賀状に目を通しながら)
「あら、映画いいわね。スターウォーズ、観に行きましょうか」
「何を言い出すんだ、お前」
「あのころ観たじゃない、スターウォーズ。あの一作目の、前の話が最新作ですって」
「なんだって」(?)
「だから、最新作が、一番最初に観た映画の、前の世界のお話なのよ」
「へえ。そりゃ面白そうだな」
「そうでしょ、思い出の映画ですものね。あの初デートで、あなた、」
「お、母さん。睦月くんのところ、孫生まれたってさ。これ見ろよ」
 
「はいはい」(笑)
 
出典:『海程』平成285月号
 
 
評者: 中内亮玄
平成29年1月18日

インターネット俳句会

着ぶくれて危うきことに近寄らず
鈴木良二
雪あかり額に乗せて眠るひと
氷口 恵

インターネット俳句会「一般の部G1」高点句

得点番号俳句俳号
24687活断層刺激せぬよう大根抜く青野草太
14336無医村をいくつも抱きて山眠る木田硺朗
12885携帯の圏外にゐる寒さかな風の鳥
11948雪吊や縄百本の月の影草紅葉
101古暦捨つるも過去は捨てられず咲く子
1057落すもの落し冬木の黙秘権石口翼
10144この人と暮らす不思議や年歩む旬風
1041出来ぬことまたひとつ増へ年暮るるジロー
9819仏壇にケーキ一切れクリスマス暁兵
9440漱石忌曲がつたことも少し好き小野たま
9103衣被つるりといかぬ嫁姑廣瀬布美
9278十軒で守る秘仏や去年今年武衛門

インターネット俳句会「一般の部G2」高点句

得点番号俳句俳号
11505嫁がせて卓の広さよ鰤大根藤井寿豊
1116私より私を覚え日記果つ霞山旅
106肥し入れ入日鋤き込む冬田かな万屋あたる
8415オリオンのこの高さなら逢いに行く
81060セーターに毛玉の出来て恋終はる風来子
71025忘れたき事ある人の雪下し落猿
78凩に押されてくぐる縄のれん高島郁文
7986エチオピアのようなマフラー探しけり司啓
6333数式を解いてストンと冬に入るくりきんとん
6317母の手に小さき匙の冬至粥落猿