■投句一覧

1 春曇 花とゆううつ 風になれ
2 春の日や階段走る太き脚
3 手の数と取手の数とつばくらめ
4 銀輪より「がんばれ」の声春隣
5 腕白の爆ぜて転げる春日かな
6 春うらら昨日の涙乾きたり
7 大粒の光体となり春飛沫く
8 筮竹をもんで父祖の地雪しまく
9 竪琴の指より蝶の生まれけり
10 復刻版グリコのおまけ花曇
11 泥団子のこわしこわされ桜の芽
12 ただならぬ音だ麦青む早やさ
13 雪女車のライトが欲しいと言う
14 江ノ電をひと駅あるき春惜しむ
15 白蓮飛んでモーツアルトの髪飾り
16 さざ波と水尾を紡ぎて木の芽風
17 どちらかと言えばコーヒー潅仏会
18 酔いどれとわが名呼ばれん春嵐
19 海泣くや喉元熱き発電所
20 若かった自分探しの蜃気楼
21 煎餅の老舗の秤春ショール
22 星占いみんな当って春一番
23 門限なき恋猫もどり大食らひ
24 紙ふぶき舞台に舞ひて西行忌
25 暮れかねて夕陽大きく海の果て
26 ママと呼ぶ声の甘さよ春の土手
27 登り来て梅のしだるる経に出づ
28 チューリップ揺らして目覚む保健室
29 はくれんは天使の休憩所かも知れぬ
30 メロンパン過去真向かいに冬木の芽
31 流るゝと見えて流れず花いかだ
32 ゆっくりと噛むことに慣れ木の芽雨
33 菜の花に囲まれ齢とけてゆく
34 初蝶に学費の話途切れけり
35 雲の間にこもりっきりの冬陽待つ
36 鶯餅連れて来し分喋るなり
37 「BSE」卒業試験に出題す
38 カタクリの首筋に落つ春の雪
39 春の風邪武装解除の隙を突き
40 囀りや二合の酒のはじめなり
41 雑踏の二月足りない献血者
42 秒針がチクチク刻む午前2時
43 水温む朝顔の種浸しけり
44 いつまでも春の眠りのままでいる
45 郵袋の三角四角卒業期
46 孝遅し亡父母供養春彼岸
47 春満月カエルコールの鼻の先
48 目疲れのはこべらの色やわらかに
49 ものの芽や金子みすずの星覗く
50 あたたかき哺乳瓶の日を地下鉄に
51 寒桜万歩と何歩折り返す
52 啓蟄やあくび泪の第一歩
53 蛤や合うひて別れて日の暮れぬ
54 石屋の社長いつも長靴猫の恋
55 春望にゴルフボールを乗せてゆく
56 月光の朧に噎せて居はせぬか
57 暖房を効かせて猫が爪を研ぐ
58 涅槃図へ紛れ込みたる雀かな
59 春光のどんと双手に雲竜像
60 庭先にミリのつぼみの命あり
61 野焼きしてよくよく見える埼玉県
62 福は内父も娘もフリーター
63 春めきてマンホールからヘルメット
64 教会の十字残れり夕霞
65 惜しみなくミモザ咲きたり洋菓子店
66 異論ありホウレンソウの武勇伝
67 子も拝み男も参る針供養
68 マニュキアの指虜こにしたるつくしんぼ
69 柵の影横倒しなりたんぽぽに
70 19 ゆっくりと大人になろうね冬青空
71 春の鯉埴輪のやうに口開いて
72 雪解川触るるものみな鮮らしき
73 筍は重かろう伯父は戦傷者
74 春泥を駆ける十万馬力かな
75 巣つばめの戻りはいつも一直線
76 花大根背丈の猫語睦みあう
77 惜別の色にはあかるき落椿
78 ティタイム紅まんさくの底ひより
79 海に落ちる春の夕日やシャボン玉
80 唐三彩男もすなる日記買う
81 ルビ付きの文庫本から春立ちぬ
82 一歩いで川とうとうの芹を摘む
83 雛の間の合せ鏡に老兵が
84 母の手と風船の緒と父の手と
85 かたくりや返信めーるに万葉歌
86 最終戦カメラがこどもに追いつかず
87 雪こんこ湖面にこんこ地にこんこ
88 春宵や鴉七つの子を突付く
89 蒲公英やとつくにの野は義足の子
90 心の部屋のエアコンが故障しています
91 地球ごとマイナス思考日向ぼこ
92 白い日へシャネルでよいとのたまえり
93 外遊の蝶蝶健気に舞ひ踊る
94 猫柳擦り傷にひかりをためて
95 永き日の表紙から読む新刊書
96 亀は鳴くうそと言ふなら飼つてみな
97 診察待ち吹かれてをりぬ枝垂れ桃
98 こぼれ降る 春光の中 笑う猫
99 晴天が好きです 私と犬ふぐり
100 春ショールおとこ棲まわせ米を研ぐ
101 他人様に言へぬ商ひ地虫出づ
102 鹿の斑をにじませてゐる奈良の春
103 みちのくの小芥子細目に春の闇
104 先手うつノウハウ忘れ花粉症
105 結びたる螺鈿の帯や春の宵
106 天を突くヒヨドリの声寒椿
107 新作展出でて四方は木の芽季
108 座禅草語り部はふと口ごもる
109 あやしげな民間療治春の月
110 一枚の障子を燃やす歓喜天
111 鉢の梅めでられること判るらし
112 プラットホームの長垂らすマフラーの鬱
113 ポケットにひそむ地虫をまさぐれり 
114 信仰を棄てず絵踏みのマリーシア
115 鳥発ちし沼の広さに歩を余す
116 春厨母のリズムと児のリズム
117 啓蟄や夢の女に顔のなく
118 その姿整はずとも金盞花
119 身のうちに夫のあやふや葱坊主
120 朝市の茣蓙の一隅猫柳
121 鳥帰る空に北口南口
122 たんぽぽや深入りできぬ間柄
123 園児バス介護バス交う朝ざくら
124 パチンコや万事休すと春の雨
125 亀鳴いてまた焦げ臭くなる地球
126 花冷やペダルを踏んで点くライト
127 読めて書けぬ旧仮名寒さぶり返す
128 紅椿わたしがいないと駄目だから
129 甘酒も出て紙雛の講習会
130 春浅き四国連山蒼く暮れ
131 蒲公英の黄色鮮やかアスファルト
132 桃の花そは三浪の合格子
133 朧めく東京タワー不夜の城
134 まだ少年春の空がくすぐったい
135 六県をまたぎ淡雪奈良に入る
136 ショパン聴く留守番が好き冬うらら
137 山茶花の後のくれなゐ玉椿
138 鳥雲に入りパスポート失効す
139 北面に少し遅れて桜かな
140 立ち雛の子らの門出にウインクす
141 菜の花に明日の空を問ひにけり
142 ばら寿司を食べて私のひな祭り
143 春の日や団栗ころがる旅鞄
144 初花やまづ曇天を仰ぎ見る
145 春雲に紛れ遁走富士の山
146 疲れ目も 見開かされし 春の月
147 充電器赤きランプや春の夜
148 連れがなければとっぷりと春の空
149 桜ちらほら眉を描きポストまで
150 鳥帰る宇宙の色がモニターに
151 あたふたと帳尻合わす弥生かな
152 山桜鳥語拾ってポケットに
153 春の夜の甘き呪文やペディキュアに
154 春愁や詩人を友にすべからず
155 血液のさらさらにまで蕗のとう
156 夢の煙草いとも臭きや花疲れ
157 白鷺や飛びし翼に春の雨
158 伝言が使命花菜に沿ってゆく
159 屋上の犬と目の合う涅槃西風
160 妓王忌のミッキーミニーのペアカップ
161 落ちてゐる赤のクリップ猫柳
162 太陽に黒点がありここに梅
163 月の夜の菜の花畑に迷い込む
164 起案書を持つ階段や寒戻る
165 花なずな踊る阿呆が増える増える
166 風光る中犬を連れた奥さん
167 草の芽に捺しつけし指闇に入る
168 正座して申し込み受く雛の前
169 三代の揃ひめでたし雛祭り
170 ふるさと出たき受験子送りけり
171 春暁や若き刑事がパン買ひに
172 夜陰より濃く息づきて沈丁花
173 産卵の蛙がのるよ枝梯子
174 雪解風イーハトーブの赤い屋根
175 春若し古墳は双つ乳房なり
176 着々と春を進める豊肌かな
177 306水仙花背すじ伸ばした詩一つ
178 カタツムリ制限時間気にもせず
179 三月菜整えきれぬ暮らしかな
180 デジカメに岳持ち帰る木の芽時
181 春陰や雑巾を縫ふミシン音
182 言い訳も笑窪に見せる枝垂梅
183 春愁い電池の寿命測りたり
184 早春の渚に光寄せ返す
185 公魚も蜘蛛の糸には救はれず
186 花粉症友の変装合格せり
187 ピリオドの数だけ君の春を打つ
188 地虫出る五百羅漢の泣き笑い
189 初日の出わたし丸ごととろけちゃう
190 軽き咳歩みを止める啄木忌
191 開発の音ぞ空しき山桜
192 寒雀アウシュビッツの石の階
193 卒業子抱擁から渦へ放出
194 玩具屋の玩具の笛が東風に鳴る
195 多喜二の忌薄日をさらに彼方まで
196 さざなみはさざなみの色春燈下
197 息つぎも付けて囀り五線紙に
198 童心にかへりし指に雛生るる
199 枝垂れてもなほ白うめの凛とあり
200 佐保姫とお茶していますカフェテラス
201 啓蟄や尾花沢漬けの辛さかな
202 刃をにぎり染み出る紅い恋心
203 一灯の言伝ですか黄水仙
204 亀鳴くやみなものを云ふ電化機器
205 定年の真白き未来桜植う
206 立春や介護資格もらひけり
207 待春や着信の文字現れず
208 ポケットのキャラメル硬し浅き春
209 背の低き木にも等しく春の雪
210 氷上の雌雄の花弁の円舞かな
211 真中に婆の赤鼻花菜漬
212 相応の年に見られて梅日和
213 ロンドンの霧より深し混浴湯
214 白梅や老師ますます多弁なり
215 ブラジャーの五十円也春うらら
216 桃咲いてやはらかくなる靴の音
217 春暁や白髪頭を赤く染め
218 雛膳の京を芳らす色模様
219 臍曲げて去りし男に春時雨
220 黄水仙古い電車が棲むところ
221 しなやかにスクランブルを春つれて
222 五線譜に囀り踊る交響曲
223 エプロンをびっしょり濡らし大根切る
224 春蘭や地味に生きるも個性なり
225 ムスカリの子孫繁栄嘘じゃない
226 満ち足りて蔕数へ合う苺狩り
227 観梅のふと「とうりゃんせ」発祥地
228 料峭の宙を切り裂く爆撃機
229 亀鳴くを待つ人生の暇つぶし
230 税務署にまんさくのすぐ弱りたる
231 薄氷やふたたび生まれ来しときは
232 求愛の言葉短し春の鳥
233 面影のかけらを見たり初鏡
234 天に湧き地に湧き雲雀浄土とも
235 満天星に宿題すまぬ子のくしゃみ
236 床の辺に春めくものの音を聴く
237 鑑定の微物鑑識黄砂選る
238 接吻は風邪を移して移されて
239 一つづつ恋の深まる雛あられ
240 314啓蟄の活断層をもたげたる
241 土竜叩きの土竜が沈む建国日
242 誰が払ふ乙女の像の肩の雪
243 長靴のありて下足や春の雪
244 枯れをゆく梢の影を踏みながら
245 姓名判断ひざにたたまれ春ショール
246 空港の塵に紛れる藪椿
247 シャボン玉ふわりと風の道にのり
248 風光りいよいよ深し猫の夢
249 老いやすく老い難しく雛飾り
250 鬼やらひ子は角のなき面つくる
251 話題には中座する父大試験
252 啓蟄や牛乳瓶の蓋を開け
253 春近し色とりどりの厨事
254 「会っている時はいちばん好き」なんて
255 春愁か はた花粉症? 眼がかゆい
256 長すぎる冬菊十本休肝日
257 卒業や低き鉄棒ひんやりと
258 沈丁花小雨を縫ひし仏間にも
259 賞味期限のない夫婦春田打つ
260 湯気出せば消されかねない爺朧
261 風吹いてわが身を想う日々の粒
262 合格の笑み弾けゐる弥生かな
263 正直に生きた証のチューリップ
264 彼もなにもかも春山らしくやわらかく
265 難聴の児にゆつくりとぜんまい萌ゆ
266 涅槃西風へうへう前方後円墳
267 夜桜に北極星のありどかな
268 草摘みて放されし犬遠くなり
269 21 象の耳パタンと閉じて寒明くる
270 恋しくて石なげつける百千鳥
271 鳥雲に旅程に名代のどんがら汁
272 甕伏せてあり亀鳴くという風土記の丘
273 水温む機械仕立ての稲の列
274 春暁や鳥語に別れの気配あり
275 一本は捨句に灯し花薺
276 落椿踏めばこの恋おわりそう
277 桃咲いて少女の頃の髪型に
278 お礼などいらぬがどこかでお礼待つ
279 三月や髪切ることも出来ごころ
280 追伸に本音一行亀鳴かす
281 雪解水雲に乗りたる児の濡れて
282 国債も借金もなくひじき煮る
283 遊びすぎて糸遊となるらん
284 介護士の声頼りなり春の庭
285 馬場不良ハンデなど無し春の泥
286 手を触れて早稲田猫塚春立つ日
287 のどかなり羽を広げし川鵜かな
288 追って来て追って来て鼻づら孕鹿
289 読経中鳥の交るを考察中
290 雪間草君ほこらしき白き膝
291 マフラー頬までふっわと暗い大都会
292 春隣せんじ薬の甘さ増す
293 森の香を連れて流れる春の川
294 御詠歌は農協婦人部彼岸寺
295 春の闇出自をさぐる猫眼光
296 ちょうちょちょうちょちょちょっと飛んでちょこざいな
297 オゾン層てっぺん薄く春立ちぬ
298 牛といふ文字(もんじ)淋しや春の暮
299 ここだけの話なのです地虫出づ
300 風光る砂丘の「愛」を消さないで
301 骨だけのマンモス立てる余寒かな
302 昼過ぎて 重き瞼に 春おちる
303 躓いて見慣れた空が低く垂れ
304 採血のゴムの勝気や桜季
305 コーヒーでためす名水日永かな
306 ITの社会つくづく目刺焼く
307 忌の明けて天に広がりゆく木の芽
308 胸の火のどこへも行かず春の雲
309 ブランコを揺らす子も無し日が暮れる
310 花便り眼鏡に付いたる染み一つ
311 麗らかや男を消してまた書いて
312 120赤海鼠マニュキアの指に失神す
313 鶯に似たり隣の部屋の人
314 孤独とは自立の始め花菜漬
315 退屈に退屈地虫出てきたよ
316 内視鏡結果良好あたたかし
317 紅梅が囁いている近づかず
318 梅林を抜けし時より梅匂う
319 如月や舐めては針に木綿糸
320 早春譜ひとり裏声出している
321 総身の力を抜きて青き踏む
322 蜂よぎる今日は健康診断日
323 春はあけぼの壁紙の色替えにけり
324 冴え返る男が祈る夜がある
325 雛の家のうしろは何時も波の音
326 ものすべて鈍角になる春おぼろ
327 顔と声の謎が解けたる百千鳥
328 控えめに生くるを旨と寒の紅
329 木蓮の花ほころびて子ども発つ
330 欲望のパラソル冬のてろりすと
331 ふる里は遠くにありて花粉症
332 残り鴨夫忘れしこと多き
333 若草や節目節目に土竜塚
334 ライラック祖母の写真の涙目に
335 サイレント・ヴァイオリン欲し草城忌
336 ものの芽の問診表に潜みをり
337 幼木の桃畑一まい桃色に
338 春暁や日光に久しき眠り猫
339 限りなく乙女椿の咲いて伊豆
340 うつすらとうつつうつせる朝寝かな
341 春の雲好きなコップにしまっておく
342 鑑真の座す千年や春の宵
343 右脳左脳踏み分けて入る花の季
344 畦焼きや四角四面の田となりぬ
345 風花の瞬時睫毛のありしこと
346 春昼や母なる海へ行き当たり
347 啓蟄やカーテン順に取り替えて
348 教え魔の守衛Kさんひきがえる
349 春炬燵左右にでっかい辞書二冊
350 のどけしやこんな日親の死を願ふ
351 逃水や一攫千金いつの世も
352 花の散る姿にもあり微分法
353 とらへたる男を南風に戻しけり
354 啓蟄や地球を覗く虫眼鏡
355 立春の正座をしたる靴磨き
356 初蝶といふには晩し春の蝶
357 和泉流宗家狂言揚雲雀
358 膝小僧くすぐってゆく春の風
359 春の夜の礼状といふ長きもの
360 灯明に襤褸曳く人春寒し
361 春雷や成るなら総理よりマフィア
362 妻若き日の諍ひや黄水仙
363 改札口出会いと別れの通り道
364 啓蟄や五七五はドット・コム
365 春浅き街にバナナの叩き売り
366 霜柱塚の太刀持ち露払い
367 三月を哀しき月にするものか
368 春泥や子供の頃の秘密基地
369 凍雲や凝りて春の空寒し
370 春の風吸い込み動く骨の列
371 赤ワインはビロードの味三鬼の忌
372 大根を引きずってくる畑の景
373 初音聞いたは右耳左耳
374 葬列の中をゆらりと春の鮫
375 揚げ下手な凧にべそかく春休み
376 春の雪鳶の孤影に追ひつけず
377 春寒の黙解き放つ電子錠
378 大ぶりの茶碗湯気立つ菜飯かな
379 初音かな部屋に紅茶の香りして
380 梅櫻菜の花までも狂い咲く
381 象牙質知覚過敏症水温む
382 末黒野に失せ物の雉子翔つ日なり
383 島遠く波打ち際の風眩し
384 鳥帰る母の役目の減ってきし
385 薄氷を踏みしだきゆき登校せず
386 許し合う空気にいつも猫柳
387 虹二重異国の丘の嫁姑
388 駅弁の笹寿司小ぶりや彼岸冷え
389 地蔵の鼻ふっくら花の裏通り
390 君は君でいいんだよ花薺
391 何処からとなく湧いてきて花の人
392 耕人のたゞ一点を眺めをり
393 散歩道 跳んで横切る 猫の恋
394 春宵や化粧上手になりました
395 髪切って梅四五輪へ深呼吸
396 泣き虫にちちんぷいぷい山笑う
397 ジェラシーは温き血のある藪椿
398 風光る電話の余韻五秒間
399 曇り日の内部に灯るクレーかな
400 鳥帰る文字をおぼえし子の便り
401 地球儀の表裏わからぬ四月馬鹿
402 時に妻時にかの人雪女
403 散り終へし吉野の桜西行忌
404 遠足の列大仏の裏通る
405 母の背に祖母の影見て駆け寄りぬ
406 膝の子のみみこそばゆき弥生尽
407 磯遊び頬に一筆砂の跡
408 通勤の早足で見る初桜
409 大寺や五臓六腑のあたたかし
410 すかんぽやあいつは昔いじめっこ
411 三月は意識澄みたる山の端に
412 歯科医院出る風船をひとつ持ち
413 春の日に小さき幸せ届きけり
414 春雨や寝癖のままの女医の髪
415 霞けるナビを頼りの観光地
416 春闘のこぶしの先の揃はざる
417 洗車する水温みたる日曜日
418 よしなしごとや刻み過ぎたる春キャベツ
419 水紋の十重や二重に春の水
420 春愁や木馬が木馬追ふばかり
421 読みかけの本の置き場所おぼろ月