カルチャー教室

研修通信俳句会

平成28年度(第23期)
 全国の熱心な会員の作品交流の場として好評の「研修通信俳句会」は、2016年9月から第23期となりました。

◎俳句会 通信(郵便)で隔月、年6回

  ・投句 毎回5句

  ・選句 毎回10句相互選

  ・講師 松田ひろむ

        原 雅子

  ・会報 毎回 講師選評と互選結果掲載

◎会員 協会員 定員100名程度(三組に編成)

◎期間 平成28年9月から一年間

◎会費 一期7,200円

◎行事 講師・会員が一堂に会する「特別研修会」一回、句会抄を「現代俳句」誌に随時掲載予定。

※添削指導はありません。互選による通信形式の句会となります。

 

スタッフ

宮崎斗士 長谷川はるか 茂木和子 小髙沙羅 栗原かつ代

鈴木砂紅 久下晴美 利光知惠子 植田いく子 芹沢愛子 磯部薫子

第23期・第5回選者特選句
松田ひろむ 講師特選句
Aグループ
休戦に立てておくべし白日傘    河西志帆        
 テロなど、いつまでもきな臭い世界。白旗ならぬ白日傘が印象的。ただ「立てておくべし」と言わないで「立てておく」とさっぱり表現したいところ。
 
東京に微熱のありて初蛍      阪野基道
 微熱という感覚は微妙だが、東京のある一面を捉えているのだろう。初蛍との取り合わせも効いている。
 
自転車で行ける故郷若葉風     飛田伸夫      
 故郷を離れていないということだろう、それなら「故郷」といわなくてもいいのだが、あえて「故郷」として一句となった。季語はもう一考だろう。
 
Bグループ
逃水やとろりと水の上歩く     宮澤雅子
 逃水は確かに水の上を歩くようなものなのだろう。「とろり」のオノマトペが微妙なところだが、これも一つの工夫だろう。
 
夏つばめ動体視力試さるる     鴫原さき子
 動体視力が問題になるのは運転免許の更新のときぐらいだろう。しかし燕の飛翔を目で追いかけるのも悪くはない。
 
桜東風はらりはらりと物忘れ    畑 佳与
 物忘れも老化の一つだが、筆者などはそれにあえて抗っている。句は「はらりはらり」とそれを肯っているのだろうか。それも幸せなこと。
 
Cグループ
飛花落花たはむれにどの付けて   瀨戸山千晴
 誰を「殿」(どの)と読んだのだろうか。桜の中で殿様気分の彼であろうか。それも飛花落花の一瞬のこと。
 
はつなつの浄土へ好きな服を着て  服部近江
 浄土へ行くは死んだということだが、句はどこまでも明るい。「好きな服」のところが、具体的であれば、なおいいように思う。
 
耳鳴りす田螺の里を出づるまで   石井紀美子
 田螺は鳴かないのだが、俳句では鳴くことになっている、それが「耳鳴り」かも知れない。ちなみにわが家のビオトープではタニシが元気だ。
 
原  雅子 講師特選句
Aグループ
胡瓜揉むあんなに夢があつたのに  山本則男
 若い頃、未来は無限だった。日常生活の中で、或る日ふと感慨が胸をよぎる。口語表現で軽やかに心情を述べて共感を誘う。
 
曝す書のふはりと落ちし正誤表   越前春生
 感情を排して具体的に対象を捉えた作品。曝書最中の思いがけぬ一瞬が簡潔に切り取られた。瞬時の光景に驚きが生まれている。
 
田水張る百枚に日の溢れけり    森下睦子
 広やかな風景。「百枚」とは棚田だったろうか。田植前の水張田は日を照り返して燦燦と輝く。農作業を祝福するかのように。
 
Bグループ
朝刊はもう兜なりこどもの日    秋山貞彦
 新聞で折られた紙兜。寝坊したパパがまだ読んでもいない内に朝刊は兜になって子供の頭上に。こどもの日の楽しさに溢れた作品。
 
木の椅子のまだ濡れてゐる鳥曇   川村智香子
 湿り気を帯びた木椅子の質感が際立つ。だが雨後ならば「曇」よりも晴れる方が印象鮮明。季語を一考したい。〈鳥の恋〉などと。
 
声かけて留守をたのむやアマリリス 清水里美
 何気ない日常の一齣。平明に叙して、生活感のある場景が描かれた。重量感のある花の存在が面白い味わいを出している。
 
Cグループ
次々と手足が生えて昼寝覚     岩成天風
 肉体が次第に目覚めていく感覚を面白く表現して個性的。「昼寝」を取り合わせではなく、季語そのものの実感に踏み込んだ。
 
姉さんと離れて歩く夜店の灯    夢乃彩音
 妹ではなく弟だろう。幼いながら自我の芽生えてきた男の子の微妙な心理。距離を置きつつ、それでも一緒に夜店の灯の中。
 
小鍬もて鍬の泥掻く春田かな    工藤篁子
 農作業の一動作を子細に言い取って、ありありと状景が浮かぶ。緻密な描写を下五で大きく受けとめて、こせついていない。
第23期・第5回選高点句
Aグループ高点句
畦焼の燻るところまで家族     河西志帆
還暦も古希も担げり夏祭      東 國人
昼下り九条というハンモック    武田稲子
 
Bグループ高点句
朝刊はもう兜なりこどもの日    秋山貞彦
葱坊主やっぱり風は改憲派     田口美喜江
われら帰還せず蒲公英の絮飛ぶ   渡部 健
 
Cグループ高点句
万緑にあなたがいない指定席    服部近江
次々と手足が生えて昼寝覚     岩成天風
祭獅子少年の眼が放電す      大沼惠美子   (長谷川はるか 報)