現代俳句コラム

現代俳句コラム

月の出や死んだ者らと汽車を待つ鈴木六林男
 昭和三十年代の作品。作者も体験した戦争で死んだ人たちへの思いでしょう。「死」が複数のかたちで詠まれるようになったのは、第二次世界大戦後の特色です。戦前は、追悼句か、死を美化するかのケースが多かったのですが、多数の人が死んだ戦争が死を複数のこととして詠むことをもたらしました。
 この作者には、別に<殺された者の視野から我等も消え>の作もあります。
評者: 村井和一
平成13年9月10日