現代俳句コラム

現代俳句コラム

菜種梅雨ああ包丁が切れなくてなかもと淑子
 春の長雨。「菜種梅雨」は、冬から春への境目に降るが、この頃は冬以上に寒いことがある。雨の湿り気が包丁の切れ味を悪くする。包丁が切れなくなる原因は、一つは刃こぼれ、また菜っきり包丁で肉を切ったりすると脂がついて切れ味を悪くする。主婦にとって切れない包丁ぐらい苛立たしいものはない。昔は、「ハサミホウチョウ砥ぎます」と呼びながら砥ぎ屋が街を回っていたものだ。今は昔である。今日ではスーパーで買った包丁の切れ味が悪くなったからといって、スーパーでは砥いではくれない。自分で砥いでますます切れ味が悪くなった経験をもつ人も少なくないだろう。

出典:『津の会定着作品集』
評者: 村井和一
平成21年12月21日