現代俳句コラム

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蜻蛉生まれる長崎の指の先 白木暢子
 「長崎の指の先」というフレーズから長崎の平和祈念公園にある北村西望作の平和祈念像を思い浮かべる人は多いだろう。祈念像の垂直に上げた右手の指は天空を指さしている。これは原爆を、水平に伸ばした左手は平和を、顔は戦争犠牲者の冥福を祈っているという。それが制作者の意図である。その祈念像の右の指先に蜻蛉が止っている情景。それは作者の幻の景かもしれない。しかし、平和でなければあり得ない情景だろう。

出典:『津の会定着作品集』
評者: 村井和一
平成21年12月11日