現代俳句コラム

現代俳句コラム

めんめんと恋の鳥鳴く忿怒仏丸山海道
 美貌の十一面観音で名高い湖北の渡岸寺。正面のお顔の美しさとはうらはらに、後頭部にはぎょっとするほどものすごい暴悪大笑面が彫られていて、一度見たら忘れられません。忿怒像は明王に多く、四天王寺別院の愛染明王も、愛染の名にひかれて訪れると、牙を剥いた怒りの形相に驚かされます。この句は「めんめんと恋の鳥鳴く」までのリズムとムードが恋の気分に相応しいだけに、下五の意外な収め方が却って効果的に働いているのです。
 
評者: 倉橋羊村
平成14年4月1日