地区活動

各地区の活動 【神奈川】

会長𠮷田 功
事務局長尾崎竹詩(崎は立に可)
事務局
郵便番号〒259-0155
所在地神奈川県足柄上郡中井町松本822-5
TEL0465-81-2371

総会で挨拶する𠮷田会長

【 地区の紹介 】

会長挨拶 𠮷田 功
 平成25年2月の総会において神奈川県現代俳句協会会長を務めることになりました𠮷田功です。協会運営の重責を担うことになり、身の引き締まる思いでいっぱいです。私は現在、結社誌『麦』に所属しております。
 前会長の森田緑郎先生におかれましては、長年にわたり強いリーダーシップで県協会の発展にご貢献賜りました。先ず、その主なものをご披露申し上げますと、創立20周年・25周年・30周年記念大会を敢行され成功裡に納められたこと。また、神奈川県を3ブロックに分け地域の活性化を計られたこと。そして、湾岸大賞を創設し近県との融合を保ちながら現在の基礎を作られたこと、等々があります。私はこのような輝かしい実績の上に立ち、これから一期二年を会員の皆様と共に魅力ある現代俳句協会を目指し、微力ながら邁進して参る所存であります。どうか皆様の忌憚のないご意見、ご叱責をお願い致します。
 さて、ここ数年の会員の漸減傾向に歯止めをかけるため、私は魅力ある協会とは何かについて考え、実践して行きたいと思っております。たとえば会員の皆様が生き生きと活動されれば、「何かあの方の会に参加すると良いことがあるらしい」という噂が広がり、それが協会の発展につながるのではないかと考えます。会員が増えることにより色々な考えの方と話し合えることが、座の文学としての俳句には必要です。それに加えて、人とのつながり、俳句を通して行き会った人々との結びつきこそが自分自身の視野を広げる要素となり、それらを実践していくことが俳句作りにいそしむことになってゆくのではないかと思います。今後のご協力のほどを何卒よろしくお願い申し上げます。
(2013年3月6日更新)

【 行事 】

(2018年12月6日追加更新)
【今後の予定】

§ 4ブロックの活動と予定 §
神奈川県現代俳句協会では会員相互の活発で密接な活動を支援する為、県全体での活動とは別に4ブロックに分けての活動を毎月実施しております。これにより、より綿密な会員サービスが可能となります。今後とも、各ブロックの活動に積極的にご参加くださいます様、お願い申し上げます。
【横浜ブロック(星川句会)】 ブロック長:なつはづき
於:星川アワーズ
・9月 平成30年9月3日
長き夜の吐息深々永らえる      麻生  明
甘酒が呼び水となり深酒に      石川 夏山
蜩を間近に山の湯の溢れ       川島由美子
新涼が水平に来る海の町       川名 将義
片陰や椅子の老犬ぺったんこ     栗原嘉一郎
怠慢な首から老ける花梯梧      内藤ちよみ
甲冑の中はからっぽちちろ鳴く    野木霞丘子
カツ丼の差し入れ届く夜半の秋    福原  暁
不確かなことそのままに南瓜切る   藤原眞理子
しがらみを山河に浮かせ障子洗う   町野 敦子
かなかなの声に添ふごと日の暮るる  山崎美恵子
鷺草をのこして風の行方かな     渡辺 順子
失恋のてのひらに熱ねこじゃらし   なつはづき
・10月 平成30年10月1日
つま先に木漏れ日を置く九月尽    麻生  明
潮の香をはばたき落とし小鳥来る   石川 夏山
赤んぼに友達できた小鳥来る     桐山 芽ぐ
傘寿越え我が道をいくとろろ汁    栗原嘉一郎
台風の押えどころや自在鉤      内藤ちよみ
律儀なり皮を飛び火の曼珠沙華    野木霞丘子 
柿まろまろ皮膚をつまんで老い測る  早坂 澄子
目の黒い秋刀魚の覗くガスレンジ   福原  暁
十月や眼鏡はづして雨の昼      藤原眞理子
晩年は距離が縮まり花薄       町野 敦子
鉄塔の連なる町や後の月       山崎美恵子
まだ傷の味がしている有明月     なつはづき
※今後の予定 毎月第一月曜日 星川アワーズにて。
(参加ご希望の方は、「横浜ブロック(星川句会)参加希望」の件名で
協会お問合せアドレスまでご連絡ください。協会員以外のかたもいらっしゃっています。)
<なつはづき・報>

【川崎ブロック】 ブロック長:加賀田せん翆
於:川崎市総合自治会館
9月句会 平成30年9月15日(土)
また癌襲がばとかき込む麦とろろ   麻生  明
過ぎた日を数えて螢袋かな      植田いく子
母の忌や地を這うように式部の実   加賀田せん翠
野に街に過ぎたる秋雨の過失     佐藤 廣枝
木地師出て木屑をはたく良夜かな   関戸 信治
メロンパンいくつも持って秋日向   福原 瑛子
再会の横浜ぎんなん匂ふ日よ     三沢 容一
国破れ台風一過また一過       山老 成子
鰯雲過密の街のひとりなる      山田ひかる
列車過ぐ芒大きく振る別れ      吉居 珪子
繰り返す過ち十六夜が怖い      町野 敦子
10月句会 平成30年10月20日(土)
顎なでて曼荼羅にいるそぞろ寒    麻生  明
彫像の視線の先や秋の空       植田いく子
つつかれてまだ考えている秋の蛇   加賀田せん翠
顎なでる合図見落とす馬の市     佐藤 廣枝
新米をいただく箸を新調す      関戸 信治
踵ある靴を鳴らしてハロウイン    ダイゴ鉄哉
俳句論顎かくかくと冬に入る     内藤ちよみ
空ばけつに当たりちらして冬埠頭   福原 瑛子
きぬかつぎ顎の外れるほど笑う    三沢 容一
この世とは喰う寝るところ秋しぐれ  山老 成子
左手に顎のせており秋の風      吉田香津代
顎髭の豊かなる人菊薫る       吉居 珪子
いつの日か雲になりたい草の絮    町野 敦子
※今後の予定 毎月第三土曜・川崎総合自治会館
<町野 敦子・報>

横浜・川崎ブロック合同吟行会
於・横浜国立大学キャンパス内 平成30年11月17日
−当日句(高点順)−
冬空を押し上げ男子コーラス部    福原 瑛子
キャンパスは近道レジ袋から大根   尾崎 竹詩(崎は立に可)
枯葉積むパラボラアンテナの退屈   山老 成子
小春日や木の階段の乾く音      広田 輝子
冬木の芽はたりと風の止む日和    野木 桃花
来たるべき者へ初冬の椅子を置く   町野 敦子
いっせいにダンスくるくる冬に入る  岩田  信
キャンパスの大空大漁いわし雲    徳江 富子
宝もの見つかりそうな小春かな    加賀田せん翠
掲示板の休講補講小鳥来る      桐山 芽ぐ
学問の道ふみ外し皮コート      内藤ちよみ
声満ちて冬は木立になりきれぬ    なつはづき
枯蔓に躓き空(くう)をつかみたり  川村智香子
六十年タイムスリップして小春    吉居 珪子
帰り花晩年という美しき色      相川玖美子
部活の声広きキャンパス木の葉舞ふ  乗松トシ子
秋日和ヒップホップの国大生     栗原嘉一郎
冬日燦キャンパスカフェみな休み   田中 悦子
冬鴉が紳士の顔で盗みけり      麻生  明
秋の蜘蛛はでなパンツを膨らませ   中島 俊二
−以下清記順−
キャンパスの出入り自由秋うらら   野木霞丘子
キャンパスの小春に嬉嬉と鳥歌う   石坂 晴夫
落葉踏むバス待つ列の六番目     藤原 眞理子
もみじ舞う吟行友とキャンパスで   角田 繁子
立ちつくす枯草にあり節(ふし)二つ  吉野美和子
山茶花の絵手紙届く午下の閉     休場 英子
小春日や教育学部の中におり     植田いく子
あの子かわいやキャンパスに小鳥来る 芳賀 陽子
冬蝶の静止キャンパスのこれから   田畑ヒロ子
冬晴れや学棟鎮守の杜の形(なり)  佐々木重満
冬日燦燦都市科学部の棟はどこ    早坂 澄子
落葉踏む老若に音違ひけり      白石 文男
若者の激しきダンス龍の玉      石川 夏山
いつもより濃き森の色冬の鵙     堀口みゆき                       <なつはづき・報>

【湘南ブロック】 ブロック長:渡辺和弘 
於:藤沢市民活動センター2階会議室
第48回サンセット句会 9月7日(金)
当季雑詠 五句(うち席題一句「白露」)
桔梗の庭の隣りは空家なり      大山 賢太
あさがをの夥しきを弔ひぬ      関根 洋子
太い手も細い手も伸び衣被      塚田佳都子
新涼やモネの絵の色深まりぬ     堀口みゆき
白波の天となりたる白露かな     渡辺 和弘
草いきれ老いもときどき息をつく   渡辺 正剛
第49回サンセット句会 10月5日(金)
当季雑詠 五句(うち席題一句「身」)
狗尾草一本抜いて帰途急       大山 賢太
身の内に腓骨二本や小鳥来る     荻野 樹美 
てのひらの林檎大陸移動説      関根 洋子
測量士二センチ右へ秋動く      塚田佳都子
かりがねの列の時間差海鳴りす    堀口みゆき
星明りお岩木山に鶴の舞う      矢形 建夫
台風の家ごとゆれし受信音      渡辺 和弘
一身は一心にあらずただ愁思     渡辺 正剛
第50回サンセット句会 11月2日(金)
当季雑詠 五句(うち席題一句「文」)
悴みて大きな文字も乱れがち     大山 賢太
碑の文字の判読不能銀杏散る     荻野 樹美
秋夕焼菅原文太暴走す        関根 洋子
この文机に花あらば野紺菊      塚田佳都子
子を産みそな通草の丸み保護区域   内藤ちよみ
秋蝶の微動や温度急上昇       堀口みゆき
母ごしの窓いっぱいの冬の富士    渡辺 和弘
パイプオルガン佛の道へ誘なへり   渡辺 正剛
・湘南ブロック 吟行会 9月13日(木)
於:藤沢市民会館 第二展示ホール
[吟行場所] 藤沢駅周辺。新林公園等。
[講師] 重村力先生(建築家 神戸大学名誉教授、Team zoo イルカ設計集団主宰等)
今回の講演は日本を代表する建築家の一人である重村先生より「地域の文脈を生かす建築」という演題で、各地域どう格闘し、どのような建築を建ててきたか、沖縄から日本各地の特色ある建築について映像を交えての興味深い内容であった。
-入選句-
木琴のように木道赤とんぼ      田畑ヒロ子
小鳥来る語りかけたき自在鉤     渡辺 正剛
長椅子となりし梁照る秋の土間    内田ゆり子
公園は昔の時間赤とんぼ       尾崎 竹詩(崎は立に可)
萩の花揺らす風あり長屋門      芳賀 陽子
裂けるまで思ひを秘めし柘榴の実   川村智香子
園児らの肩くすぐってゆく蜻蛉    内藤ちよみ
長屋門の出入りきままや秋茜     宮崎 温子
手許から燻されていく秋思      岩田  信
まばたきに新涼が乗る新林(しんばやし)公園 小園 葉舟
居て欲しい亀が顔出す秋日和     塚田佳都子
ひとつ跳びまたひとつ跳びあめんぼう 香取千恵子
古民家の秋の匂ひや遠母郷      西野 洋司       
こゑ優し環境保全区の小鳥      堀口みゆき
明け放つ名主の屋敷天高し      松浦 泰子
※サンセット句会十二月及び一月は休会です。   
<堀口みゆき・報>

【西部ブロック】 ブロック長:田畑ヒロ子
於:秦野市立西公民館
丹沢句会(毎月第三金曜日)
・9月句会(第57回) 9月21日(金)清記順
花煙草電車はかがんで乗るという   芳賀 陽子
散骨の話など出る長き夜       中山 妙子
冠を正せ榠樝の実が墜ちる      菅沼とき子
無人駅降りて花野に拉致される    長谷川昭放
枯蟷螂カメラのような眸で睨む    尾崎 竹詩(崎は立に可)
町内の空き家数軒虫の闇       高橋 姜子(高ははしごだか)
俗の彩混じる隙なしそばの花     佐々木重満
底なしの闇がはぐくむ月鈴子     北村 文江
里芋掘る軍手に乗せれば手榴弾    田畑ヒロ子
芸術は百万ボルト曼珠沙華      加藤かほる
かなかながなかなかなかとなくのかな 羽田 勝二
・11月句会(第58回) 11月20日(金)清記順
大空飛ぶ夢見つつ簀(す)に落ちる  羽田 勝二
しづしづと雨夜引きゆく狐の火    菅沼とき子
鵙日和白足袋揃う男衆        尾崎 竹詩(崎は立に可)
晩秋やここより土足厳禁です     芳賀 陽子
よく観れば海鼠に眼の跡泪跡     長谷川昭放
大山の眠りは碧き水のごと      川村 研治
ももんがあ拵(こしら)えたのは誰なのか 佃  悦夫
待つときの化粧は紅し秋さうび    石井 秀稀
ペルソナでごった返すや酉の市    佐々木重満
ふかふかの犬でありたり芒の穂    田畑ヒロ子
重宝は老いの一言冬はじめ      渡辺 正剛
枇杷の花黙っていては解らない    高橋 姜子(高ははしごだか)
・秋の吟行会(第12回 10月19日) 於:小田原城周辺
当日は小田原城天守閣周辺を吟行。参加者は33名であった。参加賞として昨年同様、安納芋をお渡ししました。講演はNPO法人「四十八瀬川自然村」副代表氏田章治氏による「四十八瀬川の原風景を守る」で、動画映像で活動を分かり易く紹介していただきました。
-上位入賞作品20句-
秋天を斬り込んでいる石(いし)垣の反り 佐々木重満
戦なき城の回廊そぞろ寒       岩田  信
銃眼の射程圏外残る虫        尾崎 竹詩(崎は立に可)
手斧目の深き門より新松子      菅沼とき子
本丸の石より秋の滑り落つ      北村 文江
城見上ぐ我も過客や秋の風      加藤かほる
破蓮の影にさざ波立ちにけり     廣崎 龍哉
誰も住まぬ城に居すわるちちろ虫   内藤ちよみ
小田原城なんとさわやかな私たち   早坂 澄子
小田原城評定思えば秋の風硬し    田畑ヒロ子
生きてゐるしるしひよろひよろ昼の虫 川村 研治
秋曇重き門扉や乳房鋲        酒井 敏光
空堀を埋めつくしたる銀杏かな    渡辺 正剛
雨意兆す秋空に反る鯱        川村智香子
天守閣から翔びたい私秋深む     中山 妙子
仇討の刀の錆や蚯蚓鳴く       瀬戸  悠
天守まで登ってみたき秋の蜘蛛    塚田佳都子
北条の城の巨松(おほまつ)色変へず 八木 和子
秋澄めり馬出し門よりボランティア  藤方さくら
腸(はらわた)やコオロギは夜会服だ 佃  悦夫
※今後の予定
丹沢句会 毎月第三金曜日 秦野市立西公民館にて開催
【西部ブロック通信句会のご案内】
句数:三句一組(一組千円) 
投句締切:平成30年12月末日
投句先:〒259-0155 足柄上郡中井町松本822-5 尾崎竹詩宛(崎は立に可)
なお、来年1月の丹沢句会(新年)では昼食を準備して皆様のご参加をお待ちしています。  
<佐々木重満・記>

§ 第三十六回神奈川県現代俳句協会俳句大会 §
平成30年11月23日 於・かながわ県民センター レポート・岡田 恵子
 初雪の便りが例年に較べ随分と遅れ、世界ではフランス大統領が未来への危機感を顕わにした。そんな中、大会を迎えた。幸い秋晴れに恵まれ、十時になると役員の皆さんが手順良く準備を始めた。11時には席題が発表され会場は句会モードに。意表を突いた席題「入」と「おでん」に皆さん驚き乍らも早速ペンを走らせていた。12時過ぎ、参加者97名。総合司会の山田貴世氏による開会宣言、川村智香子副会長の開会の言葉で大会はスタートした。
芳賀陽子大会実行委員長、吉田功会長の力強い挨拶で盛り上がる。御来賓として、東京都区現代俳句協会副会長・松井国央先生、千葉県現代俳句協会副会長・檜垣悟樓先生、東京多摩地区現代俳句協会会長・吉村春風子先生、横浜俳話会会長・梶原美邦先生、川崎市俳句連合会会長・福原瑛子先生をお迎えし、ご祝辞をいただいた。神奈川県現代俳句協会との関係やそれぞれの地域の新しい試み等、興味深いお話をして下さった。
 待望の講演会となる。吉田会長より講演者の松井国央先生が紹介される。小倉緑村・佐伯昭市に師事され、山河賞・檣頭賞・世田谷文学賞受賞。著書に『お菓子と室内楽』・句集『汐曇』『典型的な午後』、現在は「山河」代表顧問をされている。演題は「俳句の生まれるとき」。始めに今年度現代俳句協会新人賞を受賞した神奈川県現代俳句協会会員のなつはづき氏を祝福された。こよなくヨットを愛してきた氏の若き日の話から、戦中から戦後、今日へと戦後日本人が歩んできた道を独自の視点で展開していった。物資が乏しく押しつけられた価値観の中で生きた時代が敗戦で終結。世情は反転し所得倍増を旗印に何でも手に入る時代を夢み、何でも選択できることが幸福と信じ、情報が行き渡れば平和になると思い込み、ひたすら働き働かされた。そうして辿り着いた今日、不都合なことがさまざまな形で現れ始めた。そういう時代を作ったことを自覚し、そういう時代に生きていることを的確に掴むことが大事で、それが俳謔だ、等々。そして人の立ち位置や視点、詩の生まれるときと興味深い話は尽きなかった。
 講演後すぐ清記用紙が配られ選句タイム。2時、司会の山田貴世氏のもと一句会が始まる。披講は内藤ちよみ、伊藤眠、鹿又英一の三氏。スムーズな声調の中、点が重なると会場から響めきの声が上がる。句会ならではの光景だ。採点の係が集計中、尾崎竹詩事務局長より新会員の紹介があった。10人が新会員となられ、当日出席の4人の方々が元気に抱負を述べられた。講評に移り、募集句は酒井弘司氏、森田緑郎氏、吉田功氏、小園葉舟氏から評を頂いた。金子兜太先生が亡くなり、一つの区切りの年となった今年、作品に力があった。グローバルを取り入れ、新しい映像が描かれ、生きる喜びも感じられた。不満のない選句ができた等々丁寧な選評があった。そして、全身でぶつかる主体性・活力ある俳句世界を期待したいとも述べられた。当日句の選評は、来賓の方々、瀬戸美代子氏、中岡昌太氏、野木桃花氏、川村智香子氏より頂いた。自分には考えつかないような句に驚かされたこと、現代を詠み込む努力が大切など貴重なアドバイスを頂いた。田中悦子氏が大会応募作品の成績を発表、吉田会長が賞状・賞品を授与された。応募句1位は衣川次郎氏。当日句成績発表は大本尚大会副実行委員長。芳賀陽子氏が上位入選者に賞状・賞品を渡された。当日句1位は23点の藤方さくら氏。31位からは結社賞が賞品係から配られた。うれしい人、ちょっと淋しい人、色々だが、拍手で受賞者を称え会場は和やかな雰囲気に包まれた。今年度は新たに最多投句賞が設けられ西野洋司氏が受賞された。川村研治副会長が閉会の言葉で締め十七時前に終了した。皆で会場片付けを済ませ和やかに懇親会会場へと向かって行った。参加者・役員の皆さんの協力・御力のもと、楽しく充実した大会となった。
応募句
・神奈川県現代俳句協会賞 柿照るや村は出てゆく道ばかり 衣川 次郎
・神奈川県知事賞     電線で繋がる百戸島の秋    尾崎 次郎
・神奈川県議会議長賞   鳥交る空はすみずみまで多感  かわにし雄策
・神奈川新聞社賞     音がみな気化してをりぬ百日紅 稲吉 豊
・テレビ神奈川賞     明日生きる証のやうに髪洗ふ  山口 愛子
・横浜俳話会賞      真っ直ぐに歩いていても曲る秋 相川玖美子
・川崎市俳句連合会賞   一徹に働く村の蕎麦の花    鈴木 和代
当日一句会
―来賓作品―
おでん買ふコンビニ午前一時半    檜垣 悟樓
おでん食う不屈という語の懐かしや  松井 国央
息抜きといふに確かやおでん酒    吉村春風子
妻のまた留守のコンビニおでん鍋   梶原 美邦
地図の川きれいに塗っておでん食ぶ  福原 瑛子
―入賞作品―
・神奈川県現代俳句協会賞 十二月何でも入る頭陀袋    藤方さくら
・横浜市長賞       遠くなる耳にやさしく冬入日  相川玖美子
・横浜市会議長賞     このおでんどこかに罠のありさうな 衣川 次郎
・横浜市教育委員会賞   身に入むや宙から見えぬ国境  吉村 元明
・テレビ神奈川賞     後の夜の入り口探す芒原    山戸 則江
―佳作―
方言を心おきなくおでん酒      比留間加代
街灯の切れかけてゐるおでん酒    鹿又 英一
マネキンの顔のつるりと冬に入る   吉田  功
三日めのおでん金婚とうに過ぐ    山老 成子
足音の散らばっている冬の入り    町野 敦子
寒に入る蛇口ひねれば太き水     小池 義人
おでん種ボーッと生きていたいだけ  榎並 恵那
紅葉かつ散り入魂の野鍛冶      瀬戸美代子
歌う埴輪泣いてる埴輪冬に入る    尾崎 竹詩
駄句迷句されど味あるおでんかな   鈴木 幸子
冬に入る日産本社ショールーム    阿部 清明
おでん酒酌んで遺言考へる      広瀬 元幸
深入りして三面記事のような風邪   なつはづき
クロワッサンは異国の形冬に入る   岡田 惠子
平成を静かに終へむおでん酒     朝倉さとえ
おでん鍋じかんでこぼこしておりぬ  平田  薫
長ブーツに無理やり入れるふくらはぎ 岡田 典代
奥の手が何にもなくて冬に入る    関戸 信治
多面体一面剥がれ冬に入る      植田いく子
スカジャンの虎の眼きらり冬入日   大本  尚
小春日や笑ひの渦に入る母      菅沼 葉二
退屈といふしあはせのおでん鍋    宮川 欣子
達磨の目まだまだ開かぬおでん酒   望月 英男
蛇穴に入る億という大見出      綾野 道江
作品記録・望月英男

§ 神奈川県現代俳句協会主催横浜吟行会 § 【伊藤 眠・記】
「吟行会開催」
 平成30年8月18日(土)、神奈川県現代俳句協会主催による吟行会が開催された。参加者は六十七名、会場は中華街にある駐労会館である。会場から歩いて行ける範囲の山下公園・みなとみらい地区・山下公園など、横浜の中心的な観光地が吟行地となった。
「吟行日和」
 この日はよく晴れて湿度も低く、八月上旬の猛暑が嘘のような気温20度台半ば。最高気温が28度という絶好の吟行日和であった。実行委員たちは午前10時に会場の駐労会館6階ホールに集合し各部の仕事を始めた。駐労会館というのは、進駐軍で就労する人々の為の施設で、仕事の斡旋や就労者の福祉などの世話する施設であった。ここから徒歩10分の所に、かつてGHQが本部を置いたニューグランドホテルがある。現在もかつての業務を引き継ぎ米軍基地で働く人達を援助しているが、今は小さな会社や喫茶店などが入っている雑居ビルとなっている。その6階で10時30分、受付を開始。受付の係は田畑ヒロ子氏をチーフとし、岡田恵子・関根洋子・山老成子・平田薫の四氏が担当した。ホール入口付近の狭い廊下での作業であったが滞りなく参加者のエントリーが行われ、受付後みな吟行へ出かけて行った。
「吟行会開始」
 12時30分、投句を締切り吟行会開始。司会は総務部長の大本尚氏。氏はこの吟行会の副実行委員長でもある。はじめに内藤ちよみ実行委員長の挨拶があり、今年は中々会場が取れず八月になってしまった事など話された。この吟行会の日取りが決まった時、最も暑い時期の中華街と聞き、幹事たちは参加者の出足を心配したが、蓋を開ければ好天に恵まれ67名の俳人が集う結果となった。次いで大会のことばを川辺幸一参与が述べられた。氏は現代俳句協会本部のジュニア部長である。金子兜太先生亡きあとの協会の方針として、会員の数を増やすよりスターを作り魅力のある団体にして盛り上げてゆくべきであると話された。続いて当会会長𠮷田功氏の挨拶では、現在の神奈川の会員数が約500名であることと、その500名で何が出来るかが課題である、とのお話があった。
「尾崎竹詩氏の講話」(崎は立に可)
 本日の講話者は尾崎竹詩氏である。氏は1947年徳島生まれで「海程」・「顔」などに所属されたが現在は無所属。事務局長として神奈川現俳にご尽力されている。演題は「現代俳句ing」これを「現代ハイキング」と読んで欲しいとお話しを始められた。俳句の歴史から俳句の約束、問題点や可能性について、芭蕉七部集の一つ『猿蓑集』の歌仙「『市中』の巻」を例示されつつ、示唆に富むお話をされた。氏のユーモア溢れるご講演で会場が和んだところで、本日の句稿が配布され、全員三句ずつの選句が始められた。
「句会での講評」
 休憩を挟んで、お待ちかねの句会開始。披講は田中悦子編集部長・芳賀陽子経理部長・鹿又英一参与の御三方である。笑いやどよめきのある中披講が進み、採点係は別室で集計に移った。採点は望月英男幹事をチーフとする荻野樹美・尾澤慧璃・桐山芽ぐ・菅沼とき子・なつはづきの五氏が担当。その間を利用して御列席の先生方にご自分が選をされた句について御講評を賜った。川崎俳句連合会長の福原瑛子先生は句番号7の「絵タイル」を今朝歩いて来たあちこちで見かけたと話され18番について私はフランス山に飽きないが「でで虫」が厭きるのは納得できる、また23番についてはこの辺は何度来ても迷うと共感された。岩田信参与は自分の立ち位置がしっかりしていないと選句が出来ないと述べられ、32番「秋の目覚める」はまさに今日の感じであり、37番の「秋半分だけ門ひらく」を今をとらえて詠んでいると高く評価された。日置正次参与は17番の句にある百五十年の時間の重みに想いを馳せられ、27番には今年の災害等を経て「新涼」が「煩悩を払う」と表現されたことに共感。66番には「おしゃれな洋館」はよくあるが「風」を入れたことにより心地よく鑑賞できたと話された。野木桃花参与は21番の「秋風」にあわれを感じられた事、60番の「秋めく」の季語に刮目され、64番では今の元町と「秋日傘」が美しい女性にマッチしていると話された。川辺幸一参与は8番の「ハイカラ」が爽やかさを伝えている事、67番に若々しさを感じられた事等を述べられ、また現代の俳句は現代仮名遣いで書くべきであると話され、仮名遣いの問題を提起された。鈴木和代副会長は、19番の店が開く前の爽やかな状態を捉えたところ、44番「鈴虫が出陣のうた」が本当に歌っている様な感じがする事、63番が「青東風」を用いたことにより横浜らしい景色になった事等を評価された。酒井弘司顧問は俳句はポエジーを大切にすべきと述べられ、ポエジーを感じた句を選ばれた。6番の「雲食むかに」の比喩を評価、44番「出陣のうた」と平仮名で表記したことによってポエティックになった事、59番大野林火への尊敬の念などを語られた。中岡昌太顧問は自分には作れない斬新な句を選ぶ傾向があると述べられた後、8番の「ハイカラの始め」が御自身にスッと入って来た事、13番の「豚まん」を「残暑」と捉えた事を高評価。また60番「ドア」の向こうにあるものを考えさせられた事などを語られた。久々に参加された荻田礼子顧問は御無沙汰を詫びられた後、人様の句が良く見えないのは自分の調子が良くない時であると話された。23番の気負いのなさを好感され、また59番の大野林火にも想いを馳せられた。最期に𠮷田功会長が29番の「熱帯魚」を最近の女性の服装と捉えた事や、昔と今の中華街との距離感の差異について話され、64番の句を清々しく感じられたと好評された。
「表彰」
 講評の後、望月採点チーフより成績の発表があり、𠮷田会長、内藤実行委員長による表彰へ。そして川村智香子副会長が閉会の挨拶を述べて、本日の吟行会が無事終了した。実行委員たちは後片付けを終え、懇親会会場の「酔楼」へ向かう。懇親会は36名の参加を得て、俳句観や俳論も飛び出す楽しいひと時を皆満喫した。

当日の作品  【佐藤 久・作品記録】
・入賞作品(高点順)                               
元町は風の抜け道秋日傘        鹿又 英一
豚まんを割れば飛び出す残暑かな    加賀田せん翆
秋めくや西洋館に謎のドア       尾澤 慧璃
中華学院秋半分だけ門ひらく      平佐 和子
秋風や墓に祖国の旗を立て       関根 洋子
横浜(はま)や秋絵タイルの船風に乗る 山老 成子
ハイカラの始め横浜涼新た       渡辺 順子
フランス山飽きたでで虫船に乗る    田畑ヒロ子
点線で風を切り取る草の花       なつはづき
炎天下写楽顔して坂のぼる       中岡 昌太
異人墓のクルスは寡黙せみしぐれ    福原 暁
迷い道して新涼の風の中        伊藤 梢
関帝の髭黒々と涼新た         荻野 樹美
熱帯魚チャイナタウンにある自由    大川 竜水
路地一つ違えて危険な残暑かな     尾崎 竹詩(崎は立に可)
よこはまの海は青春鯔がとぶ      長島喜代子
生まれながらのよこはま迷子晩夏かな  荻田 礼子
雲食むかに埠頭のクレーン晩夏光    村上 友美
中華街危険な暑さ越えて今       朝倉さとえ
爽やかや午前八時の中華街       比留間加代
去る夏の光を求め港まで        岩田  信
望郷の十字架掠む秋つばめ       桐畑 佳永
鳳凰の羽われも欲し関帝廟       安藤  靖
炎昼の鬼が吠ゑてる屋根瓦       西野 洋司
新涼やフランス山に林火の碑      佐藤  久
今朝の秋おしゃれな風が洋館に     石山 夏山
大樹と少年にらめっこの兜虫      酒井 弘司
浜に来てブリキのおもちゃ熱くなる   吉田  功
海は秋とほい記憶をたぐり寄す     塚田佳都子
わがこころまで灼くな地の照り返し   川名 将義
・当日作品(清記順)
熟睡する外人墓地に小さき秋      菅沼とき子
酷暑背に獅子文六の猫逃げる      金子  嵩
みんみん蝉ほとりと落ちる白昼夢    福原 瑛子
中華街曾芳亭にて待つ秋風       平田  薫
霧笛橋さやかな名前誰が付けし     稲葉 喜子
見送るも見送られるも秋の海      植田いく子
百五十年の茂りの中の異人墓地     桐山 芽ぐ
いつの間に秋風ハマの海遠見      望月 英男
日傘抱え迷子のように中華街      田中 悦子
敗戦日アメリカ山に中華街       小沢 一郎
灯台は不滅の柱涼新た         北村 文江
籐椅子はかの貴婦人の憩う日々     宇佐見輝子
新涼や煩悩払う関帝廟         鈴木 和代
影踏んで関帝廟へ白日傘        若林つる子
燦めかす関帝廟や秋の天        酒井 敏光
日の本の中国野菜秋の色        ダイゴ鉄哉
代官坂秋の目覚める石畳        芳賀 陽子
旋回す関帝廟のあきあかね       中山 妙子
砕けそうな墓碑にとどまる秋茜     内藤ちよみ
新涼や虚飾を剥がす関帝廟       長谷川昭放
思い馳せクルスにからむ秋の蝶     大本  尚
爽やかやあっけらかんと大桟橋     川村智香子
戯れて秋風吹くや文学館        岡田 恵子
初秋の港に鋼の色の波         広田 輝子
鈴虫が出陣のうた外人墓地       日置 正次
初秋のうしろから声中華街       野木 桃花
涼新た祖父帰国せし氷川丸       伊藤  眠
片陰や小籠包の大行列         渡辺 正剛
進取の気性横浜港にかなかなかな    小泉 敬紀
七色に浮かぶタピオカ涼新た      杉  美香
中華街の粲たる色や秋真昼       阿部 和子
夏惜しむ丘の汽笛の長くひき      星  由江
薔薇園へ静寂彩る秋のこゑ       藤井 正克
赤い靴の少女海向き葉月かな      三沢 容一
汽車道に象の鼻にも遊ぶ鰡       佐々木重満
観覧車がひかる青東風の日本丸     川辺 幸一
秋雲を中華街まで連れてくる      藤井 みき

§ 役員構成 § 〔平成30年4月19日現在【太字は新人事】〕
名誉会長:森田緑郎
会長:𠮷田 功
副会長:朝広純子・川村研治・川村智香子・鈴木和代・西野洋司
事務局長:尾崎竹詩(崎は立に可)
同次長:佐々木重満
事務局付IT部長:伊藤 眠
同副部長:堀口みゆき
総務部長:大本 尚
同副部長:岡田恵子・佐伯千年・渡辺照子
事業部長:内藤ちよみ
同副部長:村上友美・藤方さくら
編集部長:田中悦子
同副部長:なつはづき
経理部長:芳賀陽子
同副部長:平田 薫・斉藤すみれ
幹事:青島哲夫・秋山貞彦・朝倉さとえ・石鎚 優・伊藤 梢・稲葉喜子・植田いく子(編集部)・宇佐見輝子・潮 仲人・岡田恵子(総務部)・岡田典代・荻野樹美・小沢一郎(事業部)・尾澤慧璃・加賀田せん翆・金子 嵩・川名将義・桐山芽ぐ・佐藤久(事業部)・菅沼とき子(編集部)・関根洋子(経理部)・田中周利・塚田佳都子・山老成子・望月英男(編集部)・西村弘子・長谷川昭放・平佐和子(編集部)・比留間加代・福田洽子・広瀬久夫・町野敦子・山田ひかる・吉野美和子・吉村元明・らふ亜沙弥・若林つる子・渡辺順子
横浜ブロック長なつはづき
横浜副ブロック長:桐山芽ぐ
川崎ブロック長加賀田せん翆
川崎副ブロック長:町野敦子・山田ひかる
湘南ブロック長:渡辺和弘
湘南副ブロック長:堀口みゆき・渡辺正剛
西部ブロック長:田畑ヒロ子
西部副ブロック長:佐々木重満・長谷川昭放・菅沼とき子
監査役:川島進一・中山妙子
顧問:綾野南志・荻田恭三・荻田礼子・小園葉舟・酒井弘司・佐々木英子・杉本かずみ・瀬戸美代子・佃 悦夫・中岡昌太・藤田 宏・前田吐実男・諸角せつ子
参与:相川玖美子・綾野道江・岩田信・小関邦子・鹿又英一・川辺幸一・河野 薫・小町 圭・手塚玉泉・長島喜代子・野木桃花・福原瑛子・三村凪彦・山元志津香・日置正次・山田貴世・渡辺正剛・川嶋隆史・木村和彦・衣川次郎・武井梅仙・広瀬元幸

§神奈川県現代俳句協会・平成30年度定時総会§
平成30年3月25日 於・かながわ県民センター
 桜の開花が今年は例年より一週間ほど早く当日はまさに花見の時であった。幹事の皆さんの手際良い準備で定刻通り始まった。十一時四十分に席題が出された。「舟」と「横」のお題で今回は「季語の題がないね」などの声が聞かれるなか、みな一斉に俳句モードになり俳人の顔になっていく。十二時三十分、総合司会の大本尚氏の総会宣言、川村智香子副会長の開会の挨拶により、総会が始まった。尾崎竹詩氏(崎は立に可)より、会員数五百三十名のうち、委任状二百二十五名、参加者七十二名で総会が成立したことが報告された。
 まず𠮷田功会長の挨拶、過日亡くなられた金子兜太先生の話などをまじえて話された。続いて来賓の方々より、まず横浜俳話会副会長の加藤房子氏、千葉県現代俳句協会幹事長の高橋健文氏、東京都現代俳句協会総務部長の山本敏倖氏、東京多摩地区現代俳句協会副会長の山崎せつ子氏、川崎市俳句連合会会長代理の福原瑛子氏よりそれぞれにこころ暖まるご祝辞をいただいた。山本敏倖氏は「組織とは優秀な俳人を育てるためのものであって欲しい」と話されみな頷いていた。
 続いて総会議事に入る。事前にお願いしておいた議長団、議長に木村安以子氏、副議長に佐伯千年氏が選出された。つぎに尾崎竹詩事務局長(崎は立に可)から二十九年度の事業報告が行われた。続いて芳賀陽子経理部長からは二十九年度の決算報告がなされ拍手で承認された。引き続いて三十年度の事業計画と、三十年度予算も提案された。質疑応答のなかで「東部ブロックが、横浜と川崎に分かれるとのことで、今までの三ブロックから四ブロックに増えるが予算はそのままでよいのか?」と、予算についての質問があった。その回答として「前年度と予算は同じになっているが活動が増えれば当然マイナスになるがそのことは考慮している」との回答があり事業計画、予算案ともに拍手で承認された。議長団が解任され、新役員、新会員が紹介された。その後各ブロックより活動報告がなされた。東部ブロックより広瀬久夫氏が、湘南ブロックは渡辺和弘ブロック長が欠席のため堀口みゆき氏が報告を行った。西部ブロックより田畑ヒロ子氏。それぞれ積極的な活動が報告された。
 三十分の休憩の後待望の一句会が行われた。今回はお花見の時期のせいか空席が目立ったが六十六名の参加であった。司会は大本尚氏、披講は内藤ちよみ氏、芳賀陽子氏、鹿又英一氏、採点は衣川次郎、小澤慧璃、なつはづき、堀口みゆき、若林つる子氏らのメンバーで進行した。それぞれ選句も実力のうちと真剣に取り組んでいた。六十六名の選句が締め切られ選句結果が発表されるまでの間、来賓の先生方よりご自分が選ばれた句を中心に、高橋健文、山本敏倖、山崎せつ子、福原瑛子各氏の順に講評を頂いた。続いて顧問の中岡昌太、瀬戸美代子、副会長の鈴木和代、会長の𠮷田功、名誉会長の森田緑郎各氏より講評並びに感想などをいただいた。森田氏は平田薫氏の句「ねえ横ぎっていいかしら菜の花」の句をとりあげて現代的な感性がこれからは必要ではないかと話された。
 結果が発表され一位は福原瑛子氏の「横向けば何処かがゆるむ桜かな」が、二位は稲葉喜子氏の「こんな日は横浜夜ざくら見て帰ろ」が、三位は山老成子氏の「キャンパスの横文字丸文字花の昼」が入賞した。一〇位までの句が披講され三〇位までに賞品が授与された。俳人にとってこの瞬間が醍醐味のときかもしれない。先生方の講評は大変勉強になった。閉会の言葉は副会長の西野洋司氏よりいただき無事滞り無く総会が終了した。
 楽しみな懇親会は昨年と同様の「煌蘭」で行われた。司会はベテランの佐々木重満、加賀田せん翠の両氏。顏は知っているが話をしたことがない人とテーブルごとに親睦を深めることができた。楽しいひと時は早いものであっという間の二時間であった。お酒のせいもあってか誰もが紅潮し明るく元気な姿で帰路についた。レポート:渡辺 照子

【当日一句会】
来賓作品
横向けば何処かがゆるむ桜かな    福原 瑛子
十階は遠流の春や舟が来る      加藤 房子
海舟の指差す春の水平線       高橋 健文
ゆらゆらと小舟さくらが紛れ込む   山崎せつ子
春うらら時計回りに紙の舟      山本 敏倖
高点句
こんな日は横浜夜ざくら見て帰ろ   稲葉 喜子
キャンパスの横文字丸文字花の昼   山老 成子
ゴーギャンも子規も横顔春うらら   瀬戸美代子
横穴式石室に蝶迷い込む       中山 妙子
陽炎の横からはみ出す嬰の足     尾崎 竹詩(崎は立に可)
紙ふうせんたたみて黄泉へゆく小舟  木村 安以
ゆく春や客一人なる渡し舟      三沢 容一
横顔はやさしき天狗花の雲      桐山 芽ぐ
舫い舟退屈そうに春港        村上 友美
鳥帰る空の信号横切れり       日置 正次
句敵の乗り込んでくる花見舟     鹿又 英一
花ぐもり吐息に動く小舟なり     渡辺 照子
似たような横丁ばかり春の闇     尾澤 慧璃
ねえ横ぎっていいかしら菜の花    平田  薫
笹舟に挨拶返すみすゞの忌      佐伯 千年
横柄を背に少年は卒業す       金子  嵩
横浜の土地を売りますチューリップ  藤方さくら
鳥雲に横須賀と云ふ黒い湾      中岡 昌太
浮舟に揺れ深まってゆく春愁     内藤ちよみ
浮舟の流れにまかす朧の夜      植田いく子
花見舟浮きつ沈みつ永田町      川島 進一
連れ立ちて声はれやかに蜆舟     鈴木 和代
朧夜や横隔膜を確かめる       なつはづき
間違って横浜に降る春の雪      加賀田せん翠
槌音の絶えぬ横浜木の芽晴      佐藤  久
書きあぐむ稿横着な猫の恋      綾野 道江
以下、順不同
横浜港人にやさしき春の風      青島 哲夫
引き寄せる小舟にさくら散らす風   朝倉さとえ
初花や横穴古墳に王のこゑ      関根 洋子
白い船は横浜の彩さくら咲く     小園 葉舟
小網代の横向きダンス潮まねき    比留間加代
仰臥せし朽ち舟撫づる春の海     大本  尚
麗らかや横に水音鳥の声       川村智香子
三月や無為のこころで舟に乗る    広瀬 元幸
折り紙の舟を浮かべて花おぼろ    渡辺 順子
フランスパン噛むほど春へ横の路地  岩田  信
花吹雪横隔膜のゆさゆさす      長谷川昭放
春分の日の気嵐や舟揺れる      𠮷田  功
舟べりをたたけば桜満ちてくる    芳賀 陽子
木の葉舟もみくちゃにして春疾風   綾野 南志
乳癌の笹舟となり春運河       石鎚  優
戸締まり横遣りとなり猫の恋     衣川 次郎
啓蟄や横目で見たるこの世界     小沢 一郎
ふなおさの縦横無尽花見舟      野木 桃花
年金の身を横にして下萌に      高橋 信之
横着な北の小舟や貝寄風や      若林つる子
子の夢に浮かぶ小舟は星空へ     宮永 武彦
舟だまり今日の日差しはおだやかに  昆 みき
母の手のぬくしモーゼの葦の舟    宇佐見輝子
夜のほどうたゆたう舟に花の散る   斎藤すみれ
渡し舟下りて俄に初雲雀       塚田佳都子
永き日や運河の照を舟に溜め     堀口みゆき
傾むける日の小波を雛の舟      荻野 樹美
春愁のまなこ離さず遠き船      西野 洋司
指先に春の触角船を漕ぐ       岡田 恵子
棹引くやたまに地球も鹿尾菜舟    佐々木重満
舟人の眸をぬらす春の潮       吉田香津代
朝寝して水行きわたる横須賀港    森田 緑郎
舟を漕ぐ麗らも宙も音にして     田畑ヒロ子
こぶし咲くぼーっと舟出る港町    福原  暁
横しまを見透かしている花の昼    田中 悦子
作品記録:なつはづき

【伊藤 眠・報】


§平成29年度活動§
§神奈川県現代俳句協会創立三十五周年記念大会記§

宮坂静生会長

左から湾岸大賞の平田薫さん、準賞の川島由美子さん、織本瑞子さん

祝賀会風景

 神奈川現代俳句協会の創立三十五周年を記念する大会と祝賀会が横浜中華街のローズホテル横浜を会場に開催された。大会の参加者は142名。受付で「神奈川県現代俳句協会の足跡」という冊子と大会作品集や祝賀会参加者名簿などが配られ、通常の大会とは異なる雰囲気を感じながら会場に入った。
 総合司会は尾崎竹詩事務局長。開会の言葉は前々日に開催された協会七十周年記念大会に触れながら川村研治副会長が行う。挨拶は吉田功大会委員長、鈴木和代大会実行委員長。続いて来賓祝辞をいただいた。ご来駕いただいたご来賓は、松澤雅世東京都区協会長、並木邑人千葉県副会長兼幹事長、根岸敏三東京多摩地区協副会長、麻生明横浜俳話会長、青木恵美子川崎俳句連合会長、秋山理沙神奈川新聞文化部長、水野二三夫協会事務局長である。それぞれのお立場での現状と今後のあり方が語られ、神奈川現代俳句協会への連帯と祝意が述べられた。
 特別功労者の表彰を衣川次郎幹事が発表。受賞者は酒井弘司、鈴木和代、中岡昌太、西野洋司、前田吐実男、吉田功の六氏。六氏を代表して、前田吐実男氏の、協会本部の仕事ばかりしていたので神奈川から表彰されるとは意外であるが有り難くいただく、との挨拶があった。
 いよいよ湾岸大賞の発表である。川村智香子湾岸大賞実行委員長より選考方法と経過の説明が行われた。新作二十句を募集、四十一編の応募があったこと告げられた。先ず十九名の方々に選考を依頼し、集計の結果、上位の六編を候補作品に絞って選考が進められた。六氏による最終選考は三作品に絞られ、二回の慎重審議の結果は、平田薫さんの「息をする」が全員一致で決定。残りの作品、川島由美子さんの「母の歳」、織本瑞子さんの「杖に聴く」は、甲乙つけがたく、傾向が異なり、持ち味があるので両作品を準賞に決したとの選考報告がなされた。表彰の後、平田薫さんから受賞の喜びが語られて、三人揃っての記念撮影が行われた。
 続いて記念大会作品の成績発表が大本尚選句集計担当によって行われた。今回の応募数は二〇五四句、予想を越える作品が寄せられたことに謝意を述べられた。得点順に大賞、準賞以下十二氏が表彰され、特選賞として地区協幹部の染筆による色紙・短冊が七氏に贈られた。閉会のことばを西野洋司副会長が述べ、第一部の式典が滞りなく時間通りに終了した。
 第二部は宮坂静生会長による講演である。「魅力ある俳句―着想・表現・詩情」と題して興味と学ぶことの多い内容であった。初学の頃のことから話し始め、俳句地貌論と俳句の醍醐味を語られた。
 第三部は会場を移して祝賀会。参加者は100名。宮坂会長の落語が飛び出さすハプニングもあって、終始和やかに語り合うことができた。最後に司会の鹿又英一さんの発声でお開きとなった。
【レポート:川辺幸一】

☆創立三十五周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会入賞作品
創立35周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会大賞
   村中がやわらかくなる秋夕焼     鈴木 和代
創立35周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会準賞
   天高しきれいな肺を二つ持つ     関戸 信治
創立35周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会準賞
   シンバルの出番は一度冬満月     内藤ちよみ
神奈川県知事賞
   あの世でもこの世でもない隙間風   中島 雲舟
神奈川県議会議長賞
   八月が来るたび戻る十五才      守屋茂々子
横浜市長賞
   大夕立何やら生まれ変われそう    山田 貴世
横浜市議会議長賞
   亀鳴くを聞こゆる齢となりにけり   林  満子
横浜市教育委員会賞
   水すまし自縛の水輪ぬけられず    長谷川昭放
神奈川新聞社賞
   ポケットに小さな秋を膨らます    油井 恭子
tvkテレビ賞
   豆腐屋の消えた場所から夕焼す    植田いく子
横浜俳話会賞
   能面のひそかな殺気十三夜      昆  みき
川崎市俳句連合会賞
   梅を干す私にできることをする    川島由美子 

【作品記録・佐々木重満】


(伊藤 眠)

※会長「𠮷田 功」氏の「𠮷」は「土」に「口」。