地区活動

各地区の活動 【神奈川】

会長𠮷田 功
事務局長尾崎竹詩
事務局
郵便番号〒259-0155
所在地神奈川県足柄上郡中井町松本822-5
TEL0465-81-2371

総会で挨拶する𠮷田会長

【 地区の紹介 】

会長挨拶 𠮷田 功
 平成25年2月の総会において神奈川県現代俳句協会会長を務めることになりました𠮷田功です。協会運営の重責を担うことになり、身の引き締まる思いでいっぱいです。私は現在、結社誌『麦』に所属しております。
 前会長の森田緑郎先生におかれましては、長年にわたり強いリーダーシップで県協会の発展にご貢献賜りました。先ず、その主なものをご披露申し上げますと、創立20周年・25周年・30周年記念大会を敢行され成功裡に納められたこと。また、神奈川県を3ブロックに分け地域の活性化を計られたこと。そして、湾岸大賞を創設し近県との融合を保ちながら現在の基礎を作られたこと、等々があります。私はこのような輝かしい実績の上に立ち、これから一期二年を会員の皆様と共に魅力ある現代俳句協会を目指し、微力ながら邁進して参る所存であります。どうか皆様の忌憚のないご意見、ご叱責をお願い致します。
 さて、ここ数年の会員の漸減傾向に歯止めをかけるため、私は魅力ある協会とは何かについて考え、実践して行きたいと思っております。たとえば会員の皆様が生き生きと活動されれば、「何かあの方の会に参加すると良いことがあるらしい」という噂が広がり、それが協会の発展につながるのではないかと考えます。会員が増えることにより色々な考えの方と話し合えることが、座の文学としての俳句には必要です。それに加えて、人とのつながり、俳句を通して行き会った人々との結びつきこそが自分自身の視野を広げる要素となり、それらを実践していくことが俳句作りにいそしむことになってゆくのではないかと思います。今後のご協力のほどを何卒よろしくお願い申し上げます。
(2013年3月6日更新)

【 行事 】

(2018年9月20日追加更新)
【今後の予定】
§ 第36回 神奈川県現代俳句協会俳句大会作品募集 §
神奈川県現代俳句協会俳句大会は、現代俳句の向上発展に資するため年に一度、主催=神奈川県現代俳句協会、後援=神奈川県・神奈川県議会・横浜市・横浜市議会・横浜市教育委員会・神奈川新聞社・tvk(テレビ神奈川)・横浜俳話会・川崎市俳句連合として行う大会で、今回は第36回です。俳句を愛し志す人は誰でも参加できますから、奮ってご応募下さい。清新で美しく強力な現代俳句の新作品を期待します。

応募規定:二句千円をもって一組とし、一人何組でも可。ただし、新作未発表作品に限る。前書きは認めません。所定の投句用紙または二百字詰原稿用紙を使用すること。住所・姓号を明記し、出句料を同封して下さい。

送り先:〒259-1306 秦野市戸川159−26 佐々木重満方 大会投句係

締切:2018年9月30日 厳守

大会日時:平成30年11月23日(金)祝日 12時開会
     当日句会の席題発表11時10分 投句締切は12時10分

会場:かながわ県民センターホール2階

講演:松井国央先生(「山河俳句会」代表顧問) テーマ「俳句の生まれるとき」

お問合せ:大会委員長 芳賀陽子


§ 4ブロックの活動と予定 §
今年度より東部ブロックを二つに分けて4ブロック制とすることとなりました。
これまで神奈川県現代俳句協会では会員相互の活発で密接な活動を支援する為、3ブロックに分けて活動して参りましたが、横浜と川崎だけで会員数の三分の二を有し、各ブロックの活動に偏りが生じたため、従来の星川アワーズでの句会を中心とした活動を新たに横浜ブロックとし、川崎市総合自治会館にて行ってきた句会を川崎ブロックと名称を変更しました。
これにより、より綿密な会員サービスが可能となります。今後とも、各ブロックの活動に積極的にご参加ください。

【横浜ブロック(星川句会)】 ブロック長:なつはづき
於:星川アワーズ
・六月 平成30年6月4日
ほの昏き博物館を出て薫風      朝倉さとえ
その老婆急いでおりぬ炎天下     麻生  明
春愁や視線の元はマネキンなり    石川 夏山
瓜二つ並べてあまり似てをらず    川名 将義
席順はくじびきにする夏料理     桐山 芽ぐ
砂かぶりに巨体のはじけ缶ビール   栗原嘉一郎
ロケ隊の一人あやしき雲の峰     内藤ちよみ
青葉木菟父の背中のような闇     野木霞丘子
禅僧の法話を茶化す雨蛙       福原  暁
言いさして止む言葉あり青き梅    藤原眞理子
香水や鏡の中の夜灯す        町野 敦子
江ノ電の旅は急がず枇杷は黄に    渡辺 順子
太宰の忌急ブレーキが間に合わぬ   なつはづき
・七月 平成30年7月2日
炎天の句材素通りしていたり     麻生  明
女の子茅の輪くぐりて大人ぶる    石川 夏山
額の花息づく雨の日曜日       川島由美子
炎暑吹き飛ばして国民栄誉賞     桐山 芽ぐ
風鈴が亡き妻の風連れて来る     栗原嘉一郎
カルメンの様なる火照り紅蜀葵    内藤ちよみ
等々力の水の転がる青葉闇      野木霞丘子
子の腕に歯形を残す夏の父      福原  暁
梅雨の雷仏事へ急ぐ姉弟       藤原眞理子
沖合の夜明け賑わし茄子の花     町野 敦子
当たらない占ひの店火取虫      渡辺 順子
雲の峰がらんと住宅展示場      なつはづき
・八月 平成30年8月6日
理事長会長みんな強面サングラス   朝倉さとえ
捻挫して眩暈いしてこの油虫     麻生  明
夕立来て寄ってみようか久しぶり   石川 夏山
夏疲れ振子時計の鳩の声       川島由美子
大の字に寝て牛になる夏野かな    川名 将義
手を振って私もいつか虹渡る     桐山 芽ぐ
盆踊りひとり浮き立つ腰うちわ    栗原嘉一郎
台風のまなこを盗み俳句会      内藤ちよみ
凌霄花真昼白紙のしんとあり     早坂 澄子
暮れ方に甘えて開く水中花      福原  暁
押されても決断しない石叩き     町野 敦子
古民家の振り子時計や夏深し     渡辺 順子
ボタン押し信号変わる原爆忌     なつはづき
※今後の予定 毎月第一月曜日 星川アワーズにて。
(参加ご希望の方は、「横浜ブロック(星川句会)参加希望」の件名で協会お問合せアドレスまでご連絡ください。協会員以外のかたもいらっしゃっています。)
<なつはづき・報>

【川崎ブロック】 ブロック長:加賀田せん翆
於:川崎市総合自治会館
六月句会 平成30年6月16日(土)
毛虫焼くどじは齢のせいならず    麻生  明
梅雨晴間踏切音の跳ね返る      植田いく子
古切手の中より選ぶ濃紫陽花     加賀田せん翠
大きめのレッスンバッグ夕焼ける   佐藤 廣枝
汗の手に受く落雁の白ばかり     関戸 信治
でで虫に手柄横取りされている    ダイゴ鉄哉
老鶯の声澄みわたる舟下り      福原 瑛子
獲物曳く蟻全力の後退り       三沢 容一
三日めの朝は平熱濃紫陽花      山老 成子
それとなく握手を拒む茂りかな    山田ひかる
時の日や動かず母国恋うΩ      吉居 珪子
日焼子の一にもニにもふくらはぎ   町野 敦子
七月句会 平成30年7月21日(土)
人体に漲る水や日の盛り       麻生  明
水中花切れぎれに鳴るオルゴール   植田いく子
風鈴のそれぞれにある国自慢     加賀田せん翠
みつめられ角丸くなる花氷      佐藤 廣枝
角あるは老人の知恵麦茶飲む     関戸 信治
熱帯夜対角線にある安眠       ダイゴ鉄哉
夜の蟬金剛夜叉の息づかい      内藤ちよみ
冷房や紅茶におとす角砂糖      福原 瑛子
広角レンズ街を写して極暑なり    三沢 容一
憚らず日傘の影と連れ立ちぬ     山老 成子
日照草どこでもドアが角角に     山田ひかる
特になしと書きし一行落し文     吉田香津代
平成や終に酷暑と洪水と       吉居 珪子
実柘榴の上から目線雲ながれ     町野 敦子
※今後の予定 毎月第三土曜・川崎総合自治会館
<町野 敦子・報>

【湘南ブロック】 ブロック長:渡辺和弘 
於:藤沢市民活動センター2階会議室
第46回サンセット句会 6月2日(金)
当季雑詠 五句(うち席題一句「花火」)
戦乱の寺にぎっしり夏落葉      安藤  靖
薔薇咲くや誰を刺すやら棘尖る    大山 賢太
さなぶりの酔いを浚うか山の風    荻野 樹美
梅雨茸のくづれ情死の気配あり    小園 葉舟
前山に届く白光遠花火        関根 洋子
花びらのやうな遺骨や遠花火     塚田佳都子
涼み舟一番星を引き寄せし      堀口みゆき
月光に寄り添う森の白い影      宮永 武彦
花火師に闇迫りくる潮かな      渡辺 和弘
麦秋や戦争末期のことばかり     渡辺 正剛 
第47回サンセット句会 7月7日(金)
当季雑詠 五句(うち席題一句「女」)
橋の女の思案の日傘傾いて      安藤 靖
睡蓮やモネの絵の如咲きてをり    大山 賢太
七月の透かす窓より青き毬      荻野 樹美 
命終の一つどくだみ白く咲き     小園 葉舟
夏の月鳥獣戯画に棲む蛙       塚田佳都子
貝殻骨開けば未来籐寝椅子      内藤ちよみ
ズッキーニ育て青年ひな住ひ     西野 洋司
稲光髪の寝癖はそのままに      日置 正次
凌霄花をんなは手から老いてゆく   平佐 和子
蛍籠女の秘密有耶無耶に       堀口みゆき
白南風や人には言えぬこと多し    渡辺 和弘
ハンドルに蜘蛛の子の網ペダル踏む  渡辺 正剛
<堀口みゆき・報>

【西部ブロック】 ブロック長:田畑ヒロ子
於:秦野市立西公民館
丹沢句会(毎月第三金曜日)
・六月句会(第54回) 6月15日(金)
一条は鳥の取り分瘠せ麦刈る     佐々木重満
太筆の先から命あふれ夏       中山 妙子 
紫陽花や食後のカプセル何種類    尾崎 竹詩
父の日の顔はていねいに洗う     篠崎 妙子
ひと日づつ減りゆく平成大昼寝    広瀬 元幸
レーダーが捉えておりし五月病    芳賀 陽子
木洩れ日やワープしたよう蜥蜴消ゆ  加藤かほる
黒揚羽何度も合うは胸さわぎ     田畑ヒロ子
夾竹桃中央帯を任される       高橋 姜子(高ははしごだか)
慈母観音犬猫生ま足朧月       佃  悦夫
紫陽花や負の疵ばかり吾の履歴    酒井 敏光
母と娘の電話の中に父の日は     石井 秀稀
ほーケロケロほけきょゲロゲロ二重奏 羽田 勝二
高啼きの夜の鴉や梅雨の月      長谷川篤子
敦盛草誰が奏でし平家琵琶      北村 文江
記憶違いそれでそれからソーダ水   内藤ちよみ
すぐそばの人遥かなり蛍群れ     川村 研治
葦の闇ふくらますかに行々子     渡辺 正剛
長梅雨や自分に飽きて逃亡す     長谷川昭放
・七月句会(第55回) 7月20日(金)
玉解く芭蕉変る戦後派戦中派     酒井 敏光
白玉の浮きあがる頃鳴る電話     中山 妙子
海月浮くよたよた生きて先がない   渡辺 正剛
夏草を刈れば出そうな髑髏      長谷川昭放
活火山微動猛暑よお静かに      田畑ヒロ子
直立の意思を通せり立葵       北村 文江
あの日から私の中に蝉がいる     篠崎 妙子
炎帝が王水を撒いている星よ     佐々木重満
ねむの木にふわりいっぱい赤いかさ  羽田 勝二
避難指示夏の豪雨に消えていた    石井 秀稀
炎天や翅熱くして初蜻蛉       長谷川篤子
青葦の猛きを仆し生き埋めに     佃  悦夫
うちわ風貰ふ待合室の黙       広瀬 元幸
玉虫の置きどころなきワンルーム   高橋 姜子(高ははしごだか)
少し力抜けよ酷暑の仁王像      加藤かほる
土用丑の日財布の紐の堅きこと    芳賀 陽子
お社は孤島でありぬ青田風      尾崎 竹詩
・八月句会(第56回) 8月17日(金)
八月や核と平和の板挟み       北村 文江
白はちすはらりと午の鉄気水     與 起
片づかぬ晩夏や余生の散らかりて   酒井 敏光
野萱草身には付けずに旅立ちぬ    羽田 勝二
はばたきの漸う軽し秋の蝶      長谷川篤子
夏落葉前頭葉に錆のつく       芳賀 陽子
夏蝶が肺の双つ肺に移りけり     佃  悦夫
鬼やんま極楽蜻蛉に憧れる      長谷川昭放
放蕩の少し匂いて生身魂       篠崎 妙子
兜太なき原爆忌が来てうろうろす   尾崎 竹詩
店頭に正座をしたる大西瓜      加藤かほる
改元を控え八月十五日        中山 妙子
草取は供物のひとつ地の神の     佐々木重満
主義主張意外と通る花蒟蒻      渡辺 正剛
かごめかごめ正面の子は蜻蛉     田畑ヒロ子
熄みてより夕かなかなのこゑ愛し   菅沼とき子
ふるさとは遠くになりぬ墓参り    石井 秀稀
※今後の予定
丹沢句会 毎月第三金曜日 秦野市立西公民館にて開催
【西部ブロック秋の吟行会のご案内】
日時:平成30年10月19日(金)
受付:10時30分より
投句締切:12時30分 
吟行地:小田原城近辺
句会場:おだわら市民交流センター(通称「UMECO」)
講演:氏田章治 先生(NPO法人 四十八瀬川自然村副代表)「四十八瀬川の原風景を守る」
※定例の十月丹沢句会はありません。
【西部ブロック通信句会のご案内】
句数:三句一組(一組千円) 
投句締切:平成30年12月末日(募集開始9月初旬)
投句先:〒259-0155 足柄上郡中井町松本822-5 尾崎竹詩宛
<佐々木重満・記>

§ 神奈川県現代俳句協会主催横浜吟行会 § 【伊藤 眠・記】
「吟行会開催」
 平成30年8月18日(土)、神奈川県現代俳句協会主催による吟行会が開催された。参加者は六十七名、会場は中華街にある駐労会館である。会場から歩いて行ける範囲の山下公園・みなとみらい地区・山下公園など、横浜の中心的な観光地が吟行地となった。
「吟行日和」
 この日はよく晴れて湿度も低く、八月上旬の猛暑が嘘のような気温20度台半ば。最高気温が28度という絶好の吟行日和であった。実行委員たちは午前10時に会場の駐労会館6階ホールに集合し各部の仕事を始めた。駐労会館というのは、進駐軍で就労する人々の為の施設で、仕事の斡旋や就労者の福祉などの世話する施設であった。ここから徒歩10分の所に、かつてGHQが本部を置いたニューグランドホテルがある。現在もかつての業務を引き継ぎ米軍基地で働く人達を援助しているが、今は小さな会社や喫茶店などが入っている雑居ビルとなっている。その6階で10時30分、受付を開始。受付の係は田畑ヒロ子氏をチーフとし、岡田恵子・関根洋子・山老成子・平田薫の四氏が担当した。ホール入口付近の狭い廊下での作業であったが滞りなく参加者のエントリーが行われ、受付後みな吟行へ出かけて行った。
「吟行会開始」
 12時30分、投句を締切り吟行会開始。司会は総務部長の大本尚氏。氏はこの吟行会の副実行委員長でもある。はじめに内藤ちよみ実行委員長の挨拶があり、今年は中々会場が取れず八月になってしまった事など話された。この吟行会の日取りが決まった時、最も暑い時期の中華街と聞き、幹事たちは参加者の出足を心配したが、蓋を開ければ好天に恵まれ67名の俳人が集う結果となった。次いで大会のことばを川辺幸一参与が述べられた。氏は現代俳句協会本部のジュニア部長である。金子兜太先生亡きあとの協会の方針として、会員の数を増やすよりスターを作り魅力のある団体にして盛り上げてゆくべきであると話された。続いて当会会長𠮷田功氏の挨拶では、現在の神奈川の会員数が約500名であることと、その500名で何が出来るかが課題である、とのお話があった。
「尾崎竹詩氏の講話」
 本日の講話者は尾崎竹詩氏である。氏は1947年徳島生まれで「海程」・「顔」などに所属されたが現在は無所属。事務局長として神奈川現俳にご尽力されている。演題は「現代俳句ing」これを「現代ハイキング」と読んで欲しいとお話しを始められた。俳句の歴史から俳句の約束、問題点や可能性について、芭蕉七部集の一つ『猿蓑集』の歌仙「『市中』の巻」を例示されつつ、示唆に富むお話をされた。氏のユーモア溢れるご講演で会場が和んだところで、本日の句稿が配布され、全員三句ずつの選句が始められた。
「句会での講評」
 休憩を挟んで、お待ちかねの句会開始。披講は田中悦子編集部長・芳賀陽子経理部長・鹿又英一参与の御三方である。笑いやどよめきのある中披講が進み、採点係は別室で集計に移った。採点は望月英男幹事をチーフとする荻野樹美・尾澤慧璃・桐山芽ぐ・菅沼とき子・なつはづきの五氏が担当。その間を利用して御列席の先生方にご自分が選をされた句について御講評を賜った。川崎俳句連合会長の福原瑛子先生は句番号7の「絵タイル」を今朝歩いて来たあちこちで見かけたと話され18番について私はフランス山に飽きないが「でで虫」が厭きるのは納得できる、また23番についてはこの辺は何度来ても迷うと共感された。岩田信参与は自分の立ち位置がしっかりしていないと選句が出来ないと述べられ、32番「秋の目覚める」はまさに今日の感じであり、37番の「秋半分だけ門ひらく」を今をとらえて詠んでいると高く評価された。日置正次参与は17番の句にある百五十年の時間の重みに想いを馳せられ、27番には今年の災害等を経て「新涼」が「煩悩を払う」と表現されたことに共感。66番には「おしゃれな洋館」はよくあるが「風」を入れたことにより心地よく鑑賞できたと話された。野木桃花参与は21番の「秋風」にあわれを感じられた事、60番の「秋めく」の季語に刮目され、64番では今の元町と「秋日傘」が美しい女性にマッチしていると話された。川辺幸一参与は8番の「ハイカラ」が爽やかさを伝えている事、67番に若々しさを感じられた事等を述べられ、また現代の俳句は現代仮名遣いで書くべきであると話され、仮名遣いの問題を提起された。鈴木和代副会長は、19番の店が開く前の爽やかな状態を捉えたところ、44番「鈴虫が出陣のうた」が本当に歌っている様な感じがする事、63番が「青東風」を用いたことにより横浜らしい景色になった事等を評価された。酒井弘司顧問は俳句はポエジーを大切にすべきと述べられ、ポエジーを感じた句を選ばれた。6番の「雲食むかに」の比喩を評価、44番「出陣のうた」と平仮名で表記したことによってポエティックになった事、59番大野林火への尊敬の念などを語られた。中岡昌太顧問は自分には作れない斬新な句を選ぶ傾向があると述べられた後、8番の「ハイカラの始め」が御自身にスッと入って来た事、13番の「豚まん」を「残暑」と捉えた事を高評価。また60番「ドア」の向こうにあるものを考えさせられた事などを語られた。久々に参加された荻田礼子顧問は御無沙汰を詫びられた後、人様の句が良く見えないのは自分の調子が良くない時であると話された。23番の気負いのなさを好感され、また59番の大野林火にも想いを馳せられた。最期に𠮷田功会長が29番の「熱帯魚」を最近の女性の服装と捉えた事や、昔と今の中華街との距離感の差異について話され、64番の句を清々しく感じられたと好評された。
「表彰」
 講評の後、望月採点チーフより成績の発表があり、𠮷田会長、内藤実行委員長による表彰へ。そして川村智香子副会長が閉会の挨拶を述べて、本日の吟行会が無事終了した。実行委員たちは後片付けを終え、懇親会会場の「酔楼」へ向かう。懇親会は36名の参加を得て、俳句観や俳論も飛び出す楽しいひと時を皆満喫した。

当日の作品  【佐藤 久・作品記録】
・入賞作品(高点順)                               
元町は風の抜け道秋日傘        鹿又 英一
豚まんを割れば飛び出す残暑かな    加賀田せん翆
秋めくや西洋館に謎のドア       尾澤 慧璃
中華学院秋半分だけ門ひらく      平佐 和子
秋風や墓に祖国の旗を立て       関根 洋子
横浜(はま)や秋絵タイルの船風に乗る 山老 成子
ハイカラの始め横浜涼新た       渡辺 順子
フランス山飽きたでで虫船に乗る    田畑ヒロ子
点線で風を切り取る草の花       なつはづき
炎天下写楽顔して坂のぼる       中岡 昌太
異人墓のクルスは寡黙せみしぐれ    福原 暁
迷い道して新涼の風の中        伊藤 梢
関帝の髭黒々と涼新た         荻野 樹美
熱帯魚チャイナタウンにある自由    大川 竜水
路地一つ違えて危険な残暑かな     尾崎 竹詩
よこはまの海は青春鯔がとぶ      長島喜代子
生まれながらのよこはま迷子晩夏かな  荻田 礼子
雲食むかに埠頭のクレーン晩夏光    村上 友美
中華街危険な暑さ越えて今       朝倉さとえ
爽やかや午前八時の中華街       比留間加代
去る夏の光を求め港まで        岩田  信
望郷の十字架掠む秋つばめ       桐畑 佳永
鳳凰の羽われも欲し関帝廟       安藤  靖
炎昼の鬼が吠ゑてる屋根瓦       西野 洋司
新涼やフランス山に林火の碑      佐藤  久
今朝の秋おしゃれな風が洋館に     石山 夏山
大樹と少年にらめっこの兜虫      酒井 弘司
浜に来てブリキのおもちゃ熱くなる   吉田  功
海は秋とほい記憶をたぐり寄す     塚田佳都子
わがこころまで灼くな地の照り返し   川名 将義
・当日作品(清記順)
熟睡する外人墓地に小さき秋      菅沼とき子
酷暑背に獅子文六の猫逃げる      金子  嵩
みんみん蝉ほとりと落ちる白昼夢    福原 瑛子
中華街曾芳亭にて待つ秋風       平田  薫
霧笛橋さやかな名前誰が付けし     稲葉 喜子
見送るも見送られるも秋の海      植田いく子
百五十年の茂りの中の異人墓地     桐山 芽ぐ
いつの間に秋風ハマの海遠見      望月 英男
日傘抱え迷子のように中華街      田中 悦子
敗戦日アメリカ山に中華街       小沢 一郎
灯台は不滅の柱涼新た         北村 文江
籐椅子はかの貴婦人の憩う日々     宇佐見輝子
新涼や煩悩払う関帝廟         鈴木 和代
影踏んで関帝廟へ白日傘        若林つる子
燦めかす関帝廟や秋の天        酒井 敏光
日の本の中国野菜秋の色        ダイゴ鉄哉
代官坂秋の目覚める石畳        芳賀 陽子
旋回す関帝廟のあきあかね       中山 妙子
砕けそうな墓碑にとどまる秋茜     内藤ちよみ
新涼や虚飾を剥がす関帝廟       長谷川昭放
思い馳せクルスにからむ秋の蝶     大本  尚
爽やかやあっけらかんと大桟橋     川村智香子
戯れて秋風吹くや文学館        岡田 恵子
初秋の港に鋼の色の波         広田 輝子
鈴虫が出陣のうた外人墓地       日置 正次
初秋のうしろから声中華街       野木 桃花
涼新た祖父帰国せし氷川丸       伊藤  眠
片陰や小籠包の大行列         渡辺 正剛
進取の気性横浜港にかなかなかな    小泉 敬紀
七色に浮かぶタピオカ涼新た      杉  美香
中華街の粲たる色や秋真昼       阿部 和子
夏惜しむ丘の汽笛の長くひき      星  由江
薔薇園へ静寂彩る秋のこゑ       藤井 正克
赤い靴の少女海向き葉月かな      三沢 容一
汽車道に象の鼻にも遊ぶ鰡       佐々木重満
観覧車がひかる青東風の日本丸     川辺 幸一
秋雲を中華街まで連れてくる      藤井 みき

§ 役員構成 § 〔平成30年4月19日現在【太字は新人事】〕
名誉会長:森田緑郎
会長:𠮷田 功
副会長:朝広純子・川村研治・川村智香子・鈴木和代・西野洋司
事務局長:尾崎竹詩
同次長:佐々木重満
事務局付IT部長:伊藤 眠
同副部長:堀口みゆき
総務部長:大本 尚
同副部長:岡田恵子・佐伯千年・渡辺照子
事業部長:内藤ちよみ
同副部長:村上友美・藤方さくら
編集部長:田中悦子
同副部長:なつはづき
経理部長:芳賀陽子
同副部長:平田 薫・斉藤すみれ
幹事:青島哲夫・秋山貞彦・朝倉さとえ・石鎚 優・伊藤 梢・稲葉喜子・植田いく子(編集部)・宇佐見輝子・潮 仲人・岡田恵子(総務部)・岡田典代・荻野樹美・小沢一郎(事業部)・尾澤慧璃・加賀田せん翆・金子 嵩・川名将義・桐山芽ぐ・佐藤久(事業部)・菅沼とき子(編集部)・関根洋子(経理部)・田中周利・塚田佳都子・山老成子・望月英男(編集部)・西村弘子・長谷川昭放・平佐和子(編集部)・比留間加代・福田洽子・広瀬久夫・町野敦子・山田ひかる・吉野美和子・吉村元明・らふ亜沙弥・若林つる子・渡辺順子
横浜ブロック長なつはづき
横浜副ブロック長:桐山芽ぐ
川崎ブロック長加賀田せん翆
川崎副ブロック長:町野敦子・山田ひかる
湘南ブロック長:渡辺和弘
湘南副ブロック長:堀口みゆき・渡辺正剛
西部ブロック長:田畑ヒロ子
西部副ブロック長:佐々木重満・長谷川昭放・菅沼とき子
監査役:川島進一・中山妙子
顧問:綾野南志・荻田恭三・荻田礼子・小園葉舟・酒井弘司・佐々木英子・杉本かずみ・瀬戸美代子・佃 悦夫・中岡昌太・藤田 宏・前田吐実男・諸角せつ子
参与:相川玖美子・綾野道江・岩田信・小関邦子・鹿又英一・川辺幸一・河野 薫・小町 圭・手塚玉泉・長島喜代子・野木桃花・福原瑛子・三村凪彦・山元志津香・日置正次・山田貴世・渡辺正剛・川嶋隆史・木村和彦・衣川次郎・武井梅仙・広瀬元幸

§神奈川県現代俳句協会・平成30年度定時総会§
平成30年3月25日 於・かながわ県民センター
 桜の開花が今年は例年より一週間ほど早く当日はまさに花見の時であった。幹事の皆さんの手際良い準備で定刻通り始まった。十一時四十分に席題が出された。「舟」と「横」のお題で今回は「季語の題がないね」などの声が聞かれるなか、みな一斉に俳句モードになり俳人の顔になっていく。十二時三十分、総合司会の大本尚氏の総会宣言、川村智香子副会長の開会の挨拶により、総会が始まった。尾崎竹詩氏より、会員数五百三十名のうち、委任状二百二十五名、参加者七十二名で総会が成立したことが報告された。
 まず𠮷田功会長の挨拶、過日亡くなられた金子兜太先生の話などをまじえて話された。続いて来賓の方々より、まず横浜俳話会副会長の加藤房子氏、千葉県現代俳句協会幹事長の高橋健文氏、東京都現代俳句協会総務部長の山本敏倖氏、東京多摩地区現代俳句協会副会長の山崎せつ子氏、川崎市俳句連合会会長代理の福原瑛子氏よりそれぞれにこころ暖まるご祝辞をいただいた。山本敏倖氏は「組織とは優秀な俳人を育てるためのものであって欲しい」と話されみな頷いていた。
 続いて総会議事に入る。事前にお願いしておいた議長団、議長に木村安以子氏、副議長に佐伯千年氏が選出された。つぎに尾崎竹詩事務局長から二十九年度の事業報告が行われた。続いて芳賀陽子経理部長からは二十九年度の決算報告がなされ拍手で承認された。引き続いて三十年度の事業計画と、三十年度予算も提案された。質疑応答のなかで「東部ブロックが、横浜と川崎に分かれるとのことで、今までの三ブロックから四ブロックに増えるが予算はそのままでよいのか?」と、予算についての質問があった。その回答として「前年度と予算は同じになっているが活動が増えれば当然マイナスになるがそのことは考慮している」との回答があり事業計画、予算案ともに拍手で承認された。議長団が解任され、新役員、新会員が紹介された。その後各ブロックより活動報告がなされた。東部ブロックより広瀬久夫氏が、湘南ブロックは渡辺和弘ブロック長が欠席のため堀口みゆき氏が報告を行った。西部ブロックより田畑ヒロ子氏。それぞれ積極的な活動が報告された。
 三十分の休憩の後待望の一句会が行われた。今回はお花見の時期のせいか空席が目立ったが六十六名の参加であった。司会は大本尚氏、披講は内藤ちよみ氏、芳賀陽子氏、鹿又英一氏、採点は衣川次郎、小澤慧璃、なつはづき、堀口みゆき、若林つる子氏らのメンバーで進行した。それぞれ選句も実力のうちと真剣に取り組んでいた。六十六名の選句が締め切られ選句結果が発表されるまでの間、来賓の先生方よりご自分が選ばれた句を中心に、高橋健文、山本敏倖、山崎せつ子、福原瑛子各氏の順に講評を頂いた。続いて顧問の中岡昌太、瀬戸美代子、副会長の鈴木和代、会長の𠮷田功、名誉会長の森田緑郎各氏より講評並びに感想などをいただいた。森田氏は平田薫氏の句「ねえ横ぎっていいかしら菜の花」の句をとりあげて現代的な感性がこれからは必要ではないかと話された。
 結果が発表され一位は福原瑛子氏の「横向けば何処かがゆるむ桜かな」が、二位は稲葉喜子氏の「こんな日は横浜夜ざくら見て帰ろ」が、三位は山老成子氏の「キャンパスの横文字丸文字花の昼」が入賞した。一〇位までの句が披講され三〇位までに賞品が授与された。俳人にとってこの瞬間が醍醐味のときかもしれない。先生方の講評は大変勉強になった。閉会の言葉は副会長の西野洋司氏よりいただき無事滞り無く総会が終了した。
 楽しみな懇親会は昨年と同様の「煌蘭」で行われた。司会はベテランの佐々木重満、加賀田せん翠の両氏。顏は知っているが話をしたことがない人とテーブルごとに親睦を深めることができた。楽しいひと時は早いものであっという間の二時間であった。お酒のせいもあってか誰もが紅潮し明るく元気な姿で帰路についた。レポート:渡辺 照子

【当日一句会】
来賓作品
横向けば何処かがゆるむ桜かな    福原 瑛子
十階は遠流の春や舟が来る      加藤 房子
海舟の指差す春の水平線       高橋 健文
ゆらゆらと小舟さくらが紛れ込む   山崎せつ子
春うらら時計回りに紙の舟      山本 敏倖
高点句
こんな日は横浜夜ざくら見て帰ろ   稲葉 喜子
キャンパスの横文字丸文字花の昼   山老 成子
ゴーギャンも子規も横顔春うらら   瀬戸美代子
横穴式石室に蝶迷い込む       中山 妙子
陽炎の横からはみ出す嬰の足     尾崎 竹詩
紙ふうせんたたみて黄泉へゆく小舟  木村 安以
ゆく春や客一人なる渡し舟      三沢 容一
横顔はやさしき天狗花の雲      桐山 芽ぐ
舫い舟退屈そうに春港        村上 友美
鳥帰る空の信号横切れり       日置 正次
句敵の乗り込んでくる花見舟     鹿又 英一
花ぐもり吐息に動く小舟なり     渡辺 照子
似たような横丁ばかり春の闇     尾澤 慧璃
ねえ横ぎっていいかしら菜の花    平田  薫
笹舟に挨拶返すみすゞの忌      佐伯 千年
横柄を背に少年は卒業す       金子  嵩
横浜の土地を売りますチューリップ  藤方さくら
鳥雲に横須賀と云ふ黒い湾      中岡 昌太
浮舟に揺れ深まってゆく春愁     内藤ちよみ
浮舟の流れにまかす朧の夜      植田いく子
花見舟浮きつ沈みつ永田町      川島 進一
連れ立ちて声はれやかに蜆舟     鈴木 和代
朧夜や横隔膜を確かめる       なつはづき
間違って横浜に降る春の雪      加賀田せん翠
槌音の絶えぬ横浜木の芽晴      佐藤  久
書きあぐむ稿横着な猫の恋      綾野 道江
以下、順不同
横浜港人にやさしき春の風      青島 哲夫
引き寄せる小舟にさくら散らす風   朝倉さとえ
初花や横穴古墳に王のこゑ      関根 洋子
白い船は横浜の彩さくら咲く     小園 葉舟
小網代の横向きダンス潮まねき    比留間加代
仰臥せし朽ち舟撫づる春の海     大本  尚
麗らかや横に水音鳥の声       川村智香子
三月や無為のこころで舟に乗る    広瀬 元幸
折り紙の舟を浮かべて花おぼろ    渡辺 順子
フランスパン噛むほど春へ横の路地  岩田  信
花吹雪横隔膜のゆさゆさす      長谷川昭放
春分の日の気嵐や舟揺れる      𠮷田  功
舟べりをたたけば桜満ちてくる    芳賀 陽子
木の葉舟もみくちゃにして春疾風   綾野 南志
乳癌の笹舟となり春運河       石鎚  優
戸締まり横遣りとなり猫の恋     衣川 次郎
啓蟄や横目で見たるこの世界     小沢 一郎
ふなおさの縦横無尽花見舟      野木 桃花
年金の身を横にして下萌に      高橋 信之
横着な北の小舟や貝寄風や      若林つる子
子の夢に浮かぶ小舟は星空へ     宮永 武彦
舟だまり今日の日差しはおだやかに  昆 みき
母の手のぬくしモーゼの葦の舟    宇佐見輝子
夜のほどうたゆたう舟に花の散る   斎藤すみれ
渡し舟下りて俄に初雲雀       塚田佳都子
永き日や運河の照を舟に溜め     堀口みゆき
傾むける日の小波を雛の舟      荻野 樹美
春愁のまなこ離さず遠き船      西野 洋司
指先に春の触角船を漕ぐ       岡田 恵子
棹引くやたまに地球も鹿尾菜舟    佐々木重満
舟人の眸をぬらす春の潮       吉田香津代
朝寝して水行きわたる横須賀港    森田 緑郎
舟を漕ぐ麗らも宙も音にして     田畑ヒロ子
こぶし咲くぼーっと舟出る港町    福原  暁
横しまを見透かしている花の昼    田中 悦子
作品記録:なつはづき

【伊藤 眠・報】


§平成29年度活動§
§神奈川県現代俳句協会創立三十五周年記念大会記§

宮坂静生会長

左から湾岸大賞の平田薫さん、準賞の川島由美子さん、織本瑞子さん

祝賀会風景

 神奈川現代俳句協会の創立三十五周年を記念する大会と祝賀会が横浜中華街のローズホテル横浜を会場に開催された。大会の参加者は142名。受付で「神奈川県現代俳句協会の足跡」という冊子と大会作品集や祝賀会参加者名簿などが配られ、通常の大会とは異なる雰囲気を感じながら会場に入った。
 総合司会は尾崎竹詩事務局長。開会の言葉は前々日に開催された協会七十周年記念大会に触れながら川村研治副会長が行う。挨拶は吉田功大会委員長、鈴木和代大会実行委員長。続いて来賓祝辞をいただいた。ご来駕いただいたご来賓は、松澤雅世東京都区協会長、並木邑人千葉県副会長兼幹事長、根岸敏三東京多摩地区協副会長、麻生明横浜俳話会長、青木恵美子川崎俳句連合会長、秋山理沙神奈川新聞文化部長、水野二三夫協会事務局長である。それぞれのお立場での現状と今後のあり方が語られ、神奈川現代俳句協会への連帯と祝意が述べられた。
 特別功労者の表彰を衣川次郎幹事が発表。受賞者は酒井弘司、鈴木和代、中岡昌太、西野洋司、前田吐実男、吉田功の六氏。六氏を代表して、前田吐実男氏の、協会本部の仕事ばかりしていたので神奈川から表彰されるとは意外であるが有り難くいただく、との挨拶があった。
 いよいよ湾岸大賞の発表である。川村智香子湾岸大賞実行委員長より選考方法と経過の説明が行われた。新作二十句を募集、四十一編の応募があったこと告げられた。先ず十九名の方々に選考を依頼し、集計の結果、上位の六編を候補作品に絞って選考が進められた。六氏による最終選考は三作品に絞られ、二回の慎重審議の結果は、平田薫さんの「息をする」が全員一致で決定。残りの作品、川島由美子さんの「母の歳」、織本瑞子さんの「杖に聴く」は、甲乙つけがたく、傾向が異なり、持ち味があるので両作品を準賞に決したとの選考報告がなされた。表彰の後、平田薫さんから受賞の喜びが語られて、三人揃っての記念撮影が行われた。
 続いて記念大会作品の成績発表が大本尚選句集計担当によって行われた。今回の応募数は二〇五四句、予想を越える作品が寄せられたことに謝意を述べられた。得点順に大賞、準賞以下十二氏が表彰され、特選賞として地区協幹部の染筆による色紙・短冊が七氏に贈られた。閉会のことばを西野洋司副会長が述べ、第一部の式典が滞りなく時間通りに終了した。
 第二部は宮坂静生会長による講演である。「魅力ある俳句―着想・表現・詩情」と題して興味と学ぶことの多い内容であった。初学の頃のことから話し始め、俳句地貌論と俳句の醍醐味を語られた。
 第三部は会場を移して祝賀会。参加者は100名。宮坂会長の落語が飛び出さすハプニングもあって、終始和やかに語り合うことができた。最後に司会の鹿又英一さんの発声でお開きとなった。
【レポート:川辺幸一】

☆創立三十五周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会入賞作品
創立35周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会大賞
   村中がやわらかくなる秋夕焼     鈴木 和代
創立35周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会準賞
   天高しきれいな肺を二つ持つ     関戸 信治
創立35周年記念神奈川県現代俳句協会俳句大会準賞
   シンバルの出番は一度冬満月     内藤ちよみ
神奈川県知事賞
   あの世でもこの世でもない隙間風   中島 雲舟
神奈川県議会議長賞
   八月が来るたび戻る十五才      守屋茂々子
横浜市長賞
   大夕立何やら生まれ変われそう    山田 貴世
横浜市議会議長賞
   亀鳴くを聞こゆる齢となりにけり   林  満子
横浜市教育委員会賞
   水すまし自縛の水輪ぬけられず    長谷川昭放
神奈川新聞社賞
   ポケットに小さな秋を膨らます    油井 恭子
tvkテレビ賞
   豆腐屋の消えた場所から夕焼す    植田いく子
横浜俳話会賞
   能面のひそかな殺気十三夜      昆  みき
川崎市俳句連合会賞
   梅を干す私にできることをする    川島由美子 

【作品記録・佐々木重満】

§ 神奈川県現代俳句協会創立三十五周年記念横浜吟行記 § 
平成29年6月24日 於・万国橋会議センター【レポート・岩田 信】
 神奈川県現代俳句協会が創立して、三十五周年を記念する吟行会が横浜市の中心部、海岸通りから少し入った万国橋会議センターで開催された。ここは、運河に面し、対岸には新港埠頭が広がり、絶景のロケーションにある。今年は梅雨入りしてから、晴天の日が多く、当日も晴れ、三十五周年にふさわしい日和であり、83名の参加者があった。吟行するには、港から浜風が吹いてきて、夏至を過ぎたばかりの陽射しは強いがさわやかであった。
 周辺には、県庁、税関、郵船ビル、県立博物館や赤煉瓦倉庫などの歴史的な建造物、港町を偲ばせる帆船日本丸や汽車道、第一号船渠(ドック)など。そして、現代を象徴する「みなとみらい地区」の高層ビル群、ワールドポーターズ、観覧車などがあり、句材にはことかかない。また、赤煉瓦パークに隣接し、海上保安庁の資料館があり、日本周辺海域を脅かし撃沈した不審船の展示がある。貨客船、遊覧船、カヌーが行きかう港、運河や観光客でにぎわう街の平和な風景とは違和感があり、ここを訪れた方は日本の安全を考えさせられたのではないかと思う。
 会場では、受付開始の10時前に、人が集まり行列ができる。受付は田畑ヒロ子氏を責任者とし、岡田恵子、萩野樹美、斎藤すみれ、田中悦子の諸氏が担当。短冊、選句用紙、講演資料が渡される。会場正面の白板には、加賀田せん翠氏が式次第を書き始める。受付をしてから吟行に行く人、吟行をしてから受付をする人と様々だが、いやがうえにも、吟行会の雰囲気が盛り上がっていく。今回、この会場で開催されるのは初めであり、迷う方がないように、三沢容一、劒持劒二、金子嵩の三氏が旗を持って、万国橋の手前の角を曲がるところに立つ。
 12時半、投句締切とともに前半の司会尾崎竹詩氏の発声で会が始まる。始めに内藤ちよみ大会委員長の挨拶があり、三十五周年記念の吟行会参加に対しお礼があった。そして、例年の30位までの顕彰のほかに、三十五周年を記念し、10位までには賞品があるとの報告があった。次に吉田功会長より、皆の力をもって、三十五周年の事業を成功させたいと挨拶があった。
 挨拶のあと、講話である。司会より、講師として、現在の会の運営に尽力している吉田功会長の紹介があった。演題は「俳句と遊ぶ」というもので、俳句を始めた高校の頃の話があった。当時高校の教師として、俳誌「炎群」「檣頭」を主宰しておられた佐伯昭市先生の指導を受け、同様に薫陶を受けていた川辺幸一氏の紹介があった。当時は東京の世田谷に住んでおり、年の暮れには「ぼろ市」が開かれているという。その頃の句を掲載した雑誌『青年俳句』を資料として配布。さらに、最近雑誌に載った句「兵法に真髄ありや零余子取り」を紹介するとともに、童謡赤い靴の逸話も話された。
 その間、村上友美、中山妙子、稲葉喜子、植田いく子、佐分靖子、比留間加代、堀口みゆき、吉野美和子、若林つる子の諸氏により清記が行われ、印刷に大本尚、伊藤梢、谷村和華子氏が奔走されていた。休憩中に清記用紙が配布され、皆、熱心に選句を行う。後半の句会は佐伯千年氏の司会で始まる。鹿又英一、山田貴世、芳賀陽子の諸氏により披講が行われ、採点は渡辺和弘氏を責任者として、桐山芽ぐ、佐々木重満、佐藤久、菅沼とき子、望月英男の諸氏が担当。滞ることなく点盛が進む。披講が終わり、講評に入る。尾崎竹詩、野木桃花、麻生明、中岡昌太、小園葉舟、佃悦夫、瀬戸美代子、吉田功、森田緑郎の諸氏の順で話され、それぞれ選句した三句のほかに、気にとまった句の評があり、参考になった。
引き続き、成績発表が渡辺和弘氏からあり、商品担当の藤方さくら、、関根洋子、町野敦子、なつはづき、渡辺順子の諸氏から上位三十位までの方々に商品が配られた。顕彰の熱気が過ぎ、鈴木和代副会長から閉会の挨拶があった。なお裏方として多くの方々が支えた。写真撮影には、川辺幸一、日置正次氏が、会場設営、後片付けには広瀬久夫、吉村元明、石槌優、小沢一郎、長谷川昭放の諸氏が中心となり、接待にはらふ亜沙弥、塚田佳都子、朝倉さとえ、岡田典代、尾澤慧璃、芳賀陽子の諸氏、防災には広瀬元幸、安藤靖、川島進一、川名将義、の諸氏に尽力していただいた。神奈川新聞への報告は小関邦子氏が後日対応する
 懇親会は、桜木町にある居酒屋「笑笑」まで移動し、33名の参加のもと、開催された。鹿又英一氏の司会により、冷たいビールに喉の渇きを癒し、俳句談義に花を咲かせた。そして、来る大会に向けて会員皆一同、力をあわせて取り組んでいくことを確認した。

☆入賞作品(高点順)
   赤煉瓦倉庫の日陰可口可楽        佃  悦夫
   蝸牛このまま海を見ていたい       桐山 芽ぐ
   待つ時間待たせる時間梅雨くらげ     尾崎 竹詩
   ひた灼けて影を吸い込む赤レンガ     広田 輝子
   水無月の時空を廻す観覧車        広瀬 元幸
   ヨコハマも沖縄の海も六月        小沢 一郎
   炎昼を来てまぼろしの十三番地      長谷川昭放
   口利も忖度もなく水母浮く        広瀬 久夫
   卯月波ペットボトルの独り旅       吉水 就子
   梅雨晴の海へせりだすみらい都市     川村智香子
   帆船の骨格標本青嵐           川辺 幸一
   絵タイルの舟踏んでより青葉潮      田畑ヒロ子
   片蔭のベンチに過去を置いておく     町野 敦子
   汽車道の記憶まっすぐ蟻走る       加賀田せん翠
   紫陽花にたどりつきたる貨客船      高越 研次
   裏窓の一つ開けある夏館         関根 洋子
   開港の鼓動を渡る夏燕          鈴木 和代
   流されてお前も生きるのかくらげ     川名 将義
   空梅雨の街かき回す観覧車        田中 悦子
   梅雨晴間日本丸は仮眠中         河野  薫
   積木めく横浜のビル群雲の峰       鈴木 幸子
   海開き宇宙に四角はないだろう      日置 正次
   客船やマストに千羽夏鴎         藤方さくら
   夏鴎みなとみらいによく似合う      朝倉さとえ
   梅雨晴の埠頭への道父となる       渡辺 和弘
   六月を惰性のままに観覧車        芳賀 陽子
   夏至空へ浄土見にゆく観覧車       小野 元夫
   みなとみらい迷子の地図の汗まみれ    なつはづき
   銅鑼渡るレンガ色した片かげり      福原  暁
   梅雨晴や汽車道天の浮き橋に       佐々木重満
【作品記録・佐藤 久】

§第35回神奈川県現代俳句協会定時総会§平成29年3月5日

一句会風景

平成29年3月5日(日)かながわ県民センターにて第35回定時総会が行われた。ご来賓に現代俳句協会副幹事長の柏田浪雅先生・千葉県現代俳句協会副会長の高木一惠先生・東京都区現代俳句協会副会長の佐怒賀正美先生・東京多摩地区現代俳句協会副会長の吉村春風子先生・横浜俳話会会長の麻生明先生・川崎市俳句連合会長の青木恵美子先生の6名のご来場を得て開始された。当日の出席者は77名、事前の欠席委任状が215名分あり、計292名の参加により、議事が成立する旨、尾崎竹詩事務局長より宣言された。はじめの吉田功会長の挨拶では、神奈川現俳は会員数が最盛期には800名だったのに現在は595名と大幅に減っている事について言及された。しかし数は減ったものの、一人ひとりがよく頑張って盛り立てているので、今年は35周年の大会もあることであり、力を合わせていこうと述べられた。その後、28年度事業報告と決算報告、29年度の事業計画案と予算案が承認され、総会の議事は滞りなく終了。一句会へと進んだ。ご来賓の先生方と当会顧問の御講評を頂戴し、成績発表と賞品授与の後、無事閉会。会場を移して懇親会が和やかに行われた。以下、一句会の結果を上位30位までを記載する。
一句会 (席題:鳥曇・川)
    人に逢ふやうに近づく春の川        川村 研治
    ふるさとの背骨のような春の川       村上 友美
    鳥曇墓で落ち合う家族かな         藤方さくら
    人の世の芥も浮かべ春の川         菅沼とき子
    唇(くち)に黄な粉手にも黄な粉や鳥曇   福原 瑛子
    生国へ声を束ねて鳥雲に          鈴木 和代
    川の字に寝て入学を待つ子かな       鹿又 英一
    木の椅子のまだ濡れてゐる鳥曇       川村智香子
    そら耳に我が名呼ばれし鳥曇        青木恵美子
    雪解川野獣となりて咆哮す         古屋  洸
    被災時の嬰児(やや)は七歳鳥曇り     若林つる子
    無限なる鳥曇にある出入口         渡辺 和弘
    ポケットの底の大穴鳥曇          小関 邦子
    大川に逆らひ生きて葱坊主         渡辺 照子
    塗り替えの出来ぬ歴史や鳥曇        町野 敦子
    鳥雲に自由の女神泣いている        野木霞丘子
    春光は鳥のかたちに川そよぐ        高木 一惠
    春の川年金ぐらしと言う自由        加賀田せん翆
    春浅しレコード盤に永い川         尾崎 竹詩
    いくさなき砂浜歩く鳥曇          佐伯 千年
    芽柳や川面を滑るはぐれ雲         尾澤 慧璃
    鳥曇り野良猫朝から前のめり        山老 成子
    モナリザの謎のほほゑみ春の川       関根 洋子
    鳥曇り大あくびしてあらわれる       平田  薫
    鳥曇ペルシャ絨毯裏返る          吉村 元明
    鈍痛に間隔があり鳥曇           川島由美子
    鳥曇土竜の塚を踏みならす         川辺 幸一
    老眼を花眼といふか春の川         伊藤  眠
    鳥曇穴からこの世覗きみる         中山 妙子
    おのれ逝くこと忘れて春の川見てる     広瀬 元幸   
    【 作品記録・望月英男 】 

(伊藤 眠)

※会長「𠮷田 功」氏の「𠮷」は「土」に「口」。