地区活動

各地区の活動 【都多摩】

会長吉村春風子
事務局長稲吉 豊
事務局
郵便番号195-0055
所在地町田市三輪緑山1-28-19
TEL044-987-1716

平成30年度定時総会で挨拶する吉村春風子新会長

【 地区の紹介 】

(活動予定・記録は下へスクロールしてご覧下さい。)

平成28年度定時総会・新春俳句会会歌斉唱

 私たち東京多摩地区現代俳句協会は、東京都の23区を除く市部、多摩地区に居住する会員で構成され、東京郊外の武蔵野一帯を主な拠点としています。昭和58(1983)年7月に発足し、今年35周年を迎えました。
 定時総会や俳句大会など主要なイベントは、おもに武蔵野市、立川市を中心に行なわれていますが、吟行会や月例の俳句研究会などは各地の持ち回りで実施しています。その活動状況は、年4回発行する会報「多摩のあけぼの」によって会員の皆様にお知らせしています。近隣の地区協会、特に東京都区協、千葉県協、神奈川県協とは長期にわたり親密な交流を続けています。
 3年毎に募集する「東京多摩地区現代俳句協会賞」は第七回、5年毎に発行している会員の合同句集『多摩のあけぼの』は、これまでに第六集を刊行し、今年は第七集を出版予定です。
 また当協会には独自の会歌《多摩のあけぼの》があります。この歌は、顧問の沢田改司氏作詞、参与の宮川としを氏作曲によるもので、多摩の豊かな風土と、会員の連帯を高らかに謳っており、会合の冒頭には全員で斉唱し大変好評を戴いております。

多摩地区協会への入会は随時受付けております。
(本部会員以外の一般会員の方の年会費は2000円です)
お申込みは事務局へ(044-987-1716)

俳句研究会に参加を!!
毎月行なわれている「俳句研究会」は、土曜の午後の楽しい句会です。
(講師による約1時間の講話のあと、参加者全員の互選による句会と合評)
出句一人3句。会費は500円です。
初めて参加される方、会員でない方、大歓迎です。

『投句による参加』もできます。〈在宅句会〉
さまざまな事情で会場へお出掛けになれない方は、投句による「俳句研究会」への参加もできます。
◇開催日の1週間前までに投句してください。
◇出句は一人3句です。(選句はありません)
◇長さ20cm程の短冊に一句ずつ書いてください。(用紙は何でも結構です)
◇参加費は1000円です。(出句と同時にお送りください。)
◇句会終了後、全作品の清記用紙と高点句、出句された作品の成績、寸評等をリポートとしてお送りします。

[投句先]〒180-0006 武蔵野市中町3-29-19 蓮見徳郎方「俳句研究会」投句係宛
[お問合せ] 永井潮 TEL 042-492-4516

【 行事 】

[2018年8月10日追加更新]
<平成30年下半期活動予定>
8月25日(土)第8回俳句研究会 午後1時 かたらいの道市民スペース
9月22日(土)第9回俳句大会 午後1時 立川市子ども未来センター
10月27日(土)第10回俳句研究会 午後1時 立川市子ども未来センター
11月17日(土)秋の吟行会 都立武蔵国分寺公園(国分寺市)
11月24日(土)第11回俳句研究会 午後1時 立川市子ども未来センター
12月22日(土)第12回俳句研究会 午後1時 立川市子ども未来センター
平成31年1月26日(土)第1回俳句研究会 午後1時 立川市子ども未来センター

立川市子ども未来センター
〒190-0022 立川市錦町3丁目2番26号 042-529-8682googleMAPSで確認する
※JR立川駅から徒歩13分、多摩モノレール立川南駅から徒歩12分、JR西国立駅から徒歩7分
※有料駐車場あり

かたらいの道市民スペース
武蔵野市中町1-1-16 武蔵野タワーズスカイクロスタワー内。TEL0422-50-0082
※三鷹駅北口徒歩2分。

上記が使えないとき、立川市女性総合センター中央図書館と同じ建物です。)
〒190-0012 東京都立川市曙町2-36-2
ファーレ立川センタースクエア内(1階と5階)電話042-528-6801
JR立川駅北口から徒歩7分。多摩モノレール立川北駅から徒歩5分。
いずれも歩行者デッキでおいでいただけます。
このほか、くるりんバスもご利用いただけます(女性総合センター下車すぐ)。


[2018年8月10日追加更新]
〈平成30年活動記録〉 
第36回東京多摩地区現代俳句協会俳句大会
平成30年7月29日(日)於・武蔵野スイングホール

東京多摩地区第36回俳句大会

 異例の進路を辿る台風に気を揉むなか、東京多摩地区・現代俳句協会俳句大会が開催された。出句者199名、投句数1074句、当日出席者88名と盛会であった。

吉村会長

 大森敦夫事務局次長の司会により恒例の会歌斉唱、根岸敏三副会長の開会の辞、吉村春風子会長の挨拶があり、本日の講師・高野ムツオ先生からご挨拶句を戴いた。
    台風のしっぽにつかまり多摩に来た  高野ムツオ

 続いてご来賓の松澤雅世都区協・会長、尾崎竹詩神奈川県協・事務局長、並木邑人千葉県協・幹事長の各氏よりご祝辞を賜りました。金子兜太先生に黙祷を捧げ、現代俳句協会副会長・小熊座主宰の高野ムツオ先生による記念講演「私の現代俳句―兜太と鬼房」があった。


高野ムツオ講師

句の心情を深く掘り下げ、俳句は混沌が大切で、「創造であり、自然から学び、自分で踠きながら探る」との熱いメッセージを戴いた。また会場に兜太、鬼房の墨蹟が展示され、参加者の目を惹いた。
 休憩後、石橋いろり事業部長から成績発表があり、大会賞はかわにし雄策氏が受賞された。

大会賞・かわにし雄策氏

30位までの入賞者も顕彰し、かわにし氏が謝辞を述べられた。続いて大会選者の特選句が披講され、特選賞が各人に授与された。大会選者各氏からの特選句についての講評も頂いた。

講師、来賓による特選句の選評

ついで各部からの報告と行事案内、最後に戸川晟副会長の閉会の挨拶により大会は滞りなく終了した。
 引き続きの懇親会ではご来賓の方々を囲み、和やかに交流の輪が拡がり、また現俳出版部長の津高里永子氏から句集上梓をお考えの方には本部出版部がサポートする旨のご案内を頂き、懇親会も名残を惜しみつつ散会した。(関 梓・記)

大会選者の特選作品
高野ムツオ選  緑さすビニール傘の無名性       平山 道子
松澤 雅世選  大好きと好きの窪みに春一番      島田 啓子
尾崎 竹詩選  日向ぼこニュースがニュース消して行く 原田 洋子
並木 邑人選  アカシア散る紙の鍵盤鳴るように    石橋いろり
沢田 改司選  母の日のささやかなれど予約席     戸川  晟
橋爪 鶴麿選  貼り紙の角のめくれて夏が来る     山崎せつ子
安西  篤選  逝き方は生き方の〆さくら咲く     永井  潮
岩崎清太郎選  若葉風パン屋の広い硝子窓       梅沢れい子
岡本 久一選  冬草や片付けられない人とゐる     根岸  操
金谷サダ子選  一睡の中を幾たび桜咲く        高野 公一
田村  實選  紙風船突けば昭和の音がする      一ノ瀬順子
地原 光夫選  借景の春がベンチに置いてある     山本 敏倖
遠山 陽子選  耕して大地に耕されてゐる       永井  潮
冬木  喬選  雪しんしん国の出口が見付からない   原田 洋子
前田  弘選  昼顔に同じ声掛け同じ顔        前田 光枝
宮川としを選  寒卵割れば飛び出す小宇宙       関根 正義
三池  泉選  死ぬときも怒つてゐます原爆忌     原田 麦吹
柏田 浪雅選  孕み子に手足の揃う日永かな      鈴木 砂紅
江中 真弓選  ほととぎすどんどん時間すきとおる   山崎せつ子
三浦 土火選  山の子のあいさつしかと青胡桃     青木 絢子
佐々木克子選  朝顔の紺のとけゆく隠岐の海      三浦 土火
水野二三夫選  レーザーで謎解く古墳星流る      平田  修
吉村春風子選  えご散るや昭和平成見尽くして     佐々木克子
根岸 敏三選  達者かと電話のむこう咳ひとつ     松本  芳
永井  潮選  ネギ坊主横並びにはもう飽きた     村井 一枝
山崎せつ子選  どくだみの競わぬ白にして孤独     関戸 信治
稲吉  豊選  もの言ふを蟇に待たれてをりにけり   市川 山猿
戸川  晟選  若竹や靴特大の娘婿          田山 光起
小山 健介選  春愁はホチキスで留め外に出でよ    山下 遊児
大友 恭子選  落椿毎朝拾ふおばあさん        田村  實
根岸  操選  南から北から弔歌麦の秋        武良 竜彦
蓮見 徳郎選  大根を引き大根に倒さるる       永井  潮
石橋いろり選  錆声の海女が浮出る雲の峰       地原 光夫
大森 敦夫選  昼炬燵母の飴缶ふた開いて       池田 洸生

大会入賞作品
〈大会賞〉 肩書きがふわっと取れて草の絮     かわにし雄策
〈入 賞〉 大根を引き大根に倒さるる       永井  潮
      日向ぼこニュースがニュース消して行く 原田 洋子
      すでに名で呼ばれし胎児春近し     菅沼 淑子
      蜩の他は無口な村境          地原 光夫
      風船やぶつかりあひて傷つかず     根岸  操
      晩年の素顔の軽さ藍浴衣        遠山 陽子
      耕せる限りの棚田盆の月        宇賀いせを
      紙風船突けば昭和の音がする      一ノ瀬順子
      句読点打っても打っても春の夢     島 さくら
      炎天や負けて他校の校歌聞く      満田 三椒
      省略が効きすぎている羽抜鶏      冬木  喬
      つぶやきの形と思ふ木の実かな     秋山ふみ子
      これ以上伸びない手足籐寝椅子     飛永百合子
      ネギ坊主横並びにはもう飽きた     村井 一枝
      達者かと電話のむこう咳ひとつ     松本  芳
      どくだみの競わぬ白にして孤独     関戸 信治
      田を打つて土の匂ひを持ち帰る     広瀬 元幸
      夏草や可愛いい年寄なんて無理     藤倉 頼江
      タンポポの光持て来る見舞の子     吉田 久美
      跡取りのない田案山子が意地を張る   桑田 制三
      もの言ふを蟇に待たれてをりにけり   市川 山猿
      墓洗うだけの帰郷や駅弁買う      梅沢れい子
      死ぬときも怒つてゐます原爆忌     原田 麦吹
      与太兜太母のふところ山笑ふ      山口 楓子
      大仏の背中で遊ぶかたつむり      沢田 改司
      点滴や春光あつめあつめ落つ      水落 清子
      するすると桃むけただけ二重丸     島田 啓子
      今日無事の夏大根の辛さかな      越前 春生
      しがらみを抜け陽炎になっている    佐々木克子

第7回 俳句研究会 
7月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 水野二三夫・夏目瑶・秋山ふみ子・飛永百合子・根岸敏三・大森敦夫・佐藤八重子
参加者 28名
★講話・・・小山健介 「多摩風土記を書いて」

虫の音をはさんで閉じる文庫本    大友 恭子
涼しさは埴輪の腰のくびれかな    根岸  操
かなしみの当たりどこなし冷奴    越前 春生
塩を舐め中止と決める神輿渡御    小山 健介
炎天や一塁二塁遠くなる       根岸 敏三
立葵傘寿の姉のハイヒール      宮井 洋子
山の風入れたポケット鰯雲      水落 清子
臍曲る野分接近多摩句会       三浦 土火
一八や正座の母が兄叱る       佐藤八重子
おままごとしていた八月十五日    飯田 玉記
バス停は森の入口蝉しぐれ      秋山ふみ子
青芒風のうわさは信じない      佐々木克子
手花火や母を受け継ぐ片ゑくぼ    稻吉  豊
古代蓮見るたび一つ若返る      永井  潮
牧場の牛の反芻雲の峰        戸川  晟
べらぼうめぇどぜう丸鍋熱燗でぇ   淵田 芥門
朝顔をとりどり咲かせ四世代     関   梓
異常とは始まりのとき熱帯夜     川島 一夫
さるすべり白い嘘ならすぐ忘る    前田  弘
着地点目ざす青鷺風を呼ぶ      白尾 幸子
ひとしきり風の梳きゆく半夏生    吉村春風子
かなかなや今日仕残したこといくつ  山崎せつ子
一睡の夢まさびしく骸蝉       水野二三夫
みんみん蝉何訴ふや鳴きつのり    夏目  瑶
立葵なぎ倒されて空威張り      大森 敦夫
ありがたく団扇の風をいただきぬ   飛永百合子
真備町の空訝しがる翡翠(かわせみ)  石橋いろり
六条や怨みな負ひそゆすらうめ    大槻 正茂

第6回 俳句研究会
6月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 根岸敏三・夏目瑶・秋山ふみ子・玉木康博・根岸操・戸川晟・石橋いろり・飛永百合子
参加者 40名
★講話・・・川島一夫氏 「自己変革と俳句の進展」

この家も英字表札濃あじさい        門野ミキ子
ふんわりと時間が浮いて合歓の花      山崎せつ子
栗の花苦手な人を遣り過ごす        関   梓
高々と雨を上げたる蓮の花         高野 公一
未来とは大きな刺の茄子の花        川島 一夫
茅花流し何度も使う茶封筒         前田  弘
一幅(いっぷく)の墨絵の匂う夏座敷    紺谷 睡花
ときめきは不意に来るもの夏座敷      吉村春風子
愛犬がじっと動かず蛍狩り         玉木 康博
黒南風や図書館よりの督促状        秋山ふみ子
女にも覚悟はありぬサングラス       二本松よし子
どうしてを飲み込んでいるレモン水     戸川  晟
時の日や掃除ロボットまた転進       稲吉  豊
荒梅雨や言葉少なく聞上手         大森 敦夫
晴れ男雨の菖蒲を誉めちぎる        飛永百合子
ゴミ袋下げどくだみの香を連れて      松元 峯子
沖縄に住めば分かるか慰霊の日       永井  潮
白鷺の片足立ちの思案かな         山口 楓子
風捉え風の押しだす青田波         河井 時子
額の花百の石仏百の顔           水落 清子
角帯の風切る姿杜若            佐藤八重子
梅雨晴間動物たちの向かう場所       前田 光枝
ボウフラがダガジグダガジグエーホッホー  淵田 芥門
武蔵野に余生つくろふ鉄線花        大友 恭子
手遅れと思ふあれこれ夏の蝶        夏目  瑶
女王蟻次の方舟待つつもり         関根 曳月
あぢさゐの今年のいろをよしとせず     亀津ひのとり
万緑や鐘の中にある故郷          佐々木克子
扇風機前を陣取りフィットネス       根岸  操
自動ドアならず真夏のローカル線      水野二三夫
梅雨空や一つのことば迷宮に        石橋いろり
化粧とふかなしき言葉鮎の宿        柏田 浪雅
生きるとは拳の綱や沖縄忌         夏目 重美
天頂の月に耿々大西日           長澤 義雄
梅雨寒のちつとも減らぬ大ジョッキ     三浦 土火
予報官指示棒の先梅雨前線         根岸 敏三
荒梅雨や太字の長寿健診書         西前 千恵
蛍飛び廃炉ゆらめく時流る         櫻本 愚草
浜木綿に吹かれて今朝は油壷        大槻 正茂
優しさは試練経てこそ梅雨昏るる      飯田 玉記

春の吟行会  平成30年5月12日(土)
国営昭和記念公園 日本庭園内 観楓亭
 (上位入選十句)
えごの花一りん落ちてヘリの音      山口楓子
風光る昭和を知らぬ親子づれ       白尾幸子
武蔵野の農ここにあり麦実る       戸川 晟
ポピー揺れ仕合せさうな自撮棒      稲吉 豊
悲しみのように水ある白菖蒲       高野公一
踏青や集団は崩れやすきもの       永井 潮
空が広いすっくと罌粟が赤すぎる     山崎せつ子
東屋にいい風呼びぬ若楓         宮井洋子
逝くときは御花畑に溺れたし       根岸 操
みどり濃淡曼荼羅につつまれる      佐々木克子
 (一人一句)
えごの花恋の虜に熊ん蜂         関  梓
古民家に箱膳ならぶ薄暑かな       秋山ふみ子
山法師その真白さを持ち帰る       飛永百合子
薫風やペット同伴誓約書         西前千恵
ポピー揺らして風の鬼ごっこかな     笹木 弘
黙す池分けて水脈引く夏の鴨       関根曳月
オクターブ高き子の声ポピー咲く     水野二三夫
公園のてくてくマップ緑濃し       吉村春風子
漣の一つ起こさず初とんぼ        原 耕一
薫風を肺の中までいい日です       宮澤雅子
和名ならすらっと言えるけしの花     岸本陽子
水涸れの川の癒しや山法師        夏目重美
俯く日外方向く日のシャーレ―ポピー   石橋いろり
貸しボート漕ぎ手はどれも父なりし    根岸敏三
木漏れ日の光をはじく滝の水       長澤義雄
踏まずには行けぬか思案いぬふぐり    夏目 瑶
吟行の青葉若葉や不帰鳥         三浦土火
カラタネオガタマ熟したバナナの香を放ち 佐藤八重子
写生してすごす仲間や苔清水       大森敦夫

第5回 俳句研究会
5月26日(土)立川市子ども未来センター
参加者 41 名
★講話・・・山田貴世氏 「倉橋羊村 人と俳句」

若葉冷え母の心音背負ひけり     越前 春生
ドアノブにメモと筍ニュータウン   小山 健介
水平線のみで佳しとす夏館      原口 海人
夏蝶や僧一礼の冠木門        山下 遊児
沈黙も言葉のひとつ夕端居      吉村春風子
便箋に筆圧残る走り梅雨       米澤 久子
寺守の後を胸張り羽抜鶏       山田 貴世
颯爽と歩くつもりの更衣       長野 保代
ユトリロの白を抜け出す夏つばめ   大友 恭子
生年月日言わされている蝸牛     前田  弘
玄関に我家育ちの蜥蜴来る      西前 千恵
心太ふさぎの虫をひと突きに     二本松よし子
どくだみや財布にしまふ診察券    秋山ふみ子
まだ続くマイナス金利麦の秋     亀津ひのとり
耳で選ぶにはあらねども種袋     永井  潮
蛞蝓が閑居の壁で振り返る      淵田 芥門
昼顔の淡い時間になっている     山崎せつ子
山鳩のくぐもる声や著莪の花     夏目  瑶
途切れなく線路を潜る蟻の列     根岸 敏三
五月風真実告げて瞳の安堵      宮井 洋子
花大根青い電車の音消えて      高野 公一
葱坊主どこを向いても危険なり    川島 一夫
名にし負ふ偉人麗人薔薇の園     水野二三夫
枇杷の実や太陽の子を遊ばせて    根岸  操
うすれたる味覚嗅覚木の芽和え    水落 清子
青鷺や風切る羽音空を蹴る      白尾 幸子
巫女寄せのあごの飛び交ふ金華山   夏目 重美
竹落葉頷いてゐる笠智衆       稲吉  豊
風鈴や遊び尽さむ身の限り      鈴木 浮葉
家族てふややこしきもの桐の花    平井 照子
梅雨寒の青き炎に海苔を焙る     松元 峯子
白日傘魚を覗き見つめらる      新井 温子
山背風女戦の紅を引く        三浦 土火
三味の音や「隅田の花火」七変化   石橋いろり
ぼうふらや憂鬱背負って静まれり   大森 敦夫
神霊の宿る古道や風涼し       長澤 義雄
万緑や鯉の唇ぽかぽかと       藤井 みき
睡蓮の三日の美人衒(てら)いなく  佐藤八重子
香水や傾ぐ佳人へ肩を貸す      霧野萬地郎
異国人(びと)着こなす着物街薄暑  河井 時子
餌を口に鳥しげくゆく青葉風     山口 楓子

第4回 俳句研究会 
4月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 戸川 晟・夏目 瑶・浮海早苗・飛永百合子・大森敦夫・石橋いろり・関 梓 
参加者42名 ★講話・・・永井 潮「広辞苑を観る」 

又の世も夫婦ぞ、そだね四月馬鹿      淵田 芥門
燕来る旅より戻る子のごとく        夏目  瑶  
花冷の座席の下の盲導犬          西前 千恵
飛花落花残り時間の中にいる        山崎せつ子 
松の芯すくすく育つ隣りの児        佐々木克子 
春満月海の匂ひをつれて来る        秋山ふみ子 
コーラスの腹式呼吸若葉風         山口 楓子
蒲公英が斜面を走る津波跡         高野 公一 
カツ丼の三葉鮮やか荷風の忌        満田 光生
愛一つ隠して百の落椿           永井  潮
赤ちゃんが足指開く春列車         玉木 康博
日脚伸ぶ五分遅れの電車来る        飛永百合子
生れたての蠅の子ならむ甘やかす      二本松よし子 
胡麻塩のあゝ上野駅花は葉に        関根 曳月
風光るきめこまやかに手話の指       河井 時子 
花菜風赤ん坊とろり生欠伸         門野ミキ子
噴水や時には休みたい気分         根岸  操 
極上の孤独鮎釣の道具箱          戸川  晟 
あるはずの酒蔵探す春時雨         小山 健介
路地裏の五月雨てよし晴れてよし      飯田 玉記 
たんぽぽの綿毛と共に途中下車       大友 恭子 
小さきとも輪廻の証つくしんぼ       吉村春風子
胸奥に原っぱがあり姫女菀         松元 峯子
永き日の長き鏡にひとの顔         小田  笑 
黄塵万丈円周率の厘の先          稲吉  豊
春深し板門店の境界に           浮海 早苗
葱坊主野菜市場でだだをこね        前田  弘  
桜蘂降るさりげなく隣の手         佐藤八重子 
ひたすらに燕飛び交ふ穴(あの)太積(うずみ) 関   梓
荷風忌や踊り子草の見えかくれ       亀津ひのとり
大と極小父子家庭らし鯉のぼり       鈴木 浮葉 
受難の碑里を知らざる蝶とまる       水野二三夫 
オーイオーイ大声で呼ぶ春の山       米澤 久子 
母かも知れぬ初蝶を見失う         紺谷 睡花
嘘吐いて我が耳は聴く花空木        三浦 土火
田植女や肩に食ひ込むおんぶ紐       夏目 重美
犬走る残花の道を果てまでも        大槻 正茂 
黒電話ジーコジーコと春暮れる       櫻本 愚草 
夏鶯全山吸いこみ吸いきれず        石橋いろり 
乳母車浮かばすように初夏の風       根岸 敏三
よな曇り鳩に睨まれ見つめられ       大森 敦夫
父の夢くり返す朝蕗の薹          白尾 幸子

平成30年度 定時総会
平成30年3月25日(日) 於・武蔵野スイングホ―ル
 第三十六回平成三十年度定時総会・陽春句会は穏やかな春日和の中、七十七名の出席を得て開催されました。新役員の大森敦夫氏の司会により、恒例の 会歌である多摩のあけぼのを斉唱。永井潮副幹事長の開会のことばに続いて、柏田浪雅会長の挨拶となりました。
 冒頭、先月二月二十日に他界された金子兜太氏の逝去を悼み、黙祷が捧げられました。会長職を退くにわたり、九年の長い間の歩みを振り返り、今後の現俳の裾野を拡げる活動についての道筋について述べ、今後の活動の場を本部に移されると抱負も語られました。
 新会員の紹介の後、来賓三名の渡辺澄千葉県協副会長、川村研治神奈川県協副会長、松田抱空都区副幹事長のご祝辞を頂きました。
 議長に戸川晟氏、副議長に浮海早苗氏を選出し議事に入りました。
 一、 平成二十九年事業報告
 二、 平成二十九年度収支報告及び会計監査
 三、 平成三十年度事業計画案
 四、 平成三十年度収支予算案
 五、 役員改選の件
 以上、議案が全て原案通り、承認・可決されました。

 続いて、新会長の吉村春風子氏の挨拶がありました。
「この度、前任柏田浪雅会長の後任として大任をお引き受けすることになりました。
 折しも今年度は、三十五周年を迎える節目の年でもあります。記念事業として『合同句集』の出版を予定しております。引き続き『多摩のあけぼの』の発行・毎月の俳句研究会・春秋の吟行会・俳句大会・総会及び俳句大会を実施致します。
 以上について会員の皆さんのご参加とお力添えをお願い致します。」

 そのあと、退役の四名(柏田会長、三浦土火・江中真弓の両監査役、藤井みき広報部)に花束が贈呈されました。
 休憩後の陽春句会は、特別選者二十八名の選の披講、成績発表が行われ、上位十五名の入賞と特別選者からの特選賞が手渡されました。来賓のお三方、安西篤氏など顧問、参与、監査役などから丁寧な講評を頂きました。
 地区協報告では、今年度は現俳多摩創立三十五周年の節目に当たり、合同句集(各自十二句)発行の予定。また、五月十二日の昭和記念公園への吟行、秋十一月には武蔵国分寺公園への吟行開催についても案内がなされました。稲吉豊副会長の閉会の辞により無事総会は終了。
 休憩を挟み、同一会場にて懇親会が開催されました。乾杯のご発声を松田抱空都区協副幹事長に頂き、一気に会の雰囲気が和み、柏田会長がアンコ‐ル曲も含め三曲のシャンソンを熱唱。会場は一挙に華やぎ、俳句談義に花が咲いた模様。麗かな春の宴となったのではないでしょうか。
(懇親会司会・記 石橋いろり)  

平成三十年度 陽春俳句会作品
  入選十句
時々はキリンが食べる春の雲      望月 哲土
遺言のように書き出す初日記      永井  潮
戦争の昭和に耐えた雛飾る       沢田 改司
手のとどく高さの生活桜草       木下 蘇陽
初鏡作り笑いを力とす         一ノ瀬順子
雑踏のわれも一個の春埃り       岡本 久一
青き踏む素足に伝ふ地の鼓動      吉村春風子
きさらぎの時間が白く逃げていく    山崎せつ子
風花舞うモーツアルトの譜面より    佐々木克子
いのち惜しむかに平成の春惜しむ    紺谷 睡花

日輪の近付いて来る猫柳        穴原 達治
冬木の芽もれてしまった独り言     前田 光枝
草の芽に躓きしこと追伸に       前田  弘
春ショール母の匂いが消えていた    三池  泉
我楽多市写楽の顎に冬の蠅       堀部 節子
スーパームーン鏡餅が飛びたがる    高野 公一
木の影とわが影太き二月かな      秋山ふみ子
水槽の海月にもある人見知り      松戸  圭
この人もいつか分れる根深汁      白尾 幸子
久女忌の振子動かぬ喫茶店       根岸  操
まひるまをまあるく包む春の雪     宮澤 雅子
むつかしい生き方だったか雪達磨    渡辺  澄
鬼籍いま万両の実の赤きこと      柏田 浪雅
春風や地球の軽さ宙に浮く       長野 保代
東京に智恵子の空や三が日       折原あきの
踏む踏まぬそつとしておく霜柱     関   梓
春着着て仏の母に逢ひにゆく      越前 春生
詰襟に喉仏あり卒業す         戸川  晟
見送りしその後は知らず雪降れり    清水万ゆ子
初太鼓大気が硬くなっており      小山 健介
貰い手にやっと旅立つ雛かな      野口 佐稔
骨太に生き故郷の野良坊菜       堀部 嘉雄
独り言また春愁を深くする       冬木  喬
春風に揺れる想いの便り出す      三池しみず
春動くだけでは人は動かない      松田 抱空
春雷を祝意ときいて合格す       有坂 花野
大年の夢は果てなしゴビ砂漠      西   遥
卒業式日本一の母席に         宇賀いせを
お見送りしたかったなと亀鳴けり    藤井 みき
父母にもつとも近き春の月       山口 楓子
豆腐屋のラッパが連れてくる晩夏    大西  惠
背筋伸ばせば見えてくる春の闇     岸本 陽子
残雪を融かしてゆきぬ母子の歌     田村  實
橋上の手話囀らんばかりなり      地原 光夫
海辺から花菜畑ゆく一両車       長澤 義雄
山眠る秩父巡礼まだ途中        水落 清子
いたづらに犬歯と尾骨二月尽      稲吉  豊
マンションの庭に新築小鳥の巣     西前 千恵
掴まり立ちの小犬と子犬春の膳     岩崎清太郎
雀舞うシルバーマークの耕耘機     根岸 敏三
医者いらず蒔きて毎日医者通ひ     浮海 早苗
たまゆらの富士のはにかみ寒夕焼    宮井 洋子
奥鬼怒の残痕洗う雪解川        辻  升人
初雪や脈拍早くなっている       門野ミキ子
水脈の果兜太逝きけり春寒く      夏目  瑶
斗為巾の糸の奏でる春の海       佐藤八重子
両神山や兜太・おおかみ生きつづけ   江中 真弓
竜天に昇りて多摩を眼下にす      川村 研治
改元の元朝地球考える         清水 弘一
冬鳥はカンバスに描かれ動きだす    石橋いろり
爆発音は原発建屋とアナウンサー    川島 一夫
春雪や辺り一面やはらかし       三山 喜代
切り口は年輪に似る大根かな      飛永百合子
初夢は未だ見ぬ夢の七日かな      三浦 土火
セーターの花柄どこかの包装紙     宮腰 秀子
初東雲そのまほろばの液状化      安西  篤
舞姫のだらりの帯や懸想文       松元 峯子
包丁で春の七草軽叩き         玉木 康博
大寒や埴輪もみに赤い月蝕       原田 麦吹
雪こんこん十年前に決めし墓      大友 恭子
一瞬があふれ煙になる二月       金谷サダ子
白梅や絵馬にしたため女坂       田村 清子
はる風に解くる氷やチョコ固む     大森 敦夫
千年を千羽の鶴と春の海        夏目 重美
辛夷咲き風さゆらぎて道造忌      水野二三夫
咲き乱る一夜の宴烏瓜         蓮見 徳郎
蛇穴を出でて艶めく狭庭かな      蓮見 順子

第3回 俳句研究会
3月17日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 根岸敏三・佐々木克子・玉木康博・夏目 瑶・山崎せつ子
     ・稲吉豊・佐藤八重子・戸川 晟・大森敦夫
参加者35名
★講話・・・吉村春風子「芭蕉とその弟子たち〜蕉門十哲〜」

逢いにゆくことも終活梅の花      藤井みき
まだあると信ずる未来耕しぬ      吉村春風子
落椿姿勢はなおも崩さずに       根岸敏三
花林檎目は幸せといっている      水落清子
初蝶や母やもしれず低く飛ぶ      西前千恵
千里とぶ夢もありなむ亀の鳴く     山口楓子 
ふと映画みたくて街へ空海忌      白尾幸子
いつもさうひとつ足りない春の椅子   稲吉 豊
三月のけぢめを付けし本の山      関  梓
あの風は父だったのか花菜畑      柏田浪雅
春の日を二日切り取り二人旅      野口佐念
春眠やうちの婆さんまだ起きぬ     三浦土火
もう少しやさしく言って春一番     戸川 晟
電車待つ少女の横顔春立てり      松元峯子
落椿あんがい気楽かも知れぬ      佐々木克子
些かもとどまる気なし雪雫       荒川美恵
口外はしないと約束沈丁花       大友恭子
三月やそして誰も居なくなった     櫻本愚草
古草や母の思ひをなぞる日々      夏目 瑶
草の戸の句も新しや卒業生       夏目重美
 明日咲く薔薇一輪に賭けてみる    飯田玉記
命水切子に注ぐ春彼岸         玉木康博
これは梅あれは桜と伊豆の旅      石橋いろり
啓蟄や帯をゆるめに締め直す      山崎せつ子
五月の訃へ暗い水揉む洗濯機      地原光夫
つちふるやピアノを運ぶ回収車     根岸 操
朧三日月睫毛の長き寝顔かな      佐藤八重子
佐保姫を見に兜太逝きあきら逝き    永井 潮
あしたとて仮の世ならむ球根植う    越前春生
護摩木には妻のこととか蕨餅      大槻正茂
つくしんぼ塒はいつもうす暗い     淵田芥門
白梅や八五郎 はち 従へて平次の碑  水野二三夫
誰にも縛られずたんぽぽになれる    紺谷睡花
隧道や陽炎みだす貨車のたり      大森敦夫
花の雲ドイツ連邦共和国        新井温子

第2回 俳句研究会
2月24日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 佐々木克子・玉木康博・吉村春風子・根岸操・根岸敏三・石橋いろり・関 梓・白尾幸子
参加者 46名
★講話・・・環 順子 「きものと俳句を親しむ」

青鮫を庭に遺して兜太逝く       夏目 重美
海光のちらばっている雛あられ     佐々木克子
青鮫も狼も泣く兜太逝く        松元 峯子
白魚の魂までも透けてをり       越前 春生
棟梁が春を留めおく槌の音       大槻 正茂
身の丈に合った幸せ桜餅        飯田 玉記
肩抱いて別れは言わず春の雪      白尾 幸子
初蝶を見し夕ぐれを書き止める     前田  弘
山笑ふ笑い返して雲はゆく       水落 清子
まっ先に主治医へ二月のチョコレート  紺谷 睡花
巻きぐせの残る暦や梅の花       大友 恭子
花種を蒔くや立川ローム層       平井 照子
冬青空摑み着地のスノーボード     川島 一夫
紅梅の花の数だけ日の温み       吉村春風子
水温む母がしていた割烹着       飛永百合子
酢海鼠の命の一部噛み切れず      永井  潮
菜の花忌鯨が空を泳いでゐる      米澤 久子
筋書のなき世に重く春の月       山口 楓子
春昼のからすの影が本の上       小田  笑
宿六がまた股火鉢春の雪        淵田 芥門
マンションの百のポストへ春きざす   秋山ふみ子
貝殻を瓶に眠らせ浅き春        環  順子
春の夜やギネスの黒にモダンジャズ   満田 光生
時間とはもと星だつた蕗の薹      柏田 浪雅
五百年並ぶ石仏山笑う         小山 健介
曇る空木の伐り口の寒い声       山崎せつ子
農工大2号館裏梅香る         宮井 洋子
けんげ田に大空ありて鳶の輪      長澤 義雄
温さうな人を見てゐる寒さかな     三浦 土火
舟べりにたぷんたぷんと春の波     河井 時子
二月尽地球に瑕疵のある如く      高野 公一
相席の餡掛饂飩余寒かな        大森 敦夫
 悼・兜太
木の芽月夜真神に応と荒凡夫      稲吉  豊
雪解原一枚二枚千枚田         辻  升人
川しづか太宰の径に梅ひらく      根岸  操
沈黙は深き言葉 涅槃西風       関   梓
春寒や狼吼えろ兜太死せり       亀津ひのとり
冬菫色にかくれた強さかな       戸川  晟
かまくらを造る輩の少年の貌      西前 千恵
道の端に残りし雪の汚れかな      夏目  瑶
二月雪一点の黒ありレトリバー     玉木 康博
花の冷えもう天国に着いたのね     新井 温子
北陸の大雪止みて春北斗        浮海 早苗
梅東風や合格祈願絵馬素読       根岸 敏三
初桜庁舎に届ける二人かな       石橋いろり
食洗機せっせと働き寒明ける      佐藤八重子

第1回俳句研究会
1月27日(土)立川子ども未来センター
担当幹事:水野二三夫・佐々木克子・根岸操・稲吉豊・大友恭子・石橋いろり・関梓
参加者39名
◎講話 長井 寛氏「現代俳句協会七十年史」

掃除機の吸ひ残したる冬日差     米澤久子
星々を乗り継いでくる大白鳥     長井 寛
知らぬことそのままでいい日向ぼこ  秋山ふみ子
佇めば枯野歩めば尚枯野       越前春生
熱燗を振つて友の死確かむる     柏田浪雅
賄ひの飯はどんぶり寒卵       稲吉 豊
寒波襲来きんぴらごぼう甘辛く    飛永百合子
霜柱体重計に乗るように       根岸敏三
冬霧や終と言えども仮の家      石橋いろり
水が湯に変わる音聴く寒夜かな    永井 潮
簡潔に数字で答え寒卵        前田 弘
無洗米一合炊いて久女の忌      紺谷睡花
マスクはづす空の匂ひを吸ひにけり  根岸 操
一陽来復端布でつくる鍋掴み     関  梓
終活期二草だけの七日粥       小山健介
青空や雪野こんなに広いとは     門野ミキ子
初富士へトランペットを吹く少年   三山喜代
元朝の水底の鯉去年の夢       大槻正茂
置き去りの遺骨に吹くや涅槃西風   夏目重美
庭先に待たせておりぬ冬満月     大友恭子
宍道湖の夕日のつつむ浮寝鳥     浮海早苗
霜柱土の息吹の遠からず       佐藤八重子
冬の蝶音の消えたる動物園      小田 笑
デカルトもカントも好きな雪女    佐々木克子
本意ならず一つ増えたる年の豆    吉村春風子
顔いっぱい荒き風受け梅探る     藤井みき
初声の犬の裏声ありにけり      飯田玉記
神木に積む雪しづる夜の静寂     長澤義雄
大洋の波に揺られつ去年今年     夏目 瑶
春待つや箪笥に母の闘病記      水野二三夫
曇天のうっすら孤独冬桜       山崎せつ子
寒晴の蒼空流す隅田川        河井時子
枝打ちの音高きより檜山       亀津ひのとり
桃子さんおらもひとりだ納豆汁    白尾幸子
張り通す意志のくだけて寒昴     山口楓子
一月の漬物一月の味         戸川 晟
凩や荷台の文字はかもめ号      大森敦夫
焼そばパンさわやかに食べサッカー部 松元峯子
牡蠣啜る夫婦黙する差向ひ      三浦土火

<平成29年活動記録>
第12回 俳句研究会
12月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  吉村春風子・佐々木克子・玉木康博・山崎せつ子・稲吉豊・根岸操・浮海早苗
参加者42名
★講話・・・沢田 改司氏「多摩のいまむかし」

これからも同じ生き方障子貼る     越前 春生
大仏の目から始まるすす払い      沢田 改司
ゆったりと老いて行きます冬うらら   飯田 玉記
柚子風呂や夫は二次会三次会      飛永百合子
誰からも愛されていて葱の黙      戸川  晟
懐手して淋しさとも違う        門野ミキ子
歳月に香りがあれば寒桜        大友 恭子
数へ日や紙を丸めて遠眼鏡       稲吉  豊
百才を保証されても寒椿        宮井 洋子
判決を聴く百脚の冬の椅子       柏田 浪雅
狐目の新車が届く小春の日       西前 千恵
気付かずにゐるが幸せ隙間風      吉村春風子
冬麗を透かしてけやき大樹かな     山口 楓子
霜柱ぐさと切字を踏み入れる      櫻本 愚草
言葉時に刃となりぬ冬旱        佐々木克子
歯科医院窓から見える花八つ手     根岸 敏三
明るくて君が見えない冬銀河      永井  潮 
さまざまな木肌を見せて冬ざるる    秋山ふみ子
福引のティッシュペーパー 近松忌   米澤 久子
老人の輪投げ転がる冬座敷       根岸  操
レノンの忌ジャズの流れる母校なり   小山 健介
今生の普請了へたり除夜の鐘      三浦 土火
もの忘れ呆れる吾や冬の鵙       夏目  瑶
焼酎が好きで冬野の爺となる      辻  升人
冬耕(うな)う光る土の香土の色    石橋いろり
大根煮て鬼の居ぬ間の一人酒      佐藤八重子
凩や横っ飛びする群雀         河井 時子
冬の宿どこにもいないはは探す     浮海 早苗
横道にそれた証のいのこずち      宮腰 秀子
がらんどう片づく部屋の寒さかな    広瀬 孝子
真冬くる正攻法でやってくる      新井 温子
白鳥のこころ定まる水の上       高野 公一
犬を描く柴犬を描く年賀状       松元 峯子
山を見て寒いと誰に言うでなく     小田  笑
山々に日あたり野には風の枯れ     山崎せつ子 
ちちははの昭和は遠し枇杷の花     関   梓
口中に溶けゆく柿よ身知らずよ     川島 一夫
退屈で鵙の横貌みてしまふ       水落 清子
父母のものほぼほぼ捨てず年の暮    白尾 幸子
木造船漂流の海雪起し         前田  弘
手袋のほつれを隠す使ひ方       水野二三夫
丹前の柳行李の重さかな        大森 敦夫

第11回 俳句研究会
11月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 稲吉 豊・佐々木克子・玉木 康博・三浦 土火・石橋いろり・飛永百合子・佐藤八重子
参加者36名
★講話・・・江中 真弓氏「『昭和俳句作品年表』編纂の記」

石蕗の花今がゆっくり過去となる      山崎せつ子 
木枯や例文通り打つ弔電          小田  笑
極月のゴムの木を拭く漢かな        宮井 洋子
汚れきった障子の過去を貼り替える     永井  潮 
秋深し土偶笑むとも愁ふとも        三浦 土火
一人分離れて障子側に寄る         飛永百合子
蕎麦のくる前の枡酒三の酉         米澤 久子
白鳥の修羅となる餌を撒きにけり      越前 春生
小鳥来る指輪を外す手術室         根岸  操
初恋や水が始めて氷る頃          大森 敦夫  
鳥影のつぶてとなりぬ冬の暮        秋山ふみ子
日短や五目煮豆を煮て終る         水落 清子
フクシマの生命地に映ゆ草紅葉       櫻本 愚草
安らぎは父母のふところ冬銀河       紺谷 睡花
先頭の子の踏みしだく落葉かな       山口 楓子
靴下の模様別々小六月           稲吉  豊
冬草や余白は余白のままでおく       門野ミキ子
さびしさに北限ありや枯葎         吉村春風子
愚痴もでて自慢もありておでん酒      河井 時子
父ついに何も語らず枯芙蓉         白尾 幸子
寒月へわが分身の接近中          高野 公一
忘却のさなかに生きて花茗荷        浮海 早苗
言い訳の手紙とどくや小春の日       大槻 正茂
蜜柑光る島の時計屋四代目         関   梓
初雪や寛解の人隣席に           柏田 浪雅
小春日に子規そっくりの人と居る      佐々木克子
時雨忌や魚鼓を叩いて義仲寺        佐藤八重子
若人の美しき横顔クリスマス        大友 恭子
その下を舟の行き交う松手入        藤井 みき
綿虫の行方追ふ目の暗むまで        江中 真弓
有名人から案山子になってゆく       川島 一夫
団栗囓り縄文人になりすます        宮腰 秀子
走り根の芯駆け昇る地の息吹        辻  升人
空は晴れ紅葉の舞台主役なり        玉木 康博
ネクタイ弛め大技小技の鍋奉行       石橋いろり
枯芦や公魚の群影をつれ          夏目  瑶

◇第10回 俳句研究会 
10月21日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 小山健介・佐々木克子・藤井みき・戸川 晟・関  梓・佐藤八重子
参加者32名
★講話・・・水落 清子氏「俳句と病気〜私の場合」

水中に砥石眠らす十三夜          越前 春生
稲架幾重海へ展ける風の道         河井 時子 
秋まつり地べたに本を売る男        山口 楓子
小鳥くる窓辺は母の指定席         佐々木克子
にちにち草手を振る父母の点となり     白尾 幸子
良いことは葡萄と共にやってくる      戸川  晟
セーターは水色閉所恐怖症         小山 健介
原っぱや土管大声いのこずち        石橋いろり
銘仙の機音絶えて秋の声          佐藤八重子
秋耕の水は残らず地に還る         関   梓
秋明菊レンズ静かに近づける        根岸  操
人気(ひとけ)なきこの道が好き花芒    紺谷 睡花
それぞれの心ゆくまでつむ花野       西前 千恵
話すこと口いっぱいにざくろの実      永井  潮
いわし雲消化試合の野球場         水野二三夫
血のにほひする石舞台文化の日       柏田 浪雅
踏まれいる邪鬼の恍惚 秋冷        松元 峯子
紙にペン黒いぶだうに種がある       小田  笑
木戸叩くに合図ありけり十三夜       藤井 みき
ケルンまであと一息と吾亦紅        大槻 正茂
出してみる母に近づく秋袷         水落 清子
ひと筋のいのち秋曳く飛行機雲       櫻本 愚草
期日前投票の列野分来る          宮井 洋子
秋夕焼山懐に人ら老い           辻  升人
人声も夜霧に沈む野天の湯         長澤 義雄
道半ばナナフシに遭(あ)う秋の空     川島 一夫
逆縁は神の采配杜鵑草           飯田 玉記
ひとり待つ銀河鉄道ステーション      浮海 早苗
句に遊ぶことば積みあげ柿実る       大友 恭子
ゐずまひを正して酌めり萩の宿       三浦 土火
朗報のピンク電話や萩の花         大森 敦夫
背高泡立草雨に滲んでいるばかり      山崎せつ子

◇第9回 俳句研究会
9月24日(日)武蔵野市かたらいの道・市民スペース
担当幹事 戸川 晟・佐々木克子・玉木康博・根岸 操・藤井みき・石橋いろり・佐藤八重子
参加者33名
★講話・・・満田 光生氏「郊行と蕪村」

ジーンズのほど良き疲れ敬老日     藤原はるみ 
身仕度の合ひ間合ひ間の鉦叩      秋山ふみ子 
姑の物言ひに似て秋風鈴        稲吉  豊  
思ひきり曲るへちまよ獺祭忌      江中 真弓
吾亦紅黙っていてもわかるひと     水落 清子
秋場所のさじき珊瑚の髪かざり     山口 楓子 
貝殻の白き手ざわり雲は秋       佐々木克子
お早ようとトンボが滑空露天風呂    玉木 康博
故郷は墓一つだけ吾亦紅        白尾 幸子
晩年の仕上げ秋の蚊つれ歩く      高野 公一
畏ろしき師や全身で跳ぶ螇蚸      満田 光生
秋の燈や酔うてかなしき神楽坂     水野二三夫
まだ慣れぬ風になびけぬ青芒      戸川  晟
密談のやうに西瓜を食べてをり     越前 春生
酔芙蓉本音はいつも胸のうち      高坂 栄子
コスモスに我が帰るべき星を問ふ    柏田 浪雅
菜虫採る妻の眼の生き生きと      根岸 敏三
路地裏といふ秋風の迷ひ道       吉村春風子
網棚にぶどう足下にもぶどう      長澤 義雄
丸茄子や無人の小屋の文字太し     大森 敦夫 
大ぶりをふたりで分ける秋刀魚かな   佐藤八重子
泣きたるはをのこなりけりすがれ虫   三浦 土火
昼の虫ロールキャベツの煮える音    根岸  操
島唄に両手ひらひら虫の秋       藤井 みき
風さがすどこからとなく金木犀     山崎せつ子
秋彼岸地主の墓所や享保より      浮海 早苗
長き夜の筋なき夢を母過り       淵田 芥門
空ら咳で親に詫びをり秋彼岸      永井  潮  
言はずとも察し合ふ老秋海棠      関   梓
児の没年彫られしベンチ団栗一つ    石橋いろり
朗々と虫すだく中を苦吟かな      夏目  瑶
おはぎ買って彼岸中日煮〆炊く     宮井 洋子
とろろ汁廃炉に時を擂り下ろす     櫻本 愚草

◇第8回 俳句研究会
8月27日(日)武蔵野市かたらいの道・市民スペース
担当幹事 根岸敏三・根岸操・玉木康博・飛永百合子・大森敦夫・関 梓・浮海早苗 
参加者36名
★講話・・・佐藤映二氏「宮沢賢治の詩の魅力」

影もまた風に吹かるる鳳仙花       吉村春風子 
抗へど夜も炎帝の添寝かな        淵田 芥門
炎天の欅は人に優しくて         松元 峯子 
秋風や板戸に浮きし釘の天        稲吉  豊 
探しもの一つもない日秋麗        関   梓
手花火や小脇に余る袂かな        佐藤八重子
曇る朝もうどんぐりが落ちている     山崎せつ子  
桃の種割って生まれし猜疑心       永井  潮 
空蝉の強き怒りをなほ宿し        柏田 浪雅
秋鯖や蛇口を水のほとばしり       江中 真弓
高層ビル内階段の残暑          小田  笑
原発へ二十キロ圏盆踊り         飛永百合子
すっきりと富士額見せ祭髪        藤井 みき
独り居の素のままさらす熱帯夜      宮井 洋子
街騒が驟雨の音となる渋谷        門野ミキ子
時には兄のように白百日紅        前田 光枝
ほほづきの酸つぱさにある母の里     根岸  操
波の音夏の島より持ち帰る        新井 温子
AIが人を超える日流れ星         高坂 栄子
白壁の土蔵に家紋秋澄めり        浮海 早苗
反省と出発点の八月尽          根岸 敏三
浮き沈み傘忘れざる海月かな       水野二三夫
誕生日まるごとトマト皿笑う       玉木 康博
悪茄子の花仮設にも子守唄        前田  弘
藁屋根にひときは高き夏蓬        長澤 義雄
戸締りを終えししじまや秋の声      夏目  瑶
灯下親し沈思のための詩歌かな      佐藤 映二
その中に黙する虫も虫しぐれ       山口 楓子 
コンコース抜ければ街の秋めける     秋山ふみ子
道の辺の乾び蚯蚓や驟雨来る       三浦 土火
床の間や先祖しはぶく盂蘭盆会      大森 敦夫  
ごみの日の分別表貼る冷蔵庫       飯田 玉記
棘多き山椒の枝の空蝉よ         石橋いろり
八月は省み思ふこと多し         佐藤 浩子
湯畑の湯気とんぼうの果てたるや     加藤 寿雄
松虫の存問ありてひとり闇        関根 曳月

◇第7回 俳句研究会

7月30日(日)立川市子ども未来センター
担当幹事 吉村春風子・佐々木克子・玉木康博・稲吉豊・根岸敏三・大森敦夫・白尾幸子
参加者29名
★講話・・・石橋いろり氏「俳句と絵画」

七月の沖より雲の力瘤          越前 春生
滴りや両手に受くる山の精        長澤 義雄
牛飼ふと貯金始むる夏休み        柏田 浪雅
「喰わっせさ」と切り分け西瓜どんと出る 関   梓
西日濃し暮しの中を神田川        稲吉  豊
夏兆す画鋲の残る掲示板         山崎せつ子
端居して言ひ置くことをそれとなく    吉村春風子
百畳間一畳拝借三尺寝          河井 時子
焼跡にきれいなタイル終戦日       根岸  操
あかつきの光あつめて蓮ひらく      佐々木克子
一喝を黒板に打つ夏期補習        山口 楓子
首振つてうなる昭和の扇風機       三浦 土火
休日のサラダ七色朝の蝉         小田  笑
草を刈り風がいいのにまだ飛べない    川島 一夫
人生は高波を待つサーフィンだ      永井  潮
水飲んで飲んでは締めの冷し酒      根岸 敏三
草とりや庭のギャングを束にする     大友 恭子
七夕の宵月赤む帰宅バス         玉木 康博
背(せな)の子の寝息いつしか祭笛    紺谷 睡花
老鶯や建築計画見て通る         水落 清子
雲つかむような手つきで鰻焼く      高野 公一
おとうととにいにい蟬を追ひにけり    水野二三夫
波音や鼠花火の爆ぜしあと        大森 敦夫
落蟬を見て見ないふりしてあばよ     前田  弘
妙高の青い稜線夏まつり         白尾 幸子
蝉の穴這い出る場所を間違えた      櫻本 愚草
下町の土用のうなぎ匂い出す       戸川  晟
遠雷の雲うごき出す葉擦れ哉       淵田 芥門
人類のエゴとデブリと蛇の殻       石橋いろり

◇高野ムツオ先生全句講評in東京多摩 
日時 平成29年5月15日
会場 立川市子ども未来センター

当日は、四四名の受講者が予め提出した二句についてた高野先生にご講評を頂いた。
筆者の選により各自一句を掲載させて頂く。

泰山木の花憲法の七十年        岡崎たかね
母の日や今も聞こゆる「おい、武史」  宇賀いせを
春分の酸素とり込む胎児かな      関   梓
今にして祖父母の恋は杏の花      栖村  舞
鳥の恋入れてイギリス館の窓      藤井 みき
征く父を追へばふりむき汗ひかる    浮海 早苗
初春や「へ」の字に結ぶ写楽の絵    大友 恭子
指先に六年分の花の冷え        佐々木克子
水色の無人駅へと桜東風        石橋いろり
雨止んで辛夷は鳥の翔ぶかたち     山崎せつ子
高鳴りの三味に落ちゆく榾火かな    古川 夏子
五感みな五月の森の中にかな      高坂 栄子
伝へたき言の葉持たず鳥雲に      山口 楓子
木下闇城は維新を戦はず        水野二三夫
春の闇をとこの使ふ京ことば      稲吉  豊
ゴメ渡る五十集おみなのしやがれ声   関根 曵月
華やいで明日が気になる梅の花     戸川  晟
梅三分碑面に深く東歌         小山 健介
眠さうな光をまとふ猫柳        秋山ふみ子
六枚の手書き新聞風光る        夏目 重美
翻車魚をたぐりよせたる春の潮     越前 春生
声明の海へ吸わるる春の雪       永井  潮
グラシンの表紙の音や若葉風      根岸  操
春雷や若き日の悔よみがへり      夏目  瑶
薄き雲崩し水尾引く春の鴨       佐藤 光子
マロニエの国に嫁ぎて親となる     田山 光起
存在という静けさの青胡桃       高野 公一
書画遊心春の心も妖しけれ       清水 弘一
けふ牛になりたき虫の穴出づる     柏田 浪雅
あやふやな校歌は彼方春霞       大森 敦夫
野の木瓜の蕾は堅し井月忌       三浦 土火
じゃんけんの拳空切る夏野かな     長野 保代
うれしくて戻らぬ兎春キャベツ     佐藤八重子
春の闇豊洲ベンゼン水面下       三池  泉
凧揚げの少年白き喉仏         吉澤 利枝
家を出る覚悟固まる涅槃雪       平田  修
革マル派菜の花茹でて彼を待つ     宮井 洋子
竃猫神の顔してどこへやら       蓮見 順子
ふらここに心の揺れの同期せず     蓮見 徳郎
墓原の闇夜にぎはふ花吹雪       沼井由紀枝
昼蛙人には言へぬこともあり      籾山 洋子
漱石の不機嫌になる春の午後      西   遥
誰にでも好かれる俺に春の蠅      網野 月を
春の野に風の詩あり草の私語      吉村春風子
 講評はやや辛口であったが、良いところは更に強調し、捨てるべきところは思い切ってカットするなど、作句の本質を教えて頂いた。一句の中に景が見え、それをどのような心で捉えるかが俳句の心情である。
(吉村春風子記)


◇第七回東京多摩地区現代俳句協会賞 
「途中」 三浦 文子 

   夏岬亡夫の見しもの我も見る
   混み合える流灯のゆるやかなり
   金魚が一匹買い足されている
   過去ひとつ実印で消し驟雨かな
   蛇のかたちの神様に会釈する
   帰省子の田に手を洗う夕べかな
   古道具山田商店雲の峰
   あの夏の肩幅が思い出せない
   旱星一人に一人かけ寄りぬ
   ロボットにだまされてやり夏休み
   擦り傷の血は鉄の味晩夏光
   傷痕のある白桃の微光かな
   蟬はげし己が命の短さに
   空蟬の欠片どこまで吹かれゆく
   廃屋を呑んでいよいよ蔦青し
   炎帝に操られ日暮はやわらか
   大漁の鯖が飛び交う鯖の上
   ふあっと夏の蝶水が飲みたい
   炎帝が強いか拳が強いか
   夕焼けを浴びて行先ふと変える
   夕焼けの終の赤は白ならん
   愚直さのふとさみしけれ胡瓜もみ
   横に来て犬の荒息晩夏光
   送り出てすこし毟りぬ夏の草
   にこにこと疲れ白靴揃えおり
   地球儀の中は空っぽ夏終る
   亡くしても亡きこと不思議百日紅
   土用波悔いなく崩れ白い遺書
   ねんごろに落蟬を掃き途中なり
   こおろぎのらくになりたい闇さがす



受賞の言葉 「俳 縁」  三浦文子
 此の度は「第七回東京多摩地区現代俳句協会賞」という身に余る賞をいただくことになりまして、戸惑いを感じながらも感激し身の引き締まる思いでいっぱいです。
 思い起こせば二十余年前、当時俳句を嗜んでおりました母親が、無断で結社に入会の手続きをとってしまったというのが俳句との御縁の始まりでした。「文子という名を付けたのだから大丈夫、きっと好きになる。」という乱暴極まりない理由でしたが、暗示にかけられたように俳句の道を歩き始めたのも、我ながら不思議なことです。
 この様にいい加減に始めた俳句を今日まで続けてこられたのは、きっと次から次へと頂く素晴らしい俳句あればこその御縁の御陰だと確信いたしております。沢山の諸先生方、諸先輩、句友の皆様に大切なことを溢れる程教えていただきました。
 句作りに行き詰まった時には、大坪重治先生から「日常のなかに―いのちの在所をめざす―言葉より大きなものを」と教えていただきました。五年前にスーパーマンのような最愛の主人を亡くしました。味わったことのない悲しい日々ですが、句友の皆様に「乗りこえるしかないのよ。」と励ましていただきました。
 少し乗りこえたかなという思いで応募させていただいたのが今回の真相です。本当にありがとうございました。何卒今後ともよろしくご指導の程、お願い申し上げます。

◇三浦文子氏・略歴
一九四六年 福井県福井市生まれ
平成 四年「水明」入会(一二年退会)
平成一二年「ぽお」同人(二〇年終刊)
平成二五年「歯車」入会

◇第七回東京多摩地区現代俳句協会賞・入賞作品・佳作
   「花合歓」  新井 温子


   花合歓を見上げるやわらかな時間
   夏休み遊覧船に乗ってくる
   柏餅うれしいときは手を洗う
   筍を茹でる炒める黄昏れる
   空想に蟬が入ってきて困る
   みずうみに大夕焼を置いてくる
   十薬の匂い亡き人現れる
   雲海の大波小波子守歌
   夏空へ牛追い唄の消えてゆく
   糸電話蟬の穴より伸びている
   鯉の群れ入道雲をこなごなに
   噴水の生まれ出るとき無言なり
   炎天下時間が雑に過ぎてゆく
   手の平の空蟬あとは任せます
   行先は螢袋の中にする
   あきらめは受け入れること白日傘
   空蟬は大きな嘘をついている
   幸せは自分で決める温め酒
   満月の大きな目玉見つめ合う
   逃げる波追いかける波星あかり
   雲流るむかし集落いま枯野
   あきらめは氷の溶ける音に似て
   白鳥の帰り支度を見に行かん
   陽炎やフォークリフトのやさしい手
   聖地向く男の背中風光る
   春の風耳ひとつあるティーカップ
   水温む一足す一の間柄
   失念すただそれだけよ春うらら
   ともすれば少し寄り道花筏
   たんぽぽの絮直角に曲れない


「ぽっつんと」  蓮見 徳郎  

   元日やこと無く暮れて灯を点す
   新妻の箸ころがって女正月
   祝言も挙げずこの家に嫁が君
   山笑うわし等も笑う鶏は鳴く
   海市立つ方舟を待つ人の黙
   誘われてふと夜桜の向こう側
   廃校に見よ満開の桜かな
   目よ覚めろ桜の下で死んだ夢
   汐干潟一人にひとつ穴がある
   行く春や踏まれしままの邪鬼の首
   梅雨深し自販機の口開いたまま
   いないとは知りつつ覗く蟬の穴
   からっぽはなんでも入る蟬の穴
   尺取は三歩進んで二歩を待つ
   片陰を金魚のごとく行く女
   走ったら元気になると羽抜鶏
   蚊帳吊って何処も入り口また出口
   三尺寝マリオネットのごと起きる
   ジャズ鳴らす店は閉めたよ百日紅
   生者死者みんなぐるぐる盆踊
   引力はわが軒先の糸瓜かな
   ボタ山にガラス細工の月が出た
   ほどほどの距離心得て俺と月
   帰り道ポテトチップのような月
   秋の蚊や長らいすぎたテロリスト
   洗いきる白菜の山でかい尻
   焼き芋のバックリ割れて焼け野原
   冬蜂の死亡推定昨夜雨
   井戸竃竃の灰もみんな神
   投函の音ぽっつんと冬ざるゝ


◇平成二十九年度定時総会
 平成二十九年度定時総会は、三月十九日(日)、桜の蕾も膨らんだ穏やかな日和のなか、五十四名の出席を得て開催された。
 来賓に現代俳句協会本部から前田弘・幹事長、千葉県協・檜垣梧樓副会長、東京都区協・青木栄子幹事長、神奈川県協・尾崎竹詩事務局長のご出席を頂いた。
 夏目重美幹事の司会により、恒例の会歌斉唱、永井潮幹事長の開会宣言に続く柏田浪雅会長の挨拶では、当地区協顧問の安西篤さんが第十七回現代俳句大賞に選ばれ、三月二十五日の現代俳句協会総会で受賞されることが報告され一同拍手でお祝いした。
 会長挨拶のあと、永井幹事長より新入会員の紹介があり、出席された大森敦夫氏が抱負を述べられた。
 来賓の方々からそれぞれ温かいご挨拶を頂いた後、議長に清水弘一氏、副議長に佐藤八重子氏を選出し議事に入った。

平成29年度定時総会・来賓の四氏・左から檜垣梧樓氏、尾崎竹詩氏、青木栄子氏、前田弘氏


一、 平成28年度事業報告
二、 平成28年度収支報告及び会計監査報告
三、 平成29事業計画案
四、 平成29年度収支予算案
五、 役員一部変更の件
 以上、すべての議案が原案通り承認、可決されて議事を終了した。
 休憩後、第7回東京多摩地区現代俳句協会賞の審査経過と発表が行われ、協会賞に三浦文子氏、佳作賞に新井温子氏と蓮見徳郎氏の二名が受賞と報告され表彰された。協会賞の三浦文子氏には表彰状と花束の贈呈のあと、受賞者を代表して謝辞が述べられた。
 続いて「陽春俳句会」となり、選者選の披講と成績発表が行われ、高点15位までの入賞と特別選者からの特選賞が手渡された。来賓の方々、顧問、参与、会長、幹事長から講評をいただき俳句会は終了。地区協報告のあと、戸川晟副幹事長の閉会の辞で総会、陽春俳句会の行事を無事終了した。
 引き続き同会場で懇親会が開催された。稲吉豊副会長の司会で始まり、青木栄子都区協幹事長の発声で乾杯、和やかな楽しいひとときを過ごし、新会員大森敦夫さんの一本締めで散会となった。    (飛永百合子記)

◇第6回 俳句研究会
6月24日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 小山健介・佐々木克子・玉木康博・根岸操・稲吉豊・藤井みき・関 梓・白尾幸子
参加者45名
★講話・・・浮海早苗氏「芥川龍之介と俳句」

リビングにみんな素足の日曜日      飛永百合子
たくさんの目高孵化させ文具店      根岸  操
里山を容れて定まる植田かな       稲吉  豊
病む妻のヘアピン拾ふ走り梅雨      越前 春生
刈草のわつと匂へる母の家        小田  笑
あじさいの風に押さるる車椅子      関   梓
貨車すぎる積み残されし大夕焼      河井 時子
人の名を金魚に付けて家族とす      紺谷 睡花
噴水と一年生が背伸びする        新井 温子
合歓咲いて今朝の会話のやわらかし    山崎せつ子
竹皮を脱ぐ野心などありません      佐々木克子
かたつむり自在といふも寂しけれ     藤原はる美
野仏のごと一人餉(めし)梅雨に入る   関根 曳月
生き死にの身に近くあり青簾       宮井 洋子
本当は百合に生れたかった私       戸川  晟
流木を分け合い父の日の親子       前田  弘
二人連れ蛇見た後は無口になる      前田 光枝
生きるとは日々の暮らしや梅を干す    吉村春風子
焚き上ぐる浜の流木魂迎へ        三浦 土火
五月闇ジャコメッティの男かな      松元 峯子
ポニー先頭茅の輪くぐりの園児たち    水野二三夫
夏椿落つ会話の中へさりげなく      門野ミキ子
竹の花沖には明るすぎる海        小山 健介
ザリガニの色濃く噴井育ちかな      佐藤八重子
チェンジとチャンスは似てる更衣     永井  潮
電球の昏さ懐かし金亀虫         柏田 浪雅
金魚苦吟して舌頭千転泡ひとつ      淵田 芥門
何時来ても展示金魚は無愛想       水落 清子
梅雨の蝶いつかは「ノラ」になるのです  石橋いろり
日輪やのぼりつくして凌霄花       大友 恭子
花合歓や睡眠負債という重み       西前 千恵 
来し方をかたる書斉や水羊羹       白尾 幸子
終バスや闇に白あり姫女菀        玉木 康博
海老蔵を大人にしたる妻逝く夏      浮海 早苗
雨の日は雨の色なる濃あじさい      長野 保代
冷凍の切身ふた切世界知る        櫻本 愚草
アデューに込める一途やパリ祭      山口 楓子
梅雨晴間しゃべって笑って十三回忌    飯田 玉記
一日は水湧くやうに夏木立        中田とも子
桜桃忌跨線橋打つ縞の傘         大森 敦夫
粋すじの人や浴衣は鍵の柄        藤井 みき 
父の日は送迎バスで日帰り湯       長澤 義雄
轟音の戦車過ぎ行く夏の夕        根岸 敏三
宇宙服脱ぎ捨てており桜見る       川島 一夫
竃飯秩父の郷の土間湿り         辻  升人

◇第5回 俳句研究会
5月27日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 稲吉豊・佐々木克子・玉木康博・浮海早苗・藤井みき・関 梓     
参加者43名
★講話・・・根岸 操氏「生誕150年・正岡子規」

日の匂ひ抱へておろす鯉のぼり      越前 春生
幸せの詰め放題やさくらんぼ       吉村春風子
尺取の前足が待つ後足          小田  笑 
花茨棘より痛きひとの嘘         紺谷 睡花
古びたる母の字微か梅酒瓶        河井 時子
国の名の珈琲豆挽く朝ぐもり       藤井 みき
方丈の端に消火器青あらし        稲吉  豊
ふるさとという砦あり粽結う       佐々木克子
昼顔がわたしにからみついてくる     松元 峯子
良い靴にめぐり逢えたる聖五月      永井  潮
新緑や無人駅にも出店立つ        青木 一郎
世渡りの下手な風着る鯉幟        地原 光夫
二礼二拍手一山したたる緑かな      西前 千恵
庭園の風は一色夏帽子          秋山ふみ子
庭園の暗さつき抜け夏の蝶        水落 清子
子どもの日駄菓子屋という隙間かな    白尾 幸子
荒梅雨や東京五輪まで平和        戸川  晟
下馬評に無かった漢羽抜鶏        柏田 浪雅
善人のふりして半年聖五月        宮井 洋子
薯の花よい子へんな子ふつうの子     門野ミキ子
猿おがせ個人情報風にゆれ        石橋いろり
反抗期ときには祖母と草むしり      飯田 玉記
葉桜や遠き昔の櫂の音          浮海 早苗
断捨利に難儀してをり夏落葉       三浦 土火
母の日の母の躾は男並          前田 光枝
竹の皮九条辺りに脱ぎ散らす       櫻本 愚草
群れ咲きて一人静の賑賑し        夏目  瑶
麦秋の風を孕まん白ブラウス       水野二三夫
翻意して泰山木の花の坂         関根 曳月
空に雲むかし麦藁帽に紐         飛永百合子
リハビリや一歩一歩を緑陰に       関   梓
便箋の春の夕日を使い切り        前田  弘
風呂で読む英単語帳夜の新樹       根岸  操         
現在の父に逢ひたし五月鯉        淵田 芥門
大空の凹(へこ)んだところ春愁     大友 恭子
サクラ海老パスタの波に乗っている    玉木 康博
仰ぎ見る水の匂いの桐の花        山崎せつ子
みそ餡の売り切れ早く柏餅        佐藤八重子
要らぬもの削ぐもの落とし五月晴     川島 一夫 
人去りて真闇に戻る蛍の夜        長澤 義雄
誘い合い湯島天神夏祭り         根岸 敏三
核持てば強いと信ずる北朝鮮       玉井 吉秋
では又と終のたよりやさみだるる     山口 楓子

◇第4回 俳句研究会
4月22日(土)立川市子ども未来センター
  担当幹事 戸川晟 佐々木克子 玉木康博 山崎せつ子 藤井みき 石橋いろり
  参加者45名
★講話・・・対馬 康子氏「中島斌雄について」

何事もなき日尊し黄水仙         越前 春生
たんぽぽより早起きをして誕生日     幸村 睦子
落椿ひとりがいいと思ふとき       大友 恭子
桜散る諸手で受ける青い空        青木 一郎
カルテより一斉に蝶飛ぶ気配       佐々木克子
伝言が途中で消えるげんげ畑       前田 光枝
連結の一輛を足し春惜しむ        根岸  操
雁行や地を蹴る脚のたたまれて      対馬 康子
舟の跡揺れて戻して花筏         三ツ塚くにお
さよならが力生み出す卒業式       玉木 康博
猪ご用達裏山の筍レストラン       石橋いろり
囀や白杖のひと追い越さず        紺谷 睡花
春昼や振子時計の大欠伸         佐藤八重子
去り際の猫の一瞥春炬燵         稲吉  豊
ポケットにしまい込んでる春愁      新井 温子
曲り江や鰆の起こす波頭         山口 楓子
朝桜より青空の始まりぬ         門野ミキ子
日に遊び風に戯れ雪柳          吉村春風子
いぬふぐり転んだわたし見詰めてる    夏目  瑶
吾こそは初蝶なりと言いて去る      高野 公一  (高ははしごだか)
そして春人の作りし放射能        水落 清子
先の世に聞きしおぼへの遠蛙       三浦 土火
花吹雪七十七段登り切る         宮腰 秀子
花のいのち理科の時間に考える      永井  潮
花衣脱いでジーンズ楽に穿く       河井 時子
「ただいま」と写真にあげる水羊羹    飯田 玉記
どこまでも進化する君花吹雪       西前 千恵
蒲公英の山手線を見下ろせり       秋山ふみ子
乳母車の一列縦隊花疲れ         新川 万里
花冷や街のどこかでハンバーグ      大森 敦夫
香水をためらう年となりにけり      廣瀬 孝子
原子炉にひらがなの雪ほろほろと     櫻本 愚草
空腹の戦後の匂い蓬餅          戸川  晟
蓮華草見に来てぺんぺん草ばかり     小田  笑
痛いとこ飛んで行かない穀雨かな     宮井 洋子
散り急ぐ花びらどれも血がにじむ     山崎せつ子
赤ちゃんの手足ぷにゅぷにゅ春光眩し   松元 峯子
行く春や長生きの友ほしくなり      白尾 幸子
わが論の敗れたる日よ花筏        柏田 浪雅
雪柳明日はどっちへ靡くやら       川島 一夫
暗き湯の雪垣外す湯守かな        淵田 芥門
東京に美しすぎる春の虹         長澤 義雄
春落葉あの世代はと括りけり       藤井 みき
蕗御殿あるじ亡くして蕗青し       浮海 早苗
横綱になった春場所優勝旗        玉井 吉秋

◇平成29年 春の吟行会 
4月8日(土)  国立市 観桜会  参加者43名
 国立駅南口から続く桜並木は満開の見頃を迎えていた。気温の低い日が続き、開花から満開まで約1週間長びいている。雨も上がって花曇りの空からは時々陽が漏れる。道路をはさんだ左右に1粁ほど続く桜の古木と、一橋大学構内が吟行ポイント。
 例年より1か月早め、今年は数年ぶりのお花見吟行、常連の顔ぶれに加え事業部長の所属結社からの応援も入ってにぎやかな句会となった。

(当日の作品)
(入選15句)
花曇り桜通りという大河         飛永百合子 
人生の放課後桜を浴びている       堀部 節子
子が駈けて父が後追ふ花吹雪       吉村春風子
花の雨煉瓦校舎の色深む         根岸  操
路地あればとにかく覗く桜人       稲吉  豊
国立は記憶の引き出し花の雨       宮井 洋子
爛漫の観桜ポイント歩道橋        中島 貞夫
花曇り幹黒々と眠くなる         山崎せつ子
その先は行ってはならず花万朶      高野 公一
さくら散る私を置いて行かないで     永井  潮
花の路地ロージナ茶房ランプの灯     関   梓
たをやかに生きんと思ふ花曇       中田とも子
走り根を追って噴き出す桜かな      澤村いづみ
造形は「風の球体」桜散る        井上美沙子
虚子の日の桜さくらに遊びをり      中野 淑子
  (一人一句)
学園の雨にまどろむ花辛夷        宮腰 秀子
花ひらく市民の誇り糧として       井上 愛子
学生街のパンの匂いや紅しだれ      野口 尚子
桜よりなお桜色笑みあふる        西野 章子
花の雲バスくぐり抜けくぐりぬけ     秋山ふみ子
微調整できないからだ花万朶       岸本 陽子
さくらさくら雨の匂ひの惚れぐすり    大友 恭子
そぞろ行く大学通り春探る        田村 清子 
花曇り空にとけ込む桜色         関根紀代子
「ごめんね」は軽き言葉よ桜舞う     森松久美子
コーヒーのいやす国立花疲れ       佐藤八重子
花ぐもり学園通りのスニーカー      宮澤 雅子
ささやかに古木の小枝花満開       根岸 敏三
桜さくら赤子にわらいかけられし     幸村 睦子
花満つる街角パイプタバコの香      水野二三夫
桜さくら虚子忌のこぬか雨の中      藤井 みき
相傘に行きつ戻りつ花の雨        三浦 土火
人と本繋ぎこの地の桜降る        柏田 浪雅
掌に花びら一杯次の妻          戸川  晟 
桜見てゐて自分の中が見えてくる     小田  笑 
高塔をしのぐ松幹花ぐもり        山口 楓子
植樹せし君も桜も凛と咲け        三山 喜代
近づけば色白なるや山桜         松尾 君枝 
花天井透けてかがやく母と子と      宇賀いせを
花ぐもり古りし講堂重味あり       浮海 早苗
雨上がる胸に標けき桜かな        佐藤 栄子
老桜雨に濡れてはりんと咲き       小澤 正美
花ぐもり四大学の競技中         西前 千恵

◇第3回 俳句研究会
3月26日(日)立川市子ども未来センター
担当幹事  水野二三夫 佐々木克子 飛永百合子 稲吉豊 佐藤八重子 戸川晟 
参加者38名
★講話・・・本杉 康寿氏「『現代俳句年鑑』について」

魚偏をいくつ書けるか春炬燵         永井  潮
花むしろ真ん中に置く赤ん坊         紺谷 睡花
村あげて花嫁送る除雪かな          水落 清子
三月の街膨らんで赤らんで          戸川  晟 
啓蟄や胴上げされし子の未来         三山 喜代
春田打身を退くことは考へず         有手  勉   
ボンネットに落花ワイパーに違反票      稲吉  豊      
四月馬鹿倖せさうな愚痴を聞く        越前 春生
落ち椿ふつと己に戻るとき          吉村春風子
送る春迎える春も分教場           蓮見 徳郎
梅満開絵馬にアラビア文字の列        水野二三夫 
ちらほらの桜の後の兜太節          前田 光枝
飛びたがる風船強く抱きしめる        小田  笑
菜の花に泪いっぱい置いてくる        山崎せつ子
彼岸会や戒名に入る風の文字         宮腰 秀子
墓あれど彼岸に帰る家は無し         青木 一郎
春の宵妣には赤い絵ろうそく         松元 峯子
烈風の中にこそ咲け花辛夷          秋山ふみ子
泣くところさがしておりぬ春岬        大友 恭子
さみしくて亀を鳴かせてしまいけり      佐々木克子
花辛夷空へ漕ぎだす櫂の舟          関   梓
新人は七十五歳葱坊主            飛永百合子
ビルの山脈(やまなみ)谷に花菜の浜離宮   野口 佐稔 
露店から磯焼くにおい花一分         門野ミキ子
サスペンス泥吐く浅蜊の真夜厨        河井 時子
忘れたるものを探しに花菜畑         柏田 浪雅
トイレに詩古木の瘤に初桜          前田  弘     
三月の時刻みたる「もう」と「まだ」     櫻本 愚草   
横綱になれた御礼の初詣           玉井 吉秋
塩まねきのやうに誘つて疎まるる       本杉 康寿
待っててと祈る人あり彼岸かな        片山 正巳
椿落つこの瞬間にして過去になる       飯田 玉記
恋猫のいつも全開自己暗示          川島 一夫
ぶらんこやピースサインの子のひやり     佐藤八重子
かげろうのありそでなさそで恋うふふ     淵田 芥門
三月の渚足音流れ寄る            高野 公一
払ひたき雑念いくつ雪解川          三浦 土火
春茜鳥のとまらぬ大樹あり          石橋いろり

(蓮見 徳郎)