地区活動

各地区の活動 【都多摩】

会長柏田浪雅
事務局長稲吉  豊
事務局
郵便番号195-0055
所在地町田市三輪緑山1-28-19
TEL044-987-1716

平成29年度定時総会で挨拶する柏田浪雅会長

【 地区の紹介 】

(活動予定・記録は下へスクロールしてご覧下さい。)

平成28年度定時総会・新春俳句会会歌斉唱

 私たち東京多摩地区現代俳句協会は、東京都の23区を除く市部、多摩地区に居住する会員で構成され、東京郊外の武蔵野一帯を主な拠点としています。昭和58(1983)年7月に発足し、今年33周年を迎えました。
 定時総会や俳句大会など主要なイベントは、おもに武蔵野市、立川市を中心に行なわれていますが、吟行会や月例の俳句研究会などは各地の持ち回りで実施しています。その活動状況は、年4回発行する会報「多摩のあけぼの」によって会員の皆様にお知らせしています。近隣の地区協会、特に東京都区協、千葉県協、神奈川県協とは長期にわたり親密な交流を続けています。
 会員の合同句集『多摩のあけぼの』は、これまでに第六集を刊行しました。
 当会独自の「東京多摩地区現代俳句協会賞」は、今年は第7回を募集しています。また当協会には独自の会歌《多摩のあけぼの》があります。この歌は、顧問の沢田改司氏作詞、参与の宮川としを氏作曲によるもので、多摩の豊かな風土と、会員の連帯を高らかに謳っており、会合の冒頭には全員で斉唱し大変好評を戴いております。


◆多摩地区協会への入会は随時受付けております。
 (本部会員以外の一般会員の方の年会費は2000円です)
 お申込みは事務局へ(044-987-1716)

◆俳句研究会に参加を!!
 毎月行なわれている「俳句研究会」は、土曜の午後の楽しい句会です。
 (講師による約1時間の講話のあと、参加者全員の互選による句会と合評)
 出句一人3句。会費は500円です。
 初めて参加される方、大歓迎です。会員でない方でも歓迎です。

◆『投句による参加』もできます。〈在宅句会〉
 さまざまな事情で会場へお出掛けになれない方は、投句による「俳句研究会」への参加もできます。
 ○開催日の1週間前までに投句してください。
 ○出句は一人3句です。(選句はありません)
 ○長さ20cm程の短冊に一句ずつ書いてください。(用紙は何でも結構です)
 ○参加費は1000円です。(出句と同時にお送りください。)
 ○句会終了後、全作品の清記用紙と高点句、出句された作品の成績、寸評等をリポートとしてお送りします。

[投 句 先] 〒180-0006 武蔵野市中町3−29−19 蓮見 徳郎 方 「俳句研究会」投句係 宛
[お問合せ] 永井 潮  TEL 042-492-4516

【 行事 】

[2018年1月9日追加更新]
<平成30年上半期活動予定>  
1月27日(土)第一回俳句研究会 立川市子ども未来センター
2月24日(土)第二回俳句研究会 立川市子ども未来センター
3月17日(土)第三回俳句研究会
3月25日(日)30年度多摩現代俳句協会総会
4月21日(土)第四回俳句研究会
5月12日(土)春の吟行会(昭和記念公園予定)
5月26日(土)第五回俳句研究会
6月23日(土)第六回俳句研究会

立川市子ども未来センター
      〒190-0022 立川市錦町3丁目2番26号 042-529-8682 googleMAPSで確認する
      ※JR立川駅から徒歩13分、多摩モノレール立川南駅から徒歩12分、JR西国立駅から徒歩7分
      ※有料駐車場あり
8月のみ、かたらいの道市民スペース
      武蔵野市中町1-1-16 武蔵野タワーズスカイクロスタワー内。TEL0422-50-0082
      ※三鷹駅北口徒歩2分。
上記が使えないとき、立川市女性総合センター中央図書館と同じ建物です。)
      〒190-0012 東京都立川市曙町2-36-2
      ファーレ立川センタースクエア内(1階と5階)電話042-528-6801
      JR立川駅北口から徒歩7分。多摩モノレール立川北駅から徒歩5分。
      いずれも歩行者デッキでおいでいただけます。
      このほか、くるりんバスもご利用いただけます(女性総合センター下車すぐ)。

<平成29年活動記録> [2017年12月18日追加更新]
第12回 俳句研究会
12月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  吉村春風子・佐々木克子・玉木康博・山崎せつ子・稲吉豊・根岸操・浮海早苗
参加者42名
★講話・・・沢田 改司氏「多摩のいまむかし」

これからも同じ生き方障子貼る     越前 春生
大仏の目から始まるすす払い      沢田 改司
ゆったりと老いて行きます冬うらら   飯田 玉記
柚子風呂や夫は二次会三次会      飛永百合子
誰からも愛されていて葱の黙      戸川  晟
懐手して淋しさとも違う        門野ミキ子
歳月に香りがあれば寒桜        大友 恭子
数へ日や紙を丸めて遠眼鏡       稲吉  豊
百才を保証されても寒椿        宮井 洋子
判決を聴く百脚の冬の椅子       柏田 浪雅
狐目の新車が届く小春の日       西前 千恵
気付かずにゐるが幸せ隙間風      吉村春風子
冬麗を透かしてけやき大樹かな     山口 楓子
霜柱ぐさと切字を踏み入れる      櫻本 愚草
言葉時に刃となりぬ冬旱        佐々木克子
歯科医院窓から見える花八つ手     根岸 敏三
明るくて君が見えない冬銀河      永井  潮 
さまざまな木肌を見せて冬ざるる    秋山ふみ子
福引のティッシュペーパー 近松忌   米澤 久子
老人の輪投げ転がる冬座敷       根岸  操
レノンの忌ジャズの流れる母校なり   小山 健介
今生の普請了へたり除夜の鐘      三浦 土火
もの忘れ呆れる吾や冬の鵙       夏目  瑶
焼酎が好きで冬野の爺となる      辻  升人
冬耕(うな)う光る土の香土の色    石橋いろり
大根煮て鬼の居ぬ間の一人酒      佐藤八重子
凩や横っ飛びする群雀         河井 時子
冬の宿どこにもいないはは探す     浮海 早苗
横道にそれた証のいのこずち      宮腰 秀子
がらんどう片づく部屋の寒さかな    広瀬 孝子
真冬くる正攻法でやってくる      新井 温子
白鳥のこころ定まる水の上       高野 公一
犬を描く柴犬を描く年賀状       松元 峯子
山を見て寒いと誰に言うでなく     小田  笑
山々に日あたり野には風の枯れ     山崎せつ子 
ちちははの昭和は遠し枇杷の花     関   梓
口中に溶けゆく柿よ身知らずよ     川島 一夫
退屈で鵙の横貌みてしまふ       水落 清子
父母のものほぼほぼ捨てず年の暮    白尾 幸子
木造船漂流の海雪起し         前田  弘
手袋のほつれを隠す使ひ方       水野二三夫
丹前の柳行李の重さかな        大森 敦夫

第11回 俳句研究会
11月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 稲吉 豊・佐々木克子・玉木 康博・三浦 土火・石橋いろり・飛永百合子・佐藤八重子
参加者36名
★講話・・・江中 真弓氏「『昭和俳句作品年表』編纂の記」

石蕗の花今がゆっくり過去となる      山崎せつ子 
木枯や例文通り打つ弔電          小田  笑
極月のゴムの木を拭く漢かな        宮井 洋子
汚れきった障子の過去を貼り替える     永井  潮 
秋深し土偶笑むとも愁ふとも        三浦 土火
一人分離れて障子側に寄る         飛永百合子
蕎麦のくる前の枡酒三の酉         米澤 久子
白鳥の修羅となる餌を撒きにけり      越前 春生
小鳥来る指輪を外す手術室         根岸  操
初恋や水が始めて氷る頃          大森 敦夫  
鳥影のつぶてとなりぬ冬の暮        秋山ふみ子
日短や五目煮豆を煮て終る         水落 清子
フクシマの生命地に映ゆ草紅葉       櫻本 愚草
安らぎは父母のふところ冬銀河       紺谷 睡花
先頭の子の踏みしだく落葉かな       山口 楓子
靴下の模様別々小六月           稲吉  豊
冬草や余白は余白のままでおく       門野ミキ子
さびしさに北限ありや枯葎         吉村春風子
愚痴もでて自慢もありておでん酒      河井 時子
父ついに何も語らず枯芙蓉         白尾 幸子
寒月へわが分身の接近中          高野 公一
忘却のさなかに生きて花茗荷        浮海 早苗
言い訳の手紙とどくや小春の日       大槻 正茂
蜜柑光る島の時計屋四代目         関   梓
初雪や寛解の人隣席に           柏田 浪雅
小春日に子規そっくりの人と居る      佐々木克子
時雨忌や魚鼓を叩いて義仲寺        佐藤八重子
若人の美しき横顔クリスマス        大友 恭子
その下を舟の行き交う松手入        藤井 みき
綿虫の行方追ふ目の暗むまで        江中 真弓
有名人から案山子になってゆく       川島 一夫
団栗囓り縄文人になりすます        宮腰 秀子
走り根の芯駆け昇る地の息吹        辻  升人
空は晴れ紅葉の舞台主役なり        玉木 康博
ネクタイ弛め大技小技の鍋奉行       石橋いろり
枯芦や公魚の群影をつれ          夏目  瑶

◇第10回 俳句研究会 
10月21日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 小山健介・佐々木克子・藤井みき・戸川 晟・関  梓・佐藤八重子
参加者32名
★講話・・・水落 清子氏「俳句と病気〜私の場合」

水中に砥石眠らす十三夜          越前 春生
稲架幾重海へ展ける風の道         河井 時子 
秋まつり地べたに本を売る男        山口 楓子
小鳥くる窓辺は母の指定席         佐々木克子
にちにち草手を振る父母の点となり     白尾 幸子
良いことは葡萄と共にやってくる      戸川  晟
セーターは水色閉所恐怖症         小山 健介
原っぱや土管大声いのこずち        石橋いろり
銘仙の機音絶えて秋の声          佐藤八重子
秋耕の水は残らず地に還る         関   梓
秋明菊レンズ静かに近づける        根岸  操
人気(ひとけ)なきこの道が好き花芒    紺谷 睡花
それぞれの心ゆくまでつむ花野       西前 千恵
話すこと口いっぱいにざくろの実      永井  潮
いわし雲消化試合の野球場         水野二三夫
血のにほひする石舞台文化の日       柏田 浪雅
踏まれいる邪鬼の恍惚 秋冷        松元 峯子
紙にペン黒いぶだうに種がある       小田  笑
木戸叩くに合図ありけり十三夜       藤井 みき
ケルンまであと一息と吾亦紅        大槻 正茂
出してみる母に近づく秋袷         水落 清子
ひと筋のいのち秋曳く飛行機雲       櫻本 愚草
期日前投票の列野分来る          宮井 洋子
秋夕焼山懐に人ら老い           辻  升人
人声も夜霧に沈む野天の湯         長澤 義雄
道半ばナナフシに遭(あ)う秋の空     川島 一夫
逆縁は神の采配杜鵑草           飯田 玉記
ひとり待つ銀河鉄道ステーション      浮海 早苗
句に遊ぶことば積みあげ柿実る       大友 恭子
ゐずまひを正して酌めり萩の宿       三浦 土火
朗報のピンク電話や萩の花         大森 敦夫
背高泡立草雨に滲んでいるばかり      山崎せつ子

◇第9回 俳句研究会
9月24日(日)武蔵野市かたらいの道・市民スペース
担当幹事 戸川 晟・佐々木克子・玉木康博・根岸 操・藤井みき・石橋いろり・佐藤八重子
参加者33名
★講話・・・満田 光生氏「郊行と蕪村」

ジーンズのほど良き疲れ敬老日     藤原はるみ 
身仕度の合ひ間合ひ間の鉦叩      秋山ふみ子 
姑の物言ひに似て秋風鈴        稲吉  豊  
思ひきり曲るへちまよ獺祭忌      江中 真弓
吾亦紅黙っていてもわかるひと     水落 清子
秋場所のさじき珊瑚の髪かざり     山口 楓子 
貝殻の白き手ざわり雲は秋       佐々木克子
お早ようとトンボが滑空露天風呂    玉木 康博
故郷は墓一つだけ吾亦紅        白尾 幸子
晩年の仕上げ秋の蚊つれ歩く      高野 公一
畏ろしき師や全身で跳ぶ螇蚸      満田 光生
秋の燈や酔うてかなしき神楽坂     水野二三夫
まだ慣れぬ風になびけぬ青芒      戸川  晟
密談のやうに西瓜を食べてをり     越前 春生
酔芙蓉本音はいつも胸のうち      高坂 栄子
コスモスに我が帰るべき星を問ふ    柏田 浪雅
菜虫採る妻の眼の生き生きと      根岸 敏三
路地裏といふ秋風の迷ひ道       吉村春風子
網棚にぶどう足下にもぶどう      長澤 義雄
丸茄子や無人の小屋の文字太し     大森 敦夫 
大ぶりをふたりで分ける秋刀魚かな   佐藤八重子
泣きたるはをのこなりけりすがれ虫   三浦 土火
昼の虫ロールキャベツの煮える音    根岸  操
島唄に両手ひらひら虫の秋       藤井 みき
風さがすどこからとなく金木犀     山崎せつ子
秋彼岸地主の墓所や享保より      浮海 早苗
長き夜の筋なき夢を母過り       淵田 芥門
空ら咳で親に詫びをり秋彼岸      永井  潮  
言はずとも察し合ふ老秋海棠      関   梓
児の没年彫られしベンチ団栗一つ    石橋いろり
朗々と虫すだく中を苦吟かな      夏目  瑶
おはぎ買って彼岸中日煮〆炊く     宮井 洋子
とろろ汁廃炉に時を擂り下ろす     櫻本 愚草

◇第8回 俳句研究会
8月27日(日)武蔵野市かたらいの道・市民スペース
担当幹事 根岸敏三・根岸操・玉木康博・飛永百合子・大森敦夫・関 梓・浮海早苗 
参加者36名
★講話・・・佐藤映二氏「宮沢賢治の詩の魅力」

影もまた風に吹かるる鳳仙花       吉村春風子 
抗へど夜も炎帝の添寝かな        淵田 芥門
炎天の欅は人に優しくて         松元 峯子 
秋風や板戸に浮きし釘の天        稲吉  豊 
探しもの一つもない日秋麗        関   梓
手花火や小脇に余る袂かな        佐藤八重子
曇る朝もうどんぐりが落ちている     山崎せつ子  
桃の種割って生まれし猜疑心       永井  潮 
空蝉の強き怒りをなほ宿し        柏田 浪雅
秋鯖や蛇口を水のほとばしり       江中 真弓
高層ビル内階段の残暑          小田  笑
原発へ二十キロ圏盆踊り         飛永百合子
すっきりと富士額見せ祭髪        藤井 みき
独り居の素のままさらす熱帯夜      宮井 洋子
街騒が驟雨の音となる渋谷        門野ミキ子
時には兄のように白百日紅        前田 光枝
ほほづきの酸つぱさにある母の里     根岸  操
波の音夏の島より持ち帰る        新井 温子
AIが人を超える日流れ星         高坂 栄子
白壁の土蔵に家紋秋澄めり        浮海 早苗
反省と出発点の八月尽          根岸 敏三
浮き沈み傘忘れざる海月かな       水野二三夫
誕生日まるごとトマト皿笑う       玉木 康博
悪茄子の花仮設にも子守唄        前田  弘
藁屋根にひときは高き夏蓬        長澤 義雄
戸締りを終えししじまや秋の声      夏目  瑶
灯下親し沈思のための詩歌かな      佐藤 映二
その中に黙する虫も虫しぐれ       山口 楓子 
コンコース抜ければ街の秋めける     秋山ふみ子
道の辺の乾び蚯蚓や驟雨来る       三浦 土火
床の間や先祖しはぶく盂蘭盆会      大森 敦夫  
ごみの日の分別表貼る冷蔵庫       飯田 玉記
棘多き山椒の枝の空蝉よ         石橋いろり
八月は省み思ふこと多し         佐藤 浩子
湯畑の湯気とんぼうの果てたるや     加藤 寿雄
松虫の存問ありてひとり闇        関根 曳月

◇第7回 俳句研究会

7月30日(日)立川市子ども未来センター
担当幹事 吉村春風子・佐々木克子・玉木康博・稲吉豊・根岸敏三・大森敦夫・白尾幸子
参加者29名
★講話・・・石橋いろり氏「俳句と絵画」

七月の沖より雲の力瘤          越前 春生
滴りや両手に受くる山の精        長澤 義雄
牛飼ふと貯金始むる夏休み        柏田 浪雅
「喰わっせさ」と切り分け西瓜どんと出る 関   梓
西日濃し暮しの中を神田川        稲吉  豊
夏兆す画鋲の残る掲示板         山崎せつ子
端居して言ひ置くことをそれとなく    吉村春風子
百畳間一畳拝借三尺寝          河井 時子
焼跡にきれいなタイル終戦日       根岸  操
あかつきの光あつめて蓮ひらく      佐々木克子
一喝を黒板に打つ夏期補習        山口 楓子
首振つてうなる昭和の扇風機       三浦 土火
休日のサラダ七色朝の蝉         小田  笑
草を刈り風がいいのにまだ飛べない    川島 一夫
人生は高波を待つサーフィンだ      永井  潮
水飲んで飲んでは締めの冷し酒      根岸 敏三
草とりや庭のギャングを束にする     大友 恭子
七夕の宵月赤む帰宅バス         玉木 康博
背(せな)の子の寝息いつしか祭笛    紺谷 睡花
老鶯や建築計画見て通る         水落 清子
雲つかむような手つきで鰻焼く      高野 公一
おとうととにいにい蟬を追ひにけり    水野二三夫
波音や鼠花火の爆ぜしあと        大森 敦夫
落蟬を見て見ないふりしてあばよ     前田  弘
妙高の青い稜線夏まつり         白尾 幸子
蝉の穴這い出る場所を間違えた      櫻本 愚草
下町の土用のうなぎ匂い出す       戸川  晟
遠雷の雲うごき出す葉擦れ哉       淵田 芥門
人類のエゴとデブリと蛇の殻       石橋いろり

◇高野ムツオ先生全句講評in東京多摩 
日時 平成29年5月15日
会場 立川市子ども未来センター

当日は、四四名の受講者が予め提出した二句についてた高野先生にご講評を頂いた。
筆者の選により各自一句を掲載させて頂く。

泰山木の花憲法の七十年        岡崎たかね
母の日や今も聞こゆる「おい、武史」  宇賀いせを
春分の酸素とり込む胎児かな      関   梓
今にして祖父母の恋は杏の花      栖村  舞
鳥の恋入れてイギリス館の窓      藤井 みき
征く父を追へばふりむき汗ひかる    浮海 早苗
初春や「へ」の字に結ぶ写楽の絵    大友 恭子
指先に六年分の花の冷え        佐々木克子
水色の無人駅へと桜東風        石橋いろり
雨止んで辛夷は鳥の翔ぶかたち     山崎せつ子
高鳴りの三味に落ちゆく榾火かな    古川 夏子
五感みな五月の森の中にかな      高坂 栄子
伝へたき言の葉持たず鳥雲に      山口 楓子
木下闇城は維新を戦はず        水野二三夫
春の闇をとこの使ふ京ことば      稲吉  豊
ゴメ渡る五十集おみなのしやがれ声   関根 曵月
華やいで明日が気になる梅の花     戸川  晟
梅三分碑面に深く東歌         小山 健介
眠さうな光をまとふ猫柳        秋山ふみ子
六枚の手書き新聞風光る        夏目 重美
翻車魚をたぐりよせたる春の潮     越前 春生
声明の海へ吸わるる春の雪       永井  潮
グラシンの表紙の音や若葉風      根岸  操
春雷や若き日の悔よみがへり      夏目  瑶
薄き雲崩し水尾引く春の鴨       佐藤 光子
マロニエの国に嫁ぎて親となる     田山 光起
存在という静けさの青胡桃       高野 公一
書画遊心春の心も妖しけれ       清水 弘一
けふ牛になりたき虫の穴出づる     柏田 浪雅
あやふやな校歌は彼方春霞       大森 敦夫
野の木瓜の蕾は堅し井月忌       三浦 土火
じゃんけんの拳空切る夏野かな     長野 保代
うれしくて戻らぬ兎春キャベツ     佐藤八重子
春の闇豊洲ベンゼン水面下       三池  泉
凧揚げの少年白き喉仏         吉澤 利枝
家を出る覚悟固まる涅槃雪       平田  修
革マル派菜の花茹でて彼を待つ     宮井 洋子
竃猫神の顔してどこへやら       蓮見 順子
ふらここに心の揺れの同期せず     蓮見 徳郎
墓原の闇夜にぎはふ花吹雪       沼井由紀枝
昼蛙人には言へぬこともあり      籾山 洋子
漱石の不機嫌になる春の午後      西   遥
誰にでも好かれる俺に春の蠅      網野 月を
春の野に風の詩あり草の私語      吉村春風子
 講評はやや辛口であったが、良いところは更に強調し、捨てるべきところは思い切ってカットするなど、作句の本質を教えて頂いた。一句の中に景が見え、それをどのような心で捉えるかが俳句の心情である。
(吉村春風子記)


◇第七回東京多摩地区現代俳句協会賞 
   「途中」  三浦 文子 

   夏岬亡夫の見しもの我も見る
   混み合える流灯のゆるやかなり
   金魚が一匹買い足されている
   過去ひとつ実印で消し驟雨かな
   蛇のかたちの神様に会釈する
   帰省子の田に手を洗う夕べかな
   古道具山田商店雲の峰
   あの夏の肩幅が思い出せない
   旱星一人に一人かけ寄りぬ
   ロボットにだまされてやり夏休み
   擦り傷の血は鉄の味晩夏光
   傷痕のある白桃の微光かな
   蟬はげし己が命の短さに
   空蟬の欠片どこまで吹かれゆく
   廃屋を呑んでいよいよ蔦青し
   炎帝に操られ日暮はやわらか
   大漁の鯖が飛び交う鯖の上
   ふあっと夏の蝶水が飲みたい
   炎帝が強いか拳が強いか
   夕焼けを浴びて行先ふと変える
   夕焼けの終の赤は白ならん
   愚直さのふとさみしけれ胡瓜もみ
   横に来て犬の荒息晩夏光
   送り出てすこし毟りぬ夏の草
   にこにこと疲れ白靴揃えおり
   地球儀の中は空っぽ夏終る
   亡くしても亡きこと不思議百日紅
   土用波悔いなく崩れ白い遺書
   ねんごろに落蟬を掃き途中なり
   こおろぎのらくになりたい闇さがす



受賞の言葉 「俳 縁」  三浦文子
 此の度は「第七回東京多摩地区現代俳句協会賞」という身に余る賞をいただくことになりまして、戸惑いを感じながらも感激し身の引き締まる思いでいっぱいです。
 思い起こせば二十余年前、当時俳句を嗜んでおりました母親が、無断で結社に入会の手続きをとってしまったというのが俳句との御縁の始まりでした。「文子という名を付けたのだから大丈夫、きっと好きになる。」という乱暴極まりない理由でしたが、暗示にかけられたように俳句の道を歩き始めたのも、我ながら不思議なことです。
 この様にいい加減に始めた俳句を今日まで続けてこられたのは、きっと次から次へと頂く素晴らしい俳句あればこその御縁の御陰だと確信いたしております。沢山の諸先生方、諸先輩、句友の皆様に大切なことを溢れる程教えていただきました。
 句作りに行き詰まった時には、大坪重治先生から「日常のなかに―いのちの在所をめざす―言葉より大きなものを」と教えていただきました。五年前にスーパーマンのような最愛の主人を亡くしました。味わったことのない悲しい日々ですが、句友の皆様に「乗りこえるしかないのよ。」と励ましていただきました。
 少し乗りこえたかなという思いで応募させていただいたのが今回の真相です。本当にありがとうございました。何卒今後ともよろしくご指導の程、お願い申し上げます。

◇三浦文子氏・略歴
一九四六年 福井県福井市生まれ
平成 四年「水明」入会(一二年退会)
平成一二年「ぽお」同人(二〇年終刊)
平成二五年「歯車」入会

◇第七回東京多摩地区現代俳句協会賞・入賞作品・佳作
   「花合歓」  新井 温子


   花合歓を見上げるやわらかな時間
   夏休み遊覧船に乗ってくる
   柏餅うれしいときは手を洗う
   筍を茹でる炒める黄昏れる
   空想に蟬が入ってきて困る
   みずうみに大夕焼を置いてくる
   十薬の匂い亡き人現れる
   雲海の大波小波子守歌
   夏空へ牛追い唄の消えてゆく
   糸電話蟬の穴より伸びている
   鯉の群れ入道雲をこなごなに
   噴水の生まれ出るとき無言なり
   炎天下時間が雑に過ぎてゆく
   手の平の空蟬あとは任せます
   行先は螢袋の中にする
   あきらめは受け入れること白日傘
   空蟬は大きな嘘をついている
   幸せは自分で決める温め酒
   満月の大きな目玉見つめ合う
   逃げる波追いかける波星あかり
   雲流るむかし集落いま枯野
   あきらめは氷の溶ける音に似て
   白鳥の帰り支度を見に行かん
   陽炎やフォークリフトのやさしい手
   聖地向く男の背中風光る
   春の風耳ひとつあるティーカップ
   水温む一足す一の間柄
   失念すただそれだけよ春うらら
   ともすれば少し寄り道花筏
   たんぽぽの絮直角に曲れない


   「ぽっつんと」  蓮見 徳郎  

   元日やこと無く暮れて灯を点す
   新妻の箸ころがって女正月
   祝言も挙げずこの家に嫁が君
   山笑うわし等も笑う鶏は鳴く
   海市立つ方舟を待つ人の黙
   誘われてふと夜桜の向こう側
   廃校に見よ満開の桜かな
   目よ覚めろ桜の下で死んだ夢
   汐干潟一人にひとつ穴がある
   行く春や踏まれしままの邪鬼の首
   梅雨深し自販機の口開いたまま
   いないとは知りつつ覗く蟬の穴
   からっぽはなんでも入る蟬の穴
   尺取は三歩進んで二歩を待つ
   片陰を金魚のごとく行く女
   走ったら元気になると羽抜鶏
   蚊帳吊って何処も入り口また出口
   三尺寝マリオネットのごと起きる
   ジャズ鳴らす店は閉めたよ百日紅
   生者死者みんなぐるぐる盆踊
   引力はわが軒先の糸瓜かな
   ボタ山にガラス細工の月が出た
   ほどほどの距離心得て俺と月
   帰り道ポテトチップのような月
   秋の蚊や長らいすぎたテロリスト
   洗いきる白菜の山でかい尻
   焼き芋のバックリ割れて焼け野原
   冬蜂の死亡推定昨夜雨
   井戸竃竃の灰もみんな神
   投函の音ぽっつんと冬ざるゝ


◇平成二十九年度定時総会
 平成二十九年度定時総会は、三月十九日(日)、桜の蕾も膨らんだ穏やかな日和のなか、五十四名の出席を得て開催された。
 来賓に現代俳句協会本部から前田弘・幹事長、千葉県協・檜垣梧樓副会長、東京都区協・青木栄子幹事長、神奈川県協・尾崎竹詩事務局長のご出席を頂いた。
 夏目重美幹事の司会により、恒例の会歌斉唱、永井潮幹事長の開会宣言に続く柏田浪雅会長の挨拶では、当地区協顧問の安西篤さんが第十七回現代俳句大賞に選ばれ、三月二十五日の現代俳句協会総会で受賞されることが報告され一同拍手でお祝いした。
 会長挨拶のあと、永井幹事長より新入会員の紹介があり、出席された大森敦夫氏が抱負を述べられた。
 来賓の方々からそれぞれ温かいご挨拶を頂いた後、議長に清水弘一氏、副議長に佐藤八重子氏を選出し議事に入った。

平成29年度定時総会・来賓の四氏・左から檜垣梧樓氏、尾崎竹詩氏、青木栄子氏、前田弘氏


一、 平成28年度事業報告
二、 平成28年度収支報告及び会計監査報告
三、 平成29事業計画案
四、 平成29年度収支予算案
五、 役員一部変更の件
 以上、すべての議案が原案通り承認、可決されて議事を終了した。
 休憩後、第7回東京多摩地区現代俳句協会賞の審査経過と発表が行われ、協会賞に三浦文子氏、佳作賞に新井温子氏と蓮見徳郎氏の二名が受賞と報告され表彰された。協会賞の三浦文子氏には表彰状と花束の贈呈のあと、受賞者を代表して謝辞が述べられた。
 続いて「陽春俳句会」となり、選者選の披講と成績発表が行われ、高点15位までの入賞と特別選者からの特選賞が手渡された。来賓の方々、顧問、参与、会長、幹事長から講評をいただき俳句会は終了。地区協報告のあと、戸川晟副幹事長の閉会の辞で総会、陽春俳句会の行事を無事終了した。
 引き続き同会場で懇親会が開催された。稲吉豊副会長の司会で始まり、青木栄子都区協幹事長の発声で乾杯、和やかな楽しいひとときを過ごし、新会員大森敦夫さんの一本締めで散会となった。    (飛永百合子記)

◇第6回 俳句研究会
6月24日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 小山健介・佐々木克子・玉木康博・根岸操・稲吉豊・藤井みき・関 梓・白尾幸子
参加者45名
★講話・・・浮海早苗氏「芥川龍之介と俳句」

リビングにみんな素足の日曜日      飛永百合子
たくさんの目高孵化させ文具店      根岸  操
里山を容れて定まる植田かな       稲吉  豊
病む妻のヘアピン拾ふ走り梅雨      越前 春生
刈草のわつと匂へる母の家        小田  笑
あじさいの風に押さるる車椅子      関   梓
貨車すぎる積み残されし大夕焼      河井 時子
人の名を金魚に付けて家族とす      紺谷 睡花
噴水と一年生が背伸びする        新井 温子
合歓咲いて今朝の会話のやわらかし    山崎せつ子
竹皮を脱ぐ野心などありません      佐々木克子
かたつむり自在といふも寂しけれ     藤原はる美
野仏のごと一人餉(めし)梅雨に入る   関根 曳月
生き死にの身に近くあり青簾       宮井 洋子
本当は百合に生れたかった私       戸川  晟
流木を分け合い父の日の親子       前田  弘
二人連れ蛇見た後は無口になる      前田 光枝
生きるとは日々の暮らしや梅を干す    吉村春風子
焚き上ぐる浜の流木魂迎へ        三浦 土火
五月闇ジャコメッティの男かな      松元 峯子
ポニー先頭茅の輪くぐりの園児たち    水野二三夫
夏椿落つ会話の中へさりげなく      門野ミキ子
竹の花沖には明るすぎる海        小山 健介
ザリガニの色濃く噴井育ちかな      佐藤八重子
チェンジとチャンスは似てる更衣     永井  潮
電球の昏さ懐かし金亀虫         柏田 浪雅
金魚苦吟して舌頭千転泡ひとつ      淵田 芥門
何時来ても展示金魚は無愛想       水落 清子
梅雨の蝶いつかは「ノラ」になるのです  石橋いろり
日輪やのぼりつくして凌霄花       大友 恭子
花合歓や睡眠負債という重み       西前 千恵 
来し方をかたる書斉や水羊羹       白尾 幸子
終バスや闇に白あり姫女菀        玉木 康博
海老蔵を大人にしたる妻逝く夏      浮海 早苗
雨の日は雨の色なる濃あじさい      長野 保代
冷凍の切身ふた切世界知る        櫻本 愚草
アデューに込める一途やパリ祭      山口 楓子
梅雨晴間しゃべって笑って十三回忌    飯田 玉記
一日は水湧くやうに夏木立        中田とも子
桜桃忌跨線橋打つ縞の傘         大森 敦夫
粋すじの人や浴衣は鍵の柄        藤井 みき 
父の日は送迎バスで日帰り湯       長澤 義雄
轟音の戦車過ぎ行く夏の夕        根岸 敏三
宇宙服脱ぎ捨てており桜見る       川島 一夫
竃飯秩父の郷の土間湿り         辻  升人

◇第5回 俳句研究会
5月27日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 稲吉豊・佐々木克子・玉木康博・浮海早苗・藤井みき・関 梓     
参加者43名
★講話・・・根岸 操氏「生誕150年・正岡子規」

日の匂ひ抱へておろす鯉のぼり      越前 春生
幸せの詰め放題やさくらんぼ       吉村春風子
尺取の前足が待つ後足          小田  笑 
花茨棘より痛きひとの嘘         紺谷 睡花
古びたる母の字微か梅酒瓶        河井 時子
国の名の珈琲豆挽く朝ぐもり       藤井 みき
方丈の端に消火器青あらし        稲吉  豊
ふるさとという砦あり粽結う       佐々木克子
昼顔がわたしにからみついてくる     松元 峯子
良い靴にめぐり逢えたる聖五月      永井  潮
新緑や無人駅にも出店立つ        青木 一郎
世渡りの下手な風着る鯉幟        地原 光夫
二礼二拍手一山したたる緑かな      西前 千恵
庭園の風は一色夏帽子          秋山ふみ子
庭園の暗さつき抜け夏の蝶        水落 清子
子どもの日駄菓子屋という隙間かな    白尾 幸子
荒梅雨や東京五輪まで平和        戸川  晟
下馬評に無かった漢羽抜鶏        柏田 浪雅
善人のふりして半年聖五月        宮井 洋子
薯の花よい子へんな子ふつうの子     門野ミキ子
猿おがせ個人情報風にゆれ        石橋いろり
反抗期ときには祖母と草むしり      飯田 玉記
葉桜や遠き昔の櫂の音          浮海 早苗
断捨利に難儀してをり夏落葉       三浦 土火
母の日の母の躾は男並          前田 光枝
竹の皮九条辺りに脱ぎ散らす       櫻本 愚草
群れ咲きて一人静の賑賑し        夏目  瑶
麦秋の風を孕まん白ブラウス       水野二三夫
翻意して泰山木の花の坂         関根 曳月
空に雲むかし麦藁帽に紐         飛永百合子
リハビリや一歩一歩を緑陰に       関   梓
便箋の春の夕日を使い切り        前田  弘
風呂で読む英単語帳夜の新樹       根岸  操         
現在の父に逢ひたし五月鯉        淵田 芥門
大空の凹(へこ)んだところ春愁     大友 恭子
サクラ海老パスタの波に乗っている    玉木 康博
仰ぎ見る水の匂いの桐の花        山崎せつ子
みそ餡の売り切れ早く柏餅        佐藤八重子
要らぬもの削ぐもの落とし五月晴     川島 一夫 
人去りて真闇に戻る蛍の夜        長澤 義雄
誘い合い湯島天神夏祭り         根岸 敏三
核持てば強いと信ずる北朝鮮       玉井 吉秋
では又と終のたよりやさみだるる     山口 楓子

◇第4回 俳句研究会
4月22日(土)立川市子ども未来センター
  担当幹事 戸川晟 佐々木克子 玉木康博 山崎せつ子 藤井みき 石橋いろり
  参加者45名
★講話・・・対馬 康子氏「中島斌雄について」

何事もなき日尊し黄水仙         越前 春生
たんぽぽより早起きをして誕生日     幸村 睦子
落椿ひとりがいいと思ふとき       大友 恭子
桜散る諸手で受ける青い空        青木 一郎
カルテより一斉に蝶飛ぶ気配       佐々木克子
伝言が途中で消えるげんげ畑       前田 光枝
連結の一輛を足し春惜しむ        根岸  操
雁行や地を蹴る脚のたたまれて      対馬 康子
舟の跡揺れて戻して花筏         三ツ塚くにお
さよならが力生み出す卒業式       玉木 康博
猪ご用達裏山の筍レストラン       石橋いろり
囀や白杖のひと追い越さず        紺谷 睡花
春昼や振子時計の大欠伸         佐藤八重子
去り際の猫の一瞥春炬燵         稲吉  豊
ポケットにしまい込んでる春愁      新井 温子
曲り江や鰆の起こす波頭         山口 楓子
朝桜より青空の始まりぬ         門野ミキ子
日に遊び風に戯れ雪柳          吉村春風子
いぬふぐり転んだわたし見詰めてる    夏目  瑶
吾こそは初蝶なりと言いて去る      高野 公一  (高ははしごだか)
そして春人の作りし放射能        水落 清子
先の世に聞きしおぼへの遠蛙       三浦 土火
花吹雪七十七段登り切る         宮腰 秀子
花のいのち理科の時間に考える      永井  潮
花衣脱いでジーンズ楽に穿く       河井 時子
「ただいま」と写真にあげる水羊羹    飯田 玉記
どこまでも進化する君花吹雪       西前 千恵
蒲公英の山手線を見下ろせり       秋山ふみ子
乳母車の一列縦隊花疲れ         新川 万里
花冷や街のどこかでハンバーグ      大森 敦夫
香水をためらう年となりにけり      廣瀬 孝子
原子炉にひらがなの雪ほろほろと     櫻本 愚草
空腹の戦後の匂い蓬餅          戸川  晟
蓮華草見に来てぺんぺん草ばかり     小田  笑
痛いとこ飛んで行かない穀雨かな     宮井 洋子
散り急ぐ花びらどれも血がにじむ     山崎せつ子
赤ちゃんの手足ぷにゅぷにゅ春光眩し   松元 峯子
行く春や長生きの友ほしくなり      白尾 幸子
わが論の敗れたる日よ花筏        柏田 浪雅
雪柳明日はどっちへ靡くやら       川島 一夫
暗き湯の雪垣外す湯守かな        淵田 芥門
東京に美しすぎる春の虹         長澤 義雄
春落葉あの世代はと括りけり       藤井 みき
蕗御殿あるじ亡くして蕗青し       浮海 早苗
横綱になった春場所優勝旗        玉井 吉秋

◇平成29年 春の吟行会 
4月8日(土)  国立市 観桜会  参加者43名
 国立駅南口から続く桜並木は満開の見頃を迎えていた。気温の低い日が続き、開花から満開まで約1週間長びいている。雨も上がって花曇りの空からは時々陽が漏れる。道路をはさんだ左右に1粁ほど続く桜の古木と、一橋大学構内が吟行ポイント。
 例年より1か月早め、今年は数年ぶりのお花見吟行、常連の顔ぶれに加え事業部長の所属結社からの応援も入ってにぎやかな句会となった。

(当日の作品)
(入選15句)
花曇り桜通りという大河         飛永百合子 
人生の放課後桜を浴びている       堀部 節子
子が駈けて父が後追ふ花吹雪       吉村春風子
花の雨煉瓦校舎の色深む         根岸  操
路地あればとにかく覗く桜人       稲吉  豊
国立は記憶の引き出し花の雨       宮井 洋子
爛漫の観桜ポイント歩道橋        中島 貞夫
花曇り幹黒々と眠くなる         山崎せつ子
その先は行ってはならず花万朶      高野 公一
さくら散る私を置いて行かないで     永井  潮
花の路地ロージナ茶房ランプの灯     関   梓
たをやかに生きんと思ふ花曇       中田とも子
走り根を追って噴き出す桜かな      澤村いづみ
造形は「風の球体」桜散る        井上美沙子
虚子の日の桜さくらに遊びをり      中野 淑子
  (一人一句)
学園の雨にまどろむ花辛夷        宮腰 秀子
花ひらく市民の誇り糧として       井上 愛子
学生街のパンの匂いや紅しだれ      野口 尚子
桜よりなお桜色笑みあふる        西野 章子
花の雲バスくぐり抜けくぐりぬけ     秋山ふみ子
微調整できないからだ花万朶       岸本 陽子
さくらさくら雨の匂ひの惚れぐすり    大友 恭子
そぞろ行く大学通り春探る        田村 清子 
花曇り空にとけ込む桜色         関根紀代子
「ごめんね」は軽き言葉よ桜舞う     森松久美子
コーヒーのいやす国立花疲れ       佐藤八重子
花ぐもり学園通りのスニーカー      宮澤 雅子
ささやかに古木の小枝花満開       根岸 敏三
桜さくら赤子にわらいかけられし     幸村 睦子
花満つる街角パイプタバコの香      水野二三夫
桜さくら虚子忌のこぬか雨の中      藤井 みき
相傘に行きつ戻りつ花の雨        三浦 土火
人と本繋ぎこの地の桜降る        柏田 浪雅
掌に花びら一杯次の妻          戸川  晟 
桜見てゐて自分の中が見えてくる     小田  笑 
高塔をしのぐ松幹花ぐもり        山口 楓子
植樹せし君も桜も凛と咲け        三山 喜代
近づけば色白なるや山桜         松尾 君枝 
花天井透けてかがやく母と子と      宇賀いせを
花ぐもり古りし講堂重味あり       浮海 早苗
雨上がる胸に標けき桜かな        佐藤 栄子
老桜雨に濡れてはりんと咲き       小澤 正美
花ぐもり四大学の競技中         西前 千恵

◇第3回 俳句研究会
3月26日(日)立川市子ども未来センター
担当幹事  水野二三夫 佐々木克子 飛永百合子 稲吉豊 佐藤八重子 戸川晟 
参加者38名
★講話・・・本杉 康寿氏「『現代俳句年鑑』について」

魚偏をいくつ書けるか春炬燵         永井  潮
花むしろ真ん中に置く赤ん坊         紺谷 睡花
村あげて花嫁送る除雪かな          水落 清子
三月の街膨らんで赤らんで          戸川  晟 
啓蟄や胴上げされし子の未来         三山 喜代
春田打身を退くことは考へず         有手  勉   
ボンネットに落花ワイパーに違反票      稲吉  豊      
四月馬鹿倖せさうな愚痴を聞く        越前 春生
落ち椿ふつと己に戻るとき          吉村春風子
送る春迎える春も分教場           蓮見 徳郎
梅満開絵馬にアラビア文字の列        水野二三夫 
ちらほらの桜の後の兜太節          前田 光枝
飛びたがる風船強く抱きしめる        小田  笑
菜の花に泪いっぱい置いてくる        山崎せつ子
彼岸会や戒名に入る風の文字         宮腰 秀子
墓あれど彼岸に帰る家は無し         青木 一郎
春の宵妣には赤い絵ろうそく         松元 峯子
烈風の中にこそ咲け花辛夷          秋山ふみ子
泣くところさがしておりぬ春岬        大友 恭子
さみしくて亀を鳴かせてしまいけり      佐々木克子
花辛夷空へ漕ぎだす櫂の舟          関   梓
新人は七十五歳葱坊主            飛永百合子
ビルの山脈(やまなみ)谷に花菜の浜離宮   野口 佐稔 
露店から磯焼くにおい花一分         門野ミキ子
サスペンス泥吐く浅蜊の真夜厨        河井 時子
忘れたるものを探しに花菜畑         柏田 浪雅
トイレに詩古木の瘤に初桜          前田  弘     
三月の時刻みたる「もう」と「まだ」     櫻本 愚草   
横綱になれた御礼の初詣           玉井 吉秋
塩まねきのやうに誘つて疎まるる       本杉 康寿
待っててと祈る人あり彼岸かな        片山 正巳
椿落つこの瞬間にして過去になる       飯田 玉記
恋猫のいつも全開自己暗示          川島 一夫
ぶらんこやピースサインの子のひやり     佐藤八重子
かげろうのありそでなさそで恋うふふ     淵田 芥門
三月の渚足音流れ寄る            高野 公一
払ひたき雑念いくつ雪解川          三浦 土火
春茜鳥のとまらぬ大樹あり          石橋いろり

◇第2回 俳句研究会
2月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 吉村春風子・佐々木克子・玉木康博・根岸 操・根岸敏三・石橋いろり・関 梓・白尾幸子
参加者57名
★講話・・・宮崎 斗士氏「兜太誕生」

大根の白さほどには物言えず          飛永百合子
しばらくは雛に譲る文机            山口 楓子
蕗のたう父情はいつも黙の中          越前 春生 
いつも来ていただくばかり黄砂かな       藤井 みき
しばらくは雪に凭れて脱ぐ軍手         前田  弘
象の背にざらつく光浅き春           門野ミキ子
セロファンの似合ふ花ですかすみ草       水落 清子
木の芽風見知らぬ背中だけど好き        宮崎 斗士
春の闇柱時計の傾ぎ癖             新井 温子
失恋の数ほど振れり種袋            紺谷 睡花
もう一度笑ひころげて桜餅           小田  笑
早春の雲のひとつも無い不安          三浦 土火
きさらぎの白い皿より蝶生まる         佐々木克子
生きるとは忘れることさ春うらら        戸川  晟
昨日まで人の居た家花ミモザ          野口 佐稔 
出席に丸春愁の切手貼る            稲吉  豊
春はもやもや新聞読んでももやもや       松元 峯子
出口から入れる春の動物園           高野 公一
若布刈舟吃水深く戻りけり           河井 時子
老木や梅一輪の重すぎて            関根 曳月
いぬふぐり今はなんにもない砦         小山 健介
はるかなる地球の芯へ種をまく         大友 恭子
梅東風の土壁ここも東京都           宮腰 秀子
寒明の水をごくりと喉仏            佐藤八重子
まだ小さき蜆手窪を喜ばす           水野二三夫
思い出を蹴れば顔出す霜柱           永井  潮
啓蟄といふ一線の見えぬもの          吉村春風子
備忘録探しあぐねて二月尽           関   梓
土間寒し縄綯ふ嫁は郷の唄           淵田 芥門
抱っこ紐のイクメン颯爽(さっそう)春一番   高坂 栄子
河鍋暁斎(きょうさい)も本歌どりする春の宵  石橋いろり
薄氷や残るわが日に指を折り          柏田 浪雅 
早咲きのスイセン五輪畦に立つ         玉木 康博 
淀みなく内視鏡ゆく春の夕           川島 一夫 
春一番やおらゴリラが交みだす         宮川 和也
春隣ドアの向こうで待合せ           前田 光枝
蟹さばく手際いいのに無愛想          飯田 玉記
いぬふぐり見つ大窓のガラスふく        西前 千恵
葉の陰に慎み深き牡丹の芽           根岸 敏三 
春一番卓袱台返しの亭主面           片山 正巳
鎮魂の白き灯りや春の月            夏目 重美
春寒やパン切り包丁温めて           廣瀬 孝子 
何もかも捨てよ捨てよと春一番         秋山ふみ子
蛇出でて村に人影なかりけり          満田 光生
花金に困惑気味や春寒し            浮海 早苗
約束を破り二月の青い空            山崎せつ子
鳥帰るまだ名画座の残る町           芹沢 愛子
桃の花知らない顔して咲いている        白尾 幸子
白梅に道を尋ねて風の中            大森 敦夫
蔦若葉グランド工事の音高し          根岸  操  
ありがとう魔法の言葉雪解風          近田 吉幸
七十年世界大戦なき平和            玉井 吉秋
融雪剤を踏む音聞こゆ雪催           青木 一郎
さわさわと花芽啄む鷽の群           長澤 義雄
あんた誰記憶はゆらり寒ざらし         櫻本 愚草
紅梅を見あげて通る三丁目           宮井 洋子
光風や欅の梢のびをして            夏目  瑶

◇第1回 俳句研究会
1月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 根岸敏三・佐々木克子・玉木康博・稲吉 豊・根岸 操・大友恭子・近田吉幸
参加者46名
★講話・・・川辺 幸一氏「ジュニア出張俳句教室」

かるすぎるコート余生に親しめず        越前 春生  
きのうより風を甘しと冬木の芽         紺谷 睡花
寒凪や向きを揃える海の鳥           川辺 幸一      
諦めも決心の内ほとけの座           飛永百合子
紙漉や水より紙になる間合い          河井 時子
銀輪の巻き込む夕日春隣            門野ミキ子
獅子舞や老人ばかり噛まれおり         松元 峯子 
父母眠る川の向うを恵方とす          小山 健介
鯛焼と合はせ買ひたるもの孤独         柏田 浪雅
ラグビー場薬缶も走る決勝戦          片山 正巳
「高齢」の定義改め返り花           関   梓
別々の星を見上ぐるペア・マフラー       稲吉  豊
様子見に娘の来る時刻焼藷屋          水落 清子
葉牡丹の渦のまんなか生きている        山崎せつ子
酔うほどに手編のセーター絡みつく       戸川  晟
立春大吉ゴムのボールの空気穴         小田  笑
巴水展出づれば肩に風花す           秋山ふみ子
源氏読み了えて喉へと寒の水          宮川 和也
小正月素通りをしてしまいけり         前田 光枝
天空のテラスの席や春隣            近田 吉幸
舌鋒はパンドラの箱冴え返る          藤井 みき
年あらた地球儀回す大統領           浮海 早苗
地図にない小径坂道春近し           佐々木克子
寒の空独りで生きる有難さ           宮井 洋子 
約束を果たし冬芽の響き合ふ          根岸  操
寒月に首すくめたる縄暖簾           櫻本 愚草
ホバリング餌台競う冬の鳥           青木 一郎
不発弾のやうに寒鯉池(ち)に沈む       地原 光夫
寒紅や和服姿の中国語             野口 佐稔
連獅子の板ふみならす初稽古          山口 楓子
地球に死すと報じたい月夜           川島 一夫
缶ころりカラリカンカラ空っ風         三浦 土火
語り部や燠(おき)に莨(たばこ)の火を点けて 淵田 芥門
凧高く付添う筈の母の手で           佐藤八重子
譲る気がそろそろ来たとシクラメン       白尾 幸子
どんな顔か思い出せない年賀状         玉井 吉秋
霜柱へこみにありし体重差           根岸 敏三 
友だちの鉛筆を借り寒明ける          前田  弘 
トントンと傘たたみをり雪女          永井  潮
その里の昔を思ふ蕗の薹            大友 恭子
被せ藁の内は孤独か寒ぼたん          吉村春風子
隙間風塞ぐ努力もしないまま          飯田 玉記
ままごとをせし子も老いぬ龍の玉        水野二三夫  
雛奉納手許に父母の温み            石橋いろり  
春小鯛蕪に乗りて祝(しゅく)来たる      玉木 康博 
天窓の玻璃にきらめく朝の霜          長澤 義雄 


<平成28年活動記録>     
’28 秋の吟行会
11月19日(土)  日野市 高幡不動金剛寺  参加者29名
 数日前からの雨の予報で参加者の出足が心配されたが、集合時間の10時頃にはほとんど小降りになり、高幡不動駅頭に二十数名が集まった。金剛寺寺領は広大で、遠目に紅葉の山をバックにした赤い五重塔と金色の相輪がそびえたつ。境内に入ると菊花展の名残りの展示が見事。七五三のお参りの親子も多い。本堂で鳴り竜を実感したり、それぞれに名札がついた木や草、著名俳人の句碑など素材は豊富。一時からの句会には当寺院貫主、川澄祐勝師にも選をお願いし、特選三名には染筆と著書をいただいた。

(当日の作品)
朱(あけ)の塔雨に色増す冬紅葉       三山 喜代
紅葉して音なき雨のほどのよさ        吉村春風子
波郷句碑句友のこぼす咳ひとつ        日野 百草
冬の雨仏足石に一円貨            稲吉  豊
笙の音にすこししりぞく神無月        山崎せつ子
手を打って竜鳴かせれば時雨やむ       永井  潮
全山紅葉悩みなど捨てちまお         佐々木克子
竜鳴かせ一山もみぢ浄土なり         佐藤 栄子
雨の中そろりそろりの七五三         根岸 敏三
歳三はよき漢かな菊香る           宮井 洋子
鳴り龍の無限の音や紅葉寺          西前 千恵
みほとけのまなうら照らし紅葉ちる      田村  實
寺領には古き城砦草紅葉           小山 健介
黄葉(もみじ)踏み会いに来ました不動様   近田 吉幸
落葉道歩みを止める一枝かな         鈴木 卓郎
世に経るは高幡山の紅葉かな         三浦 土火
土方は日野に戻らず返り花          藤井 みき
今の世の時雨に泣ける不動さま        戸川  晟
草の花雨に鎮まり波郷の忌          関   梓
生きる積り焚く日の近き野紺菊        柏田 浪雅
我が老いの手にくれなゐの紅葉かな      石川登志子
赤々と五重塔や初時雨            宮腰 秀子
千体地蔵ひとつひとつに鶴を折る       石橋いろり
胸奥に鳴り竜妙音紅葉濃し          根岸  操
句帳手にしなやか拾う散紅葉         佐藤八重子
濡れた眼の地蔵に涙紅葉散る         白尾 幸子
うら山の蛇も冬眠会はずなり         浮海 早苗
白菊をお不動様に捧げたし          松元 峯子
冬紅葉に染まりたくなる大伽藍        地原 光夫

第12回 俳句研究会
12月25日(日)立川市子ども未来センター
担当幹事  吉村春風子・根岸操・玉木康博・山崎せつ子・稲吉豊・浮海早苗・近田吉幸      
参加者38名
★講話・・・沢田 改司氏「戦中戦後の多摩」

 煤逃げの戻りてしばし他人めく      越前 春生 
 遺影からはじまる母のすすはらい     沢田 改司 
 大晦いっしょに生きてきた柱       飛永百合子
 人の名が出て来ずポインセチア真赤    門野ミキ子
 風呂吹に飾り包丁近松忌         稲吉  豊 
 白湯少し揺らして冷ます開戦日      柏田 浪雅
 褞袍着て鈍感力を飼いならす       前田  弘 
 積ん読のどの山崩す年の暮        長澤 義雄 
 過疎村のたつた一軒大根干す       浮海 早苗 
 とろ函のかにが泡吹く十二月       三浦 土火
 年下の友を見送り日記買う        前田 光枝 
 欠礼は住所不定の流れ星         大友 恭子
 年つまる日に一回の探し物        根岸  操
 お茶の花白ほぐれだす日昏れ時      佐々木克子
 雪見風呂くずし字で入るおみなどち    関根 曳月
 漱石忌アンドロイドの夢語り       夏目 重美
 子規庵の奥の奥まで冬日濃し       秋山ふみ子
 朴落葉踏んでこの身を軋ませる      山崎せつ子
 どこまでも私でいたい霜夜なる      川島 一夫
 小掃除も今日で三度目冬うらら      水落 清子
 SMAPをバラバラにした空っ風     永井  潮
 あいつまだ生きているのか賀状書く    櫻本 愚草
 柚子浮かべギュッと握りて寒気抜く    玉木 康博
 弓手に鰭酒馬手にビジョンと愚痴少々   石橋いろり     
 放鷹の一直線に帰りけり         関   梓
 国ざかひ降りみ降らずみ初しぐれ     水野二三夫
 小鳥らに贈られしもの実千両       山口 楓子
 ふる里は近くて遠しむかご飯       宮腰 秀子
 小禽の声透きとほる冬の朝        近田 吉幸
 村夫子(そんぷうし)手洟かみをり畦の霜 淵田 芥門
 風に舞ひ隅に集まる落葉かな       片山 正巳
 細結び緩む齢の年用意          佐藤八重子
 ぶんぶんとカジノ論議を冬の虻      宮井 洋子 
 煤逃げの新手ないかと妻に聴き      吉村春風子 
 冬ざれる村の境の道祖神         根岸 敏三 
 乱舞するはうちわかえで秋終る      玉井 吉秋 
 「結婚できる」と孫娘(こ)十六小春の日 西前 千恵 

第11回 俳句研究会
11月26日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  小山 健介  佐々木克子  玉木 康博  水野二三夫
      近田 吉幸  飛永百合子  石橋いろり  佐藤八重子
参加者40名
★講話・・・木村聡雄氏「国際俳句を考える」

白鳥の駆けては硬き水ほぐす        越前 春生
小春日や自分のために買う童話       水落 清子
沈む日に映ゆる岬の干大根         河井 時子
すぐ届くアマゾンからの冬りんご      藤井 みき
欠席の文(ふみ)に枯葉の音がする     地原 光夫
一の酉アンバランスがいい夫婦       永井  潮
小春日や手話を見つめる子どもの目     根岸  操
瞑りて十一月に身を晒す          飛永百合子
線量計紅葉の中に埋づもれる        櫻本 愚草
ドクターはモニターばかりおでん買う    白尾 幸子
山茶花の雨滴の重さほどの揺れ       柏田 浪雅
ロボットに負けるジャンケン寒鴉      関   梓
「熊が出た」が挨拶代わり自治会長     青木 一郎
冬 ぬくし銀座に「眼差し」と言う個展   門野ミキ子
初雪は唐突に来る恋に似て         松元 峯子
インディアン・サマーと気取りナポリタン  前田  弘
青天に透かして桜紅葉かな         山口 楓子
大皿に余さず河豚を延べにけり       水野二三夫
初雪や狛犬の眼を洗いおり         根岸 敏三
島小春プレス一瞬たこせんべい       近田 吉幸
あいづちを打つひと欲しい「寒いね」と   紺谷 睡花
オロナミン供える墓前秋日濃し       西前 千恵
冬日さす座禅の闇の奥の奥         戸川  晟
風いなし風を遊ばせ冬薔薇         秋山ふみ子
益子焼手なみをほめて温め酒        大友 恭子
鎌鼬石の真神に振り向かれ         稲吉  豊
日向ぼこ喪中はがきを見ておりぬ      佐々木克子
遠くから斜光差し込む落葉道        玉木 康博
波白しその底に城あるという        木村 聡雄
頃合ひといふは落葉の深さにも       吉村春風子
子と歩む哲学の道黄落期          三浦 土火
ネオン街ねこ正座せり冬の月        片山 正巳
大川に川霧立ちて雪はげし         浮海 早苗
うま酒や鱈鍋囲む漁師膳          長澤 義雄
返杯に紅のこしてや菊の宴         淵田 芥門
冬の月鴉鳴く声遠くなる          廣瀬 孝子
雪帽子幼に譲るバスのブザー        石橋いろり
艶艶し句帳へ挿む散紅葉          佐藤八重子
紅葉黄葉釈迦牟尼仏は眠るかな       小山 健介
日の当たる落葉を踏んで生きている     山崎せつ子

◇第10回 俳句研究会
10月29日(土)立川市こども未来センター
担当幹事  稲吉豊   佐々木克子   玉木康博  根岸操 
      戸川晟   藤井みき   関 梓   蓮見徳郎 
参加者46名
講話・・・佐怒賀正美氏「文挟夫佐恵(ふばさみふさえ)の俳句」
          
柿熟るる村に一人の赤ん坊        佐々木克子
白湯吹いて山を見てゐる蛇笏の忌     越前 春生
つめたくてぬくき手ざはり今年米     水野二三夫
仏心のひたひた育つ吾亦紅        柏田 浪雅
脚は組むべし黄落のカフェテラス     稲吉  豊
抽斗に言葉があれば小鳥来る       根岸  操
秋うらら優先席に畏まる         新井 温子
ラ・フランス明日の方を向いている    飛永百合子
語りたきことの数多や返り花       山口 楓子
十戒の九まで破り椿の実         前田  弘
晩秋や気がかりな鍵とりかえる      広瀬 孝子
風の出てすすきが芒らしくなる      藤井 みき
筑波嶺の稜線霧の横走り         紺谷 睡花
秋の陽の奥まで届く始発駅        根岸 敏三
もう少し時間を下さいお月さま      戸川  晟
児の悪態露地に響きてあかのまま     宮井 洋子
ボタ山にガラス細工の月が出た      蓮見 徳郎
身に入むや人のこころの裏表       吉村春風子
子ども来て婆来て足湯赤のまま      宮腰 秀子
ピザ食べる落穂拾ひし手で食べる     水落 清子
行く秋や新聞読んで爪切って       門野ミキ子
点滴は安楽死かもうそ寒し        浮海 早苗
耳鼻科から秋刀魚を焼きに帰りけり    小田  笑
月白に母の指輪が喋り出す        佐藤八重子
列島は筋肉疲労秋の地震         関   梓
子のバイオリン終るを待ちしちちろ虫   高野 公一
森の中に一本の杭秋冷          松元 峯子
秋思ふと菩薩の細き指の反り       長野 保代
逝く秋や縁薄れる産まれ里        河井 時子
満月や四角い空を転がれり        片山 正己
流木の一塊となる秋出水         秋山ふみ子
うわばみに寄り添って入る核の穴     野口 佐稔
日矢一条心経唱う芒原          高坂 栄子
菊の香や人は死ぬまで父である      永井  潮
秋深し海馬痩せゆく馬肥ゆる       三浦 土火
穭穂や遥か遠くの八ヶ岳         近田 吉幸
尊厳の軽き言の葉落葉風         石橋いろり
狐火を夢と知りせば触れざりしを     櫻本 愚草
一房の葡萄ひとりの夜を過ごす      山崎せつ子
台風よ来るなら少しの雨で来い      玉井 吉秋
秋おちて二人別々に二人(ふたり)待つ  大友 恭子
谷川の秋嶺分かつ白き筋         長澤 義雄
柿点描刈穂の精が匂い立つ        玉木 康博
浪漫やな戯曲に耽る汝(な)れが秋    淵田 芥門
ほしい本文庫本待ち秋の夜        白尾 幸子

◇第9回 俳句研究会
9月24日(土)立川市子ども未来センター
★担当幹事  戸川 晟・佐々木克子・玉木康博・稲吉 豊
       藤井みき・大友恭子・石橋いろり・佐藤八重子
参加者41名
★講話・・・田付賢一氏「子供俳句の現場と養老施設の俳句」
 
帰る子の靴音消えて虫の闇           紺谷 睡花
産み月の嫁からメール小鳥来る         石橋いろり
角砂糖静かに沈め夏終る            山崎せつ子
ロボットに声掛けらるる秋日和         稲吉  豊
ベンガル語らしき石榴の実が裂ける       前田  弘
指揮棒の解き放つ音涼新た           小山 健介
聞こえないふりして無花果を食べる       佐々木克子
いくつもの短編のごと秋の雲          秋山ふみ子
明日はまだ平和な空か鰯雲           田付 賢一
愛ちゃんはお嫁に秋の海隔て          永井  潮
佃煮になっても蝗とぶ貌(かたち)       水落 清子
杜鵑草(ほととぎす)きれいな風の立ちにけり  根岸  操
秋の暮今日もどこかで誕生日          前田 光枝
十六夜引き際語らう友と酒           玉木 康博
赤とんぼ野の一色を貰いたる          越前 春生
懐の深きかあさまななかまど          関   梓
満月や聞こえぬ闇に耳すます          大友 恭子
けものめく颱風の眼の行方かな         夏目  瑶
赤い羽根栞がわりの文庫本           山口 楓子
生き様を変へん糸瓜の曲がり程         柏田 浪雅
まだ青さ残して今朝のすすき原         吉村春風子
一番星茄子の畑から昏れる           松元 峯子
蓑虫の糸伸びきったる子の絆          櫻本 愚草
葬儀なき路地の老人星月夜           浮海 早苗 
不揃いを入れて一面蕎麦の花          根岸 敏三
一千万都民の吐息いわしぐも          門野ミキ子
知恵熱の嬰の手のひら初紅葉          宮沢 順子
秋刀魚食ぶ猫と分け合う尾と頭         河井 時子
恋すこし邪(よこしま)かしら月の暈(かさ)  淵田 芥門
食卓に威張って居れり初さんま         高尾 浩一
バッグから兜虫だす好々爺           白尾 幸子
月下美人今宵秘かに花魁ショー         片山 正巳
台風接近卵は一パックある           飛永百合子
母葬る郷はそこりの葉月潮           三浦 土火
月影を延べたる路地のうすじめり        水野二三夫
露草や八ヶ岳(やつ)の麓の乳搾り       近田 吉幸
絶え絶えに便りの届く鉦叩           戸川  晟
蟬さえも鳴く気にならぬ酷暑かな        玉井 吉秋
リレーとは花形競技走り蕎麦          藤井 みき
いつも何かとおさわがせ小鳥来る        西前 千恵
やじろべい振り子ゆったり竹の春        佐藤八重子

◇第8回 俳句研究会
8月27日(土)武蔵野市かたらいの道市民スペース
担当幹事  根岸敏三・佐々木克子・小山健介・根岸 操・稲吉 豊・近田吉幸  
参加者38名
★講話・・・網野月を氏「雑詠のすすめ〜考現学的視点から」
 
八月を手渡すやうに語り継ぐ       永井 潮
秋立つや折目の多き山の地図       小山健介
風が手をつなぐ薄の揺るるたび      吉村春風子
原っぱのぱは何だろう雲の峰       網野月を
パントマイム片手に掴む秋の風      越前春生
梨をむく平らな夜が過ぎるだけ      水落清子
空蟬の背から遠野物語          前田 弘
秋の蚊の一泊二日仕留めたり       佐藤八重子
新涼の空を広げる金メダル        三山喜代
八月やひっくり返す砂時計        山崎せつ子
トロ箱の秋刀魚が届く相撲部屋      稲吉 豊
はんなりと美しき言の葉鱧の皮      高坂栄子
車椅子押して花野に放ちけり       蓮見順子
夏野ゆくゴッホのような顔をして     蓮見徳郎
もの食めばすぐねむくなる残暑かな    浮海早苗
少年に金魚明るく嘘を言う        佐々木克子
何からも遠ざかりゆく虫の闇       山口楓子
コオロギが四番線で鳴いている      飛永百合子
線路脇小鳥と遊ぶ猫じゃらし       根岸敏三
ゆふさりは挽歌と聞こゆ残る蝉      関根曳月
ダリ展の奇想に疲れたる晩夏       藤井みき
フクシマへてんでに戻る茄子の馬     櫻本愚草
白芙蓉家業をたたむ妹の家        西前千恵
赤心の嘘の潜むる曼珠沙華        夏目重美
秋暑しはめこみ窓のうす埃        秋山ふみ子
花茣蓙や猫にもうつる欠伸かな      石橋いろり 
一匹のみんみん蝉の木陰かな       今田和生
雲の峰掴む幼は父の肩          関  梓 
蝉時雨禅師ノ獅子吼甲高シ        淵田芥門
都議会が化物に見える都知事選      玉井吉秋
ほかいびと伊那の井月秋祭        近田吉幸
吾が墓に標は要らぬ百日紅        三浦土火
五色沼千の蜩競いけり          種市与作
秋暑し鞄の底にケータイ音        根岸 操
二種類の目薬を点す今朝の秋       宮腰秀子
甘藷彩よく揚げて胸開く         宮井洋子
もったいない玉蜀黍の金の粒       田山光起
冷房にそよぎて白きひよろ毛かな     水野二三夫 

◇第34回東京多摩地区現代俳句協会俳句大会
7月23日(土)  武蔵野スイングホール    
参加者 198名 出句数 1131句 当日出席者 101名
〈来賓〉
西野 洋司 神奈川県現代俳句協会副会長
松田 抱空 東京都区現代俳句協会副幹事長
高橋 健文 千葉県現代俳句協会副幹事長

〈記念講演〉
  小林 貴子 先生  『飯島晴子の現代性』

〈大会選者の特選作品〉
小林 貴子 選
  未来から筍を掘り出してくる          永井  潮
松田 抱空 選
  枝折ふむ姥捨山の雪解かな           淵田 芥門
西野 洋司 選
  飯島晴子忌鏡の中にいる他人          金子 圭子
高橋 健文 選
  ががんぼの足散らばっている過疎化       木下 蘇陽
沢田 改司 選
  うしろから見られたくない菊人形        中山 遊香
橋爪 鶴麿 選
  初夏の弾みで跳びし水たまり          大友 恭子
岩崎清太郎 選
  逃げ水や死ぬまで嚥むといふ薬         大西 昭舟
江中 真弓 選
  軍港は一万本の薔薇の中            籾山 洋子
岡本 久一 選
  母の字に割り算記号西瓜切る          永井  潮
金谷サダ子 選
  父の日の折鶴にある均衡感           平山 道子
田村  實 選
  水馬我も地球も浮いてゐる           三山 喜代
地原 光夫 選
  太陽の機嫌取りつつ畦を塗る          柏田 浪雅
冬木  喬 選
  怒ること忘れ過疎地に蜂を飼ふ         柏田 浪雅
前田  弘 選
  記念写真まんなかはいつも金魚         飛鳥 遊子
三浦 土火 選
  枝折ふむ姥捨山の雪解かな           淵田 芥門
宮川としを 選
  前略のような人来る長閑さよ          地原 光夫
柏田 浪雅 選
  長牛蒡地獄まぢかを掘り出せり         関根 曳月
永井  潮 選
  ぼうたんを十五かぞえてめまいする       堀部 節子
稲吉  豊 選
  胡桃割るひとつしかない言葉待ち        藤井 みき
根岸 敏三 選
  耕して土の筋肉揉みほぐす           永井  潮
吉村春風子 選
  両の手に春たっぷりのレジ袋          島田 啓子
山崎せつ子 選
  昼顔や空しいときは口渇く           城内 明子
小山 健介 選
  青嵐青面金剛石を出よ             江中 真弓
佐々木克子 選
  栗飯がうまい不良になり損ね          大西  恵
大友 恭子 選
  木枯しを鏡にうつす眼鏡店           川島由美子
根岸  操 選
  全身を投げ出すように布団干す         永井  潮
蓮見 徳郎 選
  絶壁を一直線や夏椿              堤  保徳
戸川  晟 選
  初節句僻地赴任の父帰る            長野 保代
水野二三夫 選
  母の性諾ふ真白鉄線花             三浦 土火
近田 吉幸 選
  Happy unhappy / my mind a pendulum / a nabana
  breeze (振れ止まぬ心の振り子花菜風)    宮川  夏


〈大会賞作品〉
   両の手に春たっぷりのレジ袋     島田 啓子  

〈入賞作品〉
  風呂敷をきりりと結ぶ昭和の日          稲吉  豊 
  春の雷ずつと平和といふ不安           北川 寛山
  大の字も川の字も好き畳替え           國分 三徳
  白地着て忘れることを楽しめり          青木 栄子
  コスモスにならうと降りる無人駅         池田 洸生
  軍港は一万本の薔薇の中             籾山 洋子
  一本の音になりゆく雪解川            高野 公一
  溜息をついたそばから黴びていく         原田 洋子
  坂道をまづ眼で登る薄暑かな           平井 照子
  祭笛異郷となりてゆく故郷            木下 蘇陽
  何ごとも無かったかたち大海鼠          城内 明子
  青空が不安憲法記念の日             一ノ瀬順子
  一等になれぬ子の飼う金魚かな          永井  潮
  うしろから見られたくない菊人形         中山 遊香
  万緑に呑みこまれゆく過疎の村          河井 時子
  Happy unhappy / my mind a pendulum / a nabana
  breeze (振れ止まぬ心の振り子花菜風)     宮川  夏
  もう誰のためにでもなし泳ぐなり         玉木  祐
  余生とは種となること葱坊主           関根 曳月
  ふんばって雲に乗りたる水馬           三山 喜代
  交差点右みて左春がきた             大友 恭子
  記念写真まんなかはいつも金魚          飛鳥 遊子
  本音言うために外せりサングラス         藤井 みき
  一人居の豆撒き福も鬼も来い           岡田 春人
  沈黙も言葉のひとつ夕端居            吉村春風子
  八月の分母はいまだ割り切れず          清水万ゆ子
  足裏やはらかく万緑の底にゐる          江中 真弓
  はらわたの無きことすがし鯉のぼり        山口 楓子
  男手はいりませんかと蜥蜴出づ          紺谷 睡花
  涼しさを闇と分けあう生家かな          佐々木克子

※ 高点順ですが、30位までに複数入賞句がある場合は、お一人1賞とさせて
いただきました。


第7回 俳句研究会
7月31日(日)立川市子ども未来センター 

担当幹事 吉村春風子・佐々木克子・玉木康博・石橋いろり・根岸 操・近田吉幸・藤井みき・飛永百合子

参加者28名
★講話・・・堀之内長一氏「俳句とインターネット」

一椀が全部ふるさと茗荷汁         飛永百合子
プールの子水引きずりてあがりけり     越前 春生
平和とはこんなものかとメロン切る     関   梓 
頑なに生きやわらかく端居する       佐々木克子      
ヒメムカシヨモギに停まる縄電車      前田  弘 
わが影に潜れぬものか炎天下        吉村春風子   
口跡の涼しく飯島晴子論          門野ミキ子  
茄子好きの夫に作りぬ大き馬        柏田 浪雅
起重機に吊られて沈む夕焼かな       近田 吉幸
気がつけばあの世の草も引いている     永井  潮   
リフォームの何処に置かうか蚊遣豚     稲吉  豊
けむり茸シュルシュルっと都知事選     石橋いろり
向日葵や朝からまなこ渇きたる       山崎せつ子
夏蝶の行く先象のなき象舎         小山 健介
仕上がらぬ牛乳パズル百日紅        戸川  晟
カナカナの泣いている日は淡く過ぐ     大友 恭子
エア・メール梅雨空くぐり届きけり     水落 清子
水槽のイワシの大群見て涼し        藤井 みき
情火尽きなほも夏野の滾(たぎ)りけり   淵田 芥門
海制す言葉を持たぬ海月かな        根岸  操 
石棺にするしないのと梅雨深し       松元 峯子   
旅かばん持つ先導のひとえ帯        山口 楓子
花火師の動き黒きは淋しからん       水野二三夫
羽おさめ天道虫と名乗りたり        佐藤八重子
沖縄の友は沖縄忌のこと語らざり      玉井 吉秋  
八月の溝掘り起こすレコード針       櫻本 愚草  
たそがれの飛魚の羽たたまれて       堀之内長一
夕風呂に夏至の光が湯気をさす       玉木 康博 

第6回 俳句研究会
6月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 近田吉幸・佐々木克子・玉木康博・根岸 操・関 梓・根岸敏三・石橋いろり
参加者35名
★講話・・・夏目重美氏「井上井月を囲む人々」

伊那谷のさすらひ人や青胡桃        夏目 重美
柿若葉おずおずと子の初名刺        西前 千恵
あれこれと迷わずまずは胡瓜もみ      水落 清子
魂の遊びに出でし三尺寝          越前 春生
あじさいは街半分を走りおり        前田 光枝
がっちりと柩の上の登山靴         戸川  晟
蚕豆を剥くあれ程がこれ程に        門野ミキ子
贅肉をつまんで茅の輪くぐりけり      前田  弘
夕顔や「にげた女」といふワイン      大友 恭子
ほうたるを手に囲いたる微熱かな      佐々木克子
では又と友の絶筆梅雨しとど        山口 楓子
茂り葉の山をゆるがす七歳児        浮海 早苗
籐椅子は父の定位置くぼみあり       秋山ふみ子
空蟬は私の指を離さない          飛永百合子
能面の眼の奥寒い青葉闇          山崎せつ子
草むしりうめ婆さまのカメ貯金       白尾 幸子
ごきぶりの目の奥に見し命乞い       辻  升人
製糸場哀史の遺産町は夏          根岸 敏三
緑蔭や猫の夕餉は自転車便         片山 正巳
二十五歳山椒魚の大欠伸          関   梓
五月雨の波紋みあぐる山女かな       淵田 芥門
癌は厭呆けなほ嫌心太           三浦 土火
梅雨晴れや玉葱どかんと送りくる      廣瀬 孝子
どの蛍袋に遥子・奏子ゐる         柏田 浪雅
過ぎゆきしものの背よ夏の月        夏目  瑶
装丁のぼろぼろ辞典虫干す         宮腰 秀子
紫陽花や雨に泣かせて色七つ        関根 曳月
夏痩せで地球が解り難くなる        永井  潮
どうするか本に悩む句多くなり       玉井 吉秋
パパママのカラーステテコ日曜日      根岸  操
風やさし口元に寄すさくらんぼ       水野二三夫
わがはいの則天去私やおじぎ草       近田 吉幸
甘夏をせっせと買い込む熊本産       玉木 康博
折鶴の羽ばたく炎原爆忌          櫻本 愚草
花梔子検査入院西病棟           石橋いろり

平成28年 春の吟行会
5月14日(土)  練馬区 石神井公園  参加者32名
 五月晴れの吟行日和になった。石神井池と三宝寺池という二つの池を中心とする石神井公園は自然豊かな広大な公園である。折から練馬区の子どもまつりが開催されていて、小さなお子さんから小中学生まで、園内一角には溢れるばかりの子供たちで、国の将来はこの風景だけを見るとまんざらでも無さそうである。
 ボート乗り場に近いバス停のあたりが集合場所で、32人が集まった。豊かな樹木、水辺の動植物を眺めながらの二時間の散策によって、作品の出句2句はきびしい自己選択を強いられた。

(当日の作品)
河骨やどんどんさみしくなる真昼       山崎せつ子 (崎は山偏に立に可)
青葉風こどもまつりを抜けてくる       佐々木克子
青柳風をいくつも送り出す          高野 公一 (高ははしごだか)
睡蓮や女はいつも群れており         根岸  操
たましひのどの睡蓮に止まらうか       柏田 浪雅
河骨や忘れることを怖れけり         宮澤 雅子
割り切れぬ人の心やエゴの花         永井  潮
切株に並ぶランチや青葉風          藤原はる美
木のベンチやわらかく置く夏帽子       飛永百合子
蛇苺無害と知りて空の青           栗林 幹子
薄暑光受く釣り人の太鼓腹          水野二三夫
万緑や滅びし者の住処跡           中田とも子
(以上上位12句入選)
一人一句
風つなぐ青葉々々の三宝寺池         秋山ふみ子
忍冬の花人に聞かれし独り言         幸村 睦子
尾をつけるおたまじゃくしの送別会      根岸 敏三
背なの子のほほ笑みかえす若葉風       白尾 幸子
緑陰といふやすらぎに椅子二つ        吉村春風子
花菖蒲スワンボートの頸細し         近田 吉幸
櫂上げて風の音聞く菖蒲池          蓮見 徳郎
児等馳せる国のやすらぎ花うつぎ       宮井 洋子
沈黙の五月にむけて吹矢ふく         岩田  信
横へ横手渡す手渡す柏餅           佐藤八重子 
手話光る小振りのダンス杏あめ        石橋いろり
薫風や折紙けん玉エイサー踊         岸本 陽子
睡蓮の白敷きつめる城の跡          田村  實
池の面にさざなみびかり山法師        稲吉  豊
湧水の名残をとどめ若葉風          戸川  晟
木もれ日に淡く残れり花あふち        浮海 早苗
照姫の愁ひに添ひし燕子花          夏目 重美
芭蕉なら西施と詠まむ燕子花         関根 曳月
はつ夏の風は水面をさざめかせ        山口 楓子
睡蓮の上に寝そべり天国へ          川田 忠雄

第5回 俳句研究会 
5月28日(土)立川市子ども未来センター

担当幹事 稲吉 豊・佐々木克子・玉木康博・浮海早苗・藤井みき・佐藤八重子・関  梓・根岸 操

参加者44名
★講話・・・川名つぎお氏「やまとことば論について」

通夜の席一人は登山靴のまま       冬木  喬
空っぽの象舎さびしき緑雨かな      根岸  操
口笛に追い抜かれたり風五月       門野ミキ子
姫女苑すぐに子どもは走り出す      稲吉  豊
こどもの日隣家の赤子借りて抱く     越前 春生
聞きながすことを覚えてスベリヒユ    小湊こぎく
さつき咲き隣家親しく見えてくる     前田 光枝
母の亡き母の日海を見ておりぬ      小山 健介  
昼寝の子指ふっくらと結びおり      佐藤八重子 
瞑想の塊一つ青胡桃           近田 吉幸
一列に若葉の中の足湯かな        関   梓
広島や謝罪なくとも梅雨晴れ間      片山 正巳
葉桜やスーツ姿の板に付き        三山 喜代
草笛や禿頭ひとり抜ん出て        紺谷 睡花
夏空へ牛追い唄の溶けてゆく       新井 温子
父の日が静かに暮れて酔ふて居り     地原 光夫
葛切りの一椀兄の忌を修す        水野二三夫
紫陽花のしずくのままをさし出しぬ    飛永百合子
青梅は未完の色をためらはず       吉村春風子
本文より長き追伸梅雨兆す        村山 義一
シャボン玉いびつのまま空をとぶ     廣瀬 孝子
山法師ならば話そうこの夢を       水落 清子
麦の秋待合室に忘れ傘          佐々木克子
十薬や土管に潜むかくれんぼ       秋山ふみ子
ケルン積む父の骨とし石ひとつ      柏田 浪雅
ゆるやかに大和ことばや朧月       大友 恭子
山法師風の匂いがなだれ込む       山崎せつ子
ぼくの空曇ったままで夏に入る      戸川  晟
写経する一字一字に若葉光        豊  宣光
頭に小径あり滴りのひびき        川名つぎお 
藤棚やほの暗きこと懐かしく       松元 峯子
城若葉地震に抗ふ武者返         櫻本 愚草
蝶となりし二十歳(はたち)の娘基地の島 野口 佐稔
何もない幸せ噛みしめ新茶汲む      西前 千恵
羊歯分けて滝へ女の行衣かな       淵田 芥門
花子逝く緑雨の動物園          石橋いろり
庭石に隠れ寄り添う雪の下        根岸 敏三
鯉のぼり目刺し三尾を頂戴す       玉木 康博
六月の鳥はひかりへ流れけり       吉田香津代
新緑の高尾に紺屋の暖簾かな       浮海 早苗
鍋二つ洗い終えたる朧かな        永井  潮
若者の琴の音冴ゆる梅まつり       玉井 吉秋
恥多く生きて来しとも藤は実に      藤井 みき
小ながれに廻る笹舟かきつばた      山口 楓子 
じめじめと苔千年の宮参道        辻  升人
麦飯やびくびく生きる多死社会      白尾 幸子 

第4回 俳句研究会 
4月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  佐々木克子 玉木康博 戸川晟 近田吉幸 山崎せつ子 大友恭子 藤井みき  
参加者44名
★講話・・・冬木喬氏「良寛雑話」

蒲公英や一人足りない草野球     関   梓               
春昼を息して沈む角砂糖       越前 春生             
陽炎の招き上手の消え上手      吉村春風子
春愁を皿洗ひつつ流しけり      秋山ふみ子              
葉桜や男ばかりが先に散る      村山 義一
春キャベツ断層ぐさり刃を入れる   櫻本 愚草
何も言えない真っ正面に春満月    門野ミキ子
ただ歩く水の匂いの朝桜       山崎せつ子
花疲れワインの栓がころがつて    山口 楓子
花は葉に万年筆のある暮らし     前田  弘
火の国の地震にたじろぐ霾ぐもり   紺谷 睡花             
常備菜つくる半日菜種梅雨      水落 清子
仏生会きのふと違ふ草の丈      稲吉  豊
げんげ田を起せば土の匂い立つ    戸川  晟
花は葉に母は赤子になり給ふ     三浦 土火 
花の雨少年の歩に追いつかず     宮腰 秀子
解く帯に袂の花のこぼれけり     淵田 芥門
花は葉に真っすぐに来る錯覚     前田 光枝           
お日様へ一声掛けて昆布干す     柏田 浪雅
だまされて廃屋に居る遅桜      冬木  喬
眼と耳の愚痴を言いあい彼岸道    青木 一郎
白光る雀隠れのスニーカー      関根 曳月
濡れている刻は戻らず勿忘草     根岸 操
花満開自撮りの少女ポーズつけ    根岸 敏三
海に向く墓石のあまた山笑ふ     浮海 早苗
菜の花に海は眩しすぎないか     高野 公一
泣くことを忘れし亀や甲羅干す    永井  潮 
まだ眠そうな筍掘りおこす      廣瀬 孝子 
花の下佇めば一瞬の呪縛       松元 峯子       
惜春や道標残る姫街道        近田 吉幸 
言えなかったことは忘れず麦の波   藤井 みき
妣からの連絡はなしおぼろ月     飛永百合子
ぼうたんに温故知新を垣間見る    佐々木克子
まなざしを野原に置きて花や鳥    大友 恭子
雪山を水に広げていもり池      白尾 幸子
一の橋二の橋辺りさくら冷え     水野二三夫  
花筏堰で名残りの宴かな       佐藤八重子
精一杯泣いて乳吸う柿若葉      宮井 洋子
竹秋や双体地蔵の頬を染む      夏目 重美
散る花やただひらひらとひらひらと  片山 正巳
句を拾ふしだれ桜の芭蕉塚      三山 喜代
人間に生れて来ての泣きぼくろ    辻  升人
街道が棚に並んだ菜の花忌      玉木 康博
野川には亀鴨小鷺風光る       西前 千恵 

定時総会・陽春俳句会
平成28年度定時総会と陽春俳句会が、3月21日武蔵野スイングホールで開催された。
 出席者は62名。来賓に高橋宗史・千葉県協事務局長、尾崎竹詩・神奈川県協副会長、山中正己・東京都区協副会長のご臨席を頂いた。
 稲吉豊幹事の司会により開会。恒例の会歌斉唱につづき、永井潮幹事長の開会宣言、柏田浪雅会長の挨拶の後、永井幹事長より新入会員の紹介があり、27年度中に新たに入会された方15名の内、当日出席された関根曵月さんが力強い挨拶と抱負を述べられた。
来賓各氏より温かいご祝辞を頂いた後、議長に満田光生氏、副議長に佐藤八重子氏を選出して以下の議事に入った。
第1号議案
 平成27年度事業報告  (吉村春風子部長)
第2号議案
 平成27年度決算報告  (根岸敏三部長)
  同  会計監査報告  (三浦土火監査役)
第3号議案
 平成28年度事業計画案 (吉村春風子部長)
第4号議案
 平成28年度収支予算案 (根岸敏三部長)
第5号議案
 役員の一部変更の件   (永井潮幹事長) (カッコ内は報告、提案者)
上記の諸議案につき詳細な説明があった後、質疑、採決の結果、拍手多数でこれら
を承認、可決して議事を終了した。

陽春句会1位の宮腰秀子さん

 引き続き「陽春俳句会」が開催され、出句、選句の済んだ応募作品の披講と採点が行われた。今年は84人の参加があり、特別選者25人と来賓の3先生による7句選(内特選1句)を佐々木克子さん、根岸操さん、石橋いろりさんが披講した。
採点の結果、最高点は2名が同点となったが、出句順位の早い宮腰秀子さんの作品が第一位となり、以下高点句15位までが入賞となった。特別選者からの特選賞も手渡され、来賓の皆さん、顧問、参与、会長からそれぞれ特選に選んだ句を中心に懇切な講評をいただいて陽春俳句会を終了した。
 地区協からの報告を水野二三夫事務局長、吉村事業部長、稲吉豊広報部長が行った後、戸川晟幹事の閉会の辞ですべての行事を終了。
小憩の後、会場設営を終えた同ホールのレインボーサロンで夏目重美幹事の司会により懇親会が開かれた。各テーブルとも歓談尽きることなく和やかな春宵の一刻を満喫し、次回の再会を約して散会した。

 陽春俳句会作品 
一人ならひとり枯野を行く歩幅        宮腰 秀子
初詣女は女見て過ぎる            尾崎 竹詩
誰も寝ていない蒲団も干しにけり       永井  潮
ふつくらと土偶の胸や春ともし        山口 楓子
去年今年忘れ上手に老いてゆく        一ノ瀬順子
武者震いする畑打の耕耘機          長野 保代
野遊びや指に残った香のひとつ        水落 清子
もしもしとふきのたうから糸電話       岡本 久一
梅咲いて胸中を川流れけり          江中 真弓
江戸古地図展げ一人の春炬燵         宮井 洋子
みづいろの神ゐて春の空流る         有坂 花野
笹鳴や少年はひたすらに蹴る         戸川  晟
ガレージの隅が本籍猫生まる         市川 春蘭
人といふ武器の踏みゆく霜柱         柏田 浪雅
明の春煤百年の自在鉤            稲吉  豊
(以上十五位まで入選)
犀のかたちに閏二月の去りにけり       玉木  祐
春風や大きな楽器背におう子         西前 千恵
戸籍簿の名を消しにゆく春の霜        越前 春生
春の夢金平糖を買ひにゆく          大友 恭子
白波の遠流の島や鳥帰る           三浦 土火
白魚の死ぬ暇なしに喉走る          蓮見 徳郎
八十路くる戦争を知る雛の瞳         堀部 節子
しゃぼん玉弾け本来無一物          木下 蘇陽
書初の母のひと文字海となる         佐々木克子
武蔵野の黄色い電車春立ちぬ         住  落米
黄水仙ひとり明るいナース室         地原 光夫
歴史には残らぬ話鳥帰る           藤井 みき
なにもせずなんにも云わず春の海       山中 正巳
立春の大学通り走り出す           門野ミキ子
元旦や柱時計の軽き音            鈴木 寿江
すこし不幸にて冬菫またぎけり        遠山 陽子
絵馬掛くる人にもれなく春の風        吉村春風子
初神楽笛仕る赤い頬             小山 健介
コスモスや風になる前空気でいよう      大場 佳子
生きるため書くこと覚ゆ冬薔薇        高橋 宗史 (高ははしごだか)
春満月つかむ気負いの赤ん坊         紺谷 睡花
野遊びや子へのまなざしとこしへに      秋山ふみ子
多摩川に恋の囁き蓬餅            満田 光生
水仙の白い時間を抱きしめる         宮澤 雅子
甘えるな辛夷は余生を語らない        野口 佐稔
天窓に集まる光蝶生まる           穴原 達治
太陽を皆と分ち日向ぼこ           三山 喜代
その科白聞いたことある春の宵        関   梓
尊きは小鳥の卵透かし見る          根岸  操
遠ざかる駅舎の灯り春時雨          新井 国夫
どんと寒明け素振り音ゆきわたる       岩崎清太郎
都鳥舌にしびれる陀羅尼助          吉澤 利枝
シャンソンは失恋のいろ消える春       三池  泉
ほんとうは涙脆くてポインセチア       清水万ゆ子
春一番心の曇り吹き飛ばす          川田 忠雄
胸元に柚子を並べて湯に漬かる        廣瀬 孝子
鳥になる沙羅の構へや冬青空         夏目 重美
牡丹の芽さりげなくゆく一本道        石橋いろり
水仙の打ち合うことも祈ること        高野 公一 (高ははしごだか)
山笑ひ出したる音や高尾山          宇賀いせを
寒満月さわれば金がこぼれそう        飛永百合子
青春のちんぷんかんの資本論         浮海 早苗
三百年椿が守る伊豆の島           玉木 康博
初日待つ藍一閃へ遠目癖           水野二三夫
極真空手寒月に向き構え           松元 峯子
黄万両記憶になった弟の           川島 一夫
春近し五郎太石など裏返す          渡部 洋一
初春や釦ひとつが取れており         望月 哲土
寒椿ぽとり夢落つ嘆き落つ          宮川としを
振り向けば姿見せない雪おんな        沢田 改司
待合室の白一鉢の菫             田村  實
凛として下田の寺の返り花          田村 清子
限りない苦楽の歴史初鏡           根岸 敏三
紅白の梅にうすき日香を競ふ         近田 吉幸
針供養働き詰めの針けなげ          佐藤八重子
若菜摘み雨の霏(うす)ける六日かな     奥野 亜美
天照大神持つ神獣鏡に初日の出        清水 弘一
雪女郎せめて一度は語りたし         古川 和美
いつの間にか人語に近付く春の鳥       岸本 陽子
立春はかすかな音ものがさない        前田 光枝
ささくれ立つ気分を鎮め梅の咲く       橋爪 鶴麿
なんじゃもんじゃの芽吹き健やかなる石だん  金谷サダ子
カーテンを開けて雪見る飽きている      新井 温子
曾祖父母時代恃みの田搔牛          折原あきの
旅に覚めて朝戸はよべの雪の別れ       淵田 芥門
地下深き鍛冶屋万蔵牡蠣啜る         前田  弘
備忘録くすんでいたり二月尽         山崎せつ子
縄張りの一つ一つに猫生まる         国枝金之助
異常気象梅と桜の乱れ咲き          玉井 吉秋

<特別選者の特選句>
高橋 宗史 特選 (高ははしごだか)
ふつくらと土偶の胸や春ともし        山口 楓子
 尾崎 竹詩 特選
八十路くる戦争を知る雛の瞳         堀部 節子
 山中 正己 特選
犀のかたちに閏二月の去りにけり       玉木  祐
 沢田 改司 特選
戸籍簿の名を消しにゆく春の霜        越前 春生
 橋爪 鶴麿 特選
笹鳴や少年はひたすらに蹴る         戸川  晟
 田村  實 特選
ガレージの隅が本籍猫生まる         市川 春蘭
 岩崎清太郎 特選
一人ならひとり枯野を行く歩幅        宮腰 秀子
 遠山 陽子 特選
犀のかたちに閏二月の去りにけり       玉木  祐
 地原 光夫 特選
野遊びや指に残った香のひとつ        水落 清子
 宮川としを 特選
もしもしとふきのたうから糸電話       岡本 久一
 岡本 久一 特選
書初の母のひと文字海となる         佐々木克子
 前田  弘 特選
誰も寝ていない蒲団も干しにけり       永井  潮
 金谷サダ子 特選
梅咲いて胸中を川流れけり          江中 真弓
 三浦 土火 特選
明の春煤百年の自在鉤            稲吉  豊
 江中 真弓 特選
犀のかたちに閏二月の去りにけり       玉木  祐
 柏田 浪雅 特選
一人ならひとり枯野を行く歩幅        宮腰 秀子
 永井  潮 特選
笹鳴や少年はひたすらに蹴る         戸川  晟
 吉村春風子 特選
ガレージの隅が本籍猫生まる         市川 春蘭
 根岸 敏三 特選
武者震いする畑打の耕耘機          長野 保代
 水野二三夫 特選
初詣女は女見て過ぎる            尾崎 竹詩
 稲吉  豊 特選
江戸古地図展げ一人の春炬燵         宮井 洋子
 山崎せつ子 特選
水仙の白い時間を抱きしめる         宮澤 雅子
 小山 健介 特選
歴史には残らぬ話鳥帰る           藤井 みき
 佐々木克子 特選
ふつくらと土偶の胸や春ともし        山口 楓子
 大友 恭子 特選
一人ならひとり枯野を行く歩幅        宮腰 秀子
 根岸  操 特選
初神楽笛仕る赤い頬             小山 健介
 蓮見 徳郎 特選
元旦や柱時計の軽き音            鈴木 寿江
 戸川  晟 特選
一人ならひとり枯野を行く歩幅        宮腰 秀子 

第3回 俳句研究会
3月27日(日)立川市子ども未来センター
担当幹事 佐々木克子 根岸敏三 山崎せつ子 稲吉豊 佐藤八重子 飛永百合子 宮井洋子
参加者43名
★講話・・・江中真弓氏「恩師・加藤楸邨先生のこと」

  生きること楽しむ種を蒔きにけり   越前 春生
  春光や積み木のように家が建つ    飛永百合子
  大根を過去から引っこ抜いている   永井  潮
  淋しいから口は開けない浅蜊汁    門野ミキ子
  考への途中ほたりと椿落つ      江中 真弓             
  振り向かず校門を出る卒業子     松元 峯子
  予備校の二年生なり桜散る      片山 正巳
  輪ゴムとばして春愁をよせつけず   佐々木克子
  曲げられぬものに生き方松の芯    藤井 みき
  花の冷え乙女の袴胸高に       山口 楓子
  春キャベツ柔らかな声を出す     廣瀬 孝子
  吊されて五年の月日雛の老ゆ     櫻本 愚草
  真二つとはいかぬ煎餅春炬燵     稲吉  豊
  鞦韆の愛は遠くに金婚式       関   梓
  ブランコに老人ひとり春夕焼     白尾 幸子
  小さきは小さきままや野の菫     夏目 重美
  蛇穴を出て友引の日なりけり     清水万ゆ子 
  飛驒暮れて春雨つたふ酒林      淵田 芥門
  朧夜や若冲の軍鶏羽撃ける      近田 吉幸 
  ゆっくりで良いと手を添う涅槃西風  佐藤八重子 
  撫でるだけ連れてはゆかぬ捨て仔猫  河井 時子  
  初彼岸叔母を家まで送る役      青木 一郎
  手に余るファーストミット風光る   根岸  操
  吃音の児がふくらます紙風船     宮井 洋子
  何度目の桜あと何回のさくらかな   紺谷 睡花
  花冷えの机に廃炉計画書       柏田 浪雅
  春の風うれしうれしと物ゆれて    水落 清子
  すみれ摘むだれもそうして野に遊ぶ  蓮見 徳郎
  雨止んで辛夷は鳥の飛ぶかたち    山崎せつ子
  春愁や遠くの雲が欲しくなる     大友 恭子
  花冷や酔へぬ手酌の生一本      三浦 土火
  入居者の募集といふに燕来る     吉村春風子
  鳥帰る袋小路の国なれば       石橋いろり
  難民の黙黒々と蜃気楼        野口 佐稔
  幼児の言の葉ポツリ木瓜の花     根岸 敏三
  破れ屋にも息災の札暮の春      蓮見 順子
  逃げ水の奥へフクシマ絶えており   地原 光夫
  俳壇の偶像墜ちて春寒し       浮海 早苗
  天からの星おりて来し花ニラや    古川 和美
  をのこにもす文字まゐらせ桃の花   水野二三夫
  沈丁の惑う心をまどわせる      戸川  晟
  だるま市雑踏に見ゆる阿・吽かな   玉木 康博
  せせらぎに光る小石や春浅し     豊  宣光

第2回 俳句研究会
2月27日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 佐々木克子 吉村春風子 玉木康博 根岸操 根岸敏三 水野二三夫 関 梓
参加者48名
★ 講話・・・門野ミキ子氏「俳句のルーツ」

    子の息に父が吹きたす紙風船         吉村春風子
    春きざす村がふくらむ音がする        水落 清子
    東京の地下は幾層冴返る           秋山ふみ子
    薄氷や母見送るにははの数珠         越前 春生
    節分の鬼が余計なことを言う         永井  潮
    どら息子もどったような春疾風        佐々木克子
    犬ふぐり鉄の匂いのある河口         小山 健介
    ゴハサンデネガヒマシテハ春一番       三浦 土火
    囀りの彼方に武器庫累累と          柏田 浪雅
    長生きのおまけのようにうるう月       飛永百合子
    大寒は左の足より反乱す           宮井 洋子
    春うらら煮干が目玉むき出しに        廣瀬 孝子
    抱きあげし子の目の高さ梅ほつほつ      鍵尾 美鶴
    紅白梅仕事は一緒に暮すこと         高野 公一
    きさらぎや束ねて長き巫女の髪        稲吉  豊
    佐保姫のバランス崩す試着室         前田  弘
    重力波貫く地球犬ふぐり           近田 吉幸
    曇天のわずかにゆるみ梅の花         戸川  晟
    過疎の村春マラソンで人動く         青木 一郎
    利休忌や茶席に数ふ畳の目          浮海 早苗
    春の雷電気料金囃されて           野口 佐稔
    身の丈の暮しほろ酔猫柳           関   梓
    鳥帰る遺す言葉の見つからず         根岸  操
    春の水ゆるり流木ずらしおり         根岸 敏三
    ハモニカ横町春一番が立ち寄れり       鍵尾 閑人
    クロッカス咲いてるひとりよがりかな     門野ミキ子
    円空や火焔光背(かえんこうはい)鰤起こし  玉木 康博
    「また来週」陽炎逃げて救急車        佐藤八重子
    境界線はかり直して春浅し          藤井 みき
    ピンクより減る三月のカラーペン       関根 曳月
    空の重さ受けとめている紅梅         宮腰 秀子
    犬ふぐりいっせいに私を見つめる       松元 峯子  
    五年経て集落解散流し雛           石橋いろり
    春昼の河馬にはあるか歯周病         紺谷 睡花
    ここからは登り坂ですいぬふぐり       前田 光枝
    春光の海ちりめんの波立てり         河井 時子
    ただ一人豆撒き居りぬ終(つひ)の家     片山 正巳 
    肉体のおとろえ街に雪積もる         山崎せつ子
    ミシュランの星を増やして冬苺        大友 恭子
    水掻の黄の鮮やぐや鳥帰る          夏目 重美
    おーい雲よいわき平で麦踏めぬぞ       櫻本 愚草  
    このごろは出かけてばかりうかれ猫      白尾 幸子
    早春の貝ひいやりと掌に収む         水野二三夫 
    春一番楽器背におう女の子          西前 千恵
    いたづらなもぐらの興す春の泥        山口 楓子
    服(まつろ)はぬ神の雪嶺建国日       満田 光生
    大寒を踏み出す一歩自由自在         新井 温子
    盃を辞さぬ酌婦や雪のあはしとて       淵田 芥門

第1回 俳句研究会
1月23日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  水野二三夫 佐々木克子 稲吉豊 根岸操 玉木康博 三浦土火 大友恭子
参加者41名
★講話・・・高野公一氏「『おくのほそ道』の発句」
  
    どの子とも住まず子と酌む大旦        越前 春生
    一句得て一駅過ごす春隣           水野二三夫
    車庫入れの一部始終を寒鴉          飛永百合子
    ポストでは猿の押し合ふ年賀状        櫻本 愚草
    代筆と二文字加わる賀状かな         根岸 敏三
    青空のほかに色なし雪下し          三浦 土火
    道ならぬ恋かも知れぬ子持鱈         高野 公一
    大寒やひとりひとりに帰る家         秋山ふみ子
    初電話幸せさうな愚痴を聴く         吉村春風子 
    まどろみの木々起こしゆく初明り       佐藤八重子
    お喋りはみな着ぶくれて優先席        関   梓
    言葉代はりに淹れる珈琲冬深む        稲吉  豊
    読初めのいつか異郷をさまよえり       松元 峯子
    鏡餅と目が会い丸くなって寝る        門野ミキ子
    蠟梅や明日が少し見えて来し         根岸  操
    大寒の昨日と同じ海の黙           佐々木克子
    瞑想の腹式呼吸冬菫             近田 吉幸
    真ん中に聞き役の神宝船           藤井 みき
    凍て雪に耐えて緑葉朱の実かな        片山 正巳
    一日中眼鏡探して日脚伸ぶ          浮海 早苗 
    ドロップの缶振る音や初神鈴(おすず)    永井  潮
    雪催い通販生活積み重ね           前田  弘
    地球上の不安を集め大どんど         戸川  晟
    七十路や記憶の中に雪の味          水落 清子
    シンプルライフ春のレタス手でちぎる     大友 恭子
    若水に活を入れらる命かな          川田 忠雄
    雪に雪降りだんだん厚くなる地球       辻  升人
    行く道に邪念は捨てよ寒昴          河井 時子
    若沖の格(ごう)天井や春の雪        石橋いろり 
    智を知るや書院の屋根に啼く寒鴉(かんあ)  淵田 芥門
    手の甲にハンドクリーム雪催         前田 光枝
    冬霞気配も無(む)なり巍々(ぎぎ)の峰   玉木 康博
    雪しずり前頭葉のわらわらと         山口 楓子  
    情厚き手が雪女三姉妹            柏田 浪雅
    青鳩の潮汲む朝や波の花           夏目 重美
    かたがわに寄りて汚れる街の雪        山崎せつ子
    指五本太陽を塗りつぶして余る        久坂 夕爾
    寡婦の家にやわらかき日の柿花火       宮腰 秀子
    薺つむ下校の子らの駆ける土手        白尾 幸子
    体温上昇冬芽冬芽の散歩道          神保 裕子
    雪しんしん湯舟にあごのせ湯にひたる     廣瀬 孝子



§平成27年活動記録§
第12回 俳句研究会
12月26日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  佐々木克子 小山健介 水野二三夫 稲吉豊 三浦土火 根岸操 近田吉幸 玉木康博          
参加者42名
★講話・・・沢田改司氏「マラソンのこと」
  
    余白には余白の重さ日記果つ              越前春生
    あるだけの青空あつめ日短               高野公一
    年末の床屋はいつもクラス会              根岸敏三
    新走り熊の話がまた育つ                小山健介
    山茶花は早口でいて円満                前田光枝
    捜されて捜して駅の日短                門野ミキ子
    湯の柚子の体ひらけば寄ってくる            永井 潮
    数え日のけもの道からおばあさん            前田 弘
    鰤起し能登の山姥紅を引く               三浦土火
    白鳥のこうと啼く時海荒れる              佐々木克子
    みかんむく葱の匂ひの残る指              浮海早苗
    諍ひの世の雪吊の揺れにけり              柏田浪雅
    百万年生きた貌してかまど猫              岡本久一
    おでん酒顔を四角にして喋る              近田吉幸
    盲導犬目線が合った小春の日              水落清子
    遮断機に止められている冬の月             西前千恵
    抽斗の詫状を捨て年惜しむ               関  梓
    煤払ひ忘れ上手といふことも              吉村春風子
    風花の鼻先に舞ひ吉良贔屓(きらびいき)        西  遥
    しあわせは自分で決める温め酒             新井温子 
    散る時は人に知られず冬紅葉              戸川 晟 
    靴音のそれから闇の月ひとつ              大友恭子
    パリ協定成る大根は首を出し              稲吉 豊
    朝日射す室の八嶋の落葉焚               夏目重美
    幼児が赤子をあやす小春かな              佐藤八重子
    いちよう落葉吹き寄せているシャッター街        宮腰秀子
    何もないわたしのような冬野好き            宮井洋子
    君からの絶交状もお年玉                栖村 舞
    母唄う納屋に明るき冬陽ざし              辻 升人
    年の暮更地空家の散歩道                青木一郎
    八十路とは女の青春帰り花               沢田改司
    やきいも屋さあーんと追ひかけお面の子         水野二三夫 
    水澄みて初マラソンや神通川              清水 実 
    盛塩や敷居またいで十二月               山崎せつ子
    ことごとく自分流儀や節料理              根岸 操
    裾二寸切って大ぶり初暦                藤井みき
    暮れ早し廃炉影曳き夕日燃ゆ              櫻本愚草
    海鼠突きどさと揺れけり海女の乳房(ちち)       淵田芥門 
    帰宅して首までつかる柚子湯な             玉木康博
    娘の部屋にトルソーひとつ冬の夜            秋山ふみ子 
    最強のヒーロー(タイガーマスク)面子(めんこ)や宝船 石橋いろり
    辻ごとに興る讃美歌聖夜の灯              山口楓子


宇多喜代子全句講評in東京多摩 
平成27年10月17日  立川市子ども未来センター
 当日は、三八名の受講者が予め提出した各自の二句について宇多先生にご講評を頂いた。

宇多喜代子全句講評 会場風景

 <受講者の一句>
    万緑や光陰喰らふ鯉の口         稲吉  豊
    大小の梯子自在に松手入れ        長野 保代
    八月十五日英霊は疲れてる        紺谷 睡花
    やんわりと羽交い絞めする残暑かな    蓮見 順子
    八月の水飲みに立つ影の人        蓮見 徳郎
    棚経や脛にざらりと畳の目        吉澤 利枝
    しゃぼん玉そんなこんなを風に乗せ    藤井 みき
    思ひ出を娘に譲る紺浴衣         宇賀いせを
    下思ひは闇深きほど蛍の夜        水野二三夫
    深海の父の絶筆浮いてこい        抜山 裕子
    国憂う語りたりないあめんぼう      西前 千恵
    隠しごとひとつやふたつ冷奴       関   梓
    姉妹とは見えなくたって水蜜桃      佐々木克子
    放埒な水を束ねて下り簗         越前 春生
    沖縄忌野ざらし耳をそばだてて      岡崎たかね
    余花胎に落ち歌人となりにけり      柏田 浪雅
    月の夜にベースのエチュード蟾蜍     河  順子
    ちっぽけな自我置いてくる花野かな    徳山 優子
    水匂う六月浅く腰掛ける         山崎せつ子
    おおかたは日にち薬で心太        高坂 栄子
    皀莢の如く生きたし水菜食む       奥野 亜美
    大杉の裾に絡むや蔦紅葉         夏目 重美
    凌霄花笑って笑って涙ぐむ        宮腰 秀子
    飛魚の群れ飛ぶいまや海光る       豊  宣光
    砂日傘遠くに核の雲の形         栖村  舞
    夢の中死者と桃食ひ昼寝かな       浮貝 早苗
    こおろぎの腹あたたかく摘ままれる    高野 公一
    しんしんと夜を育ちゆく一夜茸      中條 千枝
    踊りの輪抜け風入れる身八ツ口      山本恵生子
    秋蟬のはじめと終りしづかなり      秋山ふみ子
    湯布院の千年杉の梅雨すだれ       西   遥
    銀鱗の跳ねる川面よ秋夕焼        山口 楓子
    ちちろ虫話し相手の欲しき夜       大友 恭子
    銀河冴え優しい言葉の二ツ三ツ      辻  升人
    お言葉に推敲のあと終戦忌        永井  潮
    夏過ぎて老人風鈴扇風機         戸川  晟
    愛って氷なんだ融けて無くなる      網野 月を
    人生はふとあたたかしおでん酒      吉村春風子 


 以上の総括として、俳句は十七音ではない、五七五である。「切れ」には説明を切るという働きがあり、「ひらがな表記」には意味を逃がしたり、和らげる働きがある。これらの働きをうまく使えるようになることが、俳句上達のコツである。とのコメントを頂いた。
(吉村春風子記)


第11回 俳句研究会
11月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  佐々木克子 稲吉豊 三浦土火 飛永百合子 石橋いろり 水野二三夫 近田吉幸 玉木康博        
参加者40名
★講話・・・吉村春風子氏「高校生俳句」

    凩や野に棒立ちのものばかり       越前 春生
    厄年のなくなる齢懸           大根関 梓
    空真っ青掛大根の大合唱         水落 清子
    杭二本抜いて立ち去る枯野かな      永井  潮
    重心をどこに置こうか神無月       山崎せつ子
    マニキュアを知らぬ指先ひとり鍋     清水万ゆ子
    ステーションホテルのランチ神の留守   根岸  操
    約束のひとつ気になる古暦        佐々木克子
    マフラーを欲しいキリンの啼く夜かな   紺谷 睡花
    石蕗咲けり競輪場行きバスの列      門野ミキ子
    てのひらに今朝の温みを寒卵       三浦 土火
    実むらさき仲直りしてしまいそう     前田光 枝
    黄落やいま母と手をつなぎたし      神保 裕子
    石寒し肩に息継ぐ冬の蝶         淵田 芥門
    余生なお突張る心花八手         近田 吉幸
    日向ぼこ猫に猫語を投げ返し       稲吉  豊
    靴音の合間合間に虎落笛         根岸 敏三
    物干してこころも干して小六月      秋山ふみ子
    今一瞬微笑みましたね冬桜        松元 峯子
    冬帝という偉そうな中に立つ       飛永百合子
    図書館に小津映画みて帰り花       藤井 みき
    あきらめろ冬は真顔で腕をとる      久坂 夕爾
    産声の低き子の巣立つ秋の宴       石橋いろり
    小春日やおせんべ噛んで舌噛んで     廣瀬 孝子
    小春日の熟女が笑ふ春画展        宮井 洋子
    枯野行く着替えばかりの旅鞄       吉村春風子
    ポインセチア時の継目の色零す      柏田 浪雅
    たつぷりの竹の箒や寒鴉         山口 楓子
    一統の笑みの真中に今年酒        水野二三夫
    寒いけどまだまだこの世にしがみつこ   辻  升人
    垣根越しみんなで触る朱欒の実      前田  弘
    どなたですかと夫の問ひけり雪女     浮海 早苗
    川風の祭りの音を運びけり        夏目 重美
    小春凪人は乗せない信号所        小山 健介
    錦秋や「喜怒哀楽」の「怒」は負けて   大友 恭子
    凩吹く更地豆腐屋の味          清水  実
    母の場所空席となり掘炬燵        青木 一郎
    舞鶴にダモイの記録時雨けり       櫻本 愚草
    千枚田鴇が三羽空になる         玉木 康博
    真夜中の柚湯や一人娑婆の外       関根 曳月


'27 秋の吟行会
11月15日(日) 調布市神代植物公園 参加者31名
 午前中は雨、の予報通り昨日からの雨は今朝も続いていた。午前10時の集合時間に集まったのは二十数名。いつもの半分程なので、急きょ出句を一人2句から3句に変更する。初冬とも晩秋ともとれる園内は菊花展などさまざまなイベントが催され、最盛期はやや過ぎたものの、バラ園やダリア園はにぎやかで、木々の紅葉も見事、句材には事欠かない。昼近くには青空ものぞき、遅い出足の人たちも三々五々到着して総勢31人の句会となった。 
(当日の作品)
    枯れて行くものの音聞くひと日なり     宮澤 雅子
    木の実落つ賢そうなる一つかな       飛永百合子
    樹々の声すこしくすんで時雨かな      山崎せつ子
    冬薔薇ぼくはとにかくぼくでいる      小山 健介
    返り花私のなかにある熾火(おきび)    根岸  操
    静寂の時雨が残す樹の生気         戸川  晟
    武蔵野の小径は迷路木の実降る       原口 海人
    行く水の持て余したる落葉堰        稲吉  豊
    白鳳仏もみじ明りを掌に          高野 公一 (高は梯子高)
    妻の目のごとき木の実を手のひらに     永井  潮
    雨なれば雨の詩あり紅葉して        吉村春風子
    兄二人前後に跳ねて七五三         長野 保代
    空澄みてこの木なんの木苺の木       藤井 みき
    落葉踏む音一つごと雨あがり        関根 曳月
    カリヨンは雨の紅葉の向うより       門野ミキ子
    薔薇園を統べる噴水冬に入る        西前 千恵
    枯芒水の流れと気の流れ          佐藤八重子
    陰性の大樹に寄りて石蕗の花        宇賀いせを
    走り根につまずきどんぐり拾う       広瀬 孝子
    いずこよりカリヨンの音や蔦紅葉      山口 楓子
    老人はシャッキリシャンと菊大輪      近藤 斗升
    天辺の雨垂れ落ちて冬薔薇         近田 吉幸
    地は柔し侘助も濡れそぼちけり       水野二三夫
    椋鳥や読経はじまる深大寺         関   梓
    香らないヘンリー・フォンダと言ふ冬薔薇  石橋いろり
    雨あがる雲を集めて秋の空         真幸  晶
    樹と風と吾の鼎談冬用意          柏田 浪雅
    褒め盡すままに溢れる菊の彩(いろ)    地原 光夫
    雨やんでみんな笑顔や冬帽子        松元 峯子
    虫喰ひの落葉を踏みて寺詣で        浮海 早苗
    猫じゃらし飛石少しくすぐられ       浅野 昭治 


第10回 俳句研究会
10月31日(土)立川市女性総合センター
担当幹事  戸川晟 佐々木克子 根岸操 稲吉豊 近田吉幸 玉木康博 宮井洋子 藤井みき   
参加者44名
★講話・・・小山健介氏「高 篤三 のこと」

    免許証返上します草の花        松元峯子
    御朱印を逆さに押されバッタ飛ぶ    石橋いろり
    あいつより先には死ねぬ銀杏煎る    稲吉 豊
    薄もみじそのままでいい不義理あり   前田光枝  
    霜月の水の固さをすくいけり      佐々木克子
    何事もゆっくりが好き石蕗の花     廣瀬孝子
    川幅におさまりきれぬ鰯雲       永井 潮  
    秋だなあ名も知らぬ木のひとり言    門野ミキ子
    コスモスの咲いて誰もいない午後    穴原達治
    新藁であす売る牛の磨かるる      越前春生 
    コスモスの風の続きや貨車長し     関  梓
    柿たわわ千五百年の心柱        戸川 晟
    秋寒し言いたきことを言いし後     長野保代
    水澄めり過去も未来も映さねど     中田とも子
    秋晴や私がどこかへ行っている     飛永百合子
    冬銀河降り注ぎ来るニュートリノ    夏目重美
    栗さんまきのこたっぷりでも独り    紺谷睡花
    猫用のウエットティシュ小六月     根岸 操
    ブラウンの秋冷つまる皮革店      宮腰秀子
    ぽつぽつと言葉を散らす木の実かな   秋山ふみ子
    初期化され男戻りぬ芒原        近藤斗升
    つつましく生きてそれぞれ藤袴     宮井洋子
    今年米一粒にある氏素性        関根曳月
    石榴割る生れ変った母が居た      辻 升人
    河馬は背に落葉を重ね仮眠する     前田 弘
    後の月兎追われて行ったきり      櫻本愚草
    かぼすの実故郷丸ごと預けけり     大友恭子
    失望は明日にします秋の空       水落清子  
    近道の挙句 の果てや草虱       吉村春風子
    眼帯をはずす秋空しみてくる      山崎せつ子
    凩一号連れて来たりし大男       柏田浪雅 
    三間で終る参道烏瓜          小山健介
    声かけられさらに艶やか実むらさき   川田忠雄
    片しぐれ伊賀と甲賀は山一つ      三浦土火
    晩節の胸にも灯る実千両        山口楓子
    ノーベル賞菌も素粒子重みあり     玉木康博
    晩秋の彩たずねゆく多摩堤       西前千恵
    恋歌のマライアキャリー秋の蝶     近田吉幸 
    花水木陽を一杯の真紅の実       根岸敏三
    十三夜吾子は佳きことのみ言うて    藤井みき
    七十路や独り茶を飲む野分中      片山正巳
    亡母偲ぶ話を兄と衣被         佐藤八重子 
    秋高し飛天飛び乗る偏西風       栖村 舞
    菊酒や亡きはらからに参らせむ     水野二三夫



第9回 俳句研究会
9月26日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  佐々木克子 根岸敏三 稲吉豊 大友恭子 石橋いろり 戸川晟
参加者50名
★講話・・・山崎せつ子氏「音曲でつづる江戸」 

    吾亦紅ぽつんぽつんともの忘れ        越前春生
    葬送につかずはなれず赤とんぼ        鍵尾閑人
    立ち飲みの桝の片隅秋澄めり         櫻本愚草
    触れられぬ話もありぬ温め酒         門野ミキ子
    この街のこの道が好き鰯雲          中田とも子
    月光を玄関先でふり払う           辻 升人
    青々とまたきらきらと木の実落つ       高野公一
    言うことが丸くなる爺きぬかつぎ       藤井みき
    ねこじゃらし揺れて月極駐車場        山崎せつ子
    友だちのいない友だち秋刀魚焼く       前田 弘
    秋茄子をふっくら炊いて誰も居ぬ       佐々木克子
    無人駅降りたる吾も秋桜           三浦土火
    水切りの石満月に飛び込みぬ         鍵尾美鶴
    よく匂う自転車置場の金木犀         西前千恵
    戦なき空を掴んで彼岸花           根岸 操
    晩学の膝を崩さぬ夜長の灯          紺谷睡花
    新メニュー我が家に増えて秋だから      水落 清子
    老人は時に暴れる秋の川           永井 潮
    切腹と記す家系図沢桔梗           小山 健介
    新米や古里の風・水・空気          飛永百合子
    高齢者移住提言さんま焼く          白尾幸子
    身に入むや亡母(はは)のベッドに布団無し  青木一郎
     新米やきんぴら牛蒡ぴりからに       浮海早苗
    秋の蚊の気配うかがい鍵開ける        佐藤八重子
    台風一過みんな味方に見えて来る       前田光枝
    命終の声透きとほる秋の蝉          水野二三夫
    秋茄子の好きな嫁と暮している        廣瀬孝子
    きちきちの飛んで強気の指値かな       稲吉 豊
    本塁打金木犀を一撃す            根岸敏三
    少し濃く紅茶を淹れて野分前         夏目 瑶
    身に入むや嘘と解りし話聴く         吉村春風子
    風に聴く神楽囃子や月の宿          山口楓子
    さみしさはつと香りたる金木犀        秋山ふみ子 
    十三夜山懐の汽笛かな            大友恭子
    烏瓜君との和解手繰り寄せ          柏田浪雅 
    群青の流れとなりし鰯かな          関  梓
    城址に律義に咲いて彼岸花          川田忠雄
    朝霧や嬬恋村のキャベツ畑          松元峯子
    三囲や雨なはらしそ流灯会          関根曳月
    老狐狸の烏鷺戦はす良夜哉          淵田芥門
    目的のあるかに急ぐ秋の蝶          戸川 晟
    夕焼けのしもべとなって街がある       久坂夕爾
    ボサノヴァのぽこぽこ秋の雲流る       満田光生
    コーヒーの泡絵のハート喜寿の秋       近藤斗升
    温暖化オリーブ伸びる今夏(こんか)かな   玉木康博
    柿紅葉拾ふはいつか捨てむため        郡司比々き
    明け方に雷の音渡り来る           古川和美
    秋寒やクレオパトラに毒の蛇         近田吉幸
    秋雨や憲法置き去り国走る          片山正巳
    お月見や糸切団子の母の指          石橋いろり



第8回 俳句研究会
8月22日(土)三鷹 かたらいの道 市民スペース
担当幹事  佐々木克子 吉村春風子 小山健介 根岸操 山崎せつ子 稲吉豊 蓮見徳郎 近田吉幸         
参加者41名
★講話・・・水野二三夫氏「荷風散人の俳句」   
    病名は聞かずメロンを置いてくる      越前 春生
    列島の背骨の歪む夏の果          関   梓
    立葵さびしい時は海を向く         蓮見 徳郎
    背負投げしたき暑さを背負ひけり      種市 与作   
    簡単に席を譲られ敗戦日          前田  弘
    八月や語部の身の細りたる         近藤 斗升
    恋ならぬ別れも淋し蟬時雨         白尾 幸子
    御馳走は玉子八月十五日          紺谷 睡花
    墜ちて知る他人事の基地百日紅       櫻本 愚草
    高層の窓ことごとく鰯雲          山口 楓子
    本題は秋の扇を閉じてより         水落 清子 
    火花散る僕と先輩水馬           近田 吉幸        
    庭下駄に母の温もり夜の秋         吉村春風子
    秋の蚊を打って話の続きせる        江中 真弓
    踊りの輪いるはずのない母探す       辻  升人 
    吹き抜ける風も百年甲子園         飛永百合子 
    長生きをほめあっている盆供養       佐々木克子   
    黄昏をとどめて真白さるすべり       田山 光起
    弟が兄の背を越した八月          佐藤八重子
    乳出ぬを嬰も母も泣く夾竹桃        柏田 浪雅 
    迫りくるはがねの穂高星月夜        稲吉  豊    
    精霊流し振りかえり又振りかえる      石橋いろり
    閃光のごとく晩年鳳仙花          藤原はる美
    ペディキュアに崩れてとどく土用波     永井  潮
    長き夜や祖母とラジオのたづね人      浮海 早苗
    畏まる住職の顔真桑瓜           片山 正巳
    バス降りて指を絡める夜の秋        根岸  操
    束ねても色なき花よ吾亦紅         秋山ふみ子
    お言葉の深い反省敗戦忌          宮井 洋子 
    老眼に痛き海光秋立ちぬ          小山 健介
    秋立つやホットケーキに溢る蜜       高坂 栄子         
    秋の夜や宇宙に暮らす人いかに       藤井 みき
    新涼や合わせ鏡に母の肩          西前 千恵 
    ほんのりと風の匂える朝の秋        戸川  晟
    野萱草老母(はは)が見つめる父の墓    青木 一郎
    朝顔や都心にいくつ廃校舎         水野二三夫     
    姥捨てに似たるホームや身に入みぬ     長野 保代
    大暑には大振りの碗孤酒辞せず       清水 弘一
    虫すだく明日が永遠に来なくとも      中田とも子
    街に出てただ暑き日を受け入れる      山崎せつ子
    夕蟬やあたら人生せかされて        淵田 芥門



第33回東京多摩地区現代俳句協会俳句大会
7月26日(日)  武蔵野スイングホール    
参加者 198名 出句数 1122句 当日出席者 101名

宮坂会長の講話



来賓各氏



会場風景(会歌斉唱)



懇親会


〈来賓〉
吉田  功 神奈川県現代俳句協会会長
松井 国央 東京都区現代俳句協会副会長
松澤 龍一 千葉県現代俳句協会幹事「現代俳句千葉」編集長

〈講演〉
宮坂 静生 先生  『これからの俳句―「諷詠」「造型」の共有する土壌』

〈大会選者の特選作品〉
宮坂 静生 選
  憲法記念日登檣礼の日本丸           原  あや
吉田  功 選
  かたわらにどくだみ午後が眠くなる       山崎せつ子
松井 国央 選
  憲法記念日伸びきっている亀の首        金谷サダ子
松澤 龍一 選
  髪を指し「どうして白いの」魔女だから     玉木  祐
沢田 改司 選
  見付けてはすぐ見せに来る潮干狩        本杉 康寿
橋爪 鶴麿 選
  初ざくら坂が上がって来いという        藤井 みき
安西  篤 選
  八月の象両膝を折りて座す           唐澤南海子
岩崎清太郎 選
  憲法のようなほたるを見にゆかん        有坂 花野
江中 真弓 選
  アマリリス青春よりも長く老年         西前 千恵
岡本 久一 選
  一時間妻と向き合ふ貸ボート          住  落米
金谷サダ子 選
  曲線にすっかり飽きて寒卵           前田  弘
田村  實 選
  空想の昇っていって春の雲           蓮見 徳郎
地原 光夫 選
  母の日の母を洗いて畳みけり          永井  潮
遠山 陽子 選
  白地図を一駅歩く遅日かな           前田  弘
冬木  喬 選
  夜盗過ぐごとく一村枯れにけり         柏田 浪雅
前田  弘 選
  煮凝りや二人にそれぞれの山河         門野ミキ子
三池  泉 選
  にっぽんの虫歯のような原子力         山本 敏倖
三浦 土火 選
  八月の海群青の色深む             市川日出男
宮川としを 選
  身の中に水ゆき渡る緑の夜           斎藤 絹子
柏田 浪雅 選
  海原のひかり一枚被て裸            早川恵美子
永井  潮 選
  憲法のようなほたるを見にゆかん        有坂 花野
根岸 敏三 選
  園児らを春野へ放つホイッスル         永井  潮
吉村春風子 選
  断捨離のI can do it更衣           近田 吉幸
山崎せつ子 選
  切株に霧の湿りの帽子置く           冬木  喬
小山 健介 選
  人間だからちゃんとしくじる蜆汁        前田  弘
佐々木克子 選
  切株に霧の湿りの帽子置く           冬木  喬
大友 恭子 選
  一生の一こまにあるラムネ玉          根岸  操
根岸  操 選
  存分に今日を使いぬ竹の秋           清水万ゆ子
蓮見 徳郎 選
  菖蒲湯や天地無用の赤ん坊           冬木  喬
戸川  晟 選
  花火果つ他人に戻る万の息           稲吉  豊
水野二三夫 選
  憲法記念日登檣礼の日本丸           原  あや
稲吉  豊 選
  鍵束は孤独の重さ昼ちちろ           城内 明子



〈大会賞作品〉

  鍵束は孤独の重さ昼ちちろ    城内 明子


〈入賞作品〉
一時間妻と向き合ふ貸ボート           住  落米 
なにするでなくて素足の楽しかり         越前 春生
遠花火どこにも行かぬ母といる          冬木  喬
母の日の母を洗いて畳みけり           永井  潮
地震あるも戦なき国麦を踏む           大西 昭舟
憲法記念日伸び切っている亀の首         金谷サダ子
羽衣をいくつも吊し更衣             斉藤すみれ
美しき嘘の膨らむ蛍の夜             藤原はる美
枕木のタールが匂ふ草田男忌           稲吉  豊
桐咲くや写真撮らるるたび老ゆる         折原あきの
鳥曇り背もたれのない椅子ばかり         門野ミキ子
蟻一匹庭を動かしゐたりけり           池井  健
玫瑰の沖へ宛名のない手紙            前田  弘
瑠璃蜥蜴少年の日の一欠片(ひとかけら)     木下 蘇陽
赤ちゃんが真ん中にいて麦の秋          根岸  操
春光を掻き混ぜている象の鼻           宮腰 秀子
見付けてはすぐ見せに来る潮干狩         本杉 康寿
表札に家族の名残り燕来る            一ノ瀬順子
八月の象両膝を折りて座す            唐澤南海子
この人に決めてよかった麦を踏む         北川 寛山
浴衣ほどく亡母の縫い目の美しき         松元 峯子
歌麿のおんなこつんと咳ひとつ          新井 温子
花三分施設にもどる夫の靴            水落 清子
戦争にさからふ方へ蟻の道            藤原 公子
衝突をしたことがないかたつむり         國分 三徳
木遣歌まっすぐ届く風五月            吉崎 幸恵
一匹のおまけ金魚とわが余生           河井 時子
虫鳴いて何処の虫の葬ならん           高野 公一   
まんさくの花ばあさんは女子会に         高木 暢夫  

(高点順ですが、30位までに複数入賞句がある場合は、お一人1賞とさせていただきました。)


第7回 俳句研究会
7月18日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 佐々木克子・水野二三夫・近田吉幸・玉木康博・山崎せつ子・稲吉豊・藤井みき
参加者28名
★講話・・・大友恭子氏「立川市詩歌のみち文学碑めぐり」

    自転車の荷台を掴む兜虫         根岸 敏三 
    四万六千日まつさらな下駄はいて     越前 春生 
    経文の句読点なき蟻の列         関   梓
    向日葵やみんな打ちあけ良い気持     水落 清子 
    あめんぼう水をへこませ雲に乗る     山崎せつ子 
    横断歩道白だけ踏んで子は夏に      久坂 夕爾
    駅前に歯科医四軒油照り         稲吉 豊
    森閑として紫陽花の花浄土        齋藤 絹子
    空白の日記を埋める蝉時雨        大友 恭子
    逃げる子も的になる子も水鉄砲      根岸 操
    眉引くや浴衣の襟の糊強(こは)し    淵田 芥門
    美(は)しき水怖ろしき水広島忌     柏田 浪雅
    前九年後三年の役舞ふ螢         水野二三夫
    ぼうふらにフマキラかけて母は去る    浮海 早苗 
    風評にぜんまいほどけ飛散せり      櫻本 愚草
    降って湧く話たとえば梅雨きのこ     藤井 みき
    良く遊びよく働いて玉の汗        佐々木克子
    夕餉終え湯舟に差し込む夏至の陰     玉木 康博
    待ちわびて晴天三日梅を干す       西前 千恵 
    沙羅の花散ってふるさと遠くする     松元 峯子
    寝そべりてネジバナを撮る雲おどる    清水 実
    台風来いつまでいるの暴れ馬       佐藤八重子
    施餓鬼会や塔婆の増えし去年今年     片山 正巳
    夾竹桃ちちははもいた明けの夢      白尾 幸子
    梅雨の夜の膕(ひかがみ)しばし遊ばせる 宮井 洋子  
    王子の薔薇ウフフと笑う小惑星      近田 吉幸 
    門口の黒竹しなふ梅雨しとど       山口 楓子


第6回 俳句研究会
6月27日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  佐々木克子・根岸操・玉木康博・小山健介・稲吉豊 
参加者37名
★講話・・・根岸敏三氏「三鷹めぐり」

    父の日のぽつりと夫の本音かな      西前 千恵       
    山法師ひとりひとりは平和主義      石橋いろり 
    裸の子抱きてはがねの弾みあり      越前 春生 
    六月やインクの匂う新刊書        根岸 操 
    原爆忌安全ピンがはずれそう       鍵尾 閑人
    悪筆は君の勢ひ白絣           柏田 浪雅  
    山彦の湿って届く塩むすび        水落 清子   
    新人類いまは熟年ソーダ水        新井 温子
    どくだみの主役顔して留守の家      松元 峯子
    推敲に授かる一語雲の峰         長野 保代 
    水匂う六月浅く腰掛ける         山崎せつ子 
    辿るとは寂しい容姿(かたち)蝸牛    地原 光夫
    足軽が家系にひとり曝書かな       藤井 みき
    幼な子の餌(え)をやりすぎの金魚かな  浮海 早苗 
    遠花火一日だけの嘘をつく        大友 恭子
    喝采のやうな木洩れ日踊子草       稲吉 豊  
    帰省子に母のあとより父の声       秋山ふみ子 
    筍をいつより竹と呼ぶべしや       永井 潮
    父の日に贈られたりし天眼鏡       根岸 敏三
    夏灯隣は昨日越して来た         鍵尾 美鶴 
    だまし絵がなかなかとけない氷菓子    佐藤八重子 
    切りてなお七回忌に咲く父の薔薇     清水 実 
    雷(いかずち)や雨や風やら何や彼や   吉村春風子
    走りても追うてくる月花野道       齋藤 絹子
    夏痩せもせで遺伝子を恨みけり      山口 楓子
    戦あるな凌霄の花日が叩く        小山 健介
    人は人己を信じ蝸牛           川田 忠雄
    紫陽花や無縁塚にも碗一つ        片山 正巳
    真夜中のソーメン百ワットで喰う     久坂 夕爾 
    中年の野太き声や麦の秋         佐々木克子
    誰を待つ山あじさいの薄化粧       白尾 幸子 
    つばくらめ南洋の風を運んでる      玉木 康博
    梅雨寒や老母(はは)は手をすり足をする  青木 一郎  
    書を倦(う)みて青葉若葉の和みけり   近田 吉幸
    紫陽花の色鮮やかに露光る        古川 和美 
    いとど濃き大気に泳ぐ梅雨の蝶      水野二三夫 
    五月雨をむかし大家の鬼瓦        淵田 芥門
 


平成27年 春の吟行会
5月23日(土)  青梅市 御岳渓谷  参加者38名
 木々の緑の濃淡が目に沁みとおる美しさである。JR青梅線は青梅駅を過ぎると単線になるが、多摩川の渓谷を眼下に力強く高度を上げてゆく。終点の少し手前の沢井駅前が集合場所。参加者の38人はそれぞれの方角へ。新緑と薫風を満喫し、どこへ行っても句は出来そうだったが、手短な酒造会社の見学コースと川沿いの道を登った櫛かんざし美術館へ足を延ばした人が多かった。酒蔵組は試飲の後は会社直営のレストランで昼食。景色も空気も酒も食事も最高のひと時だった。

(当日の作品)
三人でときどき一人風薫る          宮腰 秀子
酒蔵を出でて五月の風に酔う         冬木  喬
かんざしのふと揺れうごく黒揚羽       根岸  操
仕込水少し甘くて緑さす           清水万ゆ子
谷若葉米はしづかに佳き酒に         下田 峰雄
耳で追い目も追い渓のほととぎす       長野 保代
全身にみどりのシャワー風旨し        佐々木克子
梅太る里に酒蔵山に神            近藤 斗升
利き猪口の蛇の目を揺らす夏はじめ      稲吉  豊
桑の実を含み齢を燻らしむ          三浦 土火
木苺を含んでみんな少女顔          飛永百合子
酒蔵の軒の暗さや燕飛ぶ           蓮見 徳郎
杉玉の風になりきり夏燕           関   梓
万緑や無心になれるまで歩く         中村ゆき子
緑陰を透きくる風や水谺           吉村春風子
みどりから探す八十路の一行詩        沢田 改司
山滴り御岳旅情を口ずさむ          藤井 みき
かんざしを挿してくちなは寄せ付けず     島  彩可
青き風来て簪にひかり置く          柏田 浪雅
酒蔵の酒の呼吸や風五月           藤原はる美
酒匂う蔵を出ずれば夏つばめ         山崎せつ子
蛇苺女の胸へ飛び火して           永井  潮
御嶽山機嫌よろしき薄暑かな         宮井 洋子
蔵元や死に場所決まる冷し酒         蓮見 順子
新緑の影を写して川瀬の音          浮海 早苗
二の腕を緑の風にそよがせる         高野 公一 (高ははしご高)
霊験はともかくとして風薫る         中田とも子
ほろ酔いで登る坂道青葉風          山戸 則江
青竹のにぎわいみせる空(から)の家     清水  実
せせらぎの実況中や風薫る          上野 英一
結葉の蔭あそばせて白秋碑          一ノ瀬順子
青葉風おなかいっぱいポッケにも       川田 忠雄
涼風に鐘の音かろし寒山寺          水野二三夫
清流の岩に弾けて山法師           近田 吉幸
元禄のべっ甲かんざし著莪の花        松元 峯子
万緑に黙考深き女人かな           高木 勝代 (高ははしご高)
多摩川に影を落して谷若葉          城戸 知子
簪や黄金の桜花咲きにけり          佐藤八重子


第5回 俳句研究会
5月30日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事  佐々木克子 根岸操 玉木康博 稲吉豊 浮海早苗 蓮見徳郎 大友恭子
参加者43名
★講話・・・飛永百合子氏「読書と私」

    独り言みな泡となる金魚かな        越前 春生
    初夏の地球を回す逆上がり         大友 恭子
    プチトマト音符のように転がって      松元 峯子
    十薬の男世帯にはびこりぬ         佐々木克子
    あわてない友だちばかり豆ご飯       前田 弘
    不揃の一族揃う豆の飯           水落 清子
    夏川を渡る少女の膝小僧          蓮見 徳郎
    金賞は強面の人さつき展          根岸 操
    無人駅佇てば万緑すべてなり        関  梓
    奥多摩やいい名をもらい山法師       飛永百合子
    桐の花守ってあげたいものばかり      前田 光枝
    老ゆるにも力の要りて蛇苺         清水万ゆ子
    あじさいのはじめはみどり水匂う      山崎せつ子
    蕗ゆでて故郷となるニュータウン      鍵尾 美鶴
    木洩れ日をもてなしとする聖五月      山口 楓子
    身の丈を持て余す蛇雨上がる        小山 健介
    リラの花通りすぎてもまた会える      白尾 幸子
    花合歓のやうな睫毛のキリン立つ      齋藤 絹子
    緑陰のベンチに九九を諳んじる       河井 時子
    薔薇の雨しづかに母の忌を修す       紺谷 睡花
    剪り取るは枝葉それとも五月空       柏田 浪雅
    一人去り二人去りしや夏の雨        根岸 敏三
    緑陰にオゾンたっぷり眠くなる       浮海 早苗
    教科書が歴史を変えた青嵐         鍵尾 閑人
    衣更へて空一枚を明るくす         秋山ふみ子
    耕して地球を少し押し潰す         永井 潮
    その他は何もなけれど螢です        大場 佳子
    母遠くいつもの道に夏薊          石橋いろり
    いつもの事素顔を隠すサングラス      宮腰 秀子
    花の名を忘れてしまひ不如帰        三浦 土火
    短夜の緊急地震速報音           門野ミキ子
    春は逝く筒に鉛筆立てしまま        稲吉 豊
    恋の句は青嵐の夜のつくりごと       淵田 芥門
    訪ひて辞す現世の名残り心太        坪井 祭星
    初蛍億年前の光る星            近田 吉幸
    アルプスに稲穂揺らぐや早慶戦       片山 正巳
    負け将棋上半身の裸なり          佐藤八重子
    手に汗の男女混合の騎馬合戦        西前 千恵
    夏の朝バス停にもうバスは来ない      櫻本 愚草
    麦秋の果筑波嶺を望みけり         水野二三夫
    出番までまだ間のありし祭足袋       上野 英一
    薔薇散るやきっぱり蘂も萼も捨て      夏目 瑶
    吹上やニリンソウ咲くミカド道       玉木 康博


第4回 俳句研究会
4月25日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 佐々木克子 根岸敏三 山崎せつ子 水野二三夫 夏目瑶 藤井みき 大友恭子
参加者49名
★講話・・・浮海早苗氏「晩学の俳句事始め」
     
    菜の花や花粉まみれの陽が沈む       大友 恭子  
    しやぼん玉吹いて少年不登校        藤原はる美   
    囀りの只中にゐて水うまし         越前 春生  
    天皇の静かな祈り春の海          関  梓   
    捨印の朱肉の滲む遅日かな         前田 弘   
    下校児の声はジグザグ囀れる        長野 保代   
    メーデーや風船ひとつ漂流す        蓮見 徳郎  
    土塀際こんなところに春が居る       戸川 晟    
    すみれ草過去にいくつもついた嘘      水落 清子   
    花水木猿も写った自撮棒          飛永百合子   
    夏きざすパラオは赤く古地図に       石橋いろり       
    宿下駄のくるぶしが知る春の風       稲吉 豊   
    春キャベツゆるゆる後期高齢者       佐々木克子  
    いい人が見つかって山笑いだす       永井 潮    
    老いといふ未知の行く手の朧かな      夏目 瑶   
    裏山の空気を揺らす花辛夷         宮腰 秀子 
    腹這へば土筆の高さ廃炉建つ        櫻本 愚草  
    たおやかな女どきなり紫木蓮        河井 時子    
    シャンソンの一音外す朧月         柏田 浪雅  
    初恋は少し塩味さくら餅          宮本 峰子 
    遅ざくら甘やかされし土踏まず       清水万ゆ子    
    新樹の夜闇も仄かに色づける        吉村春風子  
    雲雀告ぐ帰還命令高きより         坪井 祭星   
    眠剤の転がり春の闇に消ゆ         新井 温子  
    散る花や命託せり葉桜に          片山 正巳  
    濡れてもいい波打ちぎわの立夏かな     根岸 操   
    椿祭りあんこ婆(ばば)さの踊りかな    白尾 幸子  
    入園児俺と言ひだしおどろかす       浮海 早苗  
    地の中に暦あるらし木々芽吹く       門野ミキ子  
    五月近し天を見上げる池の鯉        川田 忠雄 
    漆黒の幹より出ずる宵桜          玉木 康博 
    二胡を聴く庭の静けさ花水木        宮井 洋子   
    持てぬほど買ふフクシマの春野菜      紺谷 睡花   
    手に母のぬくもりありぬ紫木蓮       水野二三夫    
    草餅や昔時を語る人は没し         淵田 芥門   
    五色豆そへて新茶の届きけり        三浦 土火  
    夏豆や笊山盛りの香を貰い         吉田雄飛子    
    新緑に迷っていたり街の昼         山崎せつ子  
    再稼動差し止め春キャベツ刻む       松元 峯子  
    花は葉に十年日記半ばまで         冬木 喬   
    正直が嘘ついている豆の花         穴原 達治    
    言い分けはすまじきものと蟇        山口 楓子  
    初鰹日本男子になりたくて         清水 弘一    
    園庭の声遠くなる八重桜          前田 光枝     
    千年の夢に種蒔く暮の春          近田 吉幸   
    紫木蓮デカダンという美のありて      藤井 みき          
    童謡に強弱つける夏の波          根岸 敏三  
    1℃減花種蒔くぞ屋根の上          清水 実  
    さざ波の笑み皺の上囀れる         斉藤 絹子 
      

第3回 俳句研究会
3月29日(日)立川市子ども未来センター
担当幹事  佐々木克子 水野二三夫 戸川晟 稲吉豊 玉木康博 飛永百合子 宮井洋子
参加者43名
★講話・・・根岸 操氏「ジュニア俳句を楽しもう」三鷹俳句会

    あとがきをはじめに読んで春炬燵      稲吉 豊   
    街じゅうが振り向いてゆく初桜       前田 光枝  
    秘密保護法ぺんぺん草に伝えねば      飛永百合子  
    売れ残る仔猫無心の大欠伸         紺谷 睡花   
    陽炎の中心に置くすべり台         前田 弘  
    とりあえずここは笑って木の芽和え     門野ミキ子  
    葱坊主余生まだまだ力瘤          粕谷 武司    
    三月の記憶持ち去る古紙回収        櫻本 愚草  
    手つかずのスケッチブック青き踏む     大友 恭子  
    新学期赤ランドセルに脚が生え       片山 正巳 
    初蝶やうぐうぐ語る赤ん坊         越前 春生 
    枝垂梅今朝の地蔵はよく笑ふ        宮井 洋子   
    ほっとする妻の鼻歌蜆汁          古矢 敏光  
    囀りを手話で伝える児が母に        河井 時子  
    陽炎や動き始めた活断層          鍵尾 閑人  
    廃校の連翹の黄に鎮もれり         鍵尾 美鶴  
    捨畑やものの芽うごく気配して       夏目 瑶  
    笑いすぎた山から水のあふれだす      佐々木克子 
    春の夜や花束香るエレベーター       秋山ふみ子 
    山ガイド急に黙する初音かな        石橋いろり  
    回遊へ旅立つ稚魚や風光る         坪井 祭星 
    泥付きの大根が来る日曜日         永井 潮  
    沈丁の赤い芽きのう𠮟られて        山崎せつ子  
    ぬすみ見る君の横顔卒業歌         上田 公子  
    天地の重みを乗せて麦を踏む        柏田 浪雅  
    懐妊の知らせ受けたり朝桜         根岸 操   
    坪単価など山笑ひ野は豊か         宇賀いせを  
    果てるとはかくなることか紅椿       戸川 晟   
    うぐひすの啼けば遊行の歩を止めて     三浦 土火  
    死に近き母を抱きしむ余寒かな       浮海 早苗  
    黒猫と並んで掛ける春三日月        山口 楓子  
    袋詰め原発のゴミ三月尽          松元 峯子  
    王さんと朋友(ぽんゆう)になる花御堂   関  梓   
    登山道花片栗のおもてなし         根岸 敏三  
    人だれも長距離ランナー春一番       西前 千恵  
    春の夢見果てず覚むる朝ばかり       淵田 芥門  
    サハリンの荒野に鳥居木の芽時       白尾 幸子  
    色ならば鶯色か後の恋           水落 清子 
    白蕾(はくらい)を飾りて空向く大辛夷   玉木 康博   
    風光る木々のあわひの陽のゆらぎ      近田 吉幸  
    木蓮の齢知らねど大樹なり         藤井 みき  
    風まかせ水面をすべる浮寝鳥        宮腰 秀子  
    うりざねのお顔つめたき享保雛       水野二三夫 


◇平成27年度定時総会&陽春俳句会
 平成27年度定時総会と陽春俳句会が、3月22日武蔵野スイングホールで開催された。
 出席者は66名。来賓に秋尾 敏・千葉県協副会長、西野洋司・神奈川県協副会長、佐怒賀正美・東京都区協副会長のご臨席を頂いた。
 戸川 晟幹事の司会による開会に先立ち、前月急逝された元幹事の筒井譲氏に対し黙祷をささげた。恒例の会歌斉唱につづき、永井 潮幹事長の開会宣言、柏田浪雅会長の挨拶の後、永井幹事長より新入会員の紹介があり、26年度中に新たに入会された33名の内、当日出席された野口佐稔さん、関 梓さん、秋山ふみ子さんがそれぞれ挨拶と抱負を述べられた。
 来賓各氏よりご挨拶を頂いた後、議長に夏目重美氏、副議長に藤井みき氏を選出して以下の議事に入った。
第1号議案 平成26年度事業報告(吉村春風子部長)
第2号議案 平成26年度決算報告(水野二三夫部長)同会計監査報告(三浦土火監査役)
第3号議案 平成27年度事業計画案(吉村春風子部長)
第4号議案 平成27年度収支予算案(水野二三夫部長)
第5号議案 役員改選の件(永井 潮幹事長)(別項の通り)      
第6号議案 規約一部改正の件(永井 潮幹事長)  ※( )内は報告、提案者
の諸議案につき詳細な説明があった後、質疑採決の結果、拍手多数でこれらを承認、可決して議事を終了した。
 今期をもって長年にわたり幹事をつとめられた方5名が退任された。宮腰秀子さん、表 ひろさんの挨拶があり、浮海早苗幹事から慰労の花束が贈呈された。
 陽春句会に先だち、平成26年度現代俳句協会賞を受賞された安西 篤氏へ柏田会長より祝辞が述べられ、安西氏のご挨拶と受賞作品『秋の道(タオ)』についてのお話をいただいた。
 引き続き「陽春俳句会」が開催され、披講と採点が行われた。今年は88人の参加があり、特別選者24人による7句選(内特選1句)を佐々木克子さん、飛永百合子さん、石橋いろりさんが披講した。
 その結果、最高点は3名が同点となったが、出句順位の早い越前春生さんの作品が第一位となり、以下高点句15位までが入賞となった。特別選者からの特選賞も手渡され、来賓の皆さん、顧問、参与、会長からそれぞれ特選に選んだ句を中心に懇切な講評をいただいて俳句会を終了した。
 地区協からの報告を根岸事務局長、吉村事業部長、稲吉広報部長が行った後、玉木康博幹事の閉会の辞ですべての行事を終了。
 小憩の後、会場設営を終えた同ホールのレインボーサロンで近田吉幸幹事の司会により懇親会が開かれた。佐怒賀正美・東京都区協副会長の発声により乾杯。各テーブルとも歓談尽きることなく春宵の一刻を満喫し、次回での再会を約して散会した。

長年役員を務めた2名の会員への労をねぎらう花束贈呈、左から宮腰秀子さん、表ひろさん


俳句大会一席の越前春生氏

 <陽春俳句会作品>
よく笑ふ人来てよき日桃の花         越前 春生
吸飲みは小鳥のかたち冬銀河         堀部 節子
ところどころに木管楽器春の山        前田  弘
北国の訛うれしき木の芽和へ         北川 寛山
迷い込む露地の沈丁昭和の香         長野 保代
ふれる足蹴飛ばす足もなき炬燵        吉澤 利枝
きさらぎの木の伐り口のひとりごと      山崎せつ子
合掌をとき三月の鳩たたす          高野 公一(高ははしご高)
ふらここや地球を丸くしておりぬ       前田 光枝
白粥に日の出をおとす寒卵          三山 喜代
戦死せし父の倍生きごまめ噛む        浮海 早苗
子も登る星の斜面や蜜柑山          佐怒賀正美
老妻の思い出さがし春炬燵          筒井  譲
かさかさの町たんぽぽが咲きに来た      宇賀いせを
囀りのさえずりを呼ぶ大樹かな        根岸  操
  (以上入選)
風光る地球漕ぐごとペダル踏む        水落 清子
雪柳ふたりで掛ける椅子なくて        野口 佐稔
ポケットの中に寒いと書いている       新井 温子
未来より長き来し方節分会          折原あきの
笠地蔵現れさうな牡丹雪           秋山ふみ子
俳諧の裏に表に春の雪            佐々木克子
背の違う苗木育つや春の雨          石橋いろり
錠剤の数たしかめる目借時          一ノ瀬順子
雪ぼたる漂うている文学部          清水万ゆ子
よく笑う嫁の来たれば山笑う         蓮見 徳郎(徳は旧字体。心の上に一)
油揚から酢飯はみ出す春の山         遠山 陽子
かまくらの灯が揺れ闇の動きけり       笹木  弘
良き夢を見れば湯たんぽほっとする      大場 佳子
柔らかな言葉ゆき交う梅の中         地原 光夫
鉄棒に少年ふらここに少女          木下 蘇陽
裏も見せ鏡の前の秋ざくら          宮腰 秀子
陸奥の星見上げては海鼠鳴く         柏田 浪雅
鳥帰るパン生地ゆるり目を覚ます       関   梓   
暮れはやし意味なく猫の顔を描く       橋爪 鶴麿
仲見世に人形焼の初笑い           飛永百合子
鬼やらひ妻のこゑ聞く門の外         三浦 土火
風紋の自在にありて二月尽          山口 楓子
自転車の風をつかんで春浅し         西   遥
春眠のとろりとろりと明けて来し       釣田いつ子
ほんのりとかけこみ寺の冬桜         田村 清子
戦いつ止む雪の降りゐる磨崖仏        江中 真弓
野水仙波打際を生きている          宮澤 雅子
しばらくは生きてゐるふり落椿        岡本 久一
啓蟄やどこかで誰かが待っている       戸川  晟
雛菓子のこの世のいろを遠ざかる       表  ひろ
出迎えの陣太鼓鳴る恵方かな         藤井 みき
曼珠沙華百万本の風ぐるま          清水 弘一
冬桜ほほゑみあうて生きてゐる        足立喜美子
輪樏玉の獣糞まだ温し            稲吉  豊
団子虫一回転し年迎う            根岸 敏三
冬花火境界線のなき記憶           大友 恭子
誰彼となく声かける梅日和          岸本 陽子
朱衣の人嬰児遺して寒椿           宮井 洋子
降る雪や縄文土器の罅(ひび)模様      近田 吉幸
蠅生る電気がなくなった日の地球       秋尾  敏
黄梅に迎へらるるや京座敷          柴 れいこ
和菓子屋に春の彩りありにけり        小渡  稔
恋猫の弾丸走り月まんまる          西野 洋司
歯車の動きよろしく寒明ける         穴原 達治
蒼天へクレーン雪の像となる         上田 公子
鉄幹の瘤の威厳や梅一輪           佐藤八重子
小春日やこないだ聞いた話聞く        鈴木 寿江
嫁ぎ来し多摩の横山初しぐれ         斉田  仁
素のわれに戻らんかなや大旦         水野二三夫
春浅しバス待つ早朝風通る          玉木 康博
第一発見者はわたし蕗の薹          住  落米
平和などかたる晴れ着の女正月        有坂 花野
掌を叩いて開く迎春花            渡部 洋一
長き夜記憶のパンドラ開きけり        守永 恒一
初句会老いへビタミンカルシウム       永井  潮
軍歌消え流行歌がはやる敗戦日        玉井 吉秋
去勢する子猫の瞳忘れ得ず          松元 峯子
バレンタインバスを乗り継ぐ化粧坂      安西  篤
秘すれども児は親思ふ桃の花         中田とも子
目を閉じて掴めば温し春の蛇         沢田 改司
雪女郎本気で愛したので溶けし        望月 哲土
開発を免れ雑木山芽吹く           坪井 祭星
凍蝶や悲劇も喜劇もあればこそ        藤原 公子
酢と水注ぐ建国記念日の器          金谷サダ子
持ち重り鴉の跳ねる木の芽山         岩崎清太郎
朝からの談義や亀は鳴くことに        吉村春風子
さくらんぼと幼児が言う庭落葉        川島 一夫
春うらら卒寿の母の歌心           夏目 重美
着せ藁に届く海光寒牡丹           小山 健介
春待つやどの花買って帰りましょう      都筑  遊
空き缶の転がるベンチ氷点下         田村  實
君来ぬ夜は寒紅点して呑みませう       市川 春蘭
星星の辺に預りて波の花           国枝金之助

新年度役員一覧
〇会 長   柏田 浪雅       〇事務局長  水野二三夫
〇副会長   永井  潮        兼総務部長
兼幹事長                総務部   夏目 重美
〇副会長   吉村春風子              夏目  瑶
 兼事業部長                    石橋いろり
〇副会長   根岸 敏三       〇経理部長 (根岸 敏三)
 兼経理部長                経理部 玉木 康博
〇副会長   山崎せつ子       〇事業部長 (吉村春風子)
 兼広報部                事業部  近田 吉幸
〇副幹事長  小山 健介              宮井 洋子
 兼総務部                     浮海 早苗
〇副幹事長  佐々木克子              関   梓
 兼経理部              〇広報部長  稲吉  豊
〇副幹事長  大友 恭子        広報部   藤井 みき  
 兼総務部                     水落 清子
〇副幹事長  根岸  操              飛永百合子
 兼経理部
〇副幹事長  蓮見 徳郎       *役職の〇は常任幹事
 兼事業部
〇副幹事長  戸川  晟
 兼広報部
△監査役   三浦 土火
△監査役   江中 真弓


第2回 俳句研究会
2月28日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 佐々木克子 吉村春風子 根岸操 蓮見徳郎 宮井洋子 大友恭子     
参加者 57名 
★講話… 永井 潮 氏 「芭蕉と池の関係」

  日脚伸ぶいつもどこかに好奇心      越前 春生
  とり出して寝癖のままの古雛       秋山ふみ子
  保育器の春の欠伸を愛ほしむ       宮本 峰子
  花芽吹くいくさ知る樹も知らぬ木も    藤原はる美
  囀りが好きで天まで行ったひと      清水万ゆ子
  父の座はそのままにして春炬燵      鍵尾 美鶴
  路地裏に風の咆哮多喜二の忌       松元 峯子
  古書街の六法全書冴え返る        鍵尾 閑人
  薄氷や心の底が良く見える        近田 吉幸
  朝刊を斜め読みして春寒し        田村  實
  春陰へ母を預けてしまいけり       永井  潮
  ひとすじの涙も言葉鳥帰る        藤井 みき
  春ショールなりたいように収まりぬ    前田 光枝
  もう誰も使わぬ辞典春近し        水落 清子
  それはさておき双子の笑顔春立ちぬ    前田  弘
  つちふるや影絵のやうな天安門      浮海 早苗
  山折り谷折り紙雛が立ち上がる      飛永百合子
  気に掛る地軸のずれや初ひばり      中田とも子
  富士の座に富士ある安堵雁帰る      長野 保代
  春疾風ムンクいつまで叫ぶのか      紺谷 睡花
  笑顔よき少年消ゆる春の闇        宮井 洋子
  著莪の葉のみなひれ伏して二月尽     夏目  瑶
  春菜摘む時の欠片を拾ふごと       柏田 浪雅
  まんさくや下見の役も悪くなし      長田 和江
  ゆり鷗白紙のままで落ちてくる      高野 公一(高ははしご高)
  雑巾を固く絞りて二月尽         山崎せつ子
  鉄塔に重くかかりて春の月        山口 楓子
  北窓をあけ「九条」と向きあえり     佐々木克子
  月の弓凍つや柊棘を研ぐ         淵田 芥門
  いつの間に中流きえて藪椿        白尾 幸子
  埋火や子供の咳(せき)は止まつたか   蓮見 徳郎
  唐突に株高くなる雨水かな        小山 健介
  雲に影人に翳あり日向ぼこ        藤原 公子
  三階の玻璃ひかるジム風信子       関   梓
  笹渡る風も尖りて春寒し         河井 時子
  春一番ジョギングシューズ買ひにけり   大友 恭子
  喜びを小出しに男の子合格だあ      佐藤八重子
  象さんの産毛の背中春めける       稲吉  豊
  猫柳豆大福が売れ残る          穴原 達治
  白魚を透くまさびしき海の色       水野二三夫
  老人の行方不明になる弥生        戸川  晟
  はくたかの風を切る音二月尽       三浦 土火
  雨後の畑春の光の匂ひ立つ        上田 公子
  今年こそこれが最後と雛(ひな)を出す  片山 正巳
  春茜雲の端からつつむ街         西前 千恵
  探梅や探梅らしき人ばかり        門野ミキ子
  旧姓で顔思い出す朧かな         根岸  操
  三寒につづく三寒四温待つ        川田 忠雄
  星雲を焦がす火の粉やどんど焼き     坪井 祭星
  我漉きし卒業証書の凸凹と        石橋いろり
  雪落ちて藁から飛び散る雀かな      青木 一郎
  如月や砂巻きあげる伏流水        安部孝一郎
  春の風大阪弁をのせてくる        新井 温子
  立話まとまりもなく夕霞         根岸 敏三
  ピシッと割れ三十余年の土鍋なり     玉木 康博
  A君や頭髪バッサリ春の鳥        吉田雄飛子
  三月が来るたび身近シーベルト      吉村春風子 


第1回 俳句研究会
1月24日(土)立川市子ども未来センター
担当幹事 佐々木克子 上田公子 水野二三夫 稲吉豊 根岸操 表ひろ 石橋いろり
参加者 48名 
★講話… 三浦土火 氏 「デイサービスと句会・小金井市」

  父と子の隙間わずかに雪匂う     表  ひろ
  重箱を洗い正月を棚に置く      広瀬 孝子
  探梅や百円ショップ見てまはる    藤井 みき
  もの深く抱へてゐたる枯野かな    上田 公子
  新海苔や口に広がる太平洋      大友 恭子
  げんこつのように大寒おちてきて   水落 清子
  女正月なんとあやふやな約束     清水万ゆ子
  一間にも二間にもなり冬座敷     飛永百合子
  海に落つるまで力あり寒入り日    長野 保代
  家族の背みんなまあるく掘炬燵    紺谷 睡花
  脳細胞初期化し迎う年始       鍵尾 閑人
  熱燗を運び来し人さめてをり     永井  潮
  磨かれて磨かれていま寒の水     柏田 浪雅
  目標は一万歩なり寒卵        川田 忠雄
  餌台に序列のありて寒雀       夏目  瑶
  よみがえる雑煮の中の山河かな    佐々木克子
  多摩の横山鷺も二日の白さかな    門野ミキ子
  充分な間合をとって梅開く      穴原 達治
  誰だろうマスクの中の目が笑う    宮腰 秀子
  梟の吹かれて神になりすます     高野 公一(高ははしご高)
  息子にも白髪見ゆる花八つ手     古川 和美
  くしゃみ連発頭が空になっている   筒井  譲
  返り花歳相応といふ未病       鍵尾 美鶴
  雪催雀はルート変えて来る      前田 光枝
  飴色の夢となりたる大枯野      山崎せつ子
  枯芝の端にむっつり名刺入れ     前田 弘
  人馬同居南部曲屋雪女郎       近田 吉幸 
  冬三日月塾へ急く子の耳赤し     根岸  操
  舌打ちをマスクの陰でしてをりぬ   水野二三夫
  バンパーの凹みそのまま年終る    稲吉  豊
  ふるさとへ迎えに行こう雪女     新井 温子
  フクシマはいつも三月あの時の    櫻本 愚草
  冬の月いまだ嫁がぬ子を思ふ     秋山ふみ子
  めつむれば寒林の白骨が鳴る     松元 峯子
  鍬始打ち込む構亡父(ちち)似かな  青木 一郎
  初夢に人語をしゃべる猫が居て    坪井 祭星
  掌にかろき雪と思へど生木裂く    三山 喜代
  ささ母よ先づは召しませけふの屠蘇  三浦 土火
  繋ぎ目なき空に向いて冬薔薇     河井 時子
  白梅や月の白さを夜に咲きて     吉村春風子
  凩に押され一歩の万歩計       根岸 敏三
  マフラーから覗く瞳が訴える     戸川  晟
  戸を叩く凍てしに肉球帰宅猫     山口 楓子
  公園のたった一羽の寒鴉       浮海 早苗
  冬木の芽二人案じて尖がりぬ     宮井 洋子
  年賀状真実隠す雛形文        関   梓 
  築地より寒海苔届き山登る      石橋いろり
  天凍てり落日に泪赤く哭く      淵田 芥門 



(蓮見 徳郎)